「That Was the Worst Christmas Ever!」

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昨日も書いたように、俺はクリスマスを祝うような人ではないのでございますが、iTunesストアで無料ダウンロードした、Sufjan Stevensなるアーティストの「That Was the Worst Christmas Ever!」というクリスマス・ソングがひどく気に入ってしまい、繰り返し聴いてるのであります。 Sufjan Stevensって、調べたところでは結構な数のアルバムを出してるシンガー・ソングライターらしいんだけど全然知らなかった。そもそも「Sufjan」ってどう発音すんだ。この曲はシンプルかつ透明感があって非常にいい出来。まだ無料ダウンロードできるんで、USストアのアカウントを持ってる人はぜひご試聴あれ。

今年のベストアルバム

12月はまだ半月残ってるってのに、早くも世の中では2006年の重大ニュースやベスト・リストが飛び交ってるわけだが、俺が敬愛してやまない「オニオンAVクラブ」も「Best Music Of 2006」と称して今年の優れたアルバムを紹介していた: やべ、どれも聴いたことね。

邦楽とかバカアイドルとかに疎いのは個人的に全然問題ないんだが、自分の好きな評論家たちが挙げているバンドやアルバムの殆どを知らないってのはちょっとショック。こうやって俺も年をとってくのかなあ。よく考えてみたら今年は新作を1つも買わずに、図書館で昔のアルバムを借りてばっかりだった。

来年はもうちょっと音楽の趣味を開拓しよう。

「Leonard Cohen: I’m Your Man」鑑賞

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カナダの誇る吟遊詩人、レナード・コーエンのトリビュート・コンサート兼ドキュメンタリーを収めた「Leonard Cohen: I’m Your Man」を観る。 名前から分かるようにコーエンはユダヤ人だけど、ユダヤ人嫌いのメル・ギブソンがプロデューサーに名を連ねていた。まあいろいろあるんでしょう。

シドニーのオペラハウスで催されたコンサートの映像のあいまに、参加ミュージシャンやコーエンのインタビューが挿入されるような形式の作品。コンサートにはニック・ケイヴやジャーヴィス・コッカー、ルーファス・ウェインライトといった有名どころから、アントニーやハンサム・ファミリーのような「あんた誰?」といったミュージシャンまでが顔を揃え、コーエンの曲を歌っていく。

個人的にレナード・コーエンの曲って、本人がやると女性コーラスとかをコテコテに入れて変なアレンジをしがちなので、他人が歌った方が良い場合が多いと思うんだが、今回のコンサートでもなかなか出来のいい歌を聞くことができる。個人的なお気に入りはケイヴの歌う「スザンヌ」やベス・オートンの「シスターズ・オブ・マーシー」あたりかな。あと最後にU2をバックにコーエンが「タワー・オブ・ソング」を歌う映像が入っていて(コンサートとは別収録)、これもなかなかカッコいい。

そしてインタビューの部分ではコーエンによって自らの生い立ちが語られていくんだが、あの人って普通に話していても言葉使いがどことなく詩的になっていて、言ってることがひどく抽象的になってるんだよね。だからコーエンのことを何も知らない人が見たら、かなり分かりにくい内容になってるかもしれない。でも父親が他界した時の逸話とか、禅寺に入門したときの話といった興味深い話をいろいろ聞くことができる。

それにしてもモントリオールで詩人たちに囲まれて育ち、ギリシャで小説を書き、後年には禅寺にこもって修行したなんて、ずいぶん羨ましい人生を送ってるよなあ。

「The Fall: The Wonderful and Frightening World of Mark E Smith」鑑賞

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イギリスの名物バンド「ザ・フォール」とその中心人物マーク・E・スミス(以降MES)の、30年近くに渡る歴史を追ったBBCのドキュメンタリー「The Fall: The Wonderful and Frightening World of Mark E Smith」を観る。

MESの強烈な存在感を文章で表すことは非常に難しいんだが、決して派手な性格ではないのに沸々と「負」のエネルギーを放出しているというか、何かとても混沌としたものが潜んでいてブラックホールのごとく皆の気を引いてるようなものか。あのヘンリー・ロリンズが「彼と一緒にエレベーターに閉じ込められるようなことだけは起きて欲しくない」と語ったらしいけど、本当にそんな感じ。ヒットにも恵まれず、バンドのギタリストだった妻にも去られ、メンバーとステージ上で喧嘩してぶん殴られ血まみれになりつつも歌う、尋常ではないほどのバイタリティをもった人なのです。そんな彼の実像が、バンドの元メンバー(何十人もいる)やトニー・ウィルソン、相変わらず小汚いイアン・ブローディー、グラント・ショウビズ(!)、そしてもちろん彼らの大ファンだった故ジョン・ピールなどによって語られていく。

セックス・ピストルズの伝説のマンチェスター・ライヴに触発されて結成されたザ・フォールだが、すぐにMESのワンマン・バンドとなり、テレビ出演とかが殆どなかったにも関わらずカルト的人気を集めていく。そんな彼らがメインストリームの注目を受けることになったケースの1つとして「アイアム・キュリアス・オレンジ」における前衛バレエ団とのコラボレーションが紹介されてるんだが、そのステージの光景が美しいのなんのって。俺は前からこの時の映像を探してるんだけど、フルバージョンのやつってどこかに存在しないのかなあ。

このドキュメンタリーの残念な点は、肝心のMESのインタビューが酒場でクダをまくオヤジのごとく何を言ってるのかまるで分からないことなんだけど、それもまた実にMESらしい(笑)。このまま10年後になってもMESは生命維持装置につながれて小便をちびりつつ、悪態をぶちまけながらステージに上がっていくのだろう。楽しみな未来ではある。

U2とグリーンデイの曲

巷でちょろっと話題になっているU2とグリーンデイの曲って、スキッズのカバーだったのか。スキッズの曲なんて普通「INTO THE VALLEY」しか知らないから、全然気づかなかったぞ。

自分の曲がこんなに有名になることを知っていたら、スチュアート・アダムソン先生も自ら命を絶つことはなかったであろうに。バグパイプのような音作りの彼のギターサウンドは俺のお気に入りなのです。