「ハッスル&フロウ」鑑賞

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AintItCoolとかで高い評価を得ている「ハッスル&フロウ」のDVDをレンタルして観る。

話の展開自体は決して斬新なものではないけれど、転職に命をかける中間管理職のごとく、音楽で有名になって底辺での生活から抜け出そうとする主人公(テレンス・ハワード)がメンフィスのポン引きだってところがミソ。高級なマイクを手に入れるためには自分とこの娼婦に売春を強要するようなダメ男でありつつも、私欲というよりも執念に駆り立てられて運をつかもうとする姿がカッコいい。男の映画っすね。

ボロい家の一室を改造して作ったスタジオでのレコーディング風景も秀逸で、ヒップホップ映画としては「8マイル」よりも面白いかも。俺はギャングスタ・ラップって嫌いなんだけど(オールド・スクールは好き)、「♪ポン引き稼業も楽じゃねえ♪」という異様にキャッチーなテーマ曲(アカデミー賞受賞)にはのせられていまう。一時は第2のマーティン・ローレンスになるかと思われた(ケナし言葉だよ)アンソニー・アンダーソンも、プロデューサーの役を真面目に演じていていい感じ。アイザック・ヘイズもチョイ役を相変わらず渋く演じている。

ちなみに前から不思議に思ってるんだけど、ポン引きってどうやったらなれるんだろう。突然どっかから娼婦を集めて来れるわけでもないし、やはり誰かに弟子入りしてから暖簾分けみたいなことをするんだろうか。

アメリコーン・ドリームが現実に!

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「チェリー・ガルシア」など、人名にあやかったアイスクリームの名前をつけることで知られているベン&ジェリー社が、なんとスティーブン・コルベアーにあやかったアイスクリームを発表したぞ。その名も「スティーブン・コルベアーズ・アメリコーン・ドリーム」だ。ベタな名前ではある。

しかしスティーブンの人気は天井知らずですね。ブッシュの前でのスピーチも凄かったけど、今年は何をやってくれるんだろう。

それにしても「vanilla ice cream with fudge-covered waffle cone pieces and caramel」というのはかなりコテコテそうな味だなあ。

メガスのウィズが亡くなっていたらしい

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90年代初頭に活動していたイギリスのガレージバンド「メガ・シティ・フォー」のボーカル、ウィズが昨年の末に亡くなっていたらしい。脳に血瘤ができたんだとか。高校時代によく聴いていたバンドなのでちょっとショック。合掌。

んで彼の追悼ライブが今度あるらしいんだけど、参加するバンドがカーターUSMをはじめネッズ・アトミック・ダストビンやミッドウェイ・スティル(!)などなど、実に懐かしい顔ぶれの連中ばかり。セラピー?のアンディやセンスレス・シングスのマークなんてのもいたりする。90年代は遠くになりけり。

でもこんな人たちが再結成したりするのを見てると、マイブラとかストーン・ローゼスとかの再結成も十分あり得そうな気がするね。

今月のウォッチメン

なんかザック・スナイダーによる「ウォッチメン」の映画化はそこそこ進んでいるらしいぞ。まあここらへんまでは他の監督(特にギリアム)もすでに足を踏み入れたところなので、これから先に進めるかが見ものかな。

たまにネットなんかで「最近のハリウッドはヒット狙いで安易にコミック原作の映画に手を出してけしからん」みたいなことを書いてる人がいるけど、スナイダーしかりロドリゲスしかりデルトロしかり、コミックの魅力を理解している世代の監督たちが心をこめて映画化しているわけで、現在はコミック映画の黄金期だと思うんだけどね。俺にとっては駄作である「デアデビル」を撮ったマーク・スティーヴン・ジョンソンだって、「プリーチャー」のTVシリーズ化については非常にまともなことを言ってたりするし。

とは言うものの、やはり映画化してはいけない作品というのもこの世にあるわけで、「V・フォー・ヴェンデッタ」だって製作者の映画化に対する熱意こそ感じられたものの、やはり原作には遠く及ばない出来となって、原作の素晴らしさを伝える貢献はできなかったと思うし、この「ウォッチメン」もどう映画化したって原作の奥の深さを伝えることは無理だと思うんだけどね。良い意味で期待が裏切られるといいんだけど。

ちなみにフランク・ミラーの初期の作品「RONIN」の映画化の話も出てきたらしい。監督はシルヴェイン・ホワイトって・・・誰?インタビューを読む限りでは原作のファンらしいけど、「四肢のない超能力少年に時代を超えて乗り移った戦国時代の浪人が、宿敵の悪魔を倒すために荒廃した未来社会をうろつく話」なんてのは非常に映画化しにくそうなんだが、どうやるんだろう。

「サイエンス・オブ・スリープ」鑑賞

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ミシェル・ゴンドリーの新作「The Science of Sleep」がDVDで発売されたので早速鑑賞。

うわっはっはっは。なんかえらく笑える作品だった。

父を亡くしてメキシコから母の住むパリへと移ってきたステファンは芸術家志望の青年。新しい職場での退屈な作業には失望するものの、アパートの隣に住む音楽家志望のステファニー(シャルロット・ゲンスブール)に惹かれていくようになり、そこから彼の現実と夢の境界があいまいになっていく…というのが話の大まかなプロット。夢見がちな青年が同じアパートの女性に恋慕して妄想を抱く、という意味では「めぞん一刻」に通じるものがあるのかな。

とにかくステファンの夢のシーンが秀逸で、最先端のCGなんかには頼らずに逆まわしやストップモーションを多用したチープな特撮(ゴンドリーが監督したドナルド・フェイゲンの「snowbound」のPVに似てる)が実に味があっていい。段ボールでできた撮影スタジオとかハリボテの町並みとか、こういうのはアイデアの勝利だよね。1秒間だけ過去や未来に行けるタイムマシンなんてのも非常に面白い。この夢のシーンの滑稽さはとても文章では書き表わせられないので、ぜひご鑑賞あれ。

ただし話の大半は現実世界での出来事を扱ってるので、あまり特撮だらけの作品を期待してると肩すかしをくらうかも。「エターナル・サンシャイン」もそうだったけど、特撮を単なる現実逃避の表現として使わず、むしろそれによって恋愛の切なさを強調しているところが巧みなところか。主人公たちの芸術活動が芸大の生徒みたいで(うちの近所にたくさんいる)なんか青くさい気もするけど、いくつになっても夢を見るのは大切だよってことですかね。

「エターナル・サンシャイン」ほどではないものの、非常によくできた作品。チャーリー・カウフマンの脚本がなくてもゴンドリーは面白い作品が撮れる、ということを証明したものになるのかな。今年公開予定の「Be Kind Rewind」にも期待したいところです。