「JOHN FROM CINCINNATI」鑑賞

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HBOは有料ケーブル局なのに無料ポッドキャストやビデオキャストに意外と積極的で、「REAL TIME WITH BILL MAHER」が音声のみ全編聴けたり、「EXTRAS」とか「FLIGHT OF THE CONCHORDS」の1エピソードがまるまる観れたりと、なかなか太っ腹なサービス(宣伝?)をやってくれてたりする。そんなわけで、HBOの夏の新作「JOHN FROM CINCINNATI」の第1話がビデオキャストとして提供されていたので早速鑑賞。

「NYPDブルー」の共同原案者として知られるデビッド・ミルチによるこのシリーズは、カリフォルニアのインペリアル・ビーチを舞台にした「暗いサーフィン・ドラマ」。ミッチ・ヨストは伝説的なサーファーとして知られる存在だったが、サーフィンを競技としてとらえる最近の流行について否定的な立場をとり、半ば隠遁状態にあった。妻との仲もうまくいかず、息子のブッチーにいたってはヘロイン中毒になっている始末。孫のショーンこそはまともに育てようとするものの、決してうまくは行っていなかった。そんなヨスト一家のもとに、ジョンという名の謎めいた青年が現れる。彼はきちんとした会話もできないような青年だったが、何かしら奇妙な能力を持っていた。そして彼の出現により、ヨスト一家の生活は大きく変わることになる…。というのが大まかなプロット。

HBOのドラマだけあって撮影などに金がかかっていて、サーフィンのシーンなんかはなかなかの見もの。役者もブルース・グリーンウッドをはじめレベッカ・デモーネイやエド・オニール、ルーク・ペリー、ルイス・ガスマンといった渋い連中が揃っている。でも残念ながら肝心の話が意味不明なんだよね。SFというか超常現象というかスピリチュアルな要素が多分に含まれていて、謎の青年ジョンは一見するとメンヘルな人なんだけど、ポケットからドラえもんのごとく役立つものを次々と取り出したり、彼の出現にあわせてミッチが宙に浮かぶようになるなど、なんかよく分かんない展開が続いていく。おかげでアメリカでの評判は大して良くなく、1シーズンでの打ち切りが決定したんだとか。決して悪い作品だとは思わないけどね。ジョー・ストラマーの曲に合わせたオープニングもカッコいいのに。とりあえずiTunesストアとかで無料で入手できるので、興味ある人は今のうちに観ときましょう。

「KING OF KONG」なる映画

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アメリカでは今週末に「The King of Kong」というドキュメンタリー映画が公開されるそうなんだが、この作品はなんと1982年の任天堂のアーケードゲーム「ドンキーコング」のプレイヤーたちを紹介したもので、サエない科学教師のスティーブ・ウィーベが王者の座を懸けて、20年近く最高得点記録を保持しているビリー・ミッチェルに挑戦する姿を追っているらしい。こんな題材でしっかり映画が撮れてしまうのってなんかいいなあ。トレーラーでも「ドンキーコング」について語るオヤジたちの姿がとても熱い。「ゲームセンターあらし」を実写にしたらこんな感じになるんだろうか。ああ観てみたい。

ちなみにこのビリー・ミッチェルなる人物、あまりにも言動がオーバーで格好もやけに「らしい」感じがする人だから気になって調べてみたら、「パックマン」とかでも最高得点を記録してナムコの会長にも表彰されてるような(上の写真)希代のゲーマーだったんすね。

「最前線物語」鑑賞

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サミュエル・フラーの代表作(だよな?)である「最前線物語」を鑑賞。最近は158分の長尺版が出たらしいけど、今回観たのは従来の113分バージョン。

「大きな赤の1番」こと第1歩兵師団の第二次世界大戦における姿が、いくつもの小話として描かれていく作品で、全体的な統一感にこそ欠けるものの、フラーの経験に基づいた戦闘描写が非常に細かく凝っていて見応えがある。なかでも迫力があるのはやはりノルマンディー上陸の戦闘で、鉄条網を破るために兵士たちが順番通りに爆弾筒を抱えて進もうとするものの、ちょっと進むたびに狙撃されてバタバタ倒れていくさまは、あまりにも人が死ぬのでまるでドリフのコントか何かを観てるような気になってしまう。波打ち際の死体の腕時計(どんどん血まみれになっていく)によって上陸作戦が長引いていることを伝えるという演出もなかなか巧いね。

出演者には「帝国の逆襲」に出たばかりのマーク・ハミルなどもいるけど、やはり1人で映画を食ってしまっているのがベテラン軍曹を演じるリー・マーヴィン。敵の裏をかいてドイツ軍兵士をナイフでサクサク刺し殺していく一方で、強制収容所にいた子供を気遣うなどといった、奥の深いキャラクターを寡黙にうまく演じきっている。

ちなみに作品を通じて部下たちが軍曹に軽口を叩きまくってるんだけど、これは現実でもそうだったんだろうな。日本軍だったら即座に上司に処刑されてそうなものですが。

「フラッシュ・ゴードン」鑑賞

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Sci-fiチャンネルの最新オリジナル番組「FLASH GORDON」の第1話がiTunesストアで無料配布されていたので鑑賞する。これは名前のとおり、コミックから始まってTVシリーズや映画にもなったSFの古典的傑作「フラッシュ・ゴードン」の最新のリメイク作品なんだが、アメリカではすでにボロクソに叩かれているようで、確かになんかものすごくダメな作品になっていた。

そもそも「フラッシュ・ゴードン」って大宇宙を舞台にした血湧き肉踊る冒険活劇のはずなのに、なんか微笑ましいくらいにチマチマした内容になってしまっているのが痛い。主人公のフラッシュ・ゴードンはいい年して母親と暮らしているヤサ男という設定で、地元のボウリング場(トホホ…)に出現したエイリアンの謎を追ううちに空間ゲートを通ってモンゴ星に到着するわけだが、そんな状況になっても元カノのヒロインと痴話ゲンカを繰り広げるような、とてもじゃないがヒーローとは言い難い奴になってしまっている。そしてモンゴ星の支配者、情け容赦なき皇帝ミン様といえば従来は狂ったモンゴル人のような容貌が印象的なキャラクターだったのに、今回のミン様はベンチャー企業の若社長のようなショボい格好になっていて、全然怖くないでやんの。しかも娘がいるんだけど、こいつがスポイルされたすげー生意気な女で、地球に来ても自分に似合う服がないと言って文句ばかりたれてやんの。これのどこがSF活劇なんだよ!ロケットも宇宙船も出てこないし、空間ゲートを通って異星に行く話だったら「スターゲート」のほうが100倍は面白いぞ。というか大昔の白黒のシリアル映画のほうがまだ観てて興奮できたと思う。ダメ作品!打ち切れ!

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これがかつてのミン皇帝様。怖いね〜!

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んでこれが今回のミン。俺でもケンカに勝てそう。