「H+: The Digital Series」鑑賞


ブライアン・シンガーがプロデューサーのウェブ・シリーズ。

舞台はそう遠くない未来。人類の3分の1は俗に「H+」と呼ばれる技術を用いてナノマシンを体内に埋め込み、常時インターネットに接続することが可能になったことで膨大な情報を受け取れるようになっていた。しかし何者かがデータセンターにウィルスを侵入させたことで「H+」はオフラインになり、人類は未曾有のパニックを迎えることになる…というようなプロットらしい。

どんなに技術が進歩してもwi-fiの接続状況は改善されてないらしく、地下駐車場で電波がつながってなかったからオフライン時の惨劇を免れた人たちなんてのが第1話で出てくるんだが、なんかちょっと都合が良すぎるような。また明確な主人公はおらず、様々な人物の視点から惨劇に至るまでとその後の話がフラッシュバックしながら語られていく内容になるみたい。

ウィブシリーズにしては相当な製作費がかけられているようで、CGとか惨劇の描写などはかなり凝ったものになっている。とはいえ全体的にどことなくチープさがあって、役者の演技なども下手なのですが。これってワーナーのストレートトゥDVDの部門が起案したものの、そこが閉鎖されるにあたって同社のデジタル部門に引き継がれた作品らしい。これが物語るように今後はDVDムービーがオンライン作品にとって代わられていくんだろうが、良くも悪くも視聴環境が異なるわけで、それにきちんと特化した作品を作ることが課題になってくるであろう。

とりあえず最初の数話をチマチマと観ましたが…これって全部で48エピソードもあるの?俺はとても全部は観られません。興味のある方はどうぞ。

ジョー・キューバート死去


85歳。アメコミの巨匠がまた1人亡くなってしまった。

一説によると彼は8歳のときからウィル・アイズナーの事務所で雑用を手伝うようになり、12歳のころにはすでに絵を描くことで給料を得ていたという。そんな彼はガードナー・フォックスやロバート・カニハーといったライターたちとともに、宇宙からやってきたシルバーエイジ版ホークマンや第二次世界大戦の戦地を行くサージェント・ロック&イージー・カンパニー、真っ赤な複葉機で大空を舞うエネミー・エース、原始人のトーなどといった人気キャラクターを次々と生み出していった。ヘルメットの陰で鋭い目つきを光らせるロック軍曹の姿とかはカッコ良かったなあ。

さらに彼の仕事はスーパーヒーローものや戦争ものに限らず、ユダヤ教に関するコミックスやサラエボ内戦を描いたものなど多種多様にわたり、従軍経験もある彼は軍の備品のメンテナンスに関する機関誌のイラストを担当したりと、死ぬ直前まで精力的に仕事を続けていた人物であった。これに加えて彼は息子ふたり(アダムとアンディ)を業界トップレベルのアーティストに育てたほか、コミックの技法を教えるキューバート・スクールを設立し、スティーブン・ビセットやトム・マンドレイク、ティム・トルーマンといった著名アーティストたちを輩出したという、アメコミ業界に多大な影響を与えた人物であったわけです。

もっと多くの作品を生み出してくれるかと思っていたのに、お亡くなりになってしまって悲しい。安らかに眠れ。

「プロメテウス」鑑賞


先行上映で鑑賞。ネタバレにならない程度に感想を挙げていくと:

・監督の意向でプロモーションでは曖昧にされてるけど、「エイリアン」(当然第一作ね)の完全なプリクエルです。あれを先に観ておくことを強くお勧めします。
・科学考証とか登場人物の動機とかはツッコミどころが山ほどあるんだけど、細けーことは気にすんなよ!大金がつぎ込まれたであろう驚異のビジュアルと、先の読めない、殆ど行きあたりばったりなストーリー展開を黙って楽しみましょう。
・話の前半はセンス・オブ・ワンダー溢れるハードなSF映画といった感じで、遺跡を捜索する描写はゾクゾクさせてくれる。後半になると当然ながらヌルヌル、ヌメヌメした展開になるのですが、前半のノリでデニケン的な映画になったとしてもそれはそれで面白かったかも。
・ガイ・ピアースに老けメイクを施すよりも、老人の役者を雇ったほうが安上がりだったろうに。あとパトリック・ウィルソンが30秒くらい出演してた。
・スペース・ジョッキーのホログラム映像などは、3Dで観る価値あるかな。ホタルイカとかゲソを食いながら観るとさらに臨場感がアップするでしょう(特に女性)。
・スティーブン・スティルスってアコーディオンなんか演奏したっけ?
・ゴムはつけろよ!

全体的な雰囲気は「エイリアン」よりも、もしかしたら「プレデターズ」に近いかも。あれが許容できる人ならこの映画も好きになれるはず。あと「エイリアン」に便乗したパクリ映画「ギャラクシー・オブ・テラー」に意外とプロットが似ているような?

前述したようにツッコミどころというか疑問点が山ほどある作品だけど、個人的にはかなり楽しめる作品でしたよ。さっそく続編の話がでているようなので、今回の謎がそちらで解明されることに期待しましょう。

「GO ON」鑑賞


「GOON」じゃなくて「GO ON」な。「STUDIO 60」「MR.SUNSHINE」と主演作の打ち切りが続いているマシュー・ペリーが主演のNBCの新作シリーズで、どんどん無難な役を演じてるように見えるけど仕方ないのかなあ。

ライアンはラジオ局の人気スポーツキャスターだったが妻を不慮の事故で亡くし、1ヶ月間の休養を得て復帰するものの、まだ精神的に落ち着いていないことを心配した上司からグループカウンセリングを受けることを命じられる。こうして心に傷を負った人たちが集まるカウンセリングのクラスに嫌々ながら出席したライアンは、とっととクラスを終了させたくて、自分なりのカウンセリング・セッションを考案するのだが…というようなプロット。

悲しいことがあっても笑って生きてきましょうね、というようなテーマのコメディのはずなんだけど、ユーモアとペーソスの配分が致命的に間違ってるような?他愛もないジョークのあとに「実は兄がスキー事故で昏睡状態で…」なんて話が続くと、笑っていいのかどうか戸惑ってしまうのだよ。別に心に悩みを抱えてる人を笑いの対象にしたり、コメディにペーソスを交えることは悪いことだとは思わないよ、ジャド・アパトーの作品なんてみんなそんなものだし。でもこの番組はコメディとペーソスの割合が4:6くらいで、どうも観ていてしっくりこない内容になってしまっている。

また第1話の時点ではライアンがDJであることが全然活かされてないし、彼の上司をジョン・チョウが演じてるのにほんのちょっとしか出演してないのも残念。あと「クセのある人たちの集まりに渋々やってきたチャラ男」という設定が同じNBCの「COMMUNITY」に酷似してるのは今後いろんなところからツッコミを受けるのではないかと。

マシュー・ペリーって「フレンズ」の役者のなかではいちばん演技の幅がある人だと思うので、こんなプロットに問題のあるシリーズに出るのは勿体ないと思うのだが…。やはり「STUDIO 60」の失敗が影響してるんだろうか。