「Zombieland (the series)」鑑賞


最近はネットフリックスの「House of Cards」をはじめ、ビデオ・オン・デマンドのサービスがオリジナル・シリーズの製作に積極的に乗り出すようになってきていて、時代は変わったなあという感じ。ちょっと前まではオンデマンドってブラウザ上で短いクリップ番組を流すくらいだったものね。

そして米アマゾンのオンデマンドのサービスであるアマゾン・インスタント・ビデオも新たにパイロット番組を14本(キッズ向け6本・コメディ8本)製作し、そのなかで評判の良いものをシリーズ化することにしたそうな。これはそのうちの1つで、他にも「オニオン」のスタッフによる「ニュースルーム」のパロディ番組などもあるぞ。日本でも普通に視聴可能みたい。

そしてこれは名前のごとく「ゾンビランド」のシリーズ版でして、映画の続編などではなくキャストを一新した別物といったところか。出身地の名前で呼ばれる4人の男女がゾンビ襲来後のアメリカをウロウロする設定は映画版と同じで、あちらよりもコメディにさらに比重がおかれた内容になっている。

キャストはみんな無名の俳優ばかりだが、映画板でウディ・ハレルソンが演じたタラハシーはタフガイというよりもスラッカーといった感じ。あとの3人はあまり映画版とキャラが変わらないかな。例の「ゾンビから生き抜くための32のルール」も出てきていた。

舞台はゾンビ襲来から2ヶ月後の世界という設定らしいが、車は普通に使えるし電気もあるようだし、人もそこそこ生き残っていて緊迫感などはなし。車のラジオ(?)を通じて連絡してくるデトロイトという女性の案内をもとに4人がほかの生存者を捜していくという内容なのだが、せっかく生存者に会ってもすぐにゾンビにやられてしまう、という展開が繰り返されるだけでした。1話だけならまだしも、これを毎回やるとしたら相当しんどいな。

アマゾンの他の作品よりも知名度は圧倒的にあるのでシリーズ化されるかもしれないけど、今後の内容の大きな向上に期待したいところです。

「ORPHAN BLACK」鑑賞


BBCアメリカの新シリーズで、製作はカナダ。

不良少女で家出をしていたサラは久しぶりに故郷へと帰ってくるが、夜の駅において自分と瓜二つの女性が投身自殺をするのを目撃してしまう。現場にあった遺品から彼女の名前がベスであることを知ったサラは、ベスが多額の預金を持っていることに気づき、それを引き出すためベスに成り済ますことに。しかしベスの同僚たちに彼女だと思い込まれてベスの生活に深入りしていくサラ。さらにはもう1人の自分とそっくりな女性が目の前にあらわれて…というプロット。

もういろんなところで書かれてるからネタバレにはならないと思うが、実はサラたちはクローンであるという設定らしくて、自分たちを作ったのは(そして狙っているのは)誰か?というのが話の大きなテーマになってくるらしい。このSF的な要素が話のクオリティにどう影響してくるのかまだ分からないが、第1話は不受理サスペンスといった出来でかなり見応えがあったよ。他人と間違えられて見知らぬ人々が目の前に現われる一方、自分も悪巧みをしているので正体を明かせず、機転をきかせてどうにかその場をすりぬけるサラの行動はスリルがあるし、突然もう1人の自分がまた現れ、何者かによって狙撃されて死んでしまうという悪夢のような展開はデビッド・リンチ的でさえもあった。

カナダの俳優で固めた出演者たちは主人公も含めて比較的無名の人たちばかりだし、製作費も決して高くはないものの、「Continuum」などで最近また勢いがついてきているカナダ製のSFシリーズのなかでも出来が良い方ではないでしょうか。

「Da Vinci’s Demons」鑑賞


デビッド・S・ゴイヤー原案によるStarzの新シリーズ。日本のどこかの局でも近々やるみたい。「ダ・ヴィンチ・コード」や「Da Vinci’s Inquest」(というカナダのシリーズがあるのよ)みたいな現代ものかと思いきや、レオナルド・ダ・ヴィンチが主人公の時代劇ものであった。

舞台となるのは15世紀のイタリア。ダ・ヴィンチは野心に燃える若き発明家で、発明の資金をえるために上流階級に取り入ろうとしていた。しかしミラノ公が教会において暗殺され、法王も陰謀を画策するなどして政治情勢が不穏になり、武力衝突も避けられない方向へと世の中は進んでいた。そんななかでダ・ヴィンチは謎めいたトルコ人に出会い、古から伝わるミトラ教の存在を教えられ、その秘密を記した本を探すように命じられる。しかしミトラ教に対抗する勢力もダ・ヴィンチのことを知り、彼は危険な立場に置かれることになる…というようなプロット。

ゴイヤーといえばノーラン版「バットマン」の脚本を手がけ、今年の「マン・オブ・スティール」の脚本も書くなど絶好調の脚本家というイメージがある一方で、「ジャンパー」みたいにダメダメな脚本も書いているし、監督した作品はどれも評判がイマイチで、個人的にはあまり高く評価したい人ではないんだよな。この番組で気になったのは、主人公が「空を飛ぶことに憧れて大きな翼を発明する」「幼少時に洞窟でトラウマな経験をした」「頭脳明晰でケンカも強く、謎の教団に教えを乞うた」といったあたりでして、これって「バットマン・ビギンズ」じゃん!ゴイヤーがこれをどこまで意識して書いてるのかは知らないが、ネタがかぶってることは否めないな。

とはいえ第1話を観た限りではアクションシーンなどは少なく、ダ・ヴィンチが発明に苦労する一方で、貴族たちのドロドロとした政治劇がおっぱいとともに描かれるスタイルは「スパルタカス」や「ボルジア」をそのまんま踏襲しているのでは。でもそれに秘密結社にまつわる話が絡んでくると、どういう方向に進んでいきたいのかがよく分からなくなってしまうな。

BBCが共同製作してイギリスで撮影しているとのことで、出演者は殆どがイギリス人。ダ・ヴィンチを演じるトム・ライリーってよく知りません。あとは「シャーロック」のララ・パルヴァーとかアレキサンダー・シディグなどがちょっと出てます。ヒュー・ボネヴィルは全裸になって頑張ったりしてるものの冒頭3分で暗殺される損な役。当時のセットなども凝ってはいるものの、いくつかのシーンではグリーンバック合成がバレバレであったような。

ゴイヤーって別に悪い脚本家ではないとは思うのだけど、陰謀と策略が渦巻く時代劇というスタイルが似合ってる人ではないので、ここは無難に現代のアクションものを作っておけばよかったのに、と思わずにはいられないのです。

「HANNIBAL」鑑賞


「羊たちの沈黙」のハンニバル・レクター博士を扱ったNBCの新シリーズ。

時系列的には「レッド・ドラゴン」のちょっと前の頃が舞台になっていて、若い女性ばかりを狙った連続殺人犯を逮捕するためにFBIのクロフォード捜査官は現場を退いていたウィル・グレアム捜査官に助けを求め、さらに精神科医のハンニバル・レクター博士にも捜査への協力を依頼する。こうしてグレアムとレクターは殺人犯を追っていくものの、レクターには暗い秘密があって…という設定。俺は「レッド・ドラゴン」とか「ハンニバル・ライジング」を観てないので、映画の設定とどのくらい異なってるのかはよく分かりません。

題名は「ハンニバル」なんだけど主人公はむしろグレアムのほうで、アスペルガーの傾向があり人とうまく接することができない反面、殺人現場のプロファイリングを完璧に行うことができ、被害者に感情移入してしまう暗いキャラクターとして描かれている。ハンニバルはそんなグレアムを翻弄する謎の男という役回りで、当然裏では人を殺してパクパク食べちゃったりしているわけですが、第1話に出てくる殺人鬼と彼の関係がいまいち良く分からなかったような?

地上波ネットワークとはいえグロいシーンも必然的に出てくるのですが、ショッキングな映像に走ったりはせず、色調なども抑え気味で70年代のアートムービーを観てるかのよう。視聴者はハンニバルの正体を知っているのに劇中の登場人物はそれを知らない、という前日譚にありがちなまどろっこしい状況をどこまで引っ張れるかがシリーズ存続のカギになるだろうな(いまNBCを観ている人がどれだけいるのか、という問題もあるが)。ウィキペディアによるとショウランナーのブライアン・フラーは「シーズン5くらいでクラリス・スターリングとか登場させたいなー」みたいなこと言ってるようですが、あなたの手がけたシリーズでシーズン3まで続いたものってありませんから!

グレアムを演じるのはヒュー・ダンシー…ってクレア・デーンズの旦那か。そしてハンニバルを演じるのが「カジノ・ロワイヤル」のマッツ・ミケルセンで、主役2人をイギリス人とデンマーク人を演じてるあたりが、アメリカ人が主役はれない最近のアメリカのテレビ業界を象徴しているような。ただミケルセンは英語がちょっと拙いような気がするんだけど、どうなんだろうね。そんな2人をまとめるクロフォード捜査官を演じるのがローレンス・フィッシュバーン。TVシリーズ出るのが嫌で「CSI」を降板したような印象があったんだけど、そうでもなかったのかな。

殺人鬼ものとしては「フォロウィング」や「BATES MOTEL」などよりもサスペンスを丁寧に描いていてよく出来ていると思うのですが、今のところ視聴率もそこそこという感じらしいので、どのくらい長続きできるかは何ともいえない作品だな。

「John Dies At The End」鑑賞


『ファンタズム』シリーズや『プレスリーVSミイラ男』のドン・コスカレリによる新作。原作はCracked.comでいろいろ面白い記事を書いているデビッド・ウォンことジェイソン・パージンの小説。

内容がぶっ飛んでて、話の時系列もかなり入り乱れてるのであらすじを説明するのが難しいのだが、とりあえず劇中の出来事を箇条書きにすると:

・主人公のデビッドが怪しい中華料理屋で記者の取材を受ける。
・デビッドは謎のドラッグ「ソイ・ソース」を服用しており、その副作用で超人的な感覚を備えていたため超自然的な怪物を探知することができ、友人のジョンとゴーストバスターズ的な仕事をしていた。
・デビッドとジョンはあるパーティーで知り合ったのだが、その晩にデビッドは謎の男に車中で襲われ、誤って「ソイ・ソース」を自分に打ち込んでしまう。
・その直後に警察に逮捕されるデビッド。彼らによるとパーティーの参加者がみんな死亡するという事件が起きており、それとの関与を疑われてデビッドは逮捕されたのだ。
・さらにジョンまでもが死亡したと警察に伝えられるデビッド。愕然とする彼だったが、携帯電話にジョンからの電話がかかってきて…。

という内容に加えて、片腕のガールフレンドとか空とぶ口ヒゲとか生体コンピューターなどが出てきて、クリーチャーもたくさん出てきます。ドラッグや幻覚(?)による意味不明な展開はリンチやクローネンバーグ的でもあるのだが、基本的には悪趣味コメディに徹していて、裸のランチっぽく始まったかと思いきや「ゴーストハンターズ」みたいになり、「キャプテン・スーパーマーケット」になったかと思ったらオチは「ビル&テッド」だった、というような映画。

そもそも「ソイ・ソース」って一体何よ、という疑問から始まり、観終わったあとでも話の整合性が全然理解できなかったりするわけだが、こまけーことはいいんだよ!という気分で先の読めないドタバタな展開を楽しみましょう。個人的にはかなり面白かったよ。そんなに予算かかってないと思うがクリーチャーもCGも結構効果的に使われており、もっとハードSFっぽい映画を作ろうと思えば作れたかもしれんな(別にその必要はないとはいえ)。

デビッドとジョンを演じる役者たちはよく知らないけど、有名どころとしてはデビッドを取材する記者をポール・ジアマッティが演じている。それなりに怪演をしているのだけど、それでもこの映画では他のキャラに喰われてしまっているという。

日本で公開するかどうかは分かりませんが(追記:『クリーチャーズ 異次元からの侵略者』という題で6月にDVD出るらしい)、マグネット・リリーシングの他の作品(「RUBBER」や「タッカーとデイル」とか)に比べてもかなり楽しめる作品なので、ハイになって鑑賞することをお勧めします。

ちなみにジョンは最後に…。