
明けましておめでとうございます。
うぁああ、俺もう年男じゃんかよ。2009年もまたロクなことがないまま、あっという間に過ぎてしまった年のような気がする。でも去年の元旦に書いたことを見ると、それなりに自分が期待したことは起きてるんだよな(マイブラの新譜は…)。今年に期待するものって何だろう。あまり思いつかないな。もうどうでもいいや。とりあえず大きな病気をせず、仕事にあぶれるようなことはあって欲しくないですね。
今年もよろしくお願いいたします。皆様にとって良い年になりますように。

怪物パニック小説のパイオニアであるジョン・ウィンダムの傑作小説を、BBCが3時間の2部編成ドラマとして再映像化したもの。有名な小説だから話はみんな知ってるよね?知らない?舞台は近未来で、毒の鞭をもち移動もできるトリフィドという肉食植物から人類は良質の油を摂取することに成功し、ガソリンの代わりになるということでトリフィドを農場で育てるようになっていた。そしてある日、非常に大規模な流星群が見られることになり、世界中の人々は夜空を見上げる。しかし原因不明の現象により、流星群を見た人々はすべて盲目になってしまっていた。こうして人類が築き上げた文明は一夜にして崩壊する。さらに悪いことに、農場を脱出したトリフィドたちが人々を襲い始めるのだった…という物語。
今回の映像化も基本的には小説のプロットをなぞっているものの、人々が目撃するのが流星群でなく太陽のフレアの放射だったり、登場人物の設定などにいろいろ変更が加えられている。皆が盲目になったからってロンドンが核戦争後の世界のごとき姿になるのはどうかと思うが(ビッグ・ベンが吹き飛んでいるのはご愛嬌)、「28日後」を彷彿させるパニックの描写はなかなか面白い。
問題はそのあと目明きの人間たちの権力争いのようなものがダラダラと続くことで、肝心のトリフィドがあまり怖い存在として描かれていないような。原作を読んだのは20年以上も前になるけど(しかもジュヴナイルSF版)、もっと人類は「負けた存在」として描かれていて、トリフィドにブチブチと殺されていくような話じゃなかったっけ?今回のやつは話が進むごとに登場人物がみんな目明きの人になってしまって、人類の絶望感がどんどん希薄になってくんだよな。あと原作では流星群が細菌兵器を積んだ人工衛星を直撃したことで人類は盲目になったのではないか、という「人災説」が唱えられたのが面白かったんだけど、今回は人々が盲目になった理由の説明は一切なし。そもそもなんで地球の反対側の人たちも太陽のフレアが見れたんだろう。
主人公の科学者を演じるのは「M:I-2」のダグレイ・スコットだが、鉛のごとく固くて重い演技がダメ。周りの人の困窮をあまり気にしないまま「トリフィドが大変なことになるぞ!」と騒いでばかりいる空気の読めなさ加減がカッコ悪すぎる。その脇をヴァネッサ・レッドグレイヴやブライアン・コックスといった名優が固めているものの、あまり出番がなかったのが残念(特に前者)。いちばん演技が良かったのは憎たらしい権力者を演じるエディ・イザードだけど、彼はどの作品においても似たような役を演じる人なので、どうも作品の世界観に合わず一人で浮きまくってたような。
単純にヒドかった1962年の映画版に比べれば遥かにマシな出来だけど、せっかくの素晴らしい原作をうまく映像化できなかったのが残念な作品。話によると1981年のテレビ版は面白いらしいので、そちらもいずれ観てみようかな。

00年代の名作を着々と鑑賞。これは素晴らしい作品ですね。「インクレディブルズ」と並んで俺にとってのピクサーのベスト作品になるかも。
まずきちんとSFしているところが見事。派手なドンパチとか複雑なプロットに頼らず、極めてシンプルなコンセプトからきちんとストーリーを編み出しているところがいい。未来の堕落した人類たちの姿は「イディオクラシー」のほうが100倍くらい正確だったかもしれないが(植物には水でなくエネルギードリンクをあげなくちゃ!)、さすがに家族向け映画であそこまでは描けないか。
そしてそのシンプルなコンセプトを支える演出の巧みさ。セリフが一切無いシーンがどれだけ続こうと観る人を飽きさせず、逆に表情の殆どないロボットたちへ感情移入をさせる手腕は凄いものがあると思う。こないだも書いたが他のスタジオのアニメだったら下ネタとかセレブな声優とかをつぎこんでコテコテにしそうなものなのに、余計なものを徹底的に省いてじっくりと物語を語る術をわきまえているんだよな。人類のその後の姿が描かれていくエンド・クレジットの演出も素晴らしい。こういう作品でもヒットすることをピクサーは証明してるのに、どうして他のスタジオ(ディズニー含む)はそれに追随しないんだろう。
ちなみにこの映画のDVDを借りてきてリッピングしようとしたら、ダミーファイル(?)をいくつも作って実際のサイズよりも10倍大きく見せかけるプロテクトなんてものがかかっていた。なんか分身の術みたいでカッコいいな。

よく考えるとこのストレートな邦題って不親切だよな。00年代が終わる前に観たかった作品。ポール・トーマス・アンダーソンって「ブギー・ナイツ」や「マグノリア」における「とりあえず最後にみんな泣く」的な演出が嫌いであまり好きな監督ではなかったのですが、これは面白かった。
満たされることのない欲を持った主人公が周囲の人間を不幸にしようともつき進み、20世紀の基礎となる産業を築き上げるさまは圧巻なんだけど、この映画が何を伝えたいのかはいまいち良く分からず…単純な「強欲の肯定」ではないよな。じゃあ信仰と欲の対比かというと、あの牧師を金にこだわる人物として描いたことでその対比も薄まってしまったし。結局のところ誰もが欲に動かされているということかしらん。
ダニエル・デイ=ルイスの怪演なしでは成り立たなかった映画だが、彼ひとりでストーリーを支える必要がなく、おいしいところだけ取っていけた「ギャング・オブ・ニューヨーク」での演技のほうが個人的には好きかな(世間が何と言おうと俺はあの映画が好きだ)。あとレディオヘッドのギタリストによる音楽が予想以上に良かった。映像の背後に埋もれず、もっと前に出てきて存在感を出しているスコアというのを久しぶりに聴いたような気がする。
多くの批評家が挙げているように00年代のベスト10に入るような作品かというと、必ずしもそういう気はしなくて、同年公開された「ノーカントリー」のほうが好きなんだけど、それでも十分に見応えのある作品であったことは間違いない。

これも観てなかった00年代の名作。00年代の途中にピクサーがディズニーの子会社になったことで、坊主憎けりゃといった感じでピクサーの作品をちょっと敬遠するようになっちゃったんだよな。でもこれはピクサーのいつもながらのクオリティが保たれた、大変楽しめる作品でございました。
1時間を超すあたりまでは結構ストーリーが予定調和な感じで進んでいてあまり目新しさは感じず、ラストでレストランを継いでハッピーエンドかな…と思っていたらそのあとすぐにレストランを継ぎ、イーゴの挑戦を受けるあたりから話は俄然と面白くなってくる。やっぱりああいう先の読めない展開があると良いですね。
声優に関してはリングイニ役のルー・ロマーノは終始喘いでいる感じで主役にしてはちょっとイマイチかな。あと俺はやはりジャニーン・ガロファロの声がセクシーに感じられんのよ。逆にピーター・オトゥール によるイーゴが良かったな。最後のところは彼がいちばんおいしい役だったような。
ピクサーの作品って他のスタジオのアニメの多くと異なり時事ネタとかセレブな声優に頼らないから何年かあとに観ても古さを感じさせない点が見事ですね。急いで続きを連発して結局誰も観なくなった「シュレック」なんかとはそこらへんが違うんだよな。早く「ウォーリー」も観とかないと。