今年を代表する言葉

c0069732_011985.jpg

ウェブスター辞典の出版社であるMerriam-Websterが投票により選出した、今年を代表する言葉は「truthiness」なんだそうな。

これはスティーブン・コルベアが「コルベア・レポー」で創出した言葉で、「事実ではないんだけど、事実のように思えること」もしくは「頭で考えたのではなく、胸で感じたこと」といった意味。要するに諸々の事実を無視して直感で行動するブッシュを揶揄したものなんだけど、国際関係を無視して靖国神社に参拝し「これは心の問題です」みたいなことを言ってたコイズミも似たようなもんだよな。

この言葉が「コルベア・レポート」で初めて使われたのは2005年のことで、すでにAmerican Dialect Societyの「2005年を代表する言葉」に選ばれてるんだが、それが1年かけてさらに認知度を高めて今回の選出に至ったわけだ。ここらへんの遍歴はウィキペディアが詳しい。ウィキペディアといえば、同じくコルベアーの作った言葉に「Wikiality」というのがあって、これは「事実でなくても、大勢が同意をする物事」みたいな意味。

こういうトレンドを見ても、今年はスティーブン・コルベアーの年だったというのがよく分かるね。

「クラークス2」鑑賞

c0069732_12293159.jpg

ケヴィン・スミスの新作「CLERKS II」を観る。以前はちょっと否定的なことを書いたけれども、ネット上の評判が結構いいのと「30代になったサエないオタクたち」というテーマが心の琴線に響くところがあり、観てみた次第なのです。

で、まあ、確かに30超えてもロクな生活してない男たちの物語ではあるんだが、それ以前に:

下ネタ多すぎ。

同世代の女と結婚するのと17歳の学生と遊んでるのではどっちがいいかという話から”Ass To Mouth”の是非についての長い議論につながり、”Pussy Troll”の話が出てきて、しまいにはロバさんまでが登場してものすごくヤバいことになってしまうんだが、単なるオゲレツ映画と違って、これらの会話がキャラクターの設定にちゃんとつながっているのが巧いところか。

そして監督のトレードマークである「スター・ウォーズ」に関する話もちゃんと出てきて、今回は「ロード・オブ・ザ・リング」のファンとの舌戦を繰り広げてくれる。こういうポップ・カルチャーの解釈に関する大論説とかって最近の映画ではまるで見られなくなったね。タランティーノのパクリが流行ってたころはみんなやってたのに。90年代は遠くになりけり。でも肝心の登場人物たちは、ジェイ&サイレント・ボブが相変わらずラリってて、ランダルはやること全てムチャクチャで客にケンカ売ってるし、ダンテだけが1人でオロオロしてて前作の頃と誰も変わってないでやんの。もちろんみんな年とって肌のツヤもなくなってきてるんだが、昔の友人と会ったら何も変わってなくって懐かしかった、といった感じでちょっと嬉しいかも。ちなみに主人公たちの高校の同級生で大金持ちになったイヤな奴が登場するんだが、ジェイソン・リーが演じてるんで全然金持ちに見えないでやんの。

そんな彼らにも人生の岐路は訪れるわけで、前作の舞台だったコンビニが火事で焼失してしまい、ダンテとランダルがファストフード店(「ドグマ」に出てきたムービーズだ)でしがない仕事をするようになってから1年。ダンテが結婚するために婚約者とフロリダに去る前日というのが今回の設定。フロリダでの幸せな生活を目前にしながらもダンテは相変わらず優柔不断で、1夜をともにしてしまった職場の上司ベッキー(ロザリオ・ドーソン)のことが気になっていた。そんな彼の悩みをまるで知らないランダルは盛大なさよならパーティーを企画するが、ベッキーの意外な秘密が明らかになって…。というのが主なプロットで、前作同様に小話がいくつもつながって1つの大きな話になってるといった感じ。でも単なる楽屋オチの集まりだった「ジェイ&サイレント・ボブ 帝国の逆襲」と違って、ちゃんと最後にはホロリとするシーンもあったりする。ここらへんは監督の成長の度合いが表れてんのかな。ロザリオ・ドーソン(俺の好み)がダンテのようなダメ男を好きになるというのは絶対ウソだと思うけど。

そもそも「クラークス」って、20代の若者のダメダメだけど気楽な生活を同世代の監督が徹底的な低予算で描いたところが魅力だったんだが、今回も結局のところ30代のやっぱりダメダメだけど気楽な生活を描いてるわけでだ。そしてラストに至っては「そこまで何も変わらんのか?」というくらいの展開になってしまうんだが、これが逆に俺のようなダメ人間にとっては自分の生活を肯定されてるようで、それはそれで楽しいことなのです。まあ現実はそううまく行かないんだけどね。ケヴィン・スミスは40代になったダンテとランダルの姿も描きたいと言ったらしいので、彼らが10年後にどうなってるかに今から期待しておこう。

ちなみに俺はこれで「世界で一番パパが好き!」以外のケヴィン・スミス作品、つまりいわゆる「ヴュー・アスキューバース」の作品を全部観たわけだが、好きな順に並べると:

 1、クラークス
 2、チェイシング・エイミー
 3、クラークス2
 4、モールラッツ
 5、ジェイ&サイレント・ボブ
 6、ドグマ

みたいになるかな。他の人のはどうなんだろう。

「WORDPLAY」鑑賞

c0069732_21435314.jpg

アメリカのクロスワードの世界を追ったドキュメンタリー「WORDPLAY」を観る。

俺はどんなに英語を勉強してもクロスワードはまるっきり解くことができないんだが、ご存知の通り欧米では非常に根強い人気を持っていて、喫茶店なんかで額にシワをよせてクロスワードに没頭してる人の姿をよく見かけるんだよね。このドキュメンタリーではクロスワードの最高峰とされるNYタイムズのクロスワード編集者ウィル・ショーツを中心に、彼が世に送る数々のクロスワードの熱心なファンの姿と、彼が30年近く前から主催する全国大会の様子が紹介されていく。

このNYタイムズのクロスワードには有名人のファンも多くて、ビル・クリントンをはじめジョン・スチュワートやマイク・ムッシーナ、インディゴ・ガールズといった様々な分野の有名人がクロスワードについて自分の仕事と照らし合わせながら熱く語っていく。ドキュメンタリー作家のケン・バーンズにいたっては「僕は酒もタバコもコーヒーもやらないけど、NYタイムズのクロスワードだけは毎日やっている」なんて言ったりして、その熱狂ぶりが知れようというもの。

またクロスワード製作の裏側についても紹介がされ、黒マスは上下対称になるのが基本だとか、月曜・火曜にくらべて週末のものは難易度が高いとか、どの作品も特定のテーマをもっているとか、少なくとも日本人には馴染みの薄い話がいろいろ語られていく。パズル学やアナグラムに精通したクロスワード作成者が出てくるんだけど、母音と子音の並びを考慮しながらクロスワードを作っていく彼のやり方を見てると、クロスワードは英語という言語の仕組みに非常に密接に結びついたパスルなんだなあ、と実感せずにはいられない。

そしてドキュメンタリーの後半では全国大会の様子が紹介されていく。コネチカットの会場に集まった老若男女が王者の座をかけて競うんだが、15×15マスのパズルを2分程度で解いてしまう才能ってハンパじゃないよな。もちろん完成のスピードだけでなく正確さも問われるわけで、100%正解が前提のクロスワードでは1つでも誤字・脱字があると大減点となっていまう。3人が争う決勝戦でも焦りから生じた意外なミスによる逆転劇があったりして、なかなか見応えのある展開になっていた。

ちなみにクリントンがクロスワードに関連づけて難しい問題の解決の方法を論理的に語ってくれるんだが、彼ってやっぱり頭いいよなあ。今の大統領はパズルなんて解いたことがあるんだろうか。

「ONE PUNK UNDER GOD」鑑賞

c0069732_23292154.jpg

これまたiTunesストアで無料ダウンロードした、サンダンス・チャンネルのリアリティ番組「ONE PUNK UNDER GOD」の第1話を観る。

話の中心となるのはジム・ベイカーという全身にイレズミとピアスをした31歳の「バンク牧師」で、彼はアメリカ有数のキリスト教団体だった「Praise The Lord (PTL)」の創設者の夫婦のもとに生まれたのだが、父親の浮気および資金横領というスキャンダルによってPTLの評判は地に堕ちてしまう(アメリカではけっこう有名なスキャンダルらしい)。これで自暴自棄になったジム少年はクスリに走るのだったったが、やがてキリストへの愛を再認識し、レボリューションなる団体をたちあげて布教につとめ、疎遠となった父親ともよりを戻そうとするのだった…というのが大まかな流れ。

イレズミとピアスをしたクリスチャンなんてクリスチャン・ロックやってる奴にいっぱいいるから珍しくもないが、親のスキャンダルのおかげで人生のどん底を経験した子供の物語、という視点はなかなか興味深い。かつてPTLはディズニーランドにも匹敵するほどの巨大なテーマパークを運営してたんだが、今は完全に廃墟となった敷地内を歩きながら、子供時代の思い出を細部に至るまで詳しく語っていくジムの姿は非常に印象的だ。そういえばチャック・パラニュークの「サバイバー」の主人公がこんな感じだったよな(あっちは新興宗教だけど)。

アップルのiPhoneは出るんかいな

ここ最近のアップル・コンピューターに関する噂は、アップルがついに携帯電話業界に参入するんじゃないかという話でもちきりで、すでに台湾の会社に生産を依頼しただとか、来月のマックワールドで発表されるんじゃないかとか、けっこう具体的で根も葉もありそうな噂がインターネットを飛び交ってるのであります。

しかもこの携帯、通称「iPhone」は単なる音楽携帯なんぞではなく、OSXとの連携もバッチリでキーボードも内蔵されてるなんて話もある。これが本当だったら非常にエキサイティングな話だし、ちょうど携帯を交換しようかと思ってたところなのですぐにでも買いたいんだが、日本じゃキャリアの問題とかが複雑そうだから、発表されても日本発売は当分先かなあ。

とにかくマックワールドで何が発表されるのか、今から楽しみなこってす。