「COMMON LAW」鑑賞


USAネットワークの新作シリーズ。

いわゆるバディ・コップもので、トラビスとウェスはLAPDの殺人課に務める敏腕な刑事たちだったが、微妙にウマが合わずケンカをしてばかり。しまいには銃まで出てくる大ゲンカをしたことからカップル向けのセラピー教室に通うよう上司に命じられ、渋々参加した教室ではゲイのカップルだと勘違いされつつも、どうにか協力して今日も事件を解決していくのだった…というようなプロット。

こういう作品って主人公の2人の掛け合いにすべてがかかってると思うのだけど、その点ではどうも全体的にもったりとしてる感じがするのは俺だけでしょうか。神経質な白人と気さくな黒人のコンビ、そして両者の振る舞いに頭を抱える小太りの上司、というのも非常に典型的で目新しさが無いような。第1話では俺の好きなジョン・シェアが出てるのにすぐにいなくなってしまうのも何か残念。

まあ典型的なUSAネットワークの作品といった感じで、それなりに長続きはするかもしれないけど、あの局のバディものだったら「サイク」のほうがずっと面白いよね。

「BRONSON」鑑賞


こないだの「ドライヴ」のニコラス・ウィンディング・レフンがその1つ前に監督した作品。

実在の人物で「イギリスで最も凶暴な囚人」といて知られるマイケル・ピーターソンの半生を描いたもの。子供の頃から悪ガキだったマイケルは教師や警官にも平気でたてつき、結婚してからも悪さを繰り返してついには郵便局強盗で7年の懲役をくらうことに。刑務所のなかでも看守たちにケンカを売り続け、精神病棟に入れられたりしたものの、やがて出所することに。シャバでは裏社会のボクシングの拳闘家として小銭を稼ぎ「チャールズ・ブロンソン」というリングネームを名乗ることになるが、すぐに宝石強盗で逮捕され、それからずっと刑務所で暴れることに…というような内容。

実際のブロンソンは刑務所で何回も看守たちを人質にとって騒ぎを起こし、刑務所を100回以上移転してるような筋金入りのワルなわけだが、その一方で殺人は1度も犯したことがない人物であり、劇中ではユーモアに満ちた人物として好意的に描かれている。

ブロンソンを演じるのはトム・ハーディで、彼のモノローグで話が進んでいくこともあり、彼の一人芝居のような映画になっている。既に「WARRIOR」を観てるので彼の筋肉モリモリの姿にはさほど驚かなかったが、フルチンになって体にバターを塗りたくり、看守に戦いを挑むという狂気に満ちた演技を見せてくれる。「ダークナイト」のベインがジョーカーを演じてるような感じ。彼って「スター・トレック/ネメシス」のときは細身の若造といったイメージだったが、大化けしたよなあ。

主人公がアウトローでシンセポップが用いられてるあたりは「ドライヴ」に通じるものがあるものの、あの映画のノリを期待してると裏切られるかも。むしろ荘厳なクラシックが多用され、暴力行為がスタイリッシュに描かれてるところは「時計じかけのオレンジ」に似てるかな。ただし最初から最後まで主人公が内面的にいっさい成長しないというのはどうなのよ?いちおう刑務所でアートに目覚めるという描写はあるものの、そのまま指南役を人質にしてしまうような有様だし。ちなみに彼の描く絵はアウトサイダー・アートそのまんまで、彼の公式サイト(!)で購入できるぞ。

犯罪者を美化してることとかは構わないんだが、どうも話にメリハリが無いような。拳闘を扱ってるという意味では「ドライヴ」よりもレフンの次作「Only God Forgives」がこれに似た作品になるのかもしれない。

「The Legend of Korra」鑑賞


ファンや批評家たちに絶賛されつつも(シャマランの映画版と一緒にするなよ)2008年に終了した、ニコロデオンのアニメ「アバター 伝説の少年アン」の続編シリーズ。

舞台となるのは前作から70年後の世界。風・土・火・水の4元素を自在に操ることのできる「アバター」となったアンによって世界の平和は取り戻され、長い年月のあとアンはその寿命を全うしていた。そして水の国に生まれた少女コラは次のアバターとなる才能を秘めた存在であり、アバターとして大成する修行を積むために大都市リパブリック・シティに向かうのだが、そこでは謎の仮面の男が率いる、反アバターの勢力が勃興していた…というようなプロット。

アンの息子とかも出てきて、前シリーズを観てないとちょっと話がつかみにくいところもあるものの、全体的にとても楽しめる内容になっている。前作は幼い少年のアンが主人公だったのでお子様向けの印象が強かったんだが、今回は主人公コラの年齢がハイティーンになったこともあり、より幅広い年齢層が楽しめるんじゃないかな。アクションありロマンスありコメディありの絶妙な脚本に加え、20世紀初頭の中国の都市をイメージした風景も非常に美しい。

そして圧巻なのはアニメーションの出来で、プロの格闘家を雇ったという格闘シーンなどは絵が動く動く。ジャパニメーションの影響を受けていることは間違いないんだが、日本のアニメでもここまで絵が動く作品って少ないんじゃないだろうか。よくある「口や目だけ動くシーン」などは皆無で、髪の毛とかもユサユサ動くあたり、かなりの労力がかかってるんじゃないかと。CGの使い方も巧いし。あと第1話ではゲスト声優になんとエヴァ・マリー・セイントを起用してました。

女の子の成長を描いた健全な冒険譚だし、これNHKとかで放送すればいいと思うんだけどね。日本はニコロデオン作品がなかなか普及しないのが残念なところです。

「ヘイワイヤー」鑑賞


スティーブン・ソダーバーグの新作で、脚本は彼と何度か組んでるレム・ドブス。

マロリーはアメリカ政府に雇われた私企業の特殊エージェントで、バルセロナに監禁されている中国の要人を救出するというミッションに成功したのち、新たな指令を受けてダブリンに向かうものの、そこで仲間のエージェントの裏切りに遭う。自分がワナにはめられたことを知ったマロリーは単身ダブリンを抜け出し、アメリカに戻って彼女の元上司に復讐を誓うのだった…というようなストーリー。プロット自体は比較的シンプルなんだけど、登場人物が多いことやフラッシュバック形式で話が語られることから、ちょっと物語を追うのがしんどいところがあるかも。

主人公のマロリーを演じるのは現役の総合格闘家であるジーナ・カラーノで、これまでの演技経験は殆ど無し。ソダーバーグがたまたまテレビで彼女の試合を見て惚れ込んだらしいが、そんな彼女を主役に起用し、さらにマイケル・ダグラスにユアン・マクレガーにマイケル・ファスベンダーにチャニング・テイタムにアントニオ・バンデラスなどといった、やたら豪華な男優たちを脇役に揃えてしまうところがソダーバーグの凄いところか。そしてこのうちの何人かは当然ながらカラーノに劇中でボコボコにされてます。

女性格闘家が主役のアクションというと「ビデオボーイ」の裏表紙とかで宣伝されてたようなB級・C級のビデオムービーが連想されるのですが。この作品はソダーバーグが撮っているだけあって格闘シーンなども非常にスタイリッシュなものになっている。そしてやはり現役の格闘家であるカラーノのアクションが非常にさまになっていて、回し蹴りとかジャンプしてグーでパンチする姿などがいちいち決まっており、当たったらマジで痛そうだなあ。相手をしとめるのに遠くから狙撃などせず、後ろから走ってきてブン殴るというのは仕事の効率的にどうよ、という気がしなくもないけど。彼女はルックスも演技も悪くはないので、今後もいろんな映画で見かけることになるんじゃないかな。

アクション・サスペンスとはいえ派手なドンパチが繰り広げられるような内容ではないので、アメリカでは批評家たちには褒められた一方で観客の評判は芳しくなかったらしいけど、個人的には結構楽しめた作品でした。

「VEEP」鑑賞


HBOの新作シリーズ。

あまり日本では知られてないがイギリスのTV業界にはアーマンド・イアヌーチ(ヤヌーチ?)という人がいまして、クリス・モリスと組んだりスティーブ・クーガンと一緒に「アラン・パートリッジ」を作ったりと、90年代からずっとトンガったコメディ番組を作ってる非常に腕利きの監督・脚本家・プロデューサーなのですよ。その彼の代表作に、英国首相の口の悪い補佐官の奮闘を描いた「THE THICK OF IT」(およびその映画版「IN THE LOOP」)という作品があるんだが、この「VEEP」はそのアメリカ版というべき内容になっている。

題名通り話の主人公はアメリカの副大統領(Vice PresidentだからVeepね)のセリーナ・メイヤーで、彼女は気さくな性格を持っている一方でどこか抜けたところがあり、スピーチなどで失言をしてドジを踏むようなタイプ。そんな彼女を支えるはずのスタッフも間抜けか野心家ばかりで、まっとうに仕事ができない有様。こうしてセリーナの周りではトラブルが次々と発生し…というようなプロットになっている。

主人公のセリーナを演じるのは「サインフェルド」のジュリア・ルイス・ドレイファスで、50歳超えてるというのにコケティッシュな演技が似合うなあ。あとは彼女の補佐官を「アレステッド・ディベロップメント」のトニー・ヘイルが演じていた。ちなみに大統領は画面上に登場しない設定になっているらしい。

ラフ・トラックなどは無くて、「THE OFFICE」などのように気まずい展開を笑うタイプのコメディだが、セリフの量がやたら多くてストーリーがテンポ良く進むような感じ。また「THE THICK OF IT」同様にありとあらゆる罵詈雑言が繰り出されるぞ。実際のホワイトハウスもこんなに無能な人たちが揃ってるだろうかと想像すると怖いものがあるし、野心家のスタッフの態度にはかなりムカついたりもしたんだが、コメディとしては何度も大笑いできるところがあった番組かと。

なんか「THE THICK OF IT」はこんどWOWOWでやるそうですが、これもいずれ日本で観られたりするんですかね?