フランク・ミラーの次の監督作

コミック・ファンのあいだでは定説となりつつある話として、「フランク・ミラーはここ10年のあいだ、徐々にしかし確実に正気を失いつつある」というのがありまして、これは例えば「シン・シティ」の「THE HARD GOODBYE」と「TO HELL AND BACK」、もしくは「ダークナイト・リターンズ」と「DK2」を読み比べてみたり、「ALL-STAR BATMAN AND ROBIN」を一瞥してみれば明らかなことなんだけれども、ここしばらくの作品はみんな話が大味になっていて、登場人物に深みが無いものになってるんだよね。911テロに精神的打撃を受けたことは本人も認めてるし、カラーリストのリン・ヴァーリィとも離婚したりして、まあいろいろあったのかもしれないけれど、昔はもっと業界で絶大なリスペクトを受ける作家だったんだがなあ。

でもその一方で「シン・シティ」と「300」という自身が原作者の映画がヒットしてしまったため、最近は映画業界の人になってしまった感があるのですが、その監督第一作である「THE SPIRIT」は公開前からボロクソに叩かれているらしい。これでもう映画監督としてのキャリアは無くなったかな、と思いきや次は「バック・ロジャース」の劇場版を監督するという話が伝わって来た。なぜ今になってバック・ロジャースなのか?ミラーのスタイルとは180度違う、明るくて未来的なコミックなのに…?「ミラー流の暗い話になる予定だ」なんて書かれてるけど、誰もバック・ロジャースにそんなもの期待してないぞ!とりあえずゴミ映画を作るのであれば、他人のコミックではなく自分の作品を映画化しましょうね。

ちなみに俺は70年代の「バック・ロジャース」のTVシリーズのオープニングが死ぬほど好きなのです:

こちらは「サウス・パーク」の良く出来たパロディ:

メイジェル・バレット死去

新作劇場版「スター・トレック」のコンピュータの声も彼女が担当したと聞いて喜んでいたばかりなのに。

決して有名な女優さんではないが、元祖スター・トレックのチャペル看護婦として(そういや未公開パイロットの副船長「ナンバー・ワン」も彼女だ)、新スター・トレックのラクサナ・トロイとして、全STシリーズのコンピュータの声として、そして何よりもシリーズの生みの親ジーン・ロッデンベリーの妻として、我々スター・トレック・ファンにとっては母親のような存在だったわけです。2人の結婚式を明治神宮でやったというのも日本のファンには愛着の沸くところだったな。各エピソードのエンドクレジットに「コンピュータの声:メイジェル・バレット」と出てくるのを見るたびに、ジーンの亡きあともSTを見守ってくれている気がしていて安心感があったものです。

また1人TOSの役者が亡くなってしまって寂しい。合掌。

新型Mac mini?

最近のアップルはiPhoneやノートブックにばかり力を入れていて、俺のようなデスクトップ派は寂しい思いをしていたのですが、来年初頭のMacWORLD(最後になるんだって?)でついに新型のMac miniが発表されるんじゃないかという噂が流れて来た。リンク先の記事の憶測だとCore 2 DuoのNvidia搭載になるんじゃないかということだけど、どうなんですかね。

アップルのデスクトップはローエンド(Mac mini)とハイエンド(Mac Pro)だけが揃ってて、その中間のモデルがないという不満は最近よく耳にするが、確かに俺がいま使用しているMac miniも日常のパフォーマンスはまるで問題ないものの、映像編集とかしようとすると非常に力不足になるんだよな。とりあえずゲーム用にもNvidiaのグラフィックボードは搭載してほしいところです。でもどうせ今回の目玉はネットブックの発表になりそうな気もするが。

「THE WIRE」ボックスセット購入


以前にも書いたように、ボルチモアを舞台にしたHBOの社会派ドラマ「ザ・ワイヤー/THE WIRE」の全話入りボックスセットが発売されたので早速購入。定価250ドルが米アマゾンだと46%引きで135ドル、送料込みでも円高のおかげで1万5000円行かないこの安さ。これでディスク23枚入りの全60話収録ですからね。1話あたり250円ほどの計算となるからレンタル並みに安い値段かな。

ほんの数話しか観たことがないシリーズであるものの、世間の評論家が口を揃えて大絶賛しているほか、バラック・オバマやさらにはアラン・ムーアのお気に入りのドラマだと聞いては全話観ずにはいられないでしょ。とりあえず年末年始の時間はこれで潰れそうだな。世の中どんなに不況になろうが、とりあえずボルチモアよりはマシ、ということを実感することになるんだろうか。

「BATMAN: BLACK & WHITE」鑑賞


「ウォッチメン」がなかなか好評のような、DCコミックスのモーションコミック第2弾。原作は90年代に発刊された、バットマンを主人公とした白黒のアンソロジー・シリーズで、ジョー・キューバートやリチャード・コーベン、さらには大友克洋といったトップレベルのアーティストが参加したことで人気を博したコミック。確か日本語版も出てたんじゃなかったかな。

iTunesストアでは2本15分という形で販売されており、俺のお気に入りであるブルース・ティム作の「TWO OF A KIND」を観てみる。トゥーフェイスを扱ったものとしては史上最高の作品の一つだと思うのです。「ウォッチメン」に比べるとセリフの吹き出しが出ないようになっており、声優も複数名いるほか背景の動きなども細かくなっていてよりアニメに近いクオリティになっている。ただしそれが必ずしも良い結果になっているわけではなくて、逆にコミックの良さを打ち消しているところが多いかな。原作は8ページほどの短編だけどストーリーの流れに緩急があったのに対し、こちらは5分ちょっとという尺のなかでどんどん話が進んでいくため内容を十分に楽しめない気がする。特に最後のシーンなんてもっと余韻があるべきなんだがなあ。

さらに原作はアニメーターであるブルース・ティムが、コミックならではの技法を用いたストーリーテリングをしていたのに、それに多少の動きをつけたものではティムの従来のアニメーションの出来にも遠く及ばず、コミックとしてもアニメとしても中途半端なクオリティになっている。しかしコミックとアニメの表現技法の違いを実感させてくれるという意味では興味深い作品ではあった。

ちなみにもう1話はポール・ディニ&アレックス・ロスの作品が映像化されてたんだが、ロスの絵が非常に写実的なものであるためアニメというよりも実写作品のように見えることと、俺が原作を未読であることなどからこちらは結構楽しめた。