「DEFIANCE」鑑賞


名前をSci-fiから変更した後にWWEやリアリティ番組にウツツを抜かしていたSyfyチャンネルだが(今もそうだけど)、最近はまたSFドラマを積極的に作るようになったようで嬉しいのであります。これもその1つで、撮影は当然ながらカナダ。

舞台となるのは近未来の地球。30年くらい前にヴォータンと呼ばれる、7つの種族からなる異星人の集団が地球に移住するためにやってきたのだが、彼らは人間が地球にいたことを知らず、平和的な移住を国連と交渉していた。しかし何らかの理由によりヴォータンと地球は交戦状態になり、ヴォータンのテラフォーミング装置により地球の自然環境は一変してしまう。やがて戦争が消耗戦になったことからヴォータンと人間のあいだには休戦協定が結ばれ、荒廃した地球において8つの種族がぎこちなく共存することになる。

主人公のジョシュア・ノーランはヴォータンとの戦闘で活躍した元兵士だったが、養子にしたヴォータンの1種族の娘とともに技術品を漁る放浪生活をしていた。そんな彼らはふとしたことから元セントルイスで現在はディファイアンスと呼ばれる町にたどり着く。そこは若き女市長のもとで文化の再建を目指す町であったが、決して治安は良いとは言えず、前の保安官が死んでしまったことからジョシュアは請われて新しい保安官として働くことになる。しかしその裏ではいくつもの陰謀が渦巻いていて…というプロット。

第1話では世界設定などはあまり説明されてなくて、上記の情報はウィキペディアから転用。どうも同名のMMORPGとタイアップした番組であるらしく、異星人の種族がやけに多いのはその関係があるみたい。それはそれで面白い試みだと思うんだけど、どちらかの人気が不調だった場合はもう片方はどうなるのかな。

話の展開は比較的ベタで、ディファイアンスで反目している2家族の子供たちが陰で愛し合っているとか、1度は町を見捨てた人がクライマックスの戦いのときに戻ってくるとか、まあ以前に観たことあるような展開が続きます。部外者が町の保安官に任命されるというのも、同チャンネルの「ユーリカ」でやってたしね。でも話のテンポが良いので思ったよりも楽しめる内容になっていた。「ギャラクティカ」ほどではないにしろ「スターゲイト」くらいの出来といった感じ。CGなども決して金はかかってないものの「テラノバ」なんぞよりも面白いかと。

主人公のジョシュアを演じるのは「アグリー・ベティ」などに出ていたグラント・ボウラー。あとは「デクスター」のジュリー・ベンツなども出ています。ジョシュアの娘を「ミラーマスク」のステファニー・レオニダスが演じているのだが、あの可愛い顔を異星人メークで台無しにしてしまってるのが本当に勿体ない。今でも遅くないから、実は彼女は地球人だった、という設定にしてくれよ!

「iSteve」鑑賞


コメディ動画サイト「Funny Or Die」による長尺のパロディ作品。ここで無料で視聴できるよ。

名前で分かるようにアップルのスティーブ・ジョブズの生涯をパロディにしたもので、19歳のときに啓蒙を求めてアジアに旅したところから始まり、スティーブ・ウォズニアックやビル・ゲイツとの出会い、マッキントッシュの誕生、アップルからの追放そして復帰、ピクサーの創立、iPodの発売などといった出来事が駆け足で語られていく。

とはいえパロディ作品なので歴史的考証などはゼロに近くて、ゲイツとはメリンダ・ゲイツをめぐって三角関係になっていたとか、ジョン・スカリーはコモドール社が送った刺客だったとか、iPodのアイデアはスマッシング・パンプキンズのビリー・コーガンとLSDをキメてたときに思いついたとか、かなりウソだらけの展開が続くので本気にしてはいけないよ。スカリーなんてジョブズが復帰したあとにコモドールのボスと一緒に服毒自殺したりしてるんだが、訴えられたりしないのかこれ。

ただしハチャメチャな話が続くので面白いのかというと必ずしもそうではなくて、なんか全体的に間延びしているというか、ショボいジョークが続いていくような感じ。脚本が3日で書かれて撮影が5日で済んだそうだが、粗削りというか、こなれた作りになっていないんだよね。「Funny Or Die」は偽の映画のトレーラーを作らせると殺人的に面白いのだが(これとか)、実際の長尺映画を作れるほどのスキルはなかったということかな。

ジョブズを演じるのはオタクの星ジャスティン・ロング。アップルの「Get a Mac」のコマーシャルでマッキントッシュ役を演じていた彼です。劇中ではCMの撮影シーンで別の役者がロングを演じていて、ジャスティン・ロング演じるジョブズがロングを怒鳴る、なんてシーンもあるぞ。あとはスティーブ・ウォズニアックをホルヘ・ガルシアが演じてます。豪華俳優が無駄に出演していることが多い「Funny Or Die」の作品にしては有名どころがあまり出ていないかな。

今後はアシュトン・カッチャー主演のものとアーロン・ソーキン脚本のものというようにジョブズの伝記映画が2つ出てくる予定であり、それらに対抗して「最初のジョブズ映画」と自慢しているこの作品ですが、観たい人は時間があるときにダラダラ観ることをお勧めします。それでもアシュトン・カッチャーのやつよりかは面白いんじゃないか、という気もしますが。

「Zombieland (the series)」鑑賞


最近はネットフリックスの「House of Cards」をはじめ、ビデオ・オン・デマンドのサービスがオリジナル・シリーズの製作に積極的に乗り出すようになってきていて、時代は変わったなあという感じ。ちょっと前まではオンデマンドってブラウザ上で短いクリップ番組を流すくらいだったものね。

そして米アマゾンのオンデマンドのサービスであるアマゾン・インスタント・ビデオも新たにパイロット番組を14本(キッズ向け6本・コメディ8本)製作し、そのなかで評判の良いものをシリーズ化することにしたそうな。これはそのうちの1つで、他にも「オニオン」のスタッフによる「ニュースルーム」のパロディ番組などもあるぞ。日本でも普通に視聴可能みたい。

そしてこれは名前のごとく「ゾンビランド」のシリーズ版でして、映画の続編などではなくキャストを一新した別物といったところか。出身地の名前で呼ばれる4人の男女がゾンビ襲来後のアメリカをウロウロする設定は映画版と同じで、あちらよりもコメディにさらに比重がおかれた内容になっている。

キャストはみんな無名の俳優ばかりだが、映画板でウディ・ハレルソンが演じたタラハシーはタフガイというよりもスラッカーといった感じ。あとの3人はあまり映画版とキャラが変わらないかな。例の「ゾンビから生き抜くための32のルール」も出てきていた。

舞台はゾンビ襲来から2ヶ月後の世界という設定らしいが、車は普通に使えるし電気もあるようだし、人もそこそこ生き残っていて緊迫感などはなし。車のラジオ(?)を通じて連絡してくるデトロイトという女性の案内をもとに4人がほかの生存者を捜していくという内容なのだが、せっかく生存者に会ってもすぐにゾンビにやられてしまう、という展開が繰り返されるだけでした。1話だけならまだしも、これを毎回やるとしたら相当しんどいな。

アマゾンの他の作品よりも知名度は圧倒的にあるのでシリーズ化されるかもしれないけど、今後の内容の大きな向上に期待したいところです。

「ORPHAN BLACK」鑑賞


BBCアメリカの新シリーズで、製作はカナダ。

不良少女で家出をしていたサラは久しぶりに故郷へと帰ってくるが、夜の駅において自分と瓜二つの女性が投身自殺をするのを目撃してしまう。現場にあった遺品から彼女の名前がベスであることを知ったサラは、ベスが多額の預金を持っていることに気づき、それを引き出すためベスに成り済ますことに。しかしベスの同僚たちに彼女だと思い込まれてベスの生活に深入りしていくサラ。さらにはもう1人の自分とそっくりな女性が目の前にあらわれて…というプロット。

もういろんなところで書かれてるからネタバレにはならないと思うが、実はサラたちはクローンであるという設定らしくて、自分たちを作ったのは(そして狙っているのは)誰か?というのが話の大きなテーマになってくるらしい。このSF的な要素が話のクオリティにどう影響してくるのかまだ分からないが、第1話は不受理サスペンスといった出来でかなり見応えがあったよ。他人と間違えられて見知らぬ人々が目の前に現われる一方、自分も悪巧みをしているので正体を明かせず、機転をきかせてどうにかその場をすりぬけるサラの行動はスリルがあるし、突然もう1人の自分がまた現れ、何者かによって狙撃されて死んでしまうという悪夢のような展開はデビッド・リンチ的でさえもあった。

カナダの俳優で固めた出演者たちは主人公も含めて比較的無名の人たちばかりだし、製作費も決して高くはないものの、「Continuum」などで最近また勢いがついてきているカナダ製のSFシリーズのなかでも出来が良い方ではないでしょうか。

「Da Vinci’s Demons」鑑賞


デビッド・S・ゴイヤー原案によるStarzの新シリーズ。日本のどこかの局でも近々やるみたい。「ダ・ヴィンチ・コード」や「Da Vinci’s Inquest」(というカナダのシリーズがあるのよ)みたいな現代ものかと思いきや、レオナルド・ダ・ヴィンチが主人公の時代劇ものであった。

舞台となるのは15世紀のイタリア。ダ・ヴィンチは野心に燃える若き発明家で、発明の資金をえるために上流階級に取り入ろうとしていた。しかしミラノ公が教会において暗殺され、法王も陰謀を画策するなどして政治情勢が不穏になり、武力衝突も避けられない方向へと世の中は進んでいた。そんななかでダ・ヴィンチは謎めいたトルコ人に出会い、古から伝わるミトラ教の存在を教えられ、その秘密を記した本を探すように命じられる。しかしミトラ教に対抗する勢力もダ・ヴィンチのことを知り、彼は危険な立場に置かれることになる…というようなプロット。

ゴイヤーといえばノーラン版「バットマン」の脚本を手がけ、今年の「マン・オブ・スティール」の脚本も書くなど絶好調の脚本家というイメージがある一方で、「ジャンパー」みたいにダメダメな脚本も書いているし、監督した作品はどれも評判がイマイチで、個人的にはあまり高く評価したい人ではないんだよな。この番組で気になったのは、主人公が「空を飛ぶことに憧れて大きな翼を発明する」「幼少時に洞窟でトラウマな経験をした」「頭脳明晰でケンカも強く、謎の教団に教えを乞うた」といったあたりでして、これって「バットマン・ビギンズ」じゃん!ゴイヤーがこれをどこまで意識して書いてるのかは知らないが、ネタがかぶってることは否めないな。

とはいえ第1話を観た限りではアクションシーンなどは少なく、ダ・ヴィンチが発明に苦労する一方で、貴族たちのドロドロとした政治劇がおっぱいとともに描かれるスタイルは「スパルタカス」や「ボルジア」をそのまんま踏襲しているのでは。でもそれに秘密結社にまつわる話が絡んでくると、どういう方向に進んでいきたいのかがよく分からなくなってしまうな。

BBCが共同製作してイギリスで撮影しているとのことで、出演者は殆どがイギリス人。ダ・ヴィンチを演じるトム・ライリーってよく知りません。あとは「シャーロック」のララ・パルヴァーとかアレキサンダー・シディグなどがちょっと出てます。ヒュー・ボネヴィルは全裸になって頑張ったりしてるものの冒頭3分で暗殺される損な役。当時のセットなども凝ってはいるものの、いくつかのシーンではグリーンバック合成がバレバレであったような。

ゴイヤーって別に悪い脚本家ではないとは思うのだけど、陰謀と策略が渦巻く時代劇というスタイルが似合ってる人ではないので、ここは無難に現代のアクションものを作っておけばよかったのに、と思わずにはいられないのです。