「SIX SHOOTER」鑑賞

なぜか未だに日本で公開されてないブラック・コメディ「IN BRUGES」のマーティン・マクドナーがあの作品の前に作った30分の短編映画。こちらで視聴可能。何気にアカデミーの短編賞を受賞してるらしいけど、内容は「IN BRUGES」に負けず劣らずコテコテにブラックな作品だった。主演がブレンダン・グリーソンだというのと列車の中でのやりとりがあるのも「IN BRUGES」と同じ。

舞台はアイルランド。妻を病院で失った男が家に帰るために列車に乗ったところ、口の悪いティーンエイジャーと、赤ん坊を失ったばかりの夫婦と同席することに。ティーンエイジャーの口の悪さは勢いを増し、夫婦は気分を害することになって…というような展開。fuckの連発に加えて飛び降り自殺や爆発する牛など、なかなか極悪な展開が続いていく。ダイアログは秀逸だし見ていて飽きないものの、作者がこの作品を通じて何を言いたいのかはよく分からず…。マクドナーは本業(?)の舞台劇のほうも暴力描写が多いらしいけど、このブラックさは同じアイルランド系であるガース・エニスのコミックに通じるものがあるな。

何でこんなブラックな作品がアカデミー賞を穫れたのかよく分からんけど、まあ悪い作品ではないですよ。

「ゴジラ対メガロ」鑑賞

ジェットジャガー(笑)。

これはもはやゴジラ作品では無いような。最後の怪獣バトルがいちばんつまらないというのはどういうこったい。他の部分も冗長で盛り上がりに欠けるカーチェイスとか、ものすごく行き当たりばったりな展開とか、観ていてしんどいものばかり。世間的には評判の良いダムの破壊シーンも、さほど見事だとは思えず…平成シリーズはガキンチョ向けのような気がして観なくなったけど、よく考えたら東映チャンピオンまつりの作品も大差ないよなあ。

あとシートピア海底人は地上人の行った核実験によって被害を受けたために怒ってメガロを送り込んできたわけで、そういう意味ではゴジラは加担する側を間違えてるような。ウルトラセブンのノンマルトもそうだけど、海底人はいろいろ迷惑を被って可哀相ですね。

「未来惑星ザルドス」鑑賞

ジョン・ブアマンは名匠だと思いますが、彼がこの作品で何を伝えたかったのかは最後まで分からず…。生と死(もしくは不死)がテーマであることは理解できるんですけどね、なんかいろいろ詰め込みすぎてプロットが解消されない、頭でっかちの作品になってしまったような。

ごく限られた集団が超能力と技術力を備えて他の民を支配しているという設定はロジャー・ゼラズニイの「光の王」に似てると思ったんだが、どうでしょうか。「スター・ウォーズ」以前のSF映画って、こういう不思議な感覚を持ったものが多かったんだよな。有名どころでは「2001年」とか「THX-138」もそうだし、あと「2300年未来への旅」とか。

物語の大半を赤フンで過ごすショーン・コネリーは可も不可もありませんが、シャーロット・ランプリング様のツンデレっぷりが麗しいのでございます。でもあまり観る必要のない作品だと思う。

「クール・ワールド」鑑賞

長らく探していたDVDを偶然近場で発見。「ウィザーズ」や「フリッツ・ザ・キャット」で知られるラルフ・バクシのアニメと実写の合成映画。1992年公開。

物語の発端は1945年。軍隊帰りのフランク(ブラッド・ピット)はバイク事故に遭った衝撃で、乱痴気騒ぎを繰り広げるアニメの住人が暮らす世界「クール・ワールド」にやってきてしまう。そこで彼は刑事として暮らすことに。そして時代は現代へ移り、今度は刑務所帰りのマンガ家であるジャック(ガブリエル・バーン)がクール・ワールドに飛ばされてくる。彼は色情狂気味のアニメ少女ホリーといい仲になるが、何故かアニメのキャラと人間がセックスするとそのキャラは人間になれるという決まりがあって、これを望んだホリーはジャックとやってしまい、現実世界で人間になって騒ぎを巻き起こすことに…といった話。内容的には後発の「モンキーボーン」にとても似ていて、主人公がやってくる別世界がグロテスクなキャラクターに満ちた地獄のようなところであったり、そこから抜け出したキャラクターが騒動を起こすところなんかが共通している。

ストーリーは行き当たりばったりでクール・ワールドに関する説明なんて殆どないし、俳優たちも適当に演技してるのがミエミエ。クール・ワールドだと非常になめらかな動きをしていて、それなりに艶やかな容姿だったホリーが人間になったとたんにキム・ベイシンガー(当時39歳)へと劣化したのには萎えたなあ。二次元嫁を3次元の世界に連れてきては行けないよ、という教訓でしょうか。せっかくデビッド・ボウイが主題歌歌ってるのに、こんな駄作ではもったいないよな。

でもクール・ワールドの住人のハチャメチャぶりは凄まじくて、そこらへんはラルフ・バクシの本領発揮といったところか。ああいう悪趣味な雰囲気はまだCGアニメだと表現できないですね。これが70年代とかだったらカルト的人気を誇ったんだろうけど、90年代ではもはや時代遅れになってたのかなあ。バクシはこれ以来長編映画を作ってないし(この映画を製作中にも相当トラブったらしくて、プロデューサーをぶん殴ったとか)、ドン・ブルースとかジョン・クリクファルシといったアニメーターについても最近は話を聞かなくなったし。非ディズニー系の2次元アニメーターには世知辛い世の中になってしまったのかな。

「ゴジラ対へドラ」鑑賞

来週の連休までにかけて、今まで観そびれてた映画をいろいろ観てこうと思うのですよ。

ヘドラって公害を食べてヒッピーを殺してくれるなんて、実はいい怪獣なんじゃないか?違う?ゴジラ作品のなかでは異色作であることは認めるが、間の伸びた戦闘シーンや場違いなアニメ、4度も繰り返される主題歌などあちこちで映画として破綻している感があるのは否めない。まあ71年当時の雰囲気が分かるのは面白いですが。なぜゴジラの放射能火炎で電極版が動作するのかは分からんな。

あと当時の怪獣映画の定番だった「怪獣に共感できる少年」ですが、俺が小学生のときに「ガメラ」シリーズとか観てたときでも子供だましに感じたけど、今になって観てもウザったく感じられるような。この映画をリアルタイムで観てた小学生たちは、こういう少年が出てくることを素直に喜んでたんだろうか。