新作コメディ番組 短評

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アメリカのテレビはミッドシーズンの時期に来ておりまして、忙しいのでろくにチェックできないうちに早くも打ち切られる作品が出てきたりするのですが、30分コメディはメシ食いながらさらっと観られることもあり、5本ほど観たので感想をば:

The Odd Couple (CBS)
・過去にも何度か映像化されたニール・サイモンの「おかしな二人」のリメーク。
・ズボラなスポーツコメンテーターをマシュー・ペリーが、生真面目な同居人をトーマス・レノンが演じる。
・マシュー・ペリーって「Studio 60」とかではコメディ以外の役にも挑戦してたんだけどね、どの番組も長続きしなくって「フレンズ」みたいなマルチカメラのシットコムに戻ってきたか。
・でも無難なコメディといった感じであまり面白くない。トーマス・レノンも生真面目な役は似合ってない。彼って頭いいんだからもっとエッジの効いたコメディをやるべきだと思うの。

The Jack and Triumph Show (Adult Swim)
・「30 Rock」のジャック・マクブレイヤーが落ちぶれた元人気子役を演じ、ロバート・スマイゲル演じるハンドパペットのトライアンフ・ザ・インサルト・コミック・ドッグが彼と一緒に番組に出ていた犬、という内容。
・アダルトスイムの番組なので例によってシュールな展開が続き、コミコンでも撮影がされて「スタートレック」の役者なんかが本人役で出演していた。
・クセがある内容なので万人受けするものではないが、俺は嫌いじゃないですよこういうの。

The Last Man on Earth (Fox)
・「ネブラスカ」のウィル・フォーテが、疫病によって全人類が死滅したあとに唯一生き残った男性を演じる。そこにクリステン・シャール演じる女性が現れるのだが、他にも女性が登場するみたい。
・監督は「LEGOムービー」のフィル・ロードとクリス・ミラーだが、あんな元気なものではなくもっと地味な内容になっている。
・「ユーモラスなドラマ」と言われれば納得いくのだが、これを「コメディ」と言えるかどうかは微妙…このような設定の作品を作るなら、やはり「Y: The Last Man」を作れよ!

Younger (TV Land)
・なぜか1シーズンで終ってしまった(ねえ、なんで?ねえ?)「Bunheads」のサットン・フォスターがバツイチのママを演じる。
・ギャンブル狂の夫と別れ、15年ぶりに働こうとした主人公が、年齢を理由に面接で落ち続けたために年を26歳だと偽って就職するものの、最近の若者文化についていくのに苦労する…という内容。
・サットン・フォスター(39)が26歳に見えるのか、という根本的な疑問は置いておくとして、AOLのメールアドレスをgmailに代えて若く見せる、といった細かいネタは面白かった。下の毛を処理してなくて年齢を疑われる、というTV Landにしてはエグいネタもあります。
・脚本は「SATC」のダーレン・スターで、共演にヒラリー・ダフ。これもドラマ寄りの内容だけど、働く女性ものとして日本でも受けそうな感じがする。

Unbreakable Kimmy Schmidt (Netflix)
・US版「THE OFFICE」のエリー・ケンパーが主演で、脚本はティナ・フェイ。元々はNBC向けに作られた作品らしい。
・終末論カルトの教祖に騙されて15年間を核シェルターのなかで過ごした4人の女性のひとりであるキミーが、解放されたあとも故郷には帰らずニューヨークに移り、完全な世間知らずながらもめげずに生きていく、という内容。
・「THE OFFICE」でもアーパー(死語)なおねーちゃんを演じていたケンパーですが、こっちはもっとヤバくてメンタルな人のよう。それでも嫌みな演技にならないのが彼女の魅力かな。
・ジェーン・クラコウスキーも出てるので「30 Rock」が好きな人は気に入るかも。

まあコメディ番組って話数を重ねることで大化けしたりするので、第1話で判断するのって好ましいことではないですね。それとやはりSNL絡みの勢力がやはり強いなあと。世間知らずの主人公がいる番組が多い気もするが、これは今にはじまった話ではないかな。
秋シーズンに始まったシットコムは相変わらず高い打ち切り率を誇ってるようですが、今回のものはどれが生き残ることになるのやら。

レナード・ニモイ死去

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俺は物心ついた時からSFが好きだった。ロボットアニメの影響もあるし、世の中の問題も科学の万能の力を使えば瞬時に解決できるはずだ、という安直な理想を持っていたからかもしれない。

そういうわけでSF映画も早いうちから観ていたわけだが、「スタートレックIV」を観にいったのは小学校4年生のときかな?「トレック」の知識なんてまったく無いまま劇場に足を運んだわけだが、災害に見舞われたサンフランシスコにカーク船長たち一行が舞い降り、地球の危機を救ったとき、俺はもう「トレック」の熱心なファンになっていた。そして常に論理的に降るまい、それでいて人間味のあるミスター・スポックを演じたのは?レナード・ニモイ。その映画を監督したのは?レナード・ニモイ。

当時は日テレで「宇宙大作戦」の再放送を深夜にやっていて、我が家にやってきたばかりのVHSデッキで録画予約をセットして(失敗率20%)可能な限り観てたっけ。たしか裏番組では「サンダーバード」もやってたはずだが、俺は「宇宙大作戦」を選んだわけです。それから海外ドラマ好きが昂じて仕事で関わるようになり、「トレック」の仕事もやったっけ。

そしてニモイは「宇宙大作戦」のあともアニメ版や「新スタートレック」、さらにはエイブラムス版「トレック」と長きにわたりスポックを演じ続け、他のオリジナルキャストよりも別格の存在であったわけだが、彼の才能は決してミスター・スポック役だけに留まらなかった。声優として、監督としても、写真家として、詩人として、彼は世界をfascinateし続けてくれた。彼が亡くなってしまって残念です。

HE LIVED LONG AND PROSPERED.

「THE SLAP」鑑賞

The SlapNBCのミニシリーズ。小説が原作のオーストラリアの番組のリメークだそうな。

ニューヨークの公務員であるヘクターは40歳の誕生日を迎えたが、期待していた昇進を逃し、知り合いの若い女の子(誕生日プレゼントにクリス・ウェアの「Building Stories」をくれるという偉い子)に心を奪われ、どうも憂鬱な一日を過ごしていた。しかし彼の妻子や両親、友人たちがパーティーを開いてくれたために愛想良く振る舞っていたものの、彼の両親と妻の仲が不穏になったり、親戚のハリーと友人のギャリーがケンカしたりとパーティーは波乱含み。しまいにはワガママなギャリーの息子をハリーがひっぱたいたために、そこにいた人たちの関係が一気に最悪なものになり…というプロット。

ハウスパーティーが舞台の群像劇という第1話の展開はインディペンデント映画っぽい作りだな、と思ったら監督が「キッズ・オールライト」のリサ・チョロデンコだった。出演者もピーター・サースガードにブライアン・コックス、ユマ・サーマン、タンディ・ニュートン、ザッカリー・クイントなどとインディペンデント映画に出てそうな俳優が勢揃いしている。

他人の子供を叱る(ひっぱたく)のは許されることなのか?という議論は最近よくアメリカのトークショーなどで耳にするのだけど、まあ時と場合によるよなあ。すぐ親が訴訟を口にしたりするのはアメリカっぽいと思いましたが、これ日本では受け止められ方がえらく違ってくるかもしれない。

他局のミニシリーズ(最近はイベントシリーズと呼ぶらしいね)がSFやアクションに頼っているなか、このような一般家庭を舞台にしたドラマを持ってきた理由は何だろう?とはいえ話の内容は決して悪くはないし、第1話だけでも短編映画を観ているようで面白かった。

「BETTER CALL SAUL」鑑賞

Better Call Saul, Season 1
おととし終了した「ブレイキング・バッド」のスピンオフ作品なのだよ。

主人公は「BB」のイカサマ弁護士ことソウル・グッドマンことジミー・マギルで、彼が「ソウル・グッドマン」と名乗って事務所を開く6年くらい前の出来事を描いたプリクエル作品になっている。ただし冒頭では「BB」最終回のあとの彼も登場するし、「BB」の途中およびその後の彼の姿も描かれることになるみたい。

舞台は2002年のアルバカーキ。さえない弁護士のジミー・マギルは裁判に勝てず、顧客にも逃げられ、ろくな事務所も持てずに最低な日々を過ごしていた。彼の兄のチャックは大手弁護士事務所のパートナーだったが、自分が「電波過敏症」だと思い込み電子機器のない家で長期休職中という始末。ジミーは兄に退職および会社の資産の清算を進めるものの聞いてもらえず、金欲しさに当たり屋の男たちと組んで小金を得ようとするものの、物事はあらぬ方向に進んでしまい…というプロット。

弁護士が主人公だけど法廷ドラマにはならず、「BB」同様にメキシカン・マフィアとやり取りする犯罪ドラマになるのかな?ただし「BB」は主人公が怒りにまかせて底辺からのし上がっていく内容だったのに対し、こちらの主人公はトリックスター的なタイプなので、「BB」よりもブラックなコメディの要素が強いかもしれない。

主人公のジミーを演じるのは当然ながらボブ・オデンカーク。「ネブラスカ」や「ファーゴ」を経て、さらに演技が巧くなっているな。あとは「BB」のマイクことジョナサン・バンクスが出演しているほか、「BB」の他の出演者もちらほら出てくるみたい。新しいキャラクターとしては兄のチャックをマイケル・マッキーンが演じている。

放送前からシーズン2の製作が決定し、初回の視聴率も記録的な数字を稼いだらしいですが、まあ「BB」の大変素晴らしかった第1話と比べるとクオリティは落ちるわな。しかし演技や演出は手堅いし、「BB」と比べなければ十分に楽しめる番組じゃないでしょうか。プリクエルとはいえ話が自在に発展できる余地は多分にあると思うので、「BB」に肩を並べられる作品になることに期待。

「Fresh Off The Boat」鑑賞

Fresh Off the Boat, Season 1
ABCの新作シットコム。エディ・ホアンというTVパーソナリティの料理家がいるらしくて、その派手な言動はmomofukuのデイヴィッド・チャンみたいな感じなのかな。彼が書いた同名のベストセラーの自伝をもとにしたシリーズで、ナレーターもホアン本人が務めている。

舞台は1995年。台湾からやって来た移民のルイスは、自身のレストランを経営したいという夢を抱えて、ワシントンDCからフロリダへとやって来る。彼に付き添うのは妻のジェシカと、エディら3人の息子たち、およびエディの祖母。台湾文化よりもヒップホップに憧れる長男のエディは親が渡す台湾料理の弁当が気に入らず、それがもとで学校でトラブルを起こす始末。さらにルイスが開いたステーキハウスには客が入らず…というような展開。

ルイスを演じるのは「The Interview」のキム・ジョンウンことランダル・パーク。台湾系でなく韓国系だけどまあいいや。あの映画でいちばんいい演技をしてた彼ですが、ここでも陽気で呑気な父親を好演している。そしてジェシカ役のコンスタンス・ウーという女優さんがおれ好みの美人でいい感じ。あとは「NTSF:SD:SUV::」のポール・シアーが出てたけど、準レギュラー的な扱いになるのかな。

ルイスとジェシカの中国語訛りがちょっと強調されてる気もするが、アジア人をコケにしたような描写は特になし(タイトルとかにケチをつけてるウルサ方もいるようですが)。むしろ白人社会とのギャップに焦点を当てた内容になっている。おれも子供の頃に親と海外に住んでたりしたので、こういうのはちょっと感情移入できるのです。

つーかアジア人が主役のシットコムって、マーガレット・チョーの「All-American Girl」以来20年ぶりだそうですよ。だからこういうのには頑張って欲しいなあ。こないだの「EMPIRE」も黒人の視聴層にヒットして早くも第2シーズンの製作が決まったわけですが(しかも録画でなく皆でリアルタイムで観るほどの盛況ぶりらしい)、非白人のマイノリティが主役でも視聴率をとれる世の中になってきてるんじゃないかと。ジョークが滅茶苦茶おもしろいという内容ではないものの、こういうのは日本で放送されても良いんじゃないかと思うのです。