J.G.バラード死去

ガンに冒されていることは知っていたからいずれ遠くないことだとは分かっていたけれど、やはり残念。こないだも短編集を読んで、その独特の想像力と文体に酔いしれたばかりだったのに。

衝動に取り憑かれた男、フェム・ファタール、廃墟、現代文明、暴力などといったテーマの扱いかたはいずれも他の作家とは一線を画したものであり、SF界だけでなく現代イギリス文学界にも大きな影響を与えた人物だったと思う。個人的にはテクノロジー3部作や「ヴァーミリオン・サンズ」に大きな衝撃を受けたっけ。追悼の意をこめて連休中に何かまた読もうかな。

あの世ではロナルド・レーガンをファックしてください。合掌。

「バーン・アフター・リーディング」鑑賞

だめー。「レディキラーズ」がなければ俺にとってのコーエン兄弟のワースト作品かも。

彼らに映画作りの何たるかを説く気は当然無いけれど、サスペンスだろうとコメディだろうと観客が感情移入できる登場人物が最低1人はいないといけないと思うのですよ。それがこの映画の登場人物って私利私欲に取り憑かれた軽薄なバカばっかりで、誰がどんな運命に遭おうとも大して気にならないんだよな。国家機密と私生活という点ではジョゼフ・コンラッドの小説「密偵」を連想したけど、あちらは壮大な国家のイデオロギーが登場人物のケチな私欲に合わせてシュルシュルと矮小化されていく皮肉が痛快だったのに対し、この映画には別にイデオロギーなんてないからね。あとCIAが基本的に無能だという描写はブッシュ政権下だったらもっと効果的に見えたかもしれないが、今となっては、ねえ。コーエン兄弟はこの映画と「ノーカントリー」の脚本を同時期に書いていたらしいが、最終的な結果は水と油のごとくきれいに差が出たような感じ。

というわけで前回に続き、自分にとってのコーエン兄弟作品をランキング化してみる:

1、「ミラーズ・クロッシング」
2、「ブラッド・シンプル」
3、「ノーカントリー」
4、「ビッグ・リボウスキ」
5、「赤ちゃん泥棒」
6、「バートン・フィンク」
7、「オー・ブラザー!」
8、「ファーゴ」
9、「バーバー」
10、「ディボース・ショウ」
11、「未来は今」
12、「バーン・アフター・リーディング」
13、「レディキラーズ」

昔の作品は自分のなかで美化されつつあるのかな。世間的には「ブラッド・シンプル」の評価は高くないけど、床の血だまりをウインドブレーカーで拭こうとして逆に広げてしまう描写とかは非常に好きなんだよな。その一方で「ファーゴ」はやはり好きになれませんが。

「Red Dwarf: Back to Earth」鑑賞

以前にも書いた「レッド・ドワーフ」の10年ぶりの新作(全3話)。ファン待望の作品となるはずだったけど…

これは…

何と言うか…

その…

…まあいい。とりあえずストーリーから先に説明する。舞台となるのはシーズン8の最終話から9年後のレッド・ドワーフ号。あの最終話がクリフハンガーで終わったことにはいっさい説明がなくて、コチャンスキーは何故か死んだことになっておりホリーはシステム損傷のためオフライン状態。残されたリスター、リマー、キャットの3人は相変わらずグータラ生活を送っていたが、次元を自在に移動する巨大イカ生物が船の水源タンクに棲んでいる事が判明し、3人は退治を試みる。それには失敗したものの、イカの触手を切ったあとにイカは別の次元に移動していく。そこに突然(本当に突然)、有能な女性士官のホログラムが現れて、イカの触手を用いて別の次元に通じる穴を開け、そこの地球に行ってリスターのための伴侶を連れ帰り、新たに人類を再興させる計画を提案する。3人はそれに従うことにするが、何故か別の次元ではなく別の現実世界に到着してしまう。そこはいわゆる「現実の地球」であり、リスターたちは自分たちがTVシリーズのキャラクターでしかないことを知って驚愕する。そこで彼らは自分たちの「創造主」であるダグ・ネイラーに会いにいこうとするのだが…という話。

キャストは意外に老けていないし、お互いのかけ合いも上出来でレッド・ドワーフらしさは十分感じられるものの、いかんせん脚本が…。女性士官は突然現れて突然消えるし、あまり面白くない「ブレードランナー」のパロディが延々と繰り返されるし、リスターが自分を演じる俳優本人と出会うような内輪ネタはお寒い限りだし。シリーズが続いていたときにクリスマス・スペシャルとかコミック・リリーフ用特番として公開されたら内輪ネタも面白く思えたんだろうけど、10年間待ち続けたファンに見せられてもねえ。もっと普通にレッド・ドワーフしてる内容にしてくれたほうがずっと嬉しかったんだけど。あとラフ・トラックが無いのは違和感があるかな。特にキャットのジョークが空回りしまくってたような。

そして!前にも書いたが!コチャンスキーを出すんだったら初代を演じたクレア・グローガンを出せよ!クロエ・アネットではなく俺のクレアちゃんを出せ!

この「Back to Earth」の人気次第では新たなシリーズの製作開始も考えられているようだけど、とりあえずダグ・ネイラーが脚本を書き続けるようだったら出来は期待できそうにないな。あーあ。

下は若かりし頃のクレアちゃん(はぁと)。

コルベアーの例のやつ、決着編

The Colbert Report Mon – Thurs 11:30pm / 10:30c
Space Module: Colbert – Sunita Williams
colbertnation.com
Colbert Report Full Episodes Political Humor NASA Name Contest

スティーブン・コルベアーがNASAのモジュールに自分の名前をつけようとしていた件、結局のところNASAの裁量により「トランキリティー」という無難な名前になってしまったそうな。でも代わりとして、モジュールの中に積み込まれるルームランナーに「Combined Operational Load Bearing External Resistance Treadmill (COLBERT)」という名前をつけてもらえたんだとさ。まあ無難な決着のつけかたかな。

ちなみにこの件、日本のTechnobahnなるサイトがアフォな誤訳に基づいた完全なるフライング記事を数日前に出していたんだよな。”I certainly hope NASA does the right thing,” said Colbert. “Just kidding, I hope they name it after me.”(NASAがまともな命名をしてくれることを望みます…なんてウソ。私の名前をつけてくれればいいのに)という文章を、どうやったら「確かに、NASAが正しい決定をすることを期待していましたが、私の名前を命名って、冗談でしょ」なんていうヴァカな訳文にすることができるんだろうね?

「HARPER’S ISLAND」鑑賞

「スクリーム」と「そして誰もいなくなった」の合体作品という触れ込みの、CBSによる全13話のミニシリーズ。

舞台になるのは7年前に猟奇殺人が起きた、シアトルの沖合にある小さな島。そこへ結婚式のパーティーのためにやってきた20数名の男女が何者かによってサクサク殺されていくというのがプロット。

どうもCBSはこれを疑似リアリティー番組として売り出したいらしく、例によって「次の犠牲者は誰でしょう?」的なコンテストを実施したり、ウェビソードを製作したり、しまいにはiPhoneアプリを公開したりとずいぶんな力の入れようなんだけど、肝心の話がツマらないのよ。どんどん減っていくとはいえ出演者が多すぎるし、みんな似たような顔で誰が誰だかよく分からないし(1名を除きみんな白人)。それと犠牲者の殺され方がやけに派手で、船のスクリューにつながれて細切れにされたり、3秒くらいで体を真っ二つにされたりしてて、こういうのを見ると犯人はホッケーマスクをかぶった大男とか宇宙から狩りにやってきたエイリアンかと思うのですが、どうもそうではないらしい。殺され方が大味すぎてサスペンスが欠けてるんだよな。せめてケヴィン・ウィリアムソンに脚本を書かせれば良かったのに。あの人だったらティーンの独創的な殺され方の1つや2つはまだ考えつくことが出来ただろうから。

しかしこういう狭い土地を舞台にしたサスペンス作品を観ると、いかに「ツイン・ピークス」におけるムードの盛り上げ方が天才的であったかを実感させられますね。