追悼 カート・ヴォネガット

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初めてヴォネガットの本を読んだのは中学生か高校生のころ、地元の図書館にあった「スラップスティック」を借りてきたときだった。あの頃は彼のことなんて何も知らなくて「カート・ヴォネガット」と「カート・ヴォネガット・ジュニア」という親子2人の作家がいるもんだと思ってたっけ。そして彼の簡潔で読みやすい、けれど奥が深く、軽快なユーモアに満ちているようでどことなく物悲しいところがあり、それでも最後には人間への望みを捨てていないような文章にすぐに魅せられて、高校時代は彼の本を読みあさってばかりだった。俺が長編をすべて読んだことがある作家って彼くらいのものじゃないかな。俺の人格形成に大きな影響を与えた作家の1人であることは間違いない。

一般的には「スローターハウス5」や「ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを」あたりが彼の傑作として知られているようだけど、個人的にはやはり「猫のゆりかご」が一番好きだったなあ。作家の取材旅行が南米の島での騒動にまきこまれていき、しまいには世界が破滅してしまうというバカバカしさ、そしてその背後にある真面目さが素晴らしかったのです。ほかには「母なる夜」や「青ひげ」も好きだったっけ。キルゴア・トラウトの息子が泣きじゃくって終わる「ガラパゴスの箱船」のラストにも感動したものです。

彼がかつてエッセイで、姉の夫が粘土入りの風船というおもちゃ(ピエロの顔が描いてあって自在に表情を変えられる)を売り出そうとして大失敗し、そのまま姉夫婦は不幸に見舞われて他界してしまったということを書いてたけど、彼の小説もこのおもちゃのようなものだった。一見すると普通に愉快そうなものに見えるんだけど、その裏には何かしら哀しい話があるというふうに。そして愉快そうな文章のあいだにそうした物悲しい話があっただけに、その話は何倍もの衝撃をもって読者に訴えかけることができたんだろう。

「タイムクエイク」で小説の断筆宣言こそしたものの、エッセイなどは書き続け、去年も「デイリーショー」に出演して政権批判などをしていたし、まだまだ長生きして我々を啓蒙してくれると思っていたのに、転倒による負傷が原因で亡くなってしまうとは、あまりにも残念なお別れとなってしまった。でも彼は決してこの世を離れたわけではなく、「スローターハウス5」のトラルファマドール星におけるビリー・ピルグリムのように、時間の流れを離れて幸せなひとときに身を委ねることになったんだろう。AintItCoolにも素晴らしい追悼記事があるので読んどくように。

合掌。

so it goes.

「ザ・スピリット」のポスター

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ここ最近は「シン・シティ」や「300」のヒットによりハリウッドでの株価がグンと増してきたフランク・ミラーが、ついに(なぜか)監督を務める「ザ・スピリット」のポスターが発表されてた。絵はもちろんミラーによるもの。

「ザ・スピリット」というのは何かというと、アメコミの神様のような故ウィル・アイズナーが1940年代に創作したコミックおよびその主人公の名前のこと。従来のスーパーヒーローものとは一線を画したその洗練されたスタイルにより、アメコミの金字塔と見なされている作品なのです。

生前のアイズナーと親交の深かったミラーが監督をやりたがるのは自然なことなんだろうけど、前にも書いたようにここ最近のミラーの作品はとっても大味なものになっているので、アイズナーの真面目なんだけれどどこかユーモラスなスタイルをちゃんと映像化して欲しいところです。

そもそもポスターの絵がスピリットに見えないんだけど…。

「LESSONS OF DARKNESS」鑑賞

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ヴェルナー・ヘルツォークの1992年の作品「LESSONS OF DARKNESS」を観た。

これはこないだの「THE WILD BLUE YONDER」と似たコンセプトの作品で、地球にやってきた宇宙人が人間たちのことを観察するという内容のもの。ヘルツォーク自身はこれはSF作品だと言ってるようだけど宇宙人たちが登場するわけでもなく、ナレーションもごくわずかで実際にはドキュメンタリーに非常に近いものになっている。

そして話の舞台となるのは第一次湾岸戦争後のクウェートおよびイラク。一面が茶色い砂漠のなかで爆撃によって破壊された巨大アンテナ、流出した原油によってできた湖、イラク軍の拷問の器具などが、オペラ音楽にのせて淡々と映されていく。話の後半は油田での消火活動にあたる人々に焦点があてられ、原油が雨のように降り注ぎ巨大な火柱が吹き荒れるなか、黙々と作業を続けていく消防士たちが登場する。

これらの映像は、戦争という惨事によって生み出されたとはいえ、実のところ非常に美しい。単なるドキュメンタリーもしくはプロパガンダ映画とは明らかに異なった作品なんだが、ヘルツォークがこれを通じて何を訴えたかったのかを理解するのは難しいかも。最後に消防士たちが油田に火を放つシーンに(実際は消防活動の一環らしんだが)、「火のない生活に耐えられなかった彼らは、狂気に駆られて再び火をつけた」というようなコメントをつけることで、戦争に何度も駆られる人間の性を表したかったのかもしれない。

それにしても現在のイラクの惨状を知ってしまうと、第一湾岸戦争での惨劇がひどく他愛ないものに見えてしまうんだよな…。

石原慎太郎はもういいだろう

あすは東京都知事選か。相変わらず泡沫候補がわらわら出てましたね。みんな立候補すんだったらポスターくらい貼ればいいのに。

なんか石原慎太郎が前評判ではリードしてるみたいだけど、露骨な外国人差別や身内びいき、愛国心というよりも妄想に基づいた発言など、どう考えてもマトモな人間だとは思えないんだけどね。奴が都知事になってから東京の生活が改善されたようにも感じられないし。行動力があるってことで評価してる人もいるみたいだけど、オリンピックなんて招致されたら大迷惑でっせ。

でも他にめぼしい候補がいないのも確かなわけで、浅野とか黒川もろくなもんじゃなさそうだし。
あすは誰に投票すっかな…。

ジョイ・ディビジョンのスニーカー

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ニュー・オーダーのレコードジャケットのデザインなどで知られるピーター・サヴィルによって、ジョイ・ディビジョンの「アンノウン・プレジャーズ」のジャケットを模したスニーカーが作られたらしいぞ。でも市販はされなくて、チャリティ用に作られたものなんだとか。

ジョイ・ディビジョンと白いスニーカーというギャップが凄まじいなあ。こんなのを履いても軽快に走る気にはなれんぞ。