「HARPER’S ISLAND」鑑賞

「スクリーム」と「そして誰もいなくなった」の合体作品という触れ込みの、CBSによる全13話のミニシリーズ。

舞台になるのは7年前に猟奇殺人が起きた、シアトルの沖合にある小さな島。そこへ結婚式のパーティーのためにやってきた20数名の男女が何者かによってサクサク殺されていくというのがプロット。

どうもCBSはこれを疑似リアリティー番組として売り出したいらしく、例によって「次の犠牲者は誰でしょう?」的なコンテストを実施したり、ウェビソードを製作したり、しまいにはiPhoneアプリを公開したりとずいぶんな力の入れようなんだけど、肝心の話がツマらないのよ。どんどん減っていくとはいえ出演者が多すぎるし、みんな似たような顔で誰が誰だかよく分からないし(1名を除きみんな白人)。それと犠牲者の殺され方がやけに派手で、船のスクリューにつながれて細切れにされたり、3秒くらいで体を真っ二つにされたりしてて、こういうのを見ると犯人はホッケーマスクをかぶった大男とか宇宙から狩りにやってきたエイリアンかと思うのですが、どうもそうではないらしい。殺され方が大味すぎてサスペンスが欠けてるんだよな。せめてケヴィン・ウィリアムソンに脚本を書かせれば良かったのに。あの人だったらティーンの独創的な殺され方の1つや2つはまだ考えつくことが出来ただろうから。

しかしこういう狭い土地を舞台にしたサスペンス作品を観ると、いかに「ツイン・ピークス」におけるムードの盛り上げ方が天才的であったかを実感させられますね。

クリス・モリスの近況

BRASS EYE」のクリス・モリスって最近何をやってるのかと思ったら、「FOUR LIONS」なる自爆テロリストを主人公にした映画を作っているらしいぞ。ネット上に転がっていた文書を訳してみると:

「Four Lions」プロジェクトがいったい何なのか、多くの人が我々に尋ねてきました。撮影されていない映画を公開できないことは明らかですが、あたりに流布していた書類からいくつかの文章をここにまとめました。これは恥知らずの宣伝ではありますが、正確なものであります :あなたが新聞で読んだことの大半と違って。この映画の脚本を読んだ事がある人は、ここに書かれたことを否定できないでしょう。

3年の調査期間をかけ、クリス・モリスはテロリズムの専門家やイマーム、警察、シークレット・サービス、そして何百人ものイスラム教徒と話をしました。ジハードの訓練をして戦った者でも、バカげたことの多さを語っています。訓練用のキャンプにおいて若きジハード兵たちはハチミツについて口論し、母親を求めて泣き、お互いの足を吹き飛ばし、ヘビを追いかけ、喫煙したことでキャンプを追い出されます。自爆用のビデオ撮影開始から1分たったとき、困惑した表情を浮かべて「いまの質問なんだったっけ?」と聞き返す自爆テロリスト候補。1999年の大晦日に、アメリカの戦艦を爆破しようとした5人のジハード兵たち。彼らはボートを水に浮かべ、爆薬を注意深く積み込みました。ボートは沈みました。

テロリストの部隊は、男だけのパーティーや5人サッカーのチームのごときグループ精神を持っています。そこには葛藤や友情、誤解やライバル意識があるのです。テロリズムの背後には思想がありますが、それと同時にマヌケもいるのです。
「Four Lions」は愉快でスリルに満ちた架空の物語で、我々の文化のすべてを超えた洞察力をもって、現代のイギリスのジハード兵に光をあてます。この映画は、若きジハード兵たちを理解できない異国人としてみなす我々に新たな見解を与えてくれます。彼らがどこかに失せて欲しいと願ったり、彼らを生む文化全体を拒否することの愚かさを教えてくれるのです。この映画はテロリズムがいかに男性ホルモンと結びついているかを説明します。またジハード兵が人間であることを説き、そして人間が本質的にバカであることを説きます。「スパイナル・タップ」がヘビー・メタルを理解し、「博士の異常な愛情」が冷戦を理解したように、「Four Lions」もまた現代のイギリスのジハード兵を理解しているのです。

だってさ。なかなか面白そうではありませんか。当然ながら資金集めは苦労したらしいが、早ければ年内にも撮影&公開されそうなので、ここはひとつ期待しておきましょう。

ドクター・フー「PLANET OF THE DEAD」鑑賞

BBCのiplayerって前から字幕機能って付いてたっけ?おかげで視聴がかなり快適になったのでございますよ。

今年4つ製作されるスペシャル番組の第一弾で、今回のコンパニオンは「バイオニック・ウーマン」のリメーク版に出ていたミッシェル・ライアン。彼女は貴族出身のスゴ腕の泥棒という結構アレな役柄で、博物館から財宝を盗み出したのでバスに乗って逃亡しようとしたところ、ワームホールの調査をしていたドクターと乗り合わせることに。そしてバスはその他の乗客を乗せたままワームホールに吸い込まれてしまい、ドクターたちは砂だらけの惑星に到着する。地球へ帰る方法を模索するドクターだか、彼らのことを何者かが監視していた…というのが主なプロット。

ナップザックからシャベルやハンマーなどを次々と取り出す今回のコンパニオンはちょっと出来過ぎのような気もしなくはないが、まあ今までの「普通の女の子」タイプとは違ってそれなりに斬新かも。それに美人のコンパニオンなんてシリーズ3以来ですからね。話の展開はシリーズ4の「Midnight」のほか「ピッチ・ブラック」や「飛べ!フェニックス」に似ているという声もあるけど、危機が迫るなかで砂漠から脱出しようとする光景はなかなか迫力があって、それなりに楽しめる内容になっている。難点があるとすればUNITが登場するのにマーサが出てこないことや、リー・エヴァンス演じるUNITの科学者があまりにも「底抜け大学教授」っぽいことか。特に終盤は真剣さとユーモアのバランスがちょっと崩れてるんだよな。

年末に起きるであろうドクターの死や「4回ノックする者」(マスターか?)の帰還が示唆されたりと、今後の話につながる伏線もちゃんと張られており、次回(8月?)のエピソードが待ち遠しい限り。デビッド・テナントがドクターを演じるのがあと3回だけというのはちょっと寂しい気もしますね。

「Parks and Recreation」鑑賞

アメリカ版「THE OFFICE」のスピンオフか?と長らく話題になっていた新シットコム。実際にはスピンオフではなくて同じプロデューサーによる、モキュメンタリーのスタイルを踏襲した別作品になっている。

舞台はインディアナ州のパウニーという架空の街で、そこの市役所の「公園およびレクリエーション課」のトップであるレスリーは女性初の大統領を目指すほどの野心家だが、周囲の空気が読めないために彼女の熱意はいつも空回りしてばかり。そんなとき建設工事の中止によって生じた巨大な穴のことを知った彼女は、そこを市民が楽しめる公園に改造しようと奮起するが…といった内容。キャストはSNLのエイミー・ポーラーをはじめ、ラシダ・ジョーンズやアジズ・アンサリなどなかなか豪華な面子が揃っている。

「痛い上司」が主人公という点は「THE OFFICE」そのまんま。ただしあちらは狭いオフィスの中での出来事というシチュエーションとモキュメンタリーのスタイルがうまく合っていたのに対し、こっちは屋外のシーンでもやたらズーム&パンが繰り返されるのが気になるかな。頑張るお姉さん系のシットコムとしては「30 ROCK」の足下にもまだまだ及ばないけど、「THE OFFICE」だってパイロットはツマらなかったのが後になって大化けしたわけだから、この作品も早いうちに独自のスタイルを確立させることに期待したいところです。

マイク・ジャッジの新作


日を追うごとにその偉大さが増しているような気がする大傑作「Idiocracy」がこないだやっと日本でも(「26世紀青年」というヒドい邦題で)発売されたマイク・ジャッジの新作は「EXTRACT」というらしいぞ。

職場でも家庭でも悩みを抱えた工場長を描いたコメディなんだとか。ジェイソン・ベイトマンが主人公ということで期待大。ベン・アフレックの存在が不安と言えば不安だが。今回はミラマックス配給ということで、ちゃんと劇場公開されるんだろうか?