「DO NO HARM」鑑賞


「ジキルとハイド」をベースにしたNBCの新作シリーズ。

ジェイソン・コールは有能な神経外科医だったが、彼は暗い秘密を抱えていた。実は彼は二重人格者であり、毎晩8時25分になると性格が一変し、イアン・プライスという凶暴な人格にとって代わられてしまうのだった。ここ数年は試薬を投与することでイアンを抑え込んでいたジェイソンだったが、やがて薬が効かなくなってイアンが再び出現するようになり、彼はジェイソンの生活をぶち壊そうと画策するのだった…というプロット。

コンセプトは分かるんだけど、何をしたいのかがよく分からん番組。医療ドラマに猟奇サスペンスっぽい味付けをしたつもりなんだろうけど、その2つがぜんぜん噛み合っていないというか。そもそもこういうヤバい秘密を抱えている主人公が医者をしているというのが現実味ゼロなわけで、イアンがジェイソンを装って手術をメチャクチャにしようとする姿などは見ていてかなり不快。また患者を虐待していた夫(しかも警官)をボコボコにして虐待を止めさせる展開があるんだけど、ふつう警官にそんなことしたら発端は何であれ裁判沙汰になるよなあ。主人公は人里離れた山奥にでも引きこもるべきで、2つの人格の攻防を毎週観たいという気持ちにはならないのであります。

ジェイソンがイアンに「変身」するシーンは眼のアップになったりして「超人ハルク」を彷彿とさせるのですが、あっちはハルクの登場が大きな見せ場だったし、流れ者のペーソスなどもあったけど、この番組は主人公に共感できるところが皆無。主人公を演じるスティーヴン・パスクールって「シックス・フィート・アンダー」などに出てた人らしい。他にも「フリークス学園」のサム・レヴィンとかナベQことジョン・キャロル・リンチなどが出演してるが、みんなもっといい番組に出れるよなあ。

2重人格を扱った番組なら、速攻で打ち切られた「My Own Worst Enemy」のほうがまだ面白かったんじゃないの、と思わせるような作品。

「CONTINUUM」鑑賞


こんどアメリカのSyfyチャンネルでも放送開始された、カナダのTVシリーズ。たまには自分たちでSFドラマ作ろうぜサイファイさんよお。

物語が始まるのは2077年。そこは政府に代わって巨大企業が覇権を握った社会であったが、それに反発した活動家集団「リベレイト」は大規模なテロを実施し、3万人もの死傷者を出す惨事を引き起こす。キエラ・キャメロンを含む警察組織(そこのエージェントは「プロテクター」と呼ばれる)はリベレイトのリーダーたちを逮捕し、うち8名には死刑が言い渡されるものの、彼らは執行時に謎のデバイスを使って脱走をはかり、それを阻止しようとしたキエラも脱走に巻き込まれてしまう。そして気がついたとき、彼女は2012年のバンクーバーにいるのだった…というプロット。

過去に戻って未来を改変しようとする悪者を阻止する警官の話ですが、あくまでも舞台は現代なので「ライフ・オン・マーズ」みたいなノスタルジックな描写は無し。またタイムスリップは一方通行のようで、未来に帰ろうとするキエラの奮闘が描かれるのですが、時間旅行の要素が今後どこまで強調されるかはよく分かりません。未来から来たハイテク・ヒロインが主人公の刑事ドラマ、といった感じで観ればいいんじゃないかな。キエラは防弾やカモフラージュ機能をもった万能スーツを着込んでいるほか、膨大なデータベースにアクセスできるチップを埋め込んでるらしいのですが、サーバーとかバッテリーの問題はどうしてるんだろうね。逃亡した連中を探すために彼女は身分を偽ってバンクーバー市警に勤務することになるのだが、いくら敏腕だからって身分証明も求めずに捜査班に加える警察はかなりマズいのではないか。

主人公のキエラを演じるレイチェル・ニコルズって「GIジョー」のスカーレット役の人か。地毛はブロンドなのかな?ほかにも「Xファイル」のスモーキング・マンの人とか、どこかで観たような役者がチラホラと出ております。カナダでも評判は良くて第2シーズンの製作が決まっているそう。日本ではユニバーサルチャンネル向きの番組だと思うのだが、あのチャンネルが終わってしまうのは痛いね。

「The Goode Family」鑑賞


2009年にABCで放送されたマイク・ジャッジによるアニメーション・シットコム。放送開始から人気は芳しくなく、視聴率も低迷して13話であっという間に打ち切りになった作品だが、今度DVDボックスが出るとのことで第1話を観てみたら意外と面白かった。

話の主人公となるのはグッド家という非常にリベラルなライフスタイルを貫いている一家で、ジェラルドとヘレンの夫婦は稼ぎが少ないものの「政治的に正しい」生活ができるよう務めており、家庭農園で有機野菜を栽培したり自転車通勤を心がけている次第。長男のユブンツはアフリカからの養子で、てっきり黒人の子供が来るかと思ってたら南アフリカの白人の子が来てしまったもの。また長女のブリスは両親の押し付けがましいリベラリズムに反抗的であり、もっとコンサバな暮らし方に興味を抱いていたりもする。さらに一家のスタイルは飼い犬のチェにも及んでおり、ベジタリアンなエサしかもらえないので裏では近所のペットを捕獲して食べている。

こんな一家のほかにも、彼らの信条がいっさい理解できないアメリカンな性格のヘレンの父親とか、ジェラルドの職場の同僚とかが出てきてドタバタを繰り広げる内容になっていて、基本的には過度なリベラリズムを茶化したものになってるのかな。リベラルな人のあいだにも見栄が存在することもちゃんと描いていて、自然食品の店でマイバッグを忘れたヘレンが「マイバッグだだって第3世界で作られてるのよ!」と言い訳して商品を手で抱えて運ぶシーンなどは秀逸。マイク・ジャッジほど小市民の暮らしを巧く描ける人はそういないだろうな。同じような家族を使い回してるセス・マクファーレンとはえらい違いで。もちろん保守系の人たちの風刺もされていて、第1話では禁欲を説くグループの集いに参加してそのバカらしさに仰天するジェラルドとブリスが話の中心になっていた。

まあABCはこういうトンがった番組はあまり支援しないし、アニメとなるとなおさらなのですぐに打ち切られたのも無理はないが、もうちょっと長続きしてればカルト人気を集めたかもしれない番組。マイク・ジャッジは最近また「ビーバス&バットヘッド」を作ってるようですが、また新しい作品(実写でもアニメでも)にとりかかってほしいところです。

「THE GIRL」鑑賞


HBOとBBCが共同製作したTVムービー。

アルフレッド・ヒッチコックと「鳥」の主演女優であるティッピ・ヘドレンの関係を描いたもので、撮影にあたり主役を探していたヒッチコックはTVコマーシャルに出ていたヘドレンが目にとまり、脚本家に反対されながらもモデル出身の彼女を「鳥」の主役に起用する。そして彼女を演出するうちにやがて性的な関係を迫るようになり、ヘドレンはこれを拒絶。これに対してヒッチコックは彼女を屈服させるため、生きた鳥に襲われる過酷なシーンを5日間にわたり彼女に演じさせるのだった…というようなプロット。

ヒッチコックを演じるのがトビー・ジョーンズで、見事な小太りメークをして冷徹ながらも色欲を垣間見せる不気味なヒッチコックを好演しているぞ。それに反発するヘドレンを演じるのがシエナ・ミラーなんだけど、こちらはずっと仏頂面であまり面白くない。ヒッチコックに耐えつつも屈服しない芯の強い女性を演じてるはずなんだが、どうも演技が堅いんだよな。そのふたりの関係に気づきつつも何もできないヒッチコックの妻を演じるのがイメルダ・スタウントン。

いちおう関係者の話をあつめて事実に基づいた内容になってるらしいが、キム・ノヴァクなど他の関係者からはヒッチコックの描写とかについてクレームがあがったらしい。まあ多分に脚色されてても内容が面白ければいいのですが、全体的に凡庸なメロドラマになってしまっているのが残念。主役ふたりの心理戦みたいなものをもっと掘り下げるべきだったのに、どうも人物の描写が薄っぺらいような。HBOってもっと凝ったTVムービーが撮れると思っていたんだがなあ。

奇しくも今年はアンソニー・ホプキンスもヒッチコックを別の映画で演じていて、トビー・ジョーンズのほうが良いという声も聞かなくはないのですが、肝心の内容がイマイチなため彼の熱演が空回りしているような作品。

「Doctor Who: The Snowmen」鑑賞


今年のクリスマス・スペシャル。新しいタイトルシーケンスは効果音がバチバチうるさい気がするものの、ドクターの顔が映るようになってオールドファンには嬉しい限り。リブート後はこれが欠けてたんだよなあ。

舞台となるのはビクトリア王朝時代のイギリス。前の話でエイミーとローリーを失ったドクターは失意にくれてロンドン上空の雲の上にとどまっていたが、友人のエイリアンたちの依頼を受け、雪ダルマが人を襲うという事件の調査に乗り出す。そしてその過程でクララという少女に出会ったドクターは、彼女と一緒に(というかつきまとわれて)事件の黒幕であるシメオン博士のもとに向かうが、さらにその裏には謎の存在が潜んでいて…というような話。

話が1話で完結していた過去2年のクリスマス・スペシャルに比べ、前の話のトラウマを引きずったドクターが新しいコンパニオンに出会い、彼女の謎を追うことになるという続き物の要素が強い内容になっている。

動く雪ダルマを使って人を襲撃させるシメオン博士を演じるのがリチャード・E・グラントで、ここは8代目ドクターと「ウィズネイルと僕」のコンビ復活とならなかったのが残念ですな。さらに博士の背後にいる黒幕の声をイアン・マッケランがあててるのですが、「ホビット」観たあとなので悪役というよりも温厚な老人の声にしか聞こえなかったよ。

ストーリーも決して凝ったものではないのですが、とはいえ面白くないのかというとそんなことはなく、演出が巧みなためにファンならずとも楽しめる内容になっている。雲の上に乗ってるターディスなんて普通のエピソードではまず目にしない設定だけど、幻想的でクリスマスの雰囲気にはよく似合ってますな。

ファンの方ならみんなご存知のとおりシーズン7第1話に出てきた「スフレ・ガール」と新コンパニオンのクララは同一人物であり、はたして彼女は何者か?というのがシーズン7後半のプロットになるみたい。それはそれで結構なのですが、シーズン5〜6に出てきた謎(サイレンスとか、「宇宙最古の質問」とか)ってまだ解明されてないよね?以前の伏線が回収されてないのに、新たな謎が出てくる展開には少し不安を憶えてしまうのです。すべて見事に解決してくれればいいのですが。