「BREAKOUT KINGS」鑑賞


脱獄ドラマ「プリズン・ブレイク」のスタッフが贈る、新たな脱獄ドラマ…って他にネタは無いのかよあんたら。A&Eの新作シリーズだけどケーブル向けに作られたわけではなくて、どうも地上波ネットワークで拾われなかった番組を持ってきたものらしい。

狡猾な脱獄犯たちに頭を悩ませていた連邦保安官のチャーリーは、型破りな刑事のレイと組んで特殊チームを結成。犯罪者のことをいちばん良く分かるのは犯罪者だということで、女性詐欺師やギャンブル中毒の天才犯罪者といった3人の囚人を監獄から雇い、彼らの刑期を短くする代わりに彼らを使って脱獄犯の行方を追うのだった…というようなプロット。

お固い主人公とマイペース型の相棒に、それぞれ特技を持った3人組というキャラクター設定はあまり目新しいもんでもないよな。3人の囚人がそれぞれ白人と黒人と女性というのは「モッド・スクワッド」かと思ったぞ。ストーリーも凡庸で、型にはまった展開がずっと続くような感じ。5人もスタッフがいて1人の脱獄犯にどれだけ裏をかかれてるんだよ。あとこないだの「クリミナル・マインド」のスピンオフでも思ったけど、本部で留守番してるコンピューター係の女の子ってどうにかならんかね。コンピューターをちょっといじくるだけで重要な手がかりがボロボロ出てくるというのは、どうも捜査の醍醐味を壊してるんじゃないかと。

見所があるとすれば、「ザ・ワイヤー」のハークことドメニク・ロンバルドッツィが準主役で出ていることか。やはり「ザ・ワイヤー」の役者を他の番組で観られることは嬉しいのです。あと最近いろんなドラマにキモメン役で出ているジミ・シンプソンも出てるぞ。

個人的に「プリズン・ブレイク」って何が面白いのかまるで分からなかったけど、これも同じようなクオリティの番組になりそうでちょっと心配。

「127時間」鑑賞


最初に言っとくとグロ注意。切断シーンはやはり痛いよ痛いよ痛いよ。デートで観たりするとちょっとしんどいことになるかも。

これを観る人の殆どがストーリーの展開および結末を事前に知っているだろうし、場所の移動などは皆無に等しい内容でありながら(だって人が5日間岩のあいだに閉じ込められる話だぜ?)、映画としてここまで楽しめる出来にしてしまった手腕はやはり凄いなあと。普通だったらどこかのケーブル局がTVムービー化する程度だったろうに。

以前にも書いたがダニー・ボイルっていま活躍中の映画監督のなかでも抜群の映像センスを持った人で、ミュージック・クリップ出身の監督たちとも違った独特のスタイルを誇っていると思うんだけど、前作「スラムドッグ・ミリオネア」ではその映像美が行き着くところまで行ってしまったような気がしたんだよな。そして今作も基本的にはそのスタイルが踏襲されているんだけど、話の展開自体はとても地味なので、それを映像美が補うことでいい感じの相乗効果が生まれている。自分の尿を飲むシーンをスタイリッシュに描ける監督というのはそういないだろう。

自分の腕を岩に挟まれて身動きできなくなった主人公の苦境と、彼の回想や妄想がカットバックする作りは「トレインスポッティング」でレントン君がベッドで寝込んでるシーンの雰囲気に近いかな。狭い岩間と、そこから見える頭上の青い空との対比などが非常に効果的。話を通じて主人公が大きく成長するような話ではないので「スラムドッグ」に比べると弱冠物足りない感じもするが、とても良く出来た作品ですよ。

「ALL-STAR SUPERMAN」鑑賞


DCコミックスの新作アニメーション映画。グラント・モリソンとフランク・クワイトリーによるミニ・シリーズを映像化したもので、原作はスーパーマン作品としては数十年に1度の傑作と言われるほど高い評価を得ているんだよな。

ストーリーは既存のコンティニュイティ—と関係のない独自の設定になっていて、宿敵レックス・ルーサーの策略により大量の太陽エネルギーを浴びたスーパーマンは力が増大したものの体の細胞が飽和状態となって炸裂を続けており、やがてそれが自らの死に至ることを知る。死が迫っていることを知ったスーパーマンは、この世からいなくなる前に自分に課せられた課題を解決していこうとするのだが…というような話。原作のストーリーをうまく拾ってはいるんだけど、ビザーロ・ワールドでの冒険やジョナサン・ケントの死などといったエピソードは省かれている。個人的にはユニバースQとか飛び降り自殺を阻止する話とかの細かいところも含めて欲しかったんだけど、まあ無理か。

原作は話の展開が比較的ゆっくりしていて、それがモリソンのトリッピーな話とクワイトリーの夢想的なアートにうまく合っていたんだけど、アニメーションでは各エピソードが凝縮されて並べられている感じで、どことなくせわしない感じになってしまったのは残念。原作を読んでないと意味が分かりにくいシーンが多々あるかも。まあ原作自体もコミックスに詳しくないと分からないマイナーなキャラがいろいろ出てたんですが。暴君太陽ソラリスとか。

あと絵柄は原作のアートと大幅に違っていて、従来のDCのアニメーション作品のスタイルを踏襲したものになっている。フランク・クワイトリーのアートって一見するとすごくクセがあるんだけど、その奇抜なキャラクターデザインや宙に浮いているような感じのスタイルはとても好きなので、もうちょっと原作に近い絵柄にしても良かったかと思う。なお原作が高い評価を得たのは、万能の存在であるスーパーマンを非常にリラックスした大人のキャラクターとして描いたことで、変に悩んだりせずどんな善行も厭わない姿が共感を呼んだわけだが、その部分はこのアニメーションでもうまく描かれていたと思う。

ちなみにこの作品には悲しい話が1つあって、脚本を書いたドウェイン・マクダフィーが手術後の合併症のため、よりによってこの作品の発売日に亡くなってしまったそうな。マクダフィーといえばマイルストーン・メディアという出版社を立ち上げて多くのマイノリティーのヒーローを生み出すことに貢献したほか、最近ではアニメーションのライターとして「ジャスティス・リーグ」などの優れたエピソードを担当していた人だけに、その早すぎる死が悔やまれるのです。

「Criminal Minds: Suspect Behavior」鑑賞


「クリミナル・マインド FBI行動分析課」のスピンオフなんだが、俺あっちは1話しか観たことなのでどこがどういうスピンオフになってるのかは全然分かりません。FBIにある特別班の面々を主人公にしているということで、「ロー&オーダー」における「SVU」みたいな立ち位置になるのかな。

話のつくりも「SVU」に似ていて、第1話では幼女を誘拐した変質者をエージェントたちが捜しまわるわけだが、描かれる犯罪がシリアスなものだからってストーリーがシリアスになるわけではないのよ。全体的に「これどっかで観たよね?」というような展開が続く内容になっていて、タイトルに反してエージェントたちは犯人の心理のプロファイリングなどは殆どせずに聞き込みを行ってるだけだし、そうしてるうちにコンピューター係のエージェントがキーボードをパチパチ叩くとデータベースから手がかりが山ほど出てくるという実に安易な展開になってるかと。

唯一の取り柄としては出演者が豪華なことで、アカデミー賞男優のフォレスト・ウィテカーをはじめ、戦う左翼のコメディエンヌことジャニーン・ガロファロといった俺好みの役者が出てるんですよ。リチャード・シフもちょろっと出てたな。でもこれってつまり彼らがつまらないTVシリーズに出ているということでして、誰が真面目な演技をしてるガロファロを観たいのかと。ウィテカーだって「ゴースト・ドッグ」の演技とかは大変素晴らしかったのに。

それなりに長続きはするかもしれないが、新しいものを期待しているなら観るべきではない作品かな。

「CHICAGO CODE」鑑賞


フォックスの新作シリーズで、舞台は当然ながらシカゴ。

汚職がはびこる街シカゴにおいて、警察の殺人課に務めるジャレク・ウィソッキは正義感が強いものの、自分流の捜査をすることで仲間に嫌われ次々とパートナーが代わっている警官だった。彼の旧友であるテレサは出世街道をひた走り、女性として初の警視総監となって街を浄化しようと努力する。これにジャレクの姪や新しい相棒が加わり、警察は街の汚職を一掃しようとするが、シカゴ市長よりも大きな権力を持つという議員が彼らの前に立ちふさがるのだった…というような話。

「ザ・シールド」のショーン・ライアンが作っただけあって、単純な警察ものというよりも、都会の犯罪と汚職をリアルに描いた内容になってるのかな。そういう意味では地上波ネットワークよりもケーブル局で放送されたほうがいろいろできて面白くなったんじゃないかという気もする。第1話を観た限りだと、どうも何を目指してるのかよく分からない感じがしたんだよな。警察ドラマと政治ドラマの中間にぶら下がってるというか。

主人公のウィソッキを演じるジェイソン・クラークって役者はよく知らんなあ。というかウィソッキという名前が「カワサキ」とか「イワサキ」って言ってるように聞こえるんですが。テレサを演じるのは日本人にもよく知られたジェニファー・ビールスで、黒幕の議員を演じるのがデルロイ・リンド。上のイメージ写真を観れば分かるようにリンド演じる議員が準主役のごとき扱いを得ているので、彼がすぐさま失脚するようなことはないかと。そうなると警察と汚職のイタチごっこみたいなのがずっと続く展開になるのかなあ。

でもまあカーチェイスのシーンとかは迫力あるし、向こうの評判は良いらしいのでしばらく続くかも。個人的にはやはりこんなのよりも「ザ・ワイヤー」を観ろ、と言いたいですが。