「HAP AND LEONARD」鑑賞

Hap and Leonard, Season 1
ジョー・R・ランズデールの人気小説シリーズ「ハップとレナード」をTVシリーズにしたもの。おれ3作目の「罪深き誘惑のマンボ」だけ読んだことあるけど、意外と邦訳が多く出てるのね。

舞台は1988年のテキサス東部。40代の白人であるハップ・コリンズと黒人でゲイのレナード・パインは性格こそ正反対なものの、幼いときからの友人であり、日雇いの労働者として農園などで汗を流して働いていた。そんな二人のもとにハップの元妻であるトルーディーがやってくる。彼女はいま左翼の活動家と結婚しており、20年前に起きた銀行強盗の際に川の底へと沈んだ20万ドルの現金について夫が聞きつけたことから、その川について詳しいハップに手助けを求めてきたのだ。金が欲しいハップとレナードは仕方なしに彼女に協力するものの、彼女の夫とその仲間たちはどうも怪しい連中ばかり。さらに凶暴な殺し屋たちがやってきて…というあらすじ。

全6話のミニシリーズという構成になっていて、話の内容は小説の第1作に沿ったもの?これが好評なら以降の小説を順に映像化していくのかな。小説はかなり暴力的だった印象があるけど、第1話は話の序盤ということで派手なアクションもなく、比較的淡々と話が進んで行く感じ。今後は殺し屋たちとの血なまぐさい展開が繰り広げられるのかな。

銃の達人ながら暴力を嫌い、徴兵を拒否して投獄された経験もあるハップを演じるのはジェームズ・ピュアフォイ。いまやアメリカ南部のホワイトトラッシュ男もイギリス人俳優が演じるようになってしまった。対して血気盛んでケンカも強いレナードを演じるのがマイケル・K・ウィリアムズ。彼は「ザ・ワイヤー」でもゲイのギャングスタを演じてたのであまり違和感はなし。この二人、以前にも「The Philanthropist」というシリーズで共演してたような。そして元妻のトルーディーを演じるのがクリスティーナ・ヘンドリックス。あとはビル・セージなんかが出てます。

原作はもっとテキサスの田舎の偏屈さや小汚さが強調されてたような気がするが、映像化にあたってずいぶん綺麗になっているような感じ。ジョー・R・ランズデールの小説(というかコミック)は好きなので、うまくヒットして続編も作ってほしいところです。

「The Night Manager」鑑賞

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ジョン・ル・カレの同名小説が原作のBBCのミニシリーズ。

2011年、アラブの春の動乱に揺れるエジプトにおいて高級ホテルの夜間管理人を務めていたジョナサンは、地元の有力者の愛人であるソフィーからとある書類のコピーを頼まれる。それは有力者に販売されたとみられる膨大な数の武器のリストであり、自分の身に何かあればそれを開示するようソフィーは依頼するが、ことの重大さを悟ったジョナサンはイギリス政府の関係者にリストを見せてしまう。その結果ソフィーの身に危険が迫ることとなり、彼女をかくまったジョナサンはやがて彼女と恋に落ちる。しかし彼女を国外に逃がすことはさらに危険を招くと説得されて彼は何もできず、そのうちにソフィーは何者かによって殺害されてしまうのだった。そしてその4年後、ジョナサンはチューリッヒの山奥にあるホテルに務めていたが、そこにエジプトの有力者に武器を販売した死の商人、リチャード・ローパーが宿泊に訪れ…というあらすじ。

原作は93年に出版されたものらしいが、うまく現在の政治状況にあわせてアップデートされてるのではないでしょうか。第1話はまだ話の序盤といった感じで大きく話が動くような展開はないものの、ずいぶんと予算をかけたような作りで緊迫した雰囲気を醸し出すのに成功している。

主人公のジョナサンを演じるのはトム・ヒドルストン。大きな陰謀に巻き込まれ、やがてローパーへの復讐を決断する動機が少し弱いような気もするが、ヒドルストンの演技が巧いのでまあいいや。そしてリチャード・ローパーを演じるのがヒュー・ローリーで、「トゥモローランド」以上に裏のある悪役を演じていて見ごたえあり。あとは彼の部下としてトム・ホランダーとか、ジョナサンにローパーへのスパイ行為を打診するMI6の職員としてオリヴィア・コールマンなどが出演しています。おれイギリスの法律には「すべてのドラマにオリヴィア・コールマンかラッセル・トヴェイを出演させるべし」という条例があるのではないかと常々思っているのですが、この番組にはしっかり二人とも出ているので、やはりそういう法律が定められているのでしょう。

ル・カレ作品なので、勧善懲悪などではなく最後はもやっとした感じで終わりそうなのが心配ではあるけど、かなりクオリティの高い番組なので今後も見続けると思う。日本でもいろんな局が狙ってるんじゃないかな?

「LUCIFER」鑑賞

Lucifer, Season 1
いちおうヴァーティゴ・コミックスの作品を原作にした、FOXの新シリーズ。

原作はヴァーティゴの金字塔「ザ・サンドマン」からスピンオフしたコミックで、マイク・ケリーによるストーリーが高く評価されて、「ザ・サンドマン」同様に75巻まで続いた、意外と人気のあった作品なんだよな。俺はあまり読んだことがないのだけど、「ザ・サンドマン」において地獄の統治を放棄し、ツーフェイスみたいな女悪魔とともに地獄を去って地球にやってきた寡黙な堕天使ルシファーを主人公したファンタジー作品だったはず。

それがこのTVシリーズ化においてはルシファーはもっと軽薄なキャラクターになっていて、LAのナイトクラブを経営するチャラ男といった感じ。そのクラブで働いていたシンガーが目の前で撃ち殺されたことから、その事件を捜査する女刑事とコンビを組むことになるという、なんと刑事ドラマの設定になってしまっている。ここまで設定を変えるなら、別にあの原作を使わなくても良かったのではと思うが、おそらく製作のワーナーがコミックとの相乗効果を狙ったのでしょう。

んでルシファーは当然ながら人知を超えた能力を備えているわけだが、それは「不死身」であり「人に真実を語らせることができる」というもの。つまり悪人にどれだけ撃たれても動じないし、彼が尋問する相手は自ら情報をベラベラ話してしまう!それって捜査とアクションという刑事ドラマの2つの醍醐味を完全に奪ってしまっているのだけど、いいのかそれ。しかもルシファー自身は捜査にあまり興味がないため、肝心の謎解きは相棒の刑事がやってる始末だし。

製作はジェリー・ブラッカイマーの会社で、第1話の監督はレン・ワイズマン。主演のトム・エリスって一昨年は「RUSH」という医療ドラマで殆ど同じようなチャラ男の主人公を演じていたような。あれ1シーズンですぐ打ち切りになったけど、よくまた主役につくことができたな。

女刑事に何か謎がありそうなことが示唆されるし、ルシファーを地獄に戻したい天使なんてのも登場するけど、次回も観たいと思うような作品ではなし。映画にしろテレビにしろ、チートなくらいに強力な能力を持った人物が主人公をやってしまっては何の面白みもないのよな。例によって保守系の団体から「悪魔を美化した番組を作るな!」なんて抗議を受けてるらしいが、そんなのがなくてもたぶん長続きしないだろう。

ヴァーティゴのコミックだったら、これよりも「サンドマン・ミステリー・シアター」とか「デッド・ボーイ・ディテクティブス」なんかをそのまんま映像化したほうが面白そうだと思うんだがなあ。

「DC’s Legends of Tomorrow」鑑賞

DC's Legends of Tomorrow, Season 1
「Marvel’s Agents of S.H.I.E.L.D.」に並んで長ったらしい名前を持ったアメコミ原作の新シリーズで、「アロー」と「フラッシュ」のスピンオフにあたる作品。

2166年の未来において、世界は永遠の命を持つ悪者ヴァンダル・サヴェジによって支配されようとしていた。時間と歴史を監視するタイム・マスターズの一員であるリップ・ハンターはこの事態を重く受け止め、歴史には干渉しないというタイム・マスターズの掟に背き、タイムマシーン「ウェイブライダー」(そう、この作品ではウェイブライダーは人物でなく乗り物なのだ)を駆って、50年前の2016年の世界へとやってくる。そこで彼は未来で「伝説」として崇められるという8人のスーパーヒーローとヴィランを集め、彼らの助けを借りることにする。そして彼らはまずサヴェジの消息を知るために1975年の世界へと向かうのだが…というあらすじ。

リップ・ハンターが現代で召集するのは、ファイヤーストームに合体する二人と、ホークマンとホークガール、ホワイト・カナリー、アトム、そしてキャプテン・コールドとヒートウェイブの8人。みんな既に「アロー」や「フラッシュ」に登場したことあるんだっけ?アメコミや他の番組を知らないと、話についていくのは結構しんどいかも。グリーン・アローやブラック・カナリーもちょっと出てきます。

第1話はパイロット版の前編ということで明確な結末があるわけでもなく、チームの結成までの描写に多くの時間がとられている。というか登場人物がいかんせん多いだけに、チームに加わる動機を各キャラクターごとにいちいち描くだけでかなり長ったらしく感じられるのよな。劇中でもチームが二手に分かれたりしてたけど、やはり登場人物が多すぎるんじゃないだろうか。そのくせ彼らを追いかけてきた、レーザー銃を持ったヴィラン(クロノス)一人に大苦戦してやんの。8対1で手こずるスーパーヒーローって弱すぎるだろ。

タイムトラベルを前面に出した内容なので、ちょっと「ドクター・フー」っぽいところもあり。そもそもリップ・ハンター役を11代目ドクターのコンパニオンだったアーサー・ダーヴィルに演じさせてるあたり、作り手もDWを意識してるんじゃないかと。今後は西部時代にも行って、ジョナ・ヘックスが出てくるんだとか?

タイムマシーンや派手なドンパチが出てきて、前の2番組よりもさらにSF番組っぽい作りになっているわけだが、地上波ネットワーク作品なので特殊効果などはそれなりに立派ですよ。アメリカはこういうのをゴールデンタイムに放送してしまうのだなあ。日本でも早々にDVDが出ることが決まってるみたいだけど、どこまで人気が出ますかね?

「Baskets」鑑賞

Baskets, Season 1
ザック・ガリフィアナキス主演のFXの新シリーズ。なお「clown」の訳として「ピエロ」を使うのは好きではないので、以下では「道化師」とします(ピエロは道化師のひとつ)。

主人公のスキップ・バスケッツはプロの道化師になるという情熱をもってフランスの道化師学校へと留学するものの、フランス語が一切できないという根本的な問題のため授業から脱落し、失意のもとに故郷であるカリフォルニアの片田舎ベーカーズフィールドへと戻ってくる。グリーンカード目当てで結婚してくれたフランス人の妻には金をせびられ、町のロデオ会場で道化師として働くことになるのだが、観客は彼の芸などには興味を示さず、暴れ牛に追いかけられる彼の姿を嘲笑するだけだった。そんななかバイク事故で知り合った保健員のマーサだけが彼に好意を持って接してくれるのだが…といったあらすじ。

主人公がいろいろ惨めな目に遭うという、いわゆるダウナー系のコメディです。原案者にルイCKが名を連ねているが、「Louie」以上に主人公が恵まれてないんじゃないかな。スキップの周囲の人間もみんな不幸せな感じで、マーサは頭の回転が遅くてスキップにもぞんざいに扱われているし、スキップの母親(ルイ・アンダーソンが女装して演じている)は典型的なホライトトラッシュといったところ。せいぜいスキップの双子の兄弟のデール(ガリフィアナキスが二役を演じてる)だけが怪しげなキャリア学校を経営して少し金をもっているくらいだし。

笑えるブラックジョークがある一方で、観ていてかなり気が滅入る内容だし、観る人を選ぶコメディだと思う。個人的にはダメ男の主人公にはやはり共感せざるを得なかったわけだが。しかし今後はどういう展開になっていくんだろう?