ラジー賞発表

「氷の微笑2」と「Little Man」が7部門にノミネートされてるんだとか。明らかにツマらない映画を普通に選んでいるようで個人的にはあまりラジー賞って興味ないんだが、「最悪のカップル」部門で「シャロン・ストーンの垂れた胸」がノミネートされてんのには笑った。以前はハリー・ベリー本人が「キャットウーマン」での最低女優賞を受け取りにくるなど、単なるバッシングではなくユーモアのセンスが多分にあるところには好感が持てるのです。

それに比べて日本の「きいちご賞」って、文春のお抱えライターたちが偉そうに選んだという感じがしてイヤなんだよな。そもそも「きいちご」って名前、本家にちゃんと了承は得てるのかね?

「THE WHITE DIAMOND」鑑賞

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ヴェルナー・ヘルツォークの2004年のドキュメンタリー「THE WHITE DIAMOND」を観る。

これは小型の飛行船を使って、ガイアナの熱帯雨林を上部から撮影しようとする航空技師グラハム・ドリントン博士の努力を追ったもので、子供の頃にロケットの爆発で指を失いながらも航空技術没頭するドリントンの姿と、熱帯雨林という舞台は「アギーレ」や「フィッツカラルド」を彷彿させる。あと「WILD BLUE YONDER」と同じくErnst Reijsegerの音楽が多用されている。またヘルツォークの他のドキュメンタリー「Little Dieter needs to Fly」の主人公であるディーター・デングラーが別の小型飛行船を使って撮影中に転落死するのをドリントンは目撃しており、その事故の暗い影が作品を覆っているのが特徴的だ。

肝心の撮影飛行は必ずしもスペクタクルなものではないものの、トラブルにもめげず夢を叶えようとするドリントンの姿や、ガイアナの信じられないくらいに巨大な滝、および熱帯雨林の動物たちの光景は非常に見応えがある。危険が伴う最初の飛行にも、ヘルツォークは自らカメラを抱えて乗り込むんだからタフだよなあ。

あと滝の裏側にあるアマツバメの巣を撮影するシーンがあるんだが、結局のところヘルツォークはこの映像を公開せずに終わっている。現地の人たちの言い伝えを尊重したのか、それとも観る人に想像の余地を残しておきたかったのか不明だけど、こういう普通のドキュメンタリー作家だったらまずしないような判断に、彼の映画人としての奥の深さを感じてしまうのです。

「THE TOMORROW PEOPLE」鑑賞

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1970年代のイギリスのSFシリーズ「THE TOMOROOW PEOPLE」を観る。最近ちょっとしたきっかけで知ったシリーズで、Youtubeで見たオープニング・シーケンスの不気味さが非常に印象に残ってたのです。

これは73年から79年の長きにわたって放送されてた作品で、「BBCの「ドクター・フーに対するITV(民放局だよ)の返答」と当時は言われていたらしい。主人公となるのはテレポーテーションやテレキネス、テレパシーといった超能力をそなえた優勢人種「ホモ・スペリオール」として生まれた子供たちで、自らを「トゥモロー・ピープル」と呼ぶ彼らは仲間を探し出しながら、彼らを狙う宇宙人や人間の魔の手をかわしながら、地球を我々人類(ホモ・サピエンス)による破壊から救うために活動するのだった…というのが主なプロット。

ホモ・スペリオール対ホモ・サピエンスというコンセプトはかなり「Xメン」に近いところがあるんだが、子供向けの番組ということもあって全体的には「少年少女エスパー隊」というか、福島正美あたりが書いてそうなジュヴナイルSFのテイストが強い。子供の頃よく読んだっけ。あと作品中のテレポーテーションがアルフレッド・ベスターの「虎よ!虎よ!」にあやかって「ジョウント」と呼ばれているのが特徴的。コンセプト的にはけっこうハードなSF作品になれそうなものだけど、70年代の低予算ドラマだけあって特撮・演技ともにかなりショボいところが残念。しかも第1話から宇宙人が出てきていきなりスペオペっぽくなったりして、なんか話が散漫なところがあると思う。ちなみに製作者のロジャー・プライスはヒッピーあがりの人らしくて、どことなくサイケな特殊効果や新人類のコンセプトはそこから来てるのかな。

何にせよオープニング・シーケンスだけは、21世紀のいまでも斬新に感じられる出来。こないだたまたま立ち読みした「SFX」誌でも、「SFシリーズ史上最高のオープニング・シーケンス」に挙げられてたっけ。オープニングと内容の落差が激しすぎる、なんてことも書かれてたけど。オープニングの映像はこちら。

「MONSTRANCE」始動

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久しぶりにXTC関連のニュース。アンディ・パートリッジが元XTC/シュリークバックのバリー・アンドリュースと、元シュリークバックのマーティン・バーカーと組んで「MONSTRANCE」なるプロジェクトを始動したんだとか。アンディとバリーが組んでレコードを出すのって30年ぶりくらいじゃないか?

そんでシングル第1弾となるインスト曲「Winterwerk」のビデオをこのサイトで見てみたんだが…うーん。つまらん。なんか生半可なジャムセッションをやってるだけといった感じか。80年代の「ホモ・サファリ」シリーズがそうだったように、XTCってインスト曲をやってもあんまり面白くないんだよね。やはりアンディのエキセントリックなボーカルが無いといけないんだよな。

聞いた話ではコリン・ムールディングがもう音楽をやる気はなくて、アンディも彼なしではXTCとして活動するつもりはないとのことだけど、長年のファンとしてはどうにかまた新作を出して欲しいところです。

「IDIOCRACY」鑑賞

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やあみんな!「IDIOCRACY(イディオクラシー)」っていう映画を知ってるかい?知ってる君は、俺みたいに海外の映画サイトをウロついてるオタクだね!ちょっとは外に出て遊ぼうぜ!…という哀しい冗談はさておき、去年ほとんど誰も観れなかった幻の映画「IDIOCRACY」を観た。

これは「ビーバス&バットヘッド」や「キング・オブ・ザ・ヒル」といったアニメで知られるマイク・ジャッジが、異様なカルト人気を誇る作品「リストラ・マン」に続いて監督した実写映画。なんで去これが幻の映画かというと、いちおう劇場公開はされたものの配給会社のフォックスがいっさい何の宣伝もせず、トレーラーさえも作らずに(!)ごくごく少数の映画館で短期間公開してすぐに打ち切ってしまった、えらく不運な映画なのだ。なんでフォックスがこんな仕打ちをしたのかについては後で述べるが、まかりなりにもマイク・ジャッジはエミー賞受賞作の「キング〜」や「リストラ・マン」でフォックスにそれなりの利益をもたらしてるわけで、それをあんな露骨に邪険にするなんていくらなんでも非道いよなあ。

まあ単に「映画の出来が悪いから打ち切られた」という可能性も考えられなくはないんだが、俺はティーンエイジャー(「B&BH)」)からサラリーマン(「リストラ・マン」)そして中年オヤジ(「キング〜」)の日常を的確にとらえるジャッジの才能は評価しているので、こないだ発売されたDVDをさっそく購入してみたんだが…

なにこれ、すげー面白いじゃん!

ルーク・ウィルソン演じるジョー・バウアーズは米軍に勤務するごく平凡な兵士。彼はあらゆる面で平凡であったため、逆にそれに目をつけられて軍の冷凍睡眠プロジェクトに参加させられる。彼はそこで一般人のリタという女性(実は売春婦)とともに冷凍カプセルで1年間の冬眠をする計画だったのだが、責任者が売春容疑で逮捕されたことからプロジェクトは人々に忘れられていき、なんと彼は500年もの冬眠をしてしまう。そして彼が目覚めた2505年には、そこはあらゆる人々の知的水準が著しく下がった世界があった。服や壁には広告がベタベタ貼られ、人々はトイレつきの椅子に座って流動食を食べながら一日中テレビを見て、医者や弁護士もとんでもないボンクラばかり。裁判は「ジャッジ・ジュディ」みたいな見世物ショーになりさがり、死刑はスタジアムにおいてモンスター・トラックと戦わされるというものだった。こんな世界に目覚めたジョーはふとしたことから逮捕されて刑務所に送られるものの、そこで受けた知能テストにおいて彼がこの世界では最高の知性を持っていることが判明。これによって彼は大統領(元プロレスラーでポルノ男優)から国の問題を解決するように頼まれるのだが…というのが大まかな話。

いちおう「The Marching Morons」というSF小説をちょっとベースにしてるらしいけど、「フューチャラマ」にも話は似てるかな。ジャスティン・ロングやトーマス・ヘイデン・チャーチもちょっと出てるでよ。「リストラ・マン」に比べてCGがふんだんに使われており、全体がゴミためと化した未来の都市の描写はなかなかリアル。1つの街ほどもある巨大なショッピングモールのシーンなんかは、「未来世紀ブラジル」の未来をさらに奇怪に歪めたような感じだ。

この作品の中心的なアイデアは何かというと、21世紀の現在において、学歴があってそこそこ収入があるようなカップルは経済的負担などを考えて子づくりに慎重になるけど、逆に無学で低所得の人たち(例えばいわゆるレッドネック)は後先も見ずにセックスばかりやってるから子だくさんになり、結局のところ未来の社会はこういった連中でいっぱいになり、知的水準はどんどん下がっていくだろうというもの。(詳しくはこのクリップを見よ)悪貨は良貨を駆逐するってやつか。日本でもヤンキー夫婦に限って子だくさんだったりするよね。

この予想が本当に当たるかは分からないけど(文章にすると選民思想みたいでイヤだな)、よくよく考えると劇中の未来社会で行われてることの大半は、アフリカやアジアあたりの教育水準が低い国で既に行われてそうだし、いまのアメリカ大統領とか欧米のリアリティー番組を見てると、500年も待たなくても人類みんなバカになりそうな気はする。でもこの映画では話が決して真剣にならず、とにかく最初から最後までジャンクカルチャーを徹底的に風刺してるのが非常に笑える。個人的には「40歳の童貞男」くらいに面白かったかな。

んでなんでこんな傑作が配給会社に無視されたかという話だけど、今のところフォックスはこの映画への処遇について公式なコメントを出しておらず、ファンのあいだではいろんな噂が飛び交っているようだ。いくつかの企業の描写(例えばスターバックスが風俗店になってる)に関して訴訟を恐れたなんて話もあるみたいだけど、これって単に例によって「会社のお偉いさんがバカな判断をした」という理由によるものだと思うんだけど、どうなんだろう。フォックスといえば「ボラット」の前例もあるしね。でもこれだけ面白い映画なので、ぜひ日本では劇場公開して欲しいところです。