「HOMELAND」鑑賞


ショウタイムの新作ドラマ。イスラエルの番組をもとにしたものらしい。

イラクで単独行動をしていたCIAのエージェントのキャリーは、アメリカ軍の捕虜がアルカイダによって「転向」させられたとの話を情報提供者から聞く。それから10ヶ月後、アルカイダによって8年ものあいだ捕虜になっていたブロディ軍曹がアメリカ軍によって発見・救出される。彼こそが転向した捕虜ではないかと直感したキャリーは上司にそのことを伝えるものの、ブロディを英雄とみなす上司たちはそれに耳を貸さなかった。仕方なくキャリーは昔の恩師に協力を頼み、ブロディの家に盗聴器を仕掛けて彼の調査にあたり、アメリカ本土へのテロを防ごうとするのだが…というようなプロット。

キャリーを演じるのはHBOの「TEMPLE GRANDIN」で突如として演技派となった感のあるクレア・デインズで、ブロディ軍曹を演じるのは「Life 真実へのパズル」のダミアン・ルイス。ちょっと豪華なキャストですね。

「ブロディは果たして転向したのか?」というのがストーリー上の大きな謎になっているわけだが、第1話から彼が怪しげな暗号を送ってるらしいことが描かれるなど非常にクロな扱いになっていて、このまま彼がテロ行為に走るのか、それとも何かどんでん返しがあるのかは今の時点では分からんな。有料ケーブル局の番組ということもあって作りは凝ったものになっており、評判もかなり良いみたい。ただし1つの謎でどこまで話を引っ張れるかというのは疑問でして、むしろミニ・シリーズにしたほうが良かったんじゃないかという気がしなくもない。謎を引っ張れるだけ引っ張ってオチをつけられずに総スカンをくらった「THE KILLING」の二の舞にならないことだけを願います。

機内で見た映画

週末から昨日まで海外出張に行ってたので、機内で観た映画の感想をざっと。眠かったんで行き帰りで合計4本しか観てないです。

「カーズ2」
車のディテールなんかは大変美しいと思うんだけどね。やはりストーリーの凡庸さが気になる。ドリームワークスやフォックスの作品だったら許容できたかもしれないが、ピクサーにはそれ以上のものを求めてしまうわけで。スパイアクションに友情の話とかを絡めても何だかなあ、といった感じ。これからピクサーは続編をいろいろ作ってくようだけど、ちょっと不安にさせられるな。

「ブルー 初めての空へ」
それでこっちはフォックスのCGアニメ。人間のデザインが「くもりときどきミートボール」に似てない?飛ぶことを学ぶ鳥の物語なのに肝心の飛翔シーンに躍動感が無いのはどういうことよ。製作者は「ヒックとドラゴン」を100回見直しなさい。ストーリーもおざなりで、いつものブルースカイ作品といったところか。とはいえ日本では全国公開されないのは勿体ないと思う。

「CEDAR RAPIDS」
コメディとして観ると笑えるところとかはあんまり無いんだけど、田舎の保険業界の裏側とか中年の挫折感を描いたドラマとして観るとそこそこ楽しめた。エド・ヘルムズは愚直な若造の役がよく似合うな。とはいえ映画を支えてるのはジョン・C・ライリーの演技力ですが。あとアン・ヘッシュが男好きの役を演じるのにはいまだに違和感を抱いてしまうな。

「SUBMARINE」
「IT CROWD」のモスことリチャード・アヨエイドの初監督作品。火遊びが好きな奇抜な女の子に恋をしたり、両親の不仲を修復しようとするウェールズの15歳の少年の姿を描いたもので、ものすごく美しい映像と絶妙なユーモアで語られていく物語が大変素晴らしい。多感な年頃の不安定な雰囲気がとてもうまく描かれた傑作。飛行機の小さな画面で観たのが勿体ないくらい。

あとは「ワイルド・スピード MEGA MAX」に何度か挑戦したが話のノリにまったくついていけず断念。予告編に出てくる「崖から落ちる車」というシーンのオチが「そのまま川に突っ込んで助かる」というのはズルいんでないかと。「Mr. Popper’s Penguins」も観たけど途中で寝る。過密スケジュールで疲れてたんだよ!

下は「SUBMARINE」の予告編。

「PAN AM」鑑賞


NBCの「PLAYBOY CLUB」と並ぶ、「マッドメン」ライクな60年代テイスト満載のABCの新作ドラマ。

かつては皆の憧れの職業であったパンアメリカン航空のスチュワーデスたちを主人公に、彼女たちの恋愛模様や人間関係などを描いた内容になっていて、当時の政治状況とかウーマンリブ運動とかも盛り込まれている。さらに海外へ当時自由に行き来できるのは彼女たちだけだったということで、冷戦のスパイ活動に彼女たちが雇われるというサスペンス的展開もあるんだけど、本当にそんなことあったのかね?キューバ危機で政府に依頼されて米国人を救出するなんてシーンもあったりして、いろいろてんこ盛りなのはいいが逆にどういう話にしたいのかがどうも分からんな。

パンナム機の内部は殆どスイート状態でとてもゆったりしていて、シャンパンも飲み放題のようで、毎度エコノミークラスでまずいメシを食っている俺のような者から見ると羨ましい限り。スチュワーデスのおねえさんたちも美人揃いですが、これって単に60年代を美化してるだけかもしれんよな。例によって黒人とかは全然出てこないし。そんな派手なことやってるから2001年を待たずに会社が潰れた、ということは頭に入れといたほうがいいだろう。あと飛行機の外観のCGはちょっとショボい。

主演はこれがTVシリーズ初登場となるクリスティーナ・リッチー。エリア51に出没しそうなギロっとした目に加え、顔の輪郭とかボディラインも常人離れしたカーブを描くようになっていて、さらなる進化を遂げていることがよく分かります。でも第1話では彼女のキャラクターはあまり活躍しなくて、むしろ乗客と不倫するフランス人とか諜報活動に雇われるスチュワーデスとかのほうに焦点があてられていたな。

今年の目玉作品の1つなのでそれなりに長続きするだろうけど、どこまで長く飛んでられるかはよく分かりません。

「UP ALL NIGHT」鑑賞


NBCの新作シットコム。キャストはクリスティナ・アップルゲイトにマヤ・ルドルフにウィル・アーネットとやけに豪華だったりする。

アップルゲイトとアーネットが赤ん坊が生まれたばかりの夫婦を演じていて、育児に手一杯の彼らの生活に、アップルゲイトの上司でオプラ・ウインフリーみたいなテレビ番組のホストを勤めるマヤ・ルドルフが割り込んでくる…といった内容。育児を中心にしたシットコムというとフォックスの「RAISING HOPE」があるけど、あれよりは当然もっとホワイトカラーな感じになっている。

かわいい赤ちゃんを前面に出した能天気なコメディかと思ったら、大人の生活を中心に描いたものになっていて、ラフトラックなどもなし。カメラが揺れすぎるのが気になったけどね。ウィル・アーネットって力でゴリ押しするようなタイプのコメディアンという印象が強いけど、たまに見せる不安そうな表情が俺は結構好きで、そういう意味ではこの番組に似合ってるかもしれない。育児コメディってのがどれだけ長続きするのかよく分かりませんが、アメリカでの評判は上々なのでフルシーズンは製作されるんじゃないかな。

個人的には甥っ子とか友人たちの子育てを見てると、なんであんなに手間がかかるんだと驚くばかりでして、自分の時間を犠牲にしてでも子供を持ちたいという気にはなかなかなれないですね。尤も嫁さえもいない身ではありますが。