「MEGAMIND」鑑賞


個人的に「ヒックとドラゴン」で大きく株を上げたドリームワークス・アニメーションの新作。これ日本では劇場公開されないんだよな。勿体ない。

崩壊する惑星から赤ん坊のときに両親によって脱出させられ、地球に辿り着いた異星人メガマインド。彼は到着した先が刑務所だったことから囚人たちに悪の道を教え込まれ、さらにその青色の肌とハゲ頭という外見が災いして学校で仲間はずれにされたことなどから心がひねくれ、史上最強の悪党になることを決心する。しかしその野望は同じく他の星からやってきた正義のヒーロー、メトロマンによって常に打ち砕かれ、いつもメガマインドは刑務所送りになっていた。しかしある日、メガマインドの立てた計画のなかでメトロマンの意外な弱点が明らかになり、なんとメトロマンは死亡してしまう。こうしてメガマインドは世界(というか舞台となる街)を支配することが出来たのだが、いざ目的を果たしてしまった後の生活は彼にとって空しいものだった。そんななか彼は意中のTVレポーターであるロクサーヌに変装して近づくのだったが…というような話。

映画のコンセプトが「もしレックス・ルーサーがスーパーマンに勝ったら?」というものであることからも分かるように、スーパーマンの物語をうまく裏返して悪党の視点からとらえた内容になっている。よってスーパーマンに関する最低限の知識がないと十分に楽しめないかも。マーロン・ブランドーのパロディも出てくるぞ。主人公のメガマインドは悪党なんだけどその動機は非常に純真で、疎外感と劣等感を抱いていて女の子の口説き方も知らない童貞のダメ男というその姿には同情を禁じ得ないなあ。ストーリーもスーパーヒーローものの決まり事をををうまく脱構築しているというか、いい感じにヒネリがきいているといった具合。

明らかに3Dを意識した演出が多いのは置いとくにしても、アニメーションの出来もいいしアクションシーンも満載で気軽に楽しめる出来になっている。夜の街の風景とかが特に奇麗だったな。ただし有名ロック・ソングを多用してそれに合わせた演出をしてるのは何となくチープで好きじゃないな。また最後のバトルももうちょっと長くても良かったかも。そうういう意味では「ヒックとドラゴン」ほどの出来ではないけど、「カンフー・パンダ」くらいのものではあると思う。大スクリーンで観ればもっと楽しいと思うんだけどね。ホント勿体ないよね。

「FOUR LIONS」鑑賞


以前にも何度か紹介した、ドジで愉快なテロリストたちのドタバタを描いたクリス・モリスの風刺映画をやっと観たのですよ。

映画のコンセプトについてはここに書いたが、要するに一見すると不気味で怖いイスラムのテロリストたちも実は間の抜けた普通の人たちなんですよ、というような内容。話の主人公となるのはシェフィールドに住む4人のイスラム過激派の若者たちで、彼らはカッコつけてテロのメッセージを撮影し、いつか自爆テロを起こして英雄扱いされることを夢見ているものの、何を爆破すればいいのかも思いつかないような呑気な連中で、パキスタンのテロリスト養成所に召還されてもあまりの役立たなさにすぐ追い出されるほどだった。それでも彼らはめげずに昼夜せっせと爆弾作りに励み、新メンバーを迎え入れたりするものの、メンバーの1人が爆弾を抱えて転んで爆死したりと災難続き。そしてついに彼らはロンドン・マラソンで自爆テロを起こそうと決意し、ロンドンに向かうのだが…というようなストーリー。

テロリストたちをステロタイプ化して馬鹿にした内容だったら単なる差別映画になってたろうが、クリス・モリスってもっと頭のいい人なので、しっかり時間をかけてさまざまなテロリストの生活などについて調べあげ、結局のところ彼らは普通の人間なんだよということを描いている。過激な思想を持っている一方で彼らはラップやダンスを愛し、メンバーのリーダーは良き夫で父親なのだ(自爆テロを切望する夫に理解を示す妻というのはちょっと不気味だったが)。テロ計画を成功させようと無い知恵を必死に絞るその姿は、うまいオレオレ詐欺を考えつこうと努力する日本のDQN青年たちのようであったよ。

なおモリス本人は出演してないこともあり、あの傑作シリーズ「BRASS EYE」などとはちょっと違ったタイプのブラックコメディーになってるかな。あっちがシュールで極悪なジョークを連発していたのに対し、こちらは当然ながらストーリー重視になっているというか。会話のあちこちに挿入されてるジョークには腹をかかえて笑ったけど、終盤になって人がどんどん自爆するようになると少し現実味に欠けてきて、ややハリウッド的な展開になってしまったかもしれない。でも意外とペーソスに満ちた終わり方は良かったな。

内容が内容だけにこの映画が日本で公開されるとは思えないが、こういうテロリストのイメージと実情のギャップって、日本のネトウヨにとっての在日とか中国人のそれと通じるものがあるんじゃないの。いずれ外国人が一斉に蜂起して日本を侵略すると怯えてる人がいたらこの映画を見せて、怖そうな人たちも実は愉快な連中なんですよと教えてあげるのもいいかもしれない。

「Christopher and His Kind 」鑑賞


11代目ドクター・フーことマット・スミス主演のBBCのTVムービー。ゲイの小説家だったクリストファー・イシャーウッドの自伝を映像化したものらしいが… イシャーウッドって誰だっけ。

舞台となるのは1930年代のベルリン。イギリスの実家の堅苦しい生活を嫌ったクリストファーは、新天地を求めてベルリンへとやって来て、そこでさまざまな人物と出会い、多くの男性と恋に落ちる。英語の教師として糊口をしのぎながら文筆業を続け、ベルリンでの生活を満喫する彼だったが、同性愛者やユダヤ人を迫害するナチスの脅威がやがて迫ってきて…というような話。

前半はクリストファーの男性遍歴が描かれ、当然ながら濃厚なベッドシーンなどもあり。「ドクター・フー」が好きな腐女子にはたまらん光景でしょうか。そして後半は彼の友人がベルリンを去り、ナチスが台頭するさまが描かれている。ただし主人公自身は迫害に遭うわけでもないし、政治活動に走るわけでもなく、時代の移り変わりをただ横で傍観してるだけ。物事が切羽詰まってくると恋人を連れて安全な実家に帰るし、どうも盛り上がりに欠けるんだよな。それなりに製作費をかけた作品なんだろうけど、NHKの歴史ドラマを観てるような、どうも淡々とした印象を受けることは否めない(NHKのドラマでゲイのセックスを観られることはないだろうが)。

主人公がマット・スミスなので、どこかで突然青い電話ボックスが登場するんじゃないかと思いつつも観てしまったけど、それなりの好演はしてますよ。でもやはり彼はクセのある変人を演じたほうが似合うと思うけどね。イシャーウッドの小説に馴染みのある人ならもっと違う感想を抱くかもしれないが、とりあえず個人的にはごく凡庸な作品でありました。

「恋とニュースのつくり方」鑑賞


震災のあとに観て楽しめるかなと思いつつ映画館に行ったんだけど、いい気分転換になった。皆さんもこういう息抜きをおすすめします。

内容はレイチェル・マクアダムス演じるTVプロデューサーの主人公が念願の全国ネットワークに就職して早朝番組を担当するものの、その番組の視聴率は最低でキャスターもやる気なし。そこで彼女は大ナタをふるって男性キャスターを解雇し、ハリソン・フォード演じるベテランニュースキャスターを夜の番組から連れてくるが、彼は堅気なニュースにこだわる頑固者で…というようなもので、働く女性ものの映画としてはまあベタな出来かな。

でも話のテンポが速くて観てて飽きないうえ、登場人物のやりとりもなかなか巧妙で面白い。風刺というわけではないけどテレビにおけるニュースと娯楽のバランスについて語られたり、頑固オヤジが徐々に心を開いていくあたりもうまく描けてるかな。ハリソン・フォードってご存知の通り演技の幅がとても狭い人で、本人ももはや演技に対する情熱があまり残ってなさそうなので主役として映画を抱えるのはしんどいところにきてたんだが、この作品では脇役にまわり、彼がいま唯一ちゃんと演じられる役であろう頑固オヤジを好演している。キャスターとして彼とタッグを組むダイアン・キートンは、ここ最近お馴染みとなった「変人だけど寛容なオールドミス」という役柄で、もうちょっと他の役も演じようよと思うけど、まあ似合ってるからいいや。主人公のボーイフレンドを演じるパトリック・ウィルソンだけがとってつけたような役柄の気がしたけど、どうも働く女性ものの映画って彼氏の存在がおろそかになるようで。もちろん主人公のマクアダムスはいい感じですよ。

映画館まで観に行くほどの作品ではないかもしれないけど、DVDやテレビでさらっと観るなら十分に楽しめるであろう佳作。

地震

宮城あたりに比べれば関東の被害なんて微々たるものだが、あとで思い返すときの参考になるかもしれないので自分の経験を記しておきます。

最初の地震があったのは昼食をとったあとで、なんとなく揺れを感じながら歯を磨こうとトイレへ。そしたら揺れが半端じゃなくなってきて、トイレに入ってた同僚の人たちも青ざめた顔をして出てきて、そのまま一緒に非常階段で地上に向かうことに。うちの職場は高層ビルの20階あたりにあるんだけど、建物自体の揺れも加わるのかえらく揺れたんですよ。それで階段を20階降りるのにもかなりの時間と体力を費やしたわけだが、地上に着く頃には揺れが収まってたかな。外には既に多くの人たちが集まっていて、携帯でニュースをチェックしてる人たちの「宮城では震度7」という驚きの声を耳にする。付近では崩壊や火事などの被害はなし。ただ後で知ったけど近くの工事現場のクレーンが傾いたらしい。

しばらく外にいたけどコートもなくて寒かったし、片付けたい仕事もあったので非常階段を使ってまたオフィスへ戻ることに。安全点検のためエレベーターはすべて停止していた。揺れは収まってもビルがまだ揺れていて、壁とかがギシギシ音を立ててるのは非常に不気味でしたよ。壁のあちこちに亀裂がはいってたし、壁の漆喰もポロポロ落ちていたな。

それで汗かきながら20階ほど上ってオフィスに戻ると、すでに仙台では津波が発生し、車がゴミのごとく流されていく光景がテレビで報じられていた。なんかえらいことが起きてるなと実感しはじめてるときに、大きな余震が発生。最初のと同じくらい大きいものに感じられたけど、また地上に避難するのもイヤなのでオフィス内をグルグル歩きまわって対処。なんかこう、机の下にもぐるよりも、自分で動いて体を揺らしたほうが揺れに対処できるような、そんな感じだったんですね。

それから後はエレベーターや交通機関が止まってるのですぐに帰宅はできないし、ニュースやネットで災害の情報をチェックしながら、放心状態になりつつも仕事をいくつか片付ける。埼玉の実家には電話がつながらないので心配するが、一方ではネットが生きてるのでメールやツイッターなどで知人の安否を確認。こういうときのツィッターの効力はすごいですね。最新の情報がどんどん入ってくる。デマもずいぶん拡散されたようだけど。

そんなこんなで夜になり、交通機関は相変わらずストップしたままだったけど、家の状況なども心配だったので帰宅することに。幸いにもうちは職場から歩いて1時間ほどのところにあり、以前にも歩いて帰ったことがあるので不安はなかった。この日はジムに行く予定だったけど、こんな形で運動することになろうとは。非常階段を下りて地上に着くと、他にも多くの人たちが歩いて帰宅していた。駅の周辺とかも思っていたほど混雑してなかったかな。途中でメシ食ってこうかとも思ったけど、開いている店はどこも混んでいたのでそのまま歩き続ける。自宅の直前で実家から電話があり、両親とも無事であることを確認。

帰宅したら意外と部屋の中は乱れておらず、冷蔵庫の上の食器が落ちていたくらい。ガスも水道も電気も通じていたが、節電してくださいという東京電力のアナウンスがあったのでエアコンは控え目にする。カップラーメン食べて風呂に入ったらその日の疲れがどっと出て、早めに寝ることに。しかし余震で何度も目が覚めて、実に気分の悪い一夜でしたよ。

それで今朝起きたらふくらはぎが筋肉痛でしんどいことになってて、1時間歩いただけでこんなことになるのって情けないよなあ。この週末はコメディ映画を何本か観る予定だったけど、そんな気分でもないので、原発のニュースを気にしながら無作為に時間を過ごす。

まあいろいろあったけど自分の受けた被害なんて微々たるものでして、今回の地震で亡くなられた方のご冥福をお祈りします。また安否を気遣って連絡をいただいた知人の皆様、どうもありがとう。とりあえず今の自分にできることは節電ですかね。いずれ会社ぐるみで募金をすると思うのでその際にささやかながら寄付をしようかと思います。