トーチウッド「CHILDREN OF EARTH」鑑賞

実質的なシーズン3だが、今までと違って今週の月〜金に「日刊トーチウッド」として放送された全5話のミニ・シリーズになっている。

ある日とつぜん世界中の子供たちが動きをとめ、「我々はやってくる」と一斉に唱えだす現象が発生。そしてこれに合わせて「456」と呼ばれる地球外生命体がロンドンに来訪する。彼らの目的は何か?トーチウッドは彼らを阻止できるのか?そしてキャプテン・ジャック・ハークネスと「456」の意外な関係は…?というのがおおまかなプロット。

インベイジョンSFとしては派手な災害や地球外からの攻撃シーンなどはないものの、手堅い演出のおかげで最後まで飽きさせない。今までの「トーチウッド」にありがちだったキャンプ趣味も鳴りを潜め、各メンバーの私生活にも焦点をあててヒューマン・ドラマとしても面白くさせることに成功している。またトーチウッドだけでなく政府の職員の葛藤などもきちんと描いたことで、侵略される側の不安さをうまく醸し出している。

とはいえ重警備の軍施設にショベルカーで突っ込んで侵入に成功したり、役人のオフィスで働く新人が、たまたまポストイットに書いてあったパスワードを使って最高機密の文章を読んだりするなど、それなりにご都合主義的な展開はありますが。ポストイットにパスワード書いてモニターの横に貼ってる奴なんてうちの職場にもいないぞ!ラストの解決策についても弱冠詰めが甘いような気がするけど、全体的にはとても楽しめる内容でした。今後も「トーチウッド」はこのミニ・シリーズ形式をとった方がいいんじゃないの。

そこで問題なのが、果たしてシーズン4は作られるのかということでして、これでおしまいにするにはしっくりこない気がする反面、基地もメンバーもなくなったトーチウッドがこのまま存続できるのかは疑問ではある。何にせよこうして面白いものが作れるんだから、何かしらの形でキャプテン・ジャックたちの帰還を望みたいところです。

「WAREHOUSE 13」鑑賞

“Sci-Fi”改め”Syfy”チャンネルの新作ドラマで、まあ要するに「Xファイル」と「メン・イン・ブラック」を合わせたようなやつ。

舞台となるのはサウスダコタの人里離れた荒野のど真ん中にある、異様にバカでかい倉庫「WAREHOUSE 13」。そこには謎めいた力を持つという様々な歴史上の遺物が保管されており(「レイダース」の最後に出てくるやつに似ている)、なぜかそこに転勤させられたFBI捜査官のピーターとマイカは、倉庫の管理人で変人のアーティーに命じられてアメリカ各地にある遺物を集めることに。しかしそれらの遺物の持つ力によってトラブルが巻き起こり…といった感じのストーリー。

全体的にコメディ・タッチであることと、謎めいた場所にきて困惑する主人公という設定は同じネットワークの「ユーリカ」に通じるものがあるかな。パイロットが90分あるために冗長な感じがするところも「ユーリカ」と同じ。話の設定自体はありきたりだし、派手なアクションも少ないものの、俳優たちはいい感じを出しているので、うまくいけば結構面白いシリーズになるかもしれない。

でもこういう内容の番組だったら、やはり「THE MIDDLEMAN」のほうが10倍くらい面白かったんですけどね。

「MAKE IT OR BREAK IT」鑑賞

器械体操のオリンピック選手を目指す少女たちを描いたABCファミリーの新作ドラマ。例年ならABCファミリーの番組なんてなんの興味もないのですが、去年は突発的に「THE MIDDLEMAN」という大傑作が出てきてしまったので、今年もそんな傑作が出てこないかとりあえず観てみようと思った次第です。決してレオタード姿の女の子たちを見たかったとかそういう理由ではないので誤解なきように。

コロラドはボルダーにあるジムに主人公がやってくるところから話は始まるんだが、内容はもう笑っちゃうくらいに少女マンガの世界をなぞっておりまして、主人公はもの静かで心優しい子なんだけど家が貧乏で、おまけに足が不自由でハインラインを読んでるようなオタクの弟がいたりする。これに対して主人公の才能を敵視するライバル役のビッチな娘は家が金持ちで、加えて父親はジムに出資してる有力者だという設定。そして例によって落選の危機に焦ったビッチな娘の策略によって主人公の跳躍板がずらされ、主人公が負傷するなんていうコテコテの展開もありまっせ。こういう話ってアメリカも日本もあまり変わらんなあ。

でもABCファミリーなので「ゴシップ・ガール」などのプライムタイム番組に比べると内容はそれなりに低年齢層向けに健全で、少女が苦境にめげずに健闘する物語としては結構楽しめるかもしれない。あと明らかに低予算ながらも体操のシーンとかはかなりきちんと撮影されていた。しかし黒人をはじめとするマイノリティが1人も登場しないのはどうかと思うけどね。いくらボルダーだからって体操やってる黒人くらいいるだろうに。

何にせよ俺としては、こんな番組を作る余裕があるんだったら「THE MIDDLEMAN」をABCファミリーにはぜひ復活させてほしいところです。

「WEB THERAPY」鑑賞

「フレンズ」のフィービーことリサ・クドロー主演のウェブ用シットコム。彼女が演じるセラピストがウェブカメラを通じて患者にセラピーを行っていくものの、彼女の話のピントがズレているためにトラブルが生じて…といった内容。ゲストにラシダ・ジョーンズとかジェーン・リンチなどが出てたりもする。

前にも書いたと思うけど、こうしたウェブ用の番組って低予算で作られたことがミエミエで、どうもクオリティが低くて好きになれないんだよな。この作品も単にセラピストと患者が画面に向かって話すだけで、お世辞にも面白いとはいいがたい。正直なところリサ・クドローもかなりオバサン顔になってきてるので、彼女の顔を何分も直視するだけの番組というのは結構しんどいところがあるかも。

今やオンライン番組のほうが地上波番組よりも広告効果が高いという噂もあるし、ウェブ用番組もきちんと金をかけて製作する必要が出てくるんだろう。クシャミするパンダのほうが観てて面白いようじゃ、ウェブ用番組に未来はないぞ。

「VIRTUALITY」鑑賞

「ギャラクティカ」のロン・ムーアとマイケル・テイラーが脚本で、「ハンコック」のピーター・バーグが監督という豪華なスタッフによるフォックスのSFドラマ。

舞台になるのは2040年の未来。地球は気象の急激な変化などに見舞われ、人類はあと100年で絶滅するとまで予測されていた。そんななかフェイトン号という人類初の恒星間宇宙船が地球を出発する。フェイトン号のクルー10人に与えられた使命は、エリダヌス座イプシロン星まで10年をかけて旅を行い、地球外知的生命の有無を確認することと、地球を救うための物資を持ち帰るというもの。クルーの行動は同行する2人のテレビ局スタッフによって逐次録画され、「目玉番組」として地球へ送信されるのだった。また長旅におけるクルーのストレスを発散させるため、各人にはヴァーチャル・リアリティのシステムが与えられ、そこで好きな仮想現実に浸って遊ぶことができるのだった。しかし彼らの仮想現実のなかに謎の人物が出現し、仮想のクルーを次々と殺していく出来事が起きる。これと同時に、現実世界でも不可解な出来事が起きてクルーの1人が命を落とす。これらはすべて機材の故障によるものなのか、それとも何者かがクルーを狙っているのか…というのがおおまかなプロット。

「2001年宇宙の旅」にフィリップ・K・ディックの小説にリアリティー番組(あとちょっと宇宙戦艦ヤマト)といった要素がてんこ盛りの内容ですが、それらが巧みに編み込まれていてかなり楽しめる、緊張感に溢れた作品になっている。リアリティー番組のスタイルを使うことでクルー同士の葛藤を描いたり視聴率至上主義を皮肉っているほか、現実とは何かというテーマを扱っていたりして話はなかなか深い。またフェイトン号も「2001年」のディスカバリー号なみにローテクな宇宙船で、核パルス推進を使って加速するところは結構圧巻。久しぶりにSFしてる番組を観たなあという感じ。

でね、俺はてっきりこれって夏のミニシリーズだと思ってたのよ。6話くらいで完結するような。でも本当はピックアップされなかったTVシリーズのパイロット版らしい…つまり話の続きは一切予定されてない!例によってフォックスは、このパイロット版の視聴率が良かったらシリーズ化も考えるみたいなことを言ってるらしいんだが、視聴率が低いことで知られる金曜日の夜に何の宣伝もなしに放送したって視聴率が稼げるわけないじゃん。実際に視聴率は悪かったようなので、フォックスでのシリーズ化はまず無理だろう。パイロット版がクリフハンガー的な終わりかたをするだけに、話の続きがどうなるのかものすごく気になるんだがなあ。蛇の生殺しとはこのことか。せめてサイファイチャンネルあたりが拾ってくれないものか。やはりSF番組にとってフォックスは鬼門だな。

ちなみにクルーの1人の仮想現実が「ロック・コンサートで片言の日本語で歌う」というものなんですが、あれは何なんですか?「マンスターズはわからない〜だっーてキチガイだから〜」なんて歌われるともう脱力しまくり。いくら外国語だからって放送禁止用語で歌うなよ!