宮崎勤の死刑執行

彼の犯行範囲ってうちの実家に比較的近くて、犠牲になった子の一人が、俺の中学の先生の息子と小学校(幼稚園?)で隣の席同士だった、なんて話を聞いたことがあったっけ。

今になって考えると筋金入りの猟奇殺人者だったわけだが、当時発展していた「オタク文化」を、彼の存在が良くも悪くも世の中に広く知らしめることになったんだよな。こないだの秋葉原の事件もそうだったけど、アニメやゲームが好きなオタクを「悪」や「異端」とみなすメディアの風潮の発端は20年前の彼の事件に辿り着くんだろうな。

まあキモオタはバッシングの対象に最適なんでしょうけど、世の中の悪事の大半は「普通の悪い人」によって行われているわけで、別にオタクが猟奇的な存在であるわけではないんだけどね。以前に六本木のディスコで行われた「スター・トレック」のファンクラブのパーティーに招かれたことがあるんだけど、ディスコの上の階では黒服たちのパーティーが行われていたらしく、階を間違えた黒服たちがファンクラブのパーティーに入り込んできてたわけですよ。その光景を見て感じたのは、ヤバそうな雰囲気を持ってるのは明らかにトレッキーたちではなく黒服たちであるということと、それでも社会的に「認められてる」のは黒服たちなんだろうな、ということ。オタクよりもヤクザたちを取り締まったほうが世の中安全になるはずなんだが。

まあ何にせよ、幼い子どもたちの命を奪った事実は変わらないわけで、もし地獄というものがあるのならば、彼にはそこでずっと苦しんでほしいところです。

「Superstar: The Karen Carpenter Story」鑑賞

こないだボブ・デイランの伝記映画「アイム・ノット・ゼア」を監督したトッド・ヘインズが無名時代に作った、カレン・カーペンターの生涯を描いた短編映画「Superstar: The Karen Carpenter Story」を観た。

これはカレンをはじめとする登場人物の殆どがバービー人形によって演じられているのが特徴で、カレン・カーペンターのお人形劇というのはゲイの監督にはたまらん題材だったろうなあ。ただし内容はまるで明るくなくて、威圧的な母親のもとで育ち、自分の体型を気にして拒食症に陥っていくカレンの姿を、暗くもはかなく描いている。低予算作品ながらセットのデザインとかは凝っていて、話の後半になると人形の姿が痩せていくのが妙にリアルだったりする。初期のデビッド・リンチが作っていたアニメに雰囲気は似てるんじゃないのかな。

内容が内容だけにリチャード・カーペンターが観て激怒したことと、カーペンターズの楽曲の使用について権利料を払ってなかったことでリチャードに訴えられ、いまでは公開禁止になってしまった作品だが、そこは21世紀、Google Videoでちゃっかり観えちゃったりする。俺みたいにカーペンターズのファンでなくても楽しめる小品。

iPlayer視聴成功

ネットワークに関する無い知恵を振り絞って、TorとかViadaliaとかいうソフトを入れてゴニョゴニョしたことで、英国BBCのオンライン視聴サービス「iPlayer」を日本から視聴することに成功。HotspotShield一発で解決できたhuluにくらべてやたら手間がかかったぞ。

ただしプロクシを通してるせいかスピードが遅くて、あまり実用的ではないかな。あと映像もhuluに比べてあまりきれいではないみたい。でもイギリスの番組は日本ではなかなか観れないものも多いので重宝したい。

「THE MIDDLEMAN」鑑賞

iTunesストアで無料配布されていた「THE MIDDLEMAN」なるドラマのパイロット版を観る。ABC Familyの番組だからガキ向けの薄っぺらい内容かな、と思ってたら実はかなり楽しめる作品だったのであります。

内容はいわゆる「メン・イン・ブラック」的なアクション・コメディになっていて、アーティストを目指す派遣社員のウェンディという女の子が、ひょんなことからミドルマンという特殊エージェントに雇われ、彼の相棒として悪の科学者たちの野望を阻止していくというもの。ミドルマンというのは長年にわたって受け継がれてきた役職のようなもので、謎の上役からの使命を達成していく「中間業者」なんだそうな。

基本的にキャラクター設定やセリフまわしが巧みで、ストーリーの展開も早くて飽きさせない。ただしアクションとかもあるんだが、低予算のせいか全体的にまったりした部分があって、それが逆にシュールな雰囲気を生み出すことになっている。ウェンディの周囲の人間がみなスラッカー(グータラ人間)だということもあり、絶妙なユルさがあって楽しいのでありますよ。

ウェンディを演じるナタリー・モラレスという女の子はロザリオ・ドーソンをちょっと引き延ばしたような感じで、まあ許容範囲。パイロットでは「24」のクロエことメアリー・リン・ライスカブが悪の科学者を演じてるんだが、なぜか露骨に手を抜いたセリフ棒読みの演技を披露していて、それがさらに話のユルさを増す結果になってるのが面白い。

あと「コミックは読むか?」「(…)パワーズやフェル、アストロ・シティ、ザ・スピリット、アルティメイトじゃないXメン、マウス・ガード、あとザ・フラッシュね」「(好きなフラッシュは)バリー・アレンかウォリー・ウェストか?」などというアメコミに関する異様に深い会話が出てきて仰天したんだが、それもそのはずこの作品って原作がマイナーな出版社から出ているコミックなんだそうな。そんなコミックがあったとは知らなんだ。今度チェックしてみよう。

とりあえずこのパイロットの出来が今後も維持できるようであれば、相当面白いシリーズになりそうで期待できる。パラマウントの誰も知らない傑作シリーズ「Special Unit 2」くらいの出来になるんじゃないかな。