バカ高いジョーク・クリップ

長い話になるので今までの経緯は書かないが(これ観れば分かるかも)、NBCの愚策によってコナン・オブライエンがわずか7ヶ月で「トゥナイト・ショー」をこんど追い出されることになり、連日のようにコナンが番組でNBCをコケにしまくってるのが実に楽しいわけですが、その最新のクリップがこれ。

「150万ドルもするブガッティ・ヴェイロンにネズミの格好をさせました!おまけにBGMはストーンズの『サティスファクション』です!これが面白いかって?ぜーんぜん!しかしNBCはこの映像を再放送するたびに、バカ高いロイヤリティを払う羽目になるのです!ハッハッハ!」なんて言ってるのが実に痛快。

そしてコナンの思惑通り(?)この映像はNBCに嫌がられてHULUとかにアップされてないらしい。でも当然ながらyoutubeとかにはアップされたと。インターネットは偉大なり。しかし「サティスファクション」はまだしも、車の映像を使うのにもロイヤリティって発生するの?要するに高い買い物をしたってことか。

ちなみにブガッティ・ヴェイロンといえばむかし「トップ・ギア」で「フルスピードで走ると12分でガス欠になります」なんて紹介されてたっけ。誰が乗るんだそんな車。

「LIFE UNEXPECTED」鑑賞

31歳のシリ・アップルビーが16歳の少女の母親を演じる、THE CWの新作ドラマ。アップルビーってこないだまでWBの「ロズウェル」で高校生を演じてたような印象があるので、こういうの観ると自分が年取ったことを嫌でも感じてしまうのですよ。

彼女が演じるケイトは、ポートランドのラジオ局で朝の番組を担当している人気DJ。同僚のライアンとのロマンスも順調で、ついに彼女はプロポーズされることに。そんなケイトの前にラックスという名前の女の子が現れる。実は彼女はケイトが高校生のときに同級生のベイズと一夜をともにしたときに身ごもった子供で、生まれたときに里子に出したのだが、16歳になったことで法的に里親から解放されるというのだ。突然の展開に慌てふためくケイト。そんな彼女に頼らず、自分は一人で生きていくと伝えるラックス。しかし身寄りのない少女が無事にやっていけるわけがないわけで、ケイトとベイズは彼女の後見人になるよう法廷に命じられる。こうしてラックスはケイトやベイズ、ライアンたちとの生活を始めることになる…というのが大まかなプロット。

ラックスを演じるブリタニー・ロバートソンがクレジット上では主役扱いになっているほか、上の写真ではライアンではなくベイズが写ってるので、ラックスを中心に彼女の両親とのやりとりが描かれる話になるのかな。ベイズと久しぶりに再会したケイトがすぐに彼と一発やって、その次の日にライアンとの結婚を決めるあたりは単なるビッチのような気もするが、まあそこらへんはTHE CWのドラマということで。

「年の近い母と娘の物語」という設定はWBでやってた「ギルモア・ガールズ」を彷彿させるところがあるし、同じくWBの「ドーソンズ・クリーク」に出てたカー・スミスが出演してることもあって、とってもオールド・スクールなWBの番組が現代に復活したような感じ。でも美形のティーンが乳繰り合ってるだけの最近のTHE CWの番組に比べれば人物描写とかもしっかりしてるし、悪い番組ではないと思う。ただ第一話がドラマとしてまとまりすぎていて、登場人物たちが今後どうなっていくんだろうという気にならないのが難点ではあるかな。

「ハート・ロッカー」鑑賞

今日のゴールデングローブ授賞式でもおそらく何かの賞を穫るであろう、今年の賞レースの目玉作品。イラク戦争の初期(2004年)を背景に、都市部のあちこちに隠された手製爆弾の解除にあたる部隊の姿を描いたもの。

とにかく爆弾がバンバン爆発する映画で、地面や荷物や車に隠された爆弾がいつどこで爆発するか分からず、登場する人たちもどんどん死んでいくために次の展開がまるで読めないうえに、爆弾の解除をしている周りにリモコンの起動装置を持ったテロリストが潜んでいるかもしれないという要素が加わり、非常に緊張感に満ちた場面を作ることに成功している。

このように各場面はとてもスリリングで、夜中の追跡劇のシーンとかも手に汗握る演出になっているのだが、そうした各場面をつなぎ合わせる軸となるようなプロットはあまり存在してなくて、主人公たちの任務と日常が次々に描写されるような展開になっている。「フルメタル・ジャケット」の後半に似ているといえば分かってもらえるかな。印象的なシーンはいくつもあるものの、全体を貫くストーリーはないというか。少なくとも「プライベート・ライアン」のような「映画の終わりまでに捕虜を救出する」といった時間制限が絡んだような緊張感はなかったな。これってイラク戦争の終わりが見えていないことにも関係しているのかもしれない。

ジェレミー・レナー演じる主人公は今までに何百もの爆弾を解除してきたプロという設定で、その常識とは異なる手段での爆弾処理は彼を一匹狼的な存在にしていて、ふざけた奴のようで仲間想いのところもあるし、連日の爆弾処理によって極度のストレスも感じていることが描かれている。そうしたストレスを感じる一方で、戦争が与えてくれるスリルの中毒になっていることが示唆されるんだが、いかんせん無口なうえに落ち着きすぎているので、彼の内面が分かりにくいところがあるかな。

あとイラク戦争に関する予備知識がないと、ちょっと話が掴みづらいところがあるかもしれない。主人公が着ている防護服は爆弾に対してどれだけ効果があるのかとか(万能ではないことが冒頭で描写される)、なぜテロリストはリモコンですぐ爆弾を爆破しないのかとか、そこらへんは観てて疑問に感じた点だった。

あとね、やっぱり非アメリカ人が観ると主人公の兵士たちに感情移入できないところがあるのですよ。ストレスがどうだとか、こんな所にはもういたくないとか言ってるけど、人さまの国を勝手に侵略しておいて勝手なこと言ってんなよと。あんたらよりもイラクの住民のほうが迷惑してんだってば。というわけで少なくともアカデミー賞の作品賞にはノミネートされるだろうし、受賞することも十分あり得る作品であるわけですが、個人的には今シーズンのベスト作品というわけではなかったな。あと日本ではいつ公開されるんだろう。本来ならば昨年公開される予定だったんだけどな。

「BIG FAN」鑑賞

「レスラー」の脚本家、というよりも「オニオン」の元編集長としてチェックしているロバート・シーゲルの初監督作。

スタテンアイランドに住むポールは36歳になっても口うるさい親と同居し、駐車場のブース係としてしがない生活を続けているサエない男。そんな彼にも唯一情熱を注ぎ込めるものがあって、それはNFLのニューヨーク・ジャイアンツのファンとしてチームを応援することだった。試合のチケット代が払えないため親友のサルとスタジアムの外でテレビ観戦するような有様でも、彼のジャイアンツに対する愛情は変わらず、ラジオのスポーツ番組へ電話をしてジャイアンツへの応援コメントをすることが彼の生きがいだった。

そんなある日、ポールはジャイアンツのクオーターバックであるクアンテル・ビショップを偶然見かけてしまう。憧れの選手を間近に見て感激したポールはビショップの車を追いかけてマンハッタンまで行き、勇気を振り絞ってビショップに声をかけるものの、皮肉にもストーカーだと誤解されて彼に暴行を受けてしまう。そして重傷を負って病院で目覚めるポール。ポールの家族や警察はビショップへの告訴を勧めるが、この件によりビショップは出場停止となりジャイアンツは負けが込むようになる。暴行されたとはいえジャイアンツへの愛が消えないポールは周囲の声を無視してビショップを告訴せず、以前の生活に戻ろうとするが…というのが大まかなストーリー。

アメリカでは「タクシー・ドライバー」と比較されてるようだけど、主人公が悶々とした生活を送っているという点が似ているかな。外部の圧力にもめげずに「変化しない」ことを選ぶ主人公というのは珍しいといえば珍しいか。とはいえポールの日常というのは上記したように決して満ち足りたものではないわけで、自分が唯一愛情を注ぎ込めることにどこまで執着できるかというのが作品の大きなテーマになっている。

こういう場合は主人公にシンパシーを抱けなければ一発で作品は崩壊してしまうわけだけど、暗い話が続く展開ながらもポールへの共感を失わせないことに成功していると思う。ポールがだんだんサイコ気味になってきて、「タクシー・ドライバー」的展開になるか?と思わせておいて別のところに着地するラストも面白い。

主演のパットン・オズワルトは「レミーのおいしいレストラン」のレミー役をやったコメディアンで、彼のスタンドアップとかは聴いたことないんだけど、半端じゃない映画の知識をもっていて映画祭を編成してたりするので多分にリスペクトしてる人なのですが、今作ではあくまでも真面目にポールの役を演じきっている。映画としてはさすがに「レスラー」には遠く及ばないものの、初監督作品としては手堅い出来になっているんじゃないでしょうか。スポーツがテーマの映画なのに、予算を抑えるためか試合の映像を一切使っていない演出も巧いな。アメフトという題材は日本人にちょっと受けにくいかもしれないが、アニメであれゲームであれ情熱を注ぎ込めるものを持ったダメ男なら共感できるところがある作品なので、機会があれば観てみてください。

サンダンスの出品作

映画祭ってあまり興味がないんだが(というか映画が観れれば映画祭であろうとなかろうと構わない)、今度のサンダンスはいろいろ面白そうな作品が出品されるようで。クリス・モリスの新作「FOUR LIONS」やヴィンチェンゾ・ナタリの新作(残念ながら「ハイ・ライズ」の映画化ではない)のほか、興味を抱いたのは「DOUBLE TAKE」という作品。

冷戦時代を舞台に、歴史教授であるアルフレッド・ヒッチコックが自分の分身を目にするようになる…というサスペンスで、当時の映像を混ぜ込んだ虚実乱れる作品になっているらしい。まあアイデア倒れになる可能性もあるけど、いずれ機会があれば観てみたい作品。