「孤独の報酬」鑑賞

「オー!ラッキーマン」のリンゼイ・アンダーソン監督による1963年の映画「孤独の報酬」(This Sporting Life)を観た。

主人公のフランクは炭坑夫だったが、街でラグビーのチームに出会ったことから入団テストに志願し、持ち前の獰猛さをもってテストに合格、スター選手の仲間入りをすることになる。その一方で彼は下宿の大家で、子持ちの未亡人であるマーガレットに恋をしており、いろいろ言い寄ろうとするが彼女はなかなかフランクに心を開いてくれない。そんなうちに彼は試合で殴られて前歯を折る大ケガをし、選手としての活躍にも陰りが見え始め、ゆっくりと転落の道を辿っていくのだった…。というのがまあ大まかな話。

あまりにも愚直であるばかりに好きな女性には強引に言い寄ることしかできず、チームのオーナーたちには「筋肉バカ」としか見なされない男の悲哀をうまく描いた作品。ガタイのいいマーロン・ブランドといった感じで主人公のフランクを演じるのはリチャード・ハリス。この人の作品って「ハリー・ポッター」くらいしか観たことがなかったんだけど、こんな屈折した悩みを持った男を演じられる名優だったんですね。あと初代ドクター・フーことウィリアム・ハートネルも脇役で出てるぞ。

尺が134分と長いために冗長なメロドラマのように感じられるところもあり、時には主人公の傲慢さが鼻につくところもあるものの、過去と現在の場面が交差してストーリーが始まる編集のテクニックは興味深いし、白黒の画面のなかで男たちが泥にまみれるラグビーの試合の描写などもよく出来ている。60年代のイギリスの労働者階級を如実に表した佳作といったところか。

「ニューヨーク・ドール」鑑賞

NYパンクバンドの始祖、ニューヨーク・ドールズって個人的にはあまり聴き込んだ経験はないのですが、数年前に観たライブが非常に良かったことなどもあり、それなりに好きなバンドなのです。

そんな彼らのベーシスト、アーサー・”キラー”・ケインにスポットをあてたドキュメンタリー映画「ニューヨーク・ドール」を鑑賞。70年代にドールズの一員として名声を得たケインだったが、ドラッグなどの問題によりバンドはすぐに解散し、その後も彼はロックスターとして成功しようとするもうまくいかず、しまいには妻とケンカして自殺未遂を起こしてしまう。失意の中のケインはふとしたきっかけからモルモン教に改宗し、敬虔な信徒として貧しくも静かな日々を送っていた。そんな彼のもとに1つの知らせが入ってくる。ドールズの大ファンであるモリッシーが、彼の主催するフェスティバルのためにドールズに再結成してほしいというのだ。こうしてケインは、自分が現代の観客に受け入れてもらうことができるのだろうかという不安を抱きながら、ベースを質屋から出し、再結成ライブを行うためロンドンへ向かうのだった…。というのが主な話の展開。

モリッシー(老けたな)の他にもミック・ジョーンズやボブ・ゲルドフといったドールズのファンによるコメントに加え、ドールズがまるで金を稼げなかった一方で、彼らを真似したバンドがヒットしていったことに対する鬱憤や、ドールズの元メンバー(特にデビッド・シルビアン)との間にあった確執などについてケインの口から語られていく。ただしケインが非常にいい人であることと、再結成ライブが大成功に終わったことなどから、この手のドキュメンタリーにしては珍しくとても微笑ましい雰囲気が全編にわたって漂っている。

このライブの1ヶ月半ほどあとにケインは白血病で急死するという衝撃の結末を迎えるわけだが、ある意味いちばんいいタイミングで他界したんじゃないですか。グラムやパンクの人たちって変に年取ってもあまり良いことがないような気がする。10年くらい前にイギリスのテレビでスウィート(70年代のグラム・バンド)のドキュメンタリーを観たことがあるけど、解散後にボーカルとギタリストがスウィートの名を取り合って別々に「再結成バンド」を組んだうえ、ボーカルのほうは若い頃の酒とドラッグがたたって手をプルプル震わせ、ろくに声も出せないまま場末の遊園地でライブを行っている姿がひどく衝撃的だった(そして番組放映のすぐ後に死去した)。皆がボウイみたいにうまく年を取れるわけではないのですよ。

ちなみに日本版のDVDの特典としてロビン・ヒッチコックのインタビューが収録されてるけど、あれなに?ドールズとろくに面識のない彼が、ドキュメンタリーのあらすじを語るだけの映像なんか入れるなよ!日本側の製作者の趣味としか思えん。ヒッチコックは嫌いじゃないけどさ。

iPhone発売開始

結局いくらになるんだっけ?あんな行列をつくられては買いにいく気が失せるがな。

ソフトバンクに乗り換えるのも気が引けるし当分は今のau携帯を使うことになるかもしれないが、電池周りにガタがきていていいかげんヤバい状態になっている。そうなるといっそiPhoneに乗り換えてしまえということになるわけで、相変わらずタイミングが悪いなあと。

トーマス・M・ディッシュ死去

AVクラブの記事で知ったが、あまり世の中的にはニュースになっとらんなあ。俺もそんなに読んだことのあるSF作家ではなくて、吾妻ひでおの挿絵にひかれて読んだ「いさましいちびのトースター」とその続編くらいだけど。「人類皆殺し」とか読んでみるかな。

アパートが焼けて、30年来の伴侶が他界し、家が浸水し、アパートに戻ったら退去を命じられ、ついでに糖尿病と座骨神経痛に苦しんだうえでの自殺というのは絶句するしかない。こういうのに比べればまだ俺も運がいいほうなのか。
合掌。

「Star Trek : The Experience」閉鎖へ

ラスベガスのストリップの端っこにあるヒルトン・ホテルのアトラクションとして長年客を集めてきた「Star Trek : The Experience」が今秋で閉鎖されるんだとか。最近のスタトレ人気の落ち込みぶりを象徴しているようでなんか寂しい。来年公開の劇場版公開まで生き延びることはできなかったか。

数年前に行ったことがあるけど、クワークのバーとかコスプレの人たちとか撮影用の小道具とかは全然面白いと思わなかったものの、やはりメインの「The Klingon Encounter」は良かったなあ。普通に観光してるはずがエンタープライズ号の転送室に入れられてて、「あなたたちの中にピカード船長の祖先がいます!クリンゴンの攻撃からお救いします!」とか言われてエグい動きをする移動座席に座らされ、ラスベガスまで戻ってくるというやつ。

そのあとにできた「The Borg Invasion 4-D」というのも体験者の話では相当面白いものだそうなので、いずれまた訪問したいなあと思っていたら閉鎖かあ。その後に何ができるんだろ。やはり「Paris Hilton : The Experience」とかかな。

ベタなオチですいません。