ペイヴメント再結成

10年ぶり。彼らって解散したんじゃなくて活動休止したっていうことなんだったっけ?いつの間にかベースの人はソニック・ユースに入ってたりするし。

世間的にはスティーブン・マルクマスとその仲間たちと見なされていて、確かにその通りなんだけど、初期の頃はギャリー・ヤングというオッサンがドラムを叩いておりまして、音楽的貢献はゼロ(もしくはマイナス)な人だったんだけど、ライブでの彼ははもう凄かったのでありますよ。野菜でドラム叩いたり、曲の途中でもステージ上をウロウロしたり(ペイヴメントにはドラマーが2人いる)、突然逆立ちしたり。あれは強烈だったなあ。ライヴのあとも外に出てきて皆と気さくに話してくれて、そのときにもらったサイン(落書き?)は今でも部屋の片隅に飾ってあります。

彼が他のメンバーとソリが合わずに脱退したあとのライヴも観に行ったけど、音楽的には上達していたものの普通のバンドのライヴになっていた。今回の再結成でもギャリーは参加してないようなのが残念なところです。

「THE VAMPIRE DIARIES」鑑賞

「スクリーム」や「ドーソンズ・クリーク」などで無垢な田舎のティーンの少年少女をいぢめて十数年の変態、ケヴィン・ウィリアムソンがプロデューサーを務めるThe CWの新作ドラマ。

題名から分かるようにいわゆる「吸血鬼もの」の作品で、ヴァージニア州の高校に「良い」吸血鬼(人を襲わないやつ)がやってきてそこに通う女の子とねんごろな仲になるものの、同時にその吸血鬼の兄であるワルい吸血鬼もやってきて危険な三角関係を築くのでした…というような話。

90年代から続くヤングアダルト小説が原作らしいけど、既に世の中には「トワイライト」とか「TRUE BLOOD」みたいなヴァンパイア作品が出回ってるので、もうお腹いっぱいという感じ。しかも内容は吸血鬼もののクリーシェが満載で、「危険な恋に目覚める少女」とか「人の血を吸いたい衝動にかられる良い吸血鬼」とか、どこかで観たような展開ばかりで目新しさはゼロ。加えて題名通りに少女と吸血鬼の両方が日記をつけてるものだから、それを書いてるときに説明口調の独白がかぶさってくるのがクドい限り。あと主人公の吸血鬼が「ギャラクティカ」のティロルを細身にしたような、あまり美男子ではない人だというのもどうかと。

吸血鬼もののTVシリーズというと「バフィー」という金字塔があるために、もっとオリジナリティを打ち出す努力をしないと長続きしないんじゃないですか。

「BORED TO DEATH」鑑賞

ジェイソン・シュワルツマン主演のHBOの新作コメディ・シリーズ。今だと特別プレビューということでポッドキャストで視聴できるぞ。

原作はジョナサン・エイムズとかいう作家によるもので、シュワルツマンが演じるのはフィクション化されたエイムズ。さえない作家である彼は酒とマリファナばかりやってたためにガールフレンドに逃げられたばかりで、気晴らしに「こちらアマチュア探偵。安い値段で事件を解決します。」なんて広告をネットに掲載したところ、実際に依頼の電話がきたために右も左も分からないまま事件に巻き込まれていく…というのが主なプロット。

シュワルツマンが主演ということでウェス・アンダーソン的なものを期待してしまうけど、内容はあれほどシュールではなくて普通にオフビートなコメディといった感じ。HBOのドラマって地上波のものとは違う独特のクセがあって、作品の雰囲気を十分理解するのに数話かかることが多い気がするんだが、この作品もその1つかな。でも個人的にガムシューものは好きなので人気が出て欲しいところです。あとシュワルツマンの脇を固める共演者がザック・ガリフィアナキスとテッド・ダンソンだというのがやけに豪華ではある。

ちなみに探偵小説とかではおなじみの、酒場のバーテンとかに金をちらつかせて情報を聞き出すシーンが出てくるんだけど、実際にああいうやり方で口を割らせる奴なんているのかね。そもそもいったい幾らくらい渡せばいいんだろう。フィリップ・マーロウは5ドルとか10ドル札を使ってたような記憶があるけど。

「クール・ワールド」鑑賞

長らく探していたDVDを偶然近場で発見。「ウィザーズ」や「フリッツ・ザ・キャット」で知られるラルフ・バクシのアニメと実写の合成映画。1992年公開。

物語の発端は1945年。軍隊帰りのフランク(ブラッド・ピット)はバイク事故に遭った衝撃で、乱痴気騒ぎを繰り広げるアニメの住人が暮らす世界「クール・ワールド」にやってきてしまう。そこで彼は刑事として暮らすことに。そして時代は現代へ移り、今度は刑務所帰りのマンガ家であるジャック(ガブリエル・バーン)がクール・ワールドに飛ばされてくる。彼は色情狂気味のアニメ少女ホリーといい仲になるが、何故かアニメのキャラと人間がセックスするとそのキャラは人間になれるという決まりがあって、これを望んだホリーはジャックとやってしまい、現実世界で人間になって騒ぎを巻き起こすことに…といった話。内容的には後発の「モンキーボーン」にとても似ていて、主人公がやってくる別世界がグロテスクなキャラクターに満ちた地獄のようなところであったり、そこから抜け出したキャラクターが騒動を起こすところなんかが共通している。

ストーリーは行き当たりばったりでクール・ワールドに関する説明なんて殆どないし、俳優たちも適当に演技してるのがミエミエ。クール・ワールドだと非常になめらかな動きをしていて、それなりに艶やかな容姿だったホリーが人間になったとたんにキム・ベイシンガー(当時39歳)へと劣化したのには萎えたなあ。二次元嫁を3次元の世界に連れてきては行けないよ、という教訓でしょうか。せっかくデビッド・ボウイが主題歌歌ってるのに、こんな駄作ではもったいないよな。

でもクール・ワールドの住人のハチャメチャぶりは凄まじくて、そこらへんはラルフ・バクシの本領発揮といったところか。ああいう悪趣味な雰囲気はまだCGアニメだと表現できないですね。これが70年代とかだったらカルト的人気を誇ったんだろうけど、90年代ではもはや時代遅れになってたのかなあ。バクシはこれ以来長編映画を作ってないし(この映画を製作中にも相当トラブったらしくて、プロデューサーをぶん殴ったとか)、ドン・ブルースとかジョン・クリクファルシといったアニメーターについても最近は話を聞かなくなったし。非ディズニー系の2次元アニメーターには世知辛い世の中になってしまったのかな。

「ゴジラ対へドラ」鑑賞

来週の連休までにかけて、今まで観そびれてた映画をいろいろ観てこうと思うのですよ。

ヘドラって公害を食べてヒッピーを殺してくれるなんて、実はいい怪獣なんじゃないか?違う?ゴジラ作品のなかでは異色作であることは認めるが、間の伸びた戦闘シーンや場違いなアニメ、4度も繰り返される主題歌などあちこちで映画として破綻している感があるのは否めない。まあ71年当時の雰囲気が分かるのは面白いですが。なぜゴジラの放射能火炎で電極版が動作するのかは分からんな。

あと当時の怪獣映画の定番だった「怪獣に共感できる少年」ですが、俺が小学生のときに「ガメラ」シリーズとか観てたときでも子供だましに感じたけど、今になって観てもウザったく感じられるような。この映画をリアルタイムで観てた小学生たちは、こういう少年が出てくることを素直に喜んでたんだろうか。