「Doctor Who: “A Christmas Carol”」鑑賞


11代目ドクター初のクリスマス・スペシャル.ここ数年のクリスマス・スペシャルって前後のシリーズの伏線を引きずっててどうも陰気な印象があったんだけど、これは純粋に楽しめる素晴らしいエピソードだった。

話のプロットはエイミーとローリーが新婚旅行で乗り込んだ宇宙船がトラブルに遭い、近くの惑星に着陸する必要が出てきたものの、その惑星(なぜか住民はビクトリア王朝のような暮らしをしている)には気候を操れるガンコな老人がいて、彼は宇宙船の着陸を認めようとしないのだった…というようなもの。

題名が「クリスマス・キャロル」だし、ガンコな老人が出てくるとなれば話の結末は決まってるようなものですが、老人を改心させようとするドクターの奮闘が非常に巧く描かれていた。ターディスで過去に戻って「過去のクリスマスの霊」として少年時代の老人を説得しようとしたり、逆に未来を見せたりするとか。このようにディケンズの「クリスマス・キャロル」を絶妙にアレンジしているばかりでなく、ホロリとさせられるラブストーリーも織り込み、もはや職人芸の域に達した脚本であったよ。

さらに脚本だけでなく話のテンポが非常に秀逸で、過去にいたかと思えば現在に登場するドクターの行ったり来たりが手際良く描かれていて大変面白かった。無駄のない演出のおかげで、1時間という尺ながら下手な映画よりも話に厚みがあったんじゃないかな。過去に戻ってある人物の将来を変えてしまうというのは「ドクター・フー」最大の禁じ手であるはずなんだが、まあそこはクリスマスということで。これらに加えて、ガンコな老人を演じるマイケル・ガンボンの演技も良かったな。

クリスマスという限られたテーマのなかでこれほどのクオリティの話が出てくるようだったら、来年のシリーズ6も相当期待できそうだな。ニール・ゲイマン執筆のエピソードもあるようだし、今から待ちきれない。

アメリカ版「トップ・ギア」鑑賞


いまさら言う必要もないがイギリスの自動車紹介番組「トップ・ギア」は大変素晴らしい番組で、車にまったく興味のないペーパー・ドライバーである俺のような人間でも十分に楽しめるつくりになっているわけですが、これはそのアメリカ版。すでにロシア版とかオーストラリア版とかは存在するんだっけ?

以前にもNBCがアメリカ版「トップ・ギア」の製作を試みたことがあったけど、イギリス版のホストであるジェレミー・クラークソンがパイロット版を観て「アメリカ人は車のことが分かっとらん!」と怒って企画をボツにしたことがあるんだよな。そして新たに登場したものはヒストリーチャンネル製作のもので、オリジナル譲りの車の美しいショットが披露されるほか、謎の覆面ドライバー「ザ・スティグ」もちゃんと登場しているぞ。

ただね、3人のホストが普通のカーマニアの気のいい人たちといった感じで、オリジナルにあった相当な毒気が抜けてるのですよ。本国のはホスト3人の絶妙な罵り合いとか、毎シーズン1回は倫理委員会で問題になるような暴言の数々が非常に楽しいんだけどね。それに比べると今度のやつは単なる自動車紹介番組の域を出ていないのが残念。

それでもアメリカのだだっ広い土地を利用した走行シーンなんかは見応えがあるかな。町中を走り回るダッジ・バイパーと戦闘ヘリのコブラの「ヘビ対決」なんかはGTAのようで結構面白かった。あとオリジナル恒例の「有名人カーレース」も行われてるんだが、初回のゲストはバズ・オルドリン!元宇宙飛行士のタフガイとはいえ、80歳の爺さんに運転させていいのかよ!

番組の出来自体は悪くないので、オリジナルを知らない人ならそれなりに楽しめるかも。無論オリジナルのほうがずっといいけどね。

「STORAGE WARS」鑑賞


A&Eの新しいリアリティー番組。いつもならリアリティー番組は観ないのですが、これはオンライン記事とかで話題になってたので。

カリフォルニアには貸し倉庫がたくさんあるんだけど、どうもレンタル料が3ヶ月支払われなかった場合は倉庫の中の物を没収してオークションにかけてよいという法律があるらしくて、そこに埋もれたお宝を求めてオークションにやってくるバイヤーたちを追った内容になっている。これらのオークションは通常のものと異なり、現金払いのうえ、バイヤーは倉庫内に立ち入ることが許されず、5分間だけ入り口から倉庫を覗いて中身を吟味できるという厳しい条件が課せられている。おかげで倉庫内にうず高く積まれた生活用品のなかにオルガンのペダルを発見したバイヤーが「あのペダルは高価なハモンド・オルガンのものに違いない!」と察して倉庫の品をまるごと落札したものの、オルガンは安物だったのでガックリしていたら、オルガンの横にあったバッグから野球選手の価値あるトレカが大量に出てきてラッキー!なんて運まかせの展開が起きたりするのだ。

もちろん運まかせで何十年もバイヤーをやってるのではなく、彼らもそれなりの鑑識眼を備えているわけで、外見はレッドネックみたいだけど家にはピカソの素描を保管している(飾ってはいない)バイヤーなんてのも登場していた。ただし彼らは基本的にコレクターというよりも転売屋であるわけで、倉庫にあったガラクタを彼らが買い、それをさらに誰かが高い値で買うという流通の縮図のようなものが出来上がっているわけだ。

また彼らは倉庫でのオークションだけでなく有名人の所有物のオークションにも出没し、そこで仕入れたものをプレミアム・グッズとしてファンに転売してたりもする。第1回目はなぜかシュグ・ナイトの身の回りの品がオークションにかけられていた。

番組の作りはエンターテイメントに徹しているが、レンタル料が払えずに倉庫の品々を手放してしまう側の紹介や、最近の不況によってレンタル料の不払いがどれだけ増加したかなんかについても語ってほしかったな。でもまあ結構楽しめる番組でしたよ。

TVシリーズ版「オニオン」


チャンネル4の「The Increasingly Poor Decisions of Todd Margaret」を放送したり「モンティ・パイソンの空飛ぶサーカス」を放送したりと、いまいち何をやりたいんだかよく分からないアメリカのケーブル局IFCで、こんどTVシリーズ版「ONION NEWS NETWORK」が製作されるらしいぞ。

ご存知のようにすでにこれはウェブ版が存在しているわけで、あちらは尺が短いなりにパンチ力があって好きなのですが、テレビ番組にするほどのネタはあるのかね。「デイリーショー」に比べるともっとウソのニュースが多い内容になるのかな。「オニオン・ムービー」みたいな駄作にならないことを願うばかりです。

ちなみにニュースアンカーは新しい人を使うのか。ウェブ版に出ている三白眼のおねーさんは結構好きなんだけどな。

「ウォーキング・デッド」鑑賞


「ブレイキング・バッド」に「マッドメン」、「RUBICON」など異様な高打率で優れたシリーズを作り出しているAMCの新作シリーズ。日本でも今月放送されるそうな。原作はロバート・カークマンがストーリーを担当したコミックなんだけど俺は未読。シリーズ全体の管轄および第1話の監督はフランク・ダラボンがやっていて、製作にはゲイル・アン・ハードも名を連ねていた。ダラボンって「ショーシャンクの空に」みたいな感動ドラマのイメージが強いけど、「ミスト」も監督してたしこういうパニックものが好きなのね。

ジョージア州の保安官であるリック・グライムスは凶悪犯との銃撃戦で負傷し、昏睡状態に陥ってしまう。そしてやっと彼が病院で目を覚ましたとき、世界は一変していた。無人となった病院は朽ち果て、周囲には多数の死体が並べられている有様であり、さらには生ける死体のような存在が通りを歩きまわっていたのだ。その光景を見てリックは動転しつつも、どうにか妻と息子の住む自宅へと帰り着くが、そこには誰も残っていなかった。そして偶然遭遇した生存者の父子から、人々が短期間のあいだに次々とゾンビと化していったことを知らされる(ただし劇中で「ゾンビ」という言葉は出てこない)。しかし彼の妻と息子がどこかで生存していることを確信したリックは、父子と別れ、妻たちを探すためアトランタに向かうのだが…というようなプロット。

ゾンビものとしてはかなりストレートな出来になっていて、銃器の扱いに慣れた主人公がゾンビたちの襲撃をかわしていくという典型的な内容ではあるのだが、アクションよりもドラマの部分に重きが置かれた話になっている。ゾンビの描写にもペーソスがあって、ゾンビと化した母親が父子の家に入ってこようとするシーンなんかは結構哀れであった。「28日後」のように文明が崩壊したところから話が始まっているため、ロメロの「ゾンビ」にあったような、文明がゆっくりと終末を迎えていく物悲しさがないのはちょっと残念だけどね。

俺が知る限り、ゾンビを扱ったTVシリーズというのはこれが初めてだけど、登場人物が圧倒的に少ないなかどうやって話を進めていくんでしょうかね。第1シーズンが6話しかないというのはこの場合アドバンテージであるな(ただし第2シーズンの製作が既に決定したらしい)。リックの妻と子供は生きていて、彼の元同僚と一緒に暮らしており、どうも三角関係に発展しそうなことが示唆されるんだけど、生存者のあいだのドロドロとした人間関係よりも、ゾンビを中心にしたストーリー展開になることを願いたいところです。

ちなみにゾンビの出来はとても良いぞ。下半身がないゾンビが草むらを這っていく姿などはとてもリアル。無人となった街のシーンなんかも非常に金がかかってるようだし、これだけの規模のシリーズが作れてしまうなら、次は「Y: The Last Man」を誰かシリーズ化してくれませんかね?