「SIBERIA」鑑賞


NBCの夏の新シリーズ。「パーソンズ・アンノウン」みたいなミニシリーズ扱いになるのかな?

リアリティ番組のスタイルをとった超自然ホラーで、舞台になるのは当然ながらシベリア(実際の撮影地はカナダらしいが)。アメリカおよび世界価値から集められた14人の男女たちがシベリアのツングースカにある森の中に連れてこられ、そこで冬がやってくるまで生き延びるよう番組の司会者に告げられる。この番組ではコンテストもなく、脱落者を決める投票もない。過酷な環境のなかでのサバイバルが唯一かつ最大の挑戦であり、耐えられなくなった者はヘリコプターを呼んでシベリアを去ることができる。そして最後まで残った人たちに賞金が与えられるというのだ。

こうしてまず森の中を進み、100年ほど前に住人が失踪したという小屋に居着く挑戦者たち(この時点で2名が脱落)。食べ物が見つからずに空きっ腹で夜を過ごす彼らだったが、夜中に謎の動物のうなり声を耳にする。そして次の日に食べ物を探しに森の奥へ向かった男性が、何かに襲われて命を落とすという事件が起き…というようなプロット。

普通リアリティ番組で参加者が死亡したらその場で収録を打ち切るんじゃないかとか、司会者(突然現われる)やカメラマンはどこに住んでるんだよ、という疑問は当然沸いてくるのですが、まあそれらをスルーできればそれなりに面白い設定ではないかと。本物のリアリティ番組でもウソっぽい演出は山ほどやってるし。

出演者は比較的無名の俳優たちが本名で出演していて、タイトル・シーケンスなどもリアリティ番組っぽくしている徹底ぶり。ビッチなモデルやニューエイジの人、一匹狼や頼りなさそうなオッサンなど、いかにもリアリティ番組の出演者っぽいキャラクターを揃えているのも上手いな。挑戦者のなかに明らかに秘密を抱えてそうな女性がいて、その人にはインタビューをしないどころか映像もろくに映さないあたりはちょっとズルいと思いましたが。

傑作などではないものの、今後の展開が気になる、それなりに面白そうな番組。最近は死滅した感のある「LOST」ライクなテレビ番組ですが、こうして他の番組のスタイルを取り入れることで進化を遂げていくんでしょうか。

「UNDER THE DOME」鑑賞


スティーブン・キングのベストセラー小説「アンダー・ザ・ドーム」を原作にしたCBSのミニシリーズ。全部で13話になるのかな?

舞台になるのは(キング作品の常として)メイン州にあるチェスターズ・ミルという小さな田舎町。そこではいつもと同じ一日が始まろうとしており、近隣の街で行われるパレードのために町長などが町を離れたばかりであった。しかし突然巨大な地鳴りとともに透明のドームが町を包み込み、チェスターズ・ミルは外界から遮断されてしまう。そのドームは光は通すものの音声や電波などは通さず、外界とのコミュニケーション方法は筆談程度の非常に限られたものになってしまう。さらにドームが降りた瞬間にその場にいた人たちが切断されたり、自動車がドームに突っ込んで大破したことで町はパニックに陥る。ドームのなかに隔離された人々が生存の方法を探るなか、何人かの住民が謎の幻覚に襲われ、「ピンクの星が落ちる…」と呟くのだった…というようなプロット。

町の全体がドームに包まれるのって「ザ・シンプソンズ MOVIE」でもやってましたが、キングはあれよりも先にネタを考えついてたそうな。町が災害に見舞われたからって住民が一致団結するわけでもなく、腹黒い地元の有力者やそのサイコな息子、「仕事」で町に来ていた殺し屋などといった人たちの思惑がドロドロと交錯していく展開になるらしい。限られた空間とはいえ町が舞台なので「ミスト」よりも「ジェリコ 閉ざされた街」に雰囲気は似ている。

原作は未読ですが、ウィキペディアでざっと確認したところ登場人物の設定などがそれなりに異なっているみたい。さらにキング自身の許可を得たうえで話の結末が原作と異なるものになるらしいので、はたしてそれが吉と出るかどうか。

プロデューサーにキングやスティーブン・スピルバーグらの名前が出ているほか、脚色の担当をしているのはアメコミ作家のブライアン・K・ヴォーン。彼は以前にも「LOST」の脚本を書いてたりしたのでテレビの仕事は初めてじゃないんだが、「SAGA」みたいなコミックでの絶妙なストーリーテリングの能力をテレビでどこまで発揮できるかな?

あと出演者はあまり有名どころはいないみたいだけど、「ブレイキング・バッド」のディーン・ノリスが出ています。彼は「バッド」で大変素晴らしい演技をしていたのにブライアン・クランストンの陰に隠れてしまってた感があるので、こっちでさらなる注目がされることに期待。

原作は日本でも知名度が高いし、おそらくWOWOWあたりが放送するんじゃないですかね?

「DEVIOUS MAIDS」鑑賞


「デスパレートな妻たち」のマーク・チェリーによるライフタイムの新シリーズ。メキシコのテレノベラをベースにしているらしい。名前の通りメイドさんたちが主人公なんだけど、日本の「ご主人さま☆」みたいな人たちでなくヒスパニックの家政婦さんたちの話なのでそこんとこよろしく。

ハリウッドを舞台に、横柄でグロテスクな金持ちの主人たちに雇われたメイドたちの悲喜劇を扱った内容になっていて、メキシコから子供を連れてこようと努力する女性や、シンガーとしての才能を雇い主に認めてもらいたい人、家の若主人に惚れてしまう人など、さまざまなメイドの人間模様が描かれていく。また冒頭では主人と不倫をしたメイドが何者かに刺殺されるという事件が起き、この事件の解明が今後の大きなテーマになっていくみたい。

エヴァ・ロンゴリアがプロデューサーとして関わっていることもあり、メイドたちの描写はヒスパニックのステレオタイプのようなものではなく、筋の通った一人前の女性たちとして描かれており、過酷な労働条件に我慢しつつも、逆にメイドがいなくては何もできないような主人たちに一泡ふかせるような、痛快な内容の番組になっている。ただ登場人物が多いせいか、第1話はちょっと詰め込まれすぎのような気がしたな。

女性たちの赤裸々な日常と殺人などのブラックなユーモアが軽快なテンポで語られていくさまは「デスパレートな妻たち」そのまんまなのですが、ヒスパニックの家政婦たちが主人公ということで日本では放送されにくいかな?普通はドラマの主人公になりそうにない人たちにスポットライトをあてたという点は素直に評価したい番組。

「RAY DONOVAN」鑑賞


こんどShowtimeで開始されるテレビシリーズ。ビデオキャストで提供されてた第1話を観たら、セリフの半分くらいが規制のため無音状態であった。つまりそんな言葉が行き交う内容の番組です。

レイ・ドノヴァンはハリウッドのセレブたちを顧客にするフィクサー。有名俳優やスポーツ選手を相手に、死んだ娼婦の始末やスキャンダルのもみ消しなど、表沙汰にできないことを引き受けていた。無骨な彼だが妻と2人の子供といちおう仲良く暮らしているし、障害を抱えた弟たちの面倒も見ている人物であり、ストーカーに狙われている少女に仕事とは関係なしに警告してあげるなど、暗いなりに規律を持った男であった。クセのある人物たちに囲まれながらも黙々と仕事をこなすレイだったが、筋金入りのゴロツキである父親が20年ぶりに刑務所から出所し、彼のもとにやってきたことでレイの人生は大きく変わることになる…というようなプロット。

なんか不幸な人がてんこ盛りの内容になっていて、レイの妻は彼との生活に不満を抱いているし、娘や息子は学校でいじめられていることが示唆され、レイの2人の弟のうち1人は病気持ちでもう1人は子供のこと神父に性的虐待を受けたトラウマからアル中になっている始末。さらにレイの妹(なのかな?)は以前に自殺したらしく、身内のほかにも親に搾取されたティーンのアイドルとか、女性ファンに大人気なのに男に手を出してしまうスターとか、いろいろ悩む人たちがたくさん出てきてます。でもみんな悪態ついてるだけで、キャラクターに深みがあるわけでもないのですが。

LAノワールというかハードボイルドっぽい描写もあり、どぎつい暴力シーンなどもあるのだが、じゃあそれらが実際にストーリーを前に進めているのかというとそうでもなくて、あくまでも「それっぽい」描写が並んでいるだけで、今後はどういう方向に行きたいのかがよく分からないんだよな。出所してレイのもとに戻ってきた父親も相当なワルであることは分かるのですが、父親との確執がテーマになるのか、レイのフィクサー稼業に焦点があてられるのか、いまいち分からず。第1話ですべてを説明する必用もないけど、今後の展開へのつかみを残しておくことは重要でしょう。

主人公のレイ・ドノヴァンを演じるのはリエヴ・シュライバー。まあ妥当なキャスティングだよね。その父親を演じるのがジョン・ヴォイトで、他にもエリオット・グールドやピーター・ジェイコブソン、デニス・クロスビーなどとそれなりに知られた役者が名を連ねている。今後はジェームス・ウッズもゲスト出演するのかな?ただやはりキャストが豪華でもストーリーが面白くないとどうにもならんので、あと数話のうちにシリーズの方向性を打ち出さないと、他のShowtimeの番組と肩を並べられるほどの人気を獲得するのは難しいのではないか。

「TWISTED」鑑賞


ABCファミリーの新作シリーズ。ABCファミリーはこれとか「THE FOSTERS」などの新作ドラマの視聴率が好調で、そのあおりを受けて評判は良いけど視聴率が微妙な「BUNHEADS」のシーズン2製作がなかなか決まらないでいるらしいけど、いいのかそれ。

ダニーとジョーとレイシーは幼い頃は親友だったが、ダニーは11歳のときに自分の叔母を殺害してしまい、鑑別所に送られてしまう。それから5年がたち、ジョーとレイシーはスクールカーストの関係で疎遠になっていたが、ダニーが鑑別所から釈放されて2人と同じ高校に通うという知らせが飛び込んでくる。ダニーの釈放はメディアにも注目され、周囲の学生からソシオパス呼ばわりされるダニーだったが、彼はそれらを気にもせずにジョーとレイシーとの再会を喜ぶ。しかし彼がなぜ叔母を殺したのかを知っていると告げた女生徒が殺害されるという事件が起き、真っ先にダニーが容疑者として疑われることに。そしてダニーは自らの潔白を証明しようとするが…というようなプロット。

第1話ではジョーが主人公的な扱いで、ダニーは不気味くんとして描かれているのですが、だんだんダニーが話の中心になっていくのかな?ABCファミリーでいちばん視聴率を稼いでいる「プリティ・リトル・ライアーズ」にあやかったティーン向けミステリーものといった感じだけど、黒幕は誰か?という設定で話を引っ張り続けている「ライアーズ」に対してこちらは秘密の鍵を握るダニーと言う人物が最初から素材しているわけで、どこまで謎を引っ張れるんだろう。「なぜダニーは叔母を殺したのか?」というのが大きな秘密になっているようなんだが、ダニーはいわゆる「信頼できない語り手」のような立場になるのかな?

ダニーを演じるのは日本でもやってる「ビクトリアス」のアヴァン・ジョーギア。彼の母親をデニス・リチャーズが演じていて、かつてのボンドガールも今ではABCファミリーの脇役ですか、とつい思ってしまいますが、息子の無実を盲信するちょっと不気味な感じが、微妙にトウのたった外見が意外と似合っていたりもする。

面白くなる可能性を持った作品ではあるとは思うので、あとは謎解きをどう展開させていくか次第ですかね?