「9」(短編)鑑賞


9月9日にアメリカで公開されたCGアニメ「9」のもとになった短編。人類が絶滅し荒廃した地球において、意識をもった人形「9」とその仲間たちが、巨大な怪物ロボットの追跡から逃れようとする…といった内容の作品らしい。

短編を観る限りではロボットとの戦い方とかはあまり目新しいところがなくて、アクション・ゲームのオープニングムービーのような感じがするのは否めない。でもキャラクターデザインは斬新だしアニメの出来も良いので、結構楽しめる作品になっている。

劇場版の評判も概ね良いようなので機会があれば観てみたいものですが、果たして日本での公開はいつになることやら。

「宇宙(そら)へ。」鑑賞

鑑賞権をもらったもので。有楽町のみゆき座ってスカラ座2があったところに移ってたんですね。

NASAの宇宙開発を扱ったドキュメンタリーで、マーキュリー計画からはじまりジェミニ計画、アポロ計画、そしてスペース・シャトルといった宇宙への挑戦が当時の貴重な映像とともに紹介されていく。ガス・グリソムの帰還カプセルが沈没する瞬間がフィルムに収められていたなんて知らなかったよ。

全体的に淡々としている印象はあるものの、月面着陸や宇宙遊泳のシーンなどは素晴らしいし、劇場でなくてもDVDとかで観る価値はある作品かな。宮迫博之によるナレーションは下手ではないものの、あれより上手い人はもっといるでしょ、という感じ。

あと話の盛り上がりとしては、これはもう仕方ないんだけれど、やはりアポロ11号の月面着陸のところがいちばん面白くて、あとは地味なミッションばかりになっていくような気がする。あれだけアナログな機材で人を月まで送ったスタッフは本当に凄かった。それに比べるとスペース・シャトルは変に洗練されてる一方で事故が多いし。

最近ではロケットが打ち上げられてもロクなニュースになりませんが、かつては打ち上げが世界的イベントだったことがこの映画を観るとよく分かる。また誰か早く月とか火星に人を送ってくれないかなあ。

「MOONGIRL」鑑賞


ヘンリー・セリックが「CORALINE」の前に製作した短編アニメで、彼にしては珍しくオールCGの作品になっている。

夜に釣りをしてた少年が星でできたナマズに連れられて月に行くと、そこにはムーンガールという少女がいて…という物語。ストップモーションに比べてCGの画作りは凡庸に見えるし、月の外に怪物がいる理由もいまいち分からない。あとあのラストはハッピーエンドなの?単に仕事を次の人にまかせただけのような。

でもまあこうしてYouTubeでタダで観れるので、サクッと鑑賞する分にはいい作品かも。音楽担当はゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツだし。本当は「コラライン」もTMBGが音楽を担当するはずだったのが、作品のトーンに合わないという理由で起用されなかったんだよな。1つだけ劇中で使われてる曲がやたら良い曲なので、彼らが作ったという残りの楽曲も聴いてみたいところです。

「レスラー」鑑賞

遅ればせながら。

いや、非常に優れた映画なんですけどね。ただダーレン・アロノフスキーの映画だというところにどうしても違和感を感じてしまうなあ。今までの彼の作品と全然違うタッチなので。まあここらへんでちょっと地味な映画を作りたくなったんでしょうか。底辺の人々の描写は「レクイエム〜」に通じるところがあるけどね。

ケットル星人のごとき容姿のミッキー・ロークの演技が素晴らしいのはいわずもがなだが、ダメ男を叱る女性2人の姿がもっと怖かったのです。難点を挙げるとすれば脚本がちょっと固いというかクリーシェ気味なところで、カッターで指を切りそうだと思わせておいて、本当に切ってしまうあたりはちょっとストレートすぎるかと。でも脚本家のロバート・シーゲルは「オニオン」出身だし、彼がこんど監督&脚本を担当する「BIG FAN」なる映画は結構面白そうなので今後に期待。

個人的には、アロノフスキーの作品だという先入観がなければもっと楽しめたかもしれない。「レクイエム〜」にしろ「ファウンテン」にしろ、あの人の新作って自分の中では大イベント的なところがあったので、変に期待しすぎていたのかも。でもいい作品ですよ。

「CORALINE」鑑賞

おもしれー。老若男女が楽しめる素晴らしい作品。

ニール・ゲイマンの原作をヘンリー・セリックが映像化したもので、作家の両親とともに田舎の古びた家に引っ越してきたコララインという少女が主人公。両親にかまってもらえず、退屈しきっていたコララインはある日、鍵のかかった小さな扉を発見する。鍵を開けて扉を抜けると、そこはボタンの目をつけた「別の両親」たちが彼女を迎えてくれる別世界だった。おいしい料理や愉快な仲間たち、美しい庭などに魅了されたコララインはすっかりこの別世界に夢中になるが、そこには暗い秘密が隠されていて…といった感じのお話。子供向けの幻想的な話のようで、不気味なトーンがずっとあるのがゲイマン調ではある。

とにかくストップ・モーションによる映像が非常に美しく、夜の庭やネズミのサーカスの場面などには圧倒される。これはDVDよりも映画館の大きなスクリーンで観たほうが絶対良いですね。というか日本で公開が決まってないの?「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」があれだけ人気あるんだから、日本でもヒットする土壌はあると思うんだがなあ。ダコタ・ファニングやテリ・ハッチャー、ジョン・ホッジマンといったセレブな声優陣も特に問題なし。階下に住む老婦人コンビにフレンチ&サンダースの声をあててるところもニクいすね。

ちなみにDVDには3Dバージョンも付属していて、劇場版のような3Dグラスではなく例のチープな赤青グラスで観るんだけど、あまり3Dっぽくならなかったような。むしろ映画の醍醐味である色調が台無しになるし、3Dで観るメリットはないぞ。それよりも驚いたのが、iTunesなどで映画をダウンロードできるコードが付いてきたことで、簡単にiPhoneなどで映画を持ち運べるようになっていた。至れり尽くせりというか、DVDもこうしたオマケをつけて売られるようになってきたんですね。