「LOVE BITES」鑑賞


NBCの新シリーズ。といってもこれも製作されてから1年後にやっと放送された訳あり物件。登場人物が「ギャラクティカ」の最終回について語ってたり、BGMに「Great DJ」とか「1901」とかが使われてるのを聴くと、微妙な古くささを感じてしまうね。

内容は要するにテレビ版「ラブ・アクチュアリー」で、アメリカの各都市における男女の恋愛模様がアンソロジー形式で描かれていく。第1話では男をひっかけるために自分は処女だと偽った女性が、いざ男を連れ込んだら相手が気兼ねしてセックスしてくれないという話や、職場をクビになった男性が気落ちして帰宅したら、妻がバイブレーターにハマっていてさらに気落ちしたという話、そしてジェニファー・ラブ・ヒューイットのファンの男性が飛行機のなかでヒューレット本人と同席になり、やがていい仲になってしまい…という話の3つが語られていた。出演はヒューイット本人のほか、クリステン・リッター(はあと)とかクレイグ・ロビンソンなど。

いちおう狂言廻し的なキャラクターもいるようだけど、アンソロジー番組っていまどき地上波で通用するものなのかね?女性向けのニッチなケーブル局なら少しは長続きしそうだけど。NBCもそれを分かっていて放送を遅らせたんだろう。あと時間の都合からか恋愛の過程などはじっくり描かず、話がすべてセックスに直結してるのもどうかと思うけどね。

この調子だと1回あたり2〜3の男女の出会いが描かれるんだろうけど、30数年生きていてろくな出会いを体験したことのない1視聴者としては、「そんな幸運な出会いなんぞねえよ、ケッ!」と画面に悪態をつきたくなるのです。

「探偵<スルース>」鑑賞


以前から観たかったローレンス・オリヴィエとマイケル・ケインの密室劇。何故か日本やアメリカでは長らくDVDが絶版になっており、イギリス版を買おうかと考えていたらなんとYouTubeに全編がアップされていた。これも日頃の行いのおかげ、ということにしておこう。

郊外の大邸宅に住む老推理作家(オリヴィエ)のもとに美容室を営む青年(ケイン)が招かれる。実は作家の妻と青年は不倫関係にあり、それを知っていた作家は青年を陥れるために自宅の宝石の盗難詐欺の話をもちかけるのだが…というようなストーリー。もともとは舞台芝居で、話の展開から察するに3幕ものかな?

ミステリー仕掛けなのでいろいろドンデン返しなどもあったりするのだけど、あまり謎解きの要素などは強くなくて、邦題にあるような「探偵」も出てこなかったりする。オリヴィエとケインの巧妙かつ辛辣な会話を楽しむ作品といったところか。女性問題からはじまった対決が、いつの間にか階級闘争につながっていくあたりがイギリス映画らしいですね。最初はオリヴィエに手玉にとられていたケインが、徐々に彼に復讐していく流れが巧い。いまでは賢い老人を演じることが多いケインだが、不遜な若者を演じていたこの頃の演技も俺は好きです。

主演の2人以外は出演者が全くおらず、ロケーションも非常に限られている作品だが、オリヴィエが蒐集している人形のショットなどが効果的に絡められ、観ていて飽きない出来になっている。それでも2時間ちょっとという尺は長いと思うけどね。最近ケネス・ブラナーがリメークしたものは89分という出来らしいが、どういう演出がされてるんだろう。あと話の最後に出てくる赤いレインコートの意味を誰か知っていたら教えてください。

ちなみに「This Charming Man」の「A jumped-up pantry boy who never knew his place」ってこの映画からの引用だったのか。

「Franklin & Bash」鑑賞


TNTの新作ドラマ。でもパイロットは1年くらい前に製作されてたらしい。

いわゆるおちゃらけ弁護士もので、文字通りアンビュランス・チェイサーとして生計を立てていた若手弁護士のフランクリンとバッシュは、その型破りな法廷弁論をもって大手法律事務所との訴訟合戦に勝ったことから、その事務所の会長(マルコム・マクドウェル!)に気に入られて事務所に迎え入れられることになる。大きなオフィスを与えられて満足する2人だが、会長の甥が訴訟で不正をしようとしているのを知り、仲間たちとともに不正を阻止しようとする…というのが第1話のストーリー。

主演は「ガーフィールド」のブレッキン・メイヤーにマーク・ポール・ゴスラー(って誰だっけ)。基本的にコメディなので気軽に観られるところはあるんだが、既にデビッド・E・ケリーが何年も前に通った道を辿っているだけ、という印象は否めない。ケリーって全盛期は粗悪乱造してるイメージがあって好きじゃなかったけど、今になって思うと話のツボはちゃんと抑えてたし、社会問題などもうまく織り込んで巧みだったよな。

良くも悪くもないような作品だが、本国での評判はあまりよろしくないようなので長続きはしないかも。マルコム・マクドウェルはもっと大事に使わないといけませんぞ。

「Cave of Forgotten Dreams」鑑賞


ヴェルナー・ヘルツォークが3D映画を作った!ということで話題になった作品。でも俺が観に行った映画館では2D上映だったよ。

フランスのショーヴェ洞窟を扱ったドキュメンタリーで、そこで発見された3万年以上前の壁画についての解説がずっと行われていく。落盤により入り口が長い間封鎖されていた洞窟のはるか奥の壁に浮かび上がる壁画の数々はどれもが神秘的で、現代人が見ても一目で馬や牛などが分かるその画力には感嘆を禁じえない。動物の動きを表すために8本の足が描かれた絵があるとか、特定の個人の手形が洞窟のあちこちに見受けられるとか、絵によっては5000年の間をおいて描かれてるものもあるとか、近年の調査によって明らかになった驚異の事実がいろいろ語られていく。それとこの洞窟に対するさまざま研究の成果や、保存に対する取り組みなどの解説もされるんだが、一般客向けに公開してるわけでもないのに様々な技術を導入して調査をしているフランス政府は偉いよな。

ただし従来のヘルツォークの優れたドキュメンタリーでは、「グリズリー・マン」のように大いなる自然とそれに対する人間の対比が効果的に描かれていたのに比べ、今回は人間が不在というか遠い昔にいなくなってしまっているため、ちょっと話の盛り上がりに欠けるところがあるかな。よってテレビの科学番組のようなノリになってしまっているところもあり、ついウトウトしてしまったよ。でも洞窟を調査する現代の科学者にはユニークな人もいて、もともとサーカスの大道芸人だったけど科学にあこがれて科学者になったなんて人が出てきたのは面白かったな。

あと3Dの効果については何も言えないが、洞窟の中の撮影は機材が最小限に限られていたため映像がお世辞にも奇麗とは言い難く、どれだけ3Dでとった意味があったんだろう?むしろ洞窟の外の光景をリモコン式の小型飛行機(ヘリ?)で撮ったショットのほうが印象的だった。

そして個人的にギョッとしたのが、映画の終盤にポストスクリプトとして語られる話で、洞窟のすぐ近くには原子力発電所が建っていて、そこでは発電所からの温水によりワニの飼育所があるという件。3万年前には氷河で覆われていたところに、いまでは熱帯の動物が棲むようになっているというオチなんだが、むしろ原発に深刻な事故が起きたら3万年どころか10万年も洞窟がまた立ち入れない場所になるんじゃないかと心配してしまった。放射能とはたぶん関係ないんだろうが、アルビノのワニが飼われていたのもちょっと不気味だったな。

映画四本

出張帰りの飛行機のなかでは映画を4つ観たのだよ:

「ガリバー旅行記」
ジャック・ブラックは嫌いじゃないんだけどね。こういう凡作でありきたりな役ばかり演じてるとそろそろ飽きられるんじゃないかと。意中の人がアマンダ・ピートだってのもいいかげん無理があるよな。せっかく脇役にクリス・オダウドとかキャサリン・テイトとか使ってんのにこの出来とは勿体ない。特に後者は殆どセリフがなかったような。あとジェイソン・シーゲルはもうちょっと痩せたほうがいいと思う。

「ファースター 怒りの銃弾」
むかし銀行強盗をしたあとに襲撃され、兄を殺され金を奪われたザ・ロック様が、出所後に自分を襲撃した連中に復讐していくアクション。でも主人公はあまり復讐心に燃えてなくて困惑した顔で人を殺してるし、復讐される側もみんな「あーついにこの時がきたかー。」といった感じで半ば諦めてて、まっとうなバトルは展開されない。というか主人公、刺し殺したはずの相手が蘇生したので病院まで行ってさらに撃ち殺すというのはなんか情けないぞ。これに定年間近の警部とか動機不明の殺し屋とかが加わり、伏線もないまま腹の立つような展開が待つラストを迎えていた。何も観る価値がない駄作。

「ナルニア国物語/第3章」
おれ小中学生のときに原作を全部読んだはずなのだけど、この話の内容は完全に忘れてしまっていたよ。マイケル・アプテッドが監督してるのに子供たちよりもCGにばかり焦点が当てられてしまっているのが残念。キリスト教徒をターゲットにした映画なので、アスランが話したりするたびに「これはキリストのどういうアレゴリーなんだ?」と変に穿った見方をしてしまった。

「デビルクエスト」
ニコラス・ケイジがまた女性に暴力を振るう映画。こないだDV容疑で逮捕されたことを考えるとあまり笑えんな。中世の騎士が魔女を檻に入れて運ぶだけの内容で、照明は単調だしCGはゲームなみだし何もいいところなし。こんなの日本で劇場公開するんだったら他にもっといい映画が山ほどあるだろうに!ケイジはもう真面目な映画に出ない方がいいんじゃないだろか。

半ば寝ながらでも話を追っていける映画ばかり選んだら、結局のところダメ映画ばかりになってしまった。こんなんだったら「ブルー・バレンタイン」でも観とけばよかったな。