「ブロークン・フラワーズ」鑑賞

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ジム・ジャームッシュの「ブロークン・フラワーズ」を観た。

ジャームッシュの長編作品は全部観てるんだが、なんか「デッドマン」以上にピンとこない作品だったかも。オヤジが過去の恋人たちのもとを訪れて、見たことのない息子について知ろうとするプロットって、どうも俺がジャームッシュに期待してるものとは違うような気がするんだけどね。これがウェス・アンダーソンの作品だったらハマってたんだろうけど。ただ決して悪い作品ではなくて、場面転換に入る黒みは「ストレンジャー・ザン・パラダイス」を彷彿とさせるし、主人公が何歳になっても女の脚に目がいくようなスケベだという描写とかは結構良かったんだが。でもジュリー・デルフィーとかクロエ・セヴィニーとか、いい女優がいろいろ出ているのに出番が少なかったのは残念。

前作(「コーヒー&シガレッツ」は除く)の「ゴースト・ドッグ」が傑作だっただけに、失速した感は否めない。でも「デッドマン」も最初に観た時は「ジャームッシュが西部劇なんか作るでねえ!」と思ったけど、最近は傑作だと思うようになってきたんで、この「フラワーズ」もいずれは再評価するようになるのかな。

ザ・イエス・メン、やられる

1ヶ月くらい前の話だが、神出鬼没のザ・イエス・メンが保守系リバタリアニズムのシンクタンクであるケイトー研究所に、例によって身分を偽って潜り込もうとしたところ、「ビュロクラッシュ」なるリバタニアンの風刺グループがこれを事前に聞きつけて研究所に通知。そして彼らが追い出されてきたところを待ち伏せて「この社会主義者どもめ!これでもくらえ!」ということで資本主義の洗礼をイエス・メンに与えたらしい。といっても色のついた粉を振りかけただけだけど。

なんか微笑ましい内ゲバといった感じ。「俺たちは社会主義に対するノー・メンだ!」なんて言ってるのが冗談にしてもショボいけど。それにしてもイエス・メンって有名になったおかげで、どんどん企業に潜りにくくなってきてるんじゃないだろうか。いっそまだ顔の知られてない日本とかで活動してくれないかな。

「ウィズネイルと僕」再鑑賞

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カルト人気を誇るイギリス映画「ウィズネイルと僕」を10年ぶりくらいに観る。ずっと70年代の映画だと思ってたけど、1986年公開の作品だったんすね。

再鑑賞して実感したのは、これがものすごく単純なプロットを持った映画だということ。カムデンに住む無職男2人が、田舎にバケーションに行って帰ってくる。ただそれだけ。もちろん途中でいろんな騒動が巻き起こるんだけど、基本的なプロットはものすごく単純。魅力的なキャラクターと印象的なダイアログがあれば面白い映画は十分作れることを証明した好例になるのかな。ジミヘンの曲の使い方もなかなか効果的。あと劇中では男にヤられることに対して怯え続けるマーウッド(「僕」だ)だが、実は振る舞いとか話し方が何気にとてもカマっぽいというのが興味深い。

個人的にはむかしアイルランドのド田舎で2週間ほど過ごしたことがあって、そのときの生活がこの映画での田舎の描写と多分に重なるところがあり、何か懐かしい思いにしてくれる映画なのです。

I demand to have some booze!

トニー・スノーも辞任か

「(ブッシュ)政権の最後まで務めることはできない。財政上の理由だ」だってさ。トニー・スノーの言うことなんてロクに信用できないけど、もしこの理由が本当だとしたら、世界的に顔の知れた政府の役人が、ガンになったために経済的に苦しくなって年収2000万円近い仕事を離れるわけで、マイケル・ムーアに指摘されなくてもアメリカではおちおち病気にもかかってられんなあと実感。ダース・ベイダーのごとき重病人であるチェイニーが副業に精を出す理由も分かるような気がする。

ちなみにスノーの後任として有力視されてるダナ・ペリーノは金髪の美人。メガネハゲのアリ・フライシャーから始まるブッシュ政権の報道官の面々は交替のたびにルックスの強化が著しいわけで、いずれはビキニ姿のティーンのおねーちゃんとかが報道官を務めることになるんだろうか。そうすれば支持率がちょっとは上がるかもね。

「トゥモロー・ワールド」鑑賞

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2006年度の最優秀映画という声も高い「トゥモロー・ワールド」をやっと鑑賞。

うむ。確かに素晴らしい出来の映画。実のところあまりにも作りが手堅すぎてツッコミどころもなく、あまりコメントすることがなかったりする。やはりイギリスにはファシスト国家の姿がよく似合うね〜とか、マイケル・ケインは相変わらず演技が上手いね〜とか、そんなことしか書けん。あれだけのキャストとセットを備えたのであれば、アンソニー・バージェスの「見込みない種子」の撮影がついでに出来たかも。テーマは正反対(人口過剰)の作品だけど、話の舞台と流れが似てるような気がしたので。

ちなみに個人的には終盤のカメラ長回しよりも、例のピンポン球のほうが、どうやって撮影したのか知りたかったりする。