英国BBCの大傑作コメディ「THE OFFICE」で一躍有名になったリッキー・ジャーヴェイス&スティーブン・マーチャントの新シリーズ「EXTRAS」のシーズン1を鑑賞する。 タイトルから分かるように映画のエキストラの世界を舞台にしたシリーズで、ジャーヴェイスが演じる主人公アンディは役者になることに憧れて、銀行員の職を捨ててまで映画界に入ったものの、エキストラばかりやらされて一行の台詞もろくにもらえない毎日を送っている。彼はどうにかして大きな役をもらおうとプロデューサーやスターに接近するものの、逆にトラブルを招いてしまう…というのが各エピソードの大まかな内容。これに彼のエキストラ仲間で、いつも撮影現場でいい男を見つけようとするマギーという女性の話が絡んでくる。
アンディとマギーの他にも、マーチャント演じるひたすら無能なエージェントとか、アンディのライバルなんかが準レギュラーとして登場するけど、「THE OFFICE」に比べるとレギュラー同士のやりとりの面白さは少ないかな。その代わり毎回、撮影中の映画のスターや監督役としてベン・スティラーやサミュエル・L・ジャクソンなんかがゲスト出演して、本人の役を奇妙に演じるのがシリーズの大きな特徴になっている。尼さんの格好をしてテレフォン・セックスを教示したがるケイト・ウィンスレットとか、企画中の映画のプロット(自分が超能力者で、周りの女性の服がすべてずり落ちてしまう、という滅茶苦茶なもの)を真面目に語るパトリック・スチュワートの姿が面白いのなんのって。特にスチュワートは「スタートレックTNG」までネタにするものだから、俺の頭の中ではピカード艦長のイメージがガラガラと崩れていきましたよ。
ラフ・トラックがなくて、気まずいシチュエーションで笑いをとるスタイルなんかは「THE OFFICE」と同じなんだけど、主人公のアンディはデビッド・ブレントよりもずっと地に足のついたキャラクターだし、役をもらえないエキストラたちの苦労とか、人気の盛りを過ぎたスター(特にイギリスのローカルな有名人)の悲哀なんかがストーリーに含まれていて、意外にもドラマ色が強い内容になっている。「THE OFFICE」がドラマのあるコメディだったとしたら、こっちはコメディのあるドラマといった感じかな。自分もエキストラをしたことがあるので、主人公たちにはちょっと共感してしうまうのです。
どうしても「THE OFFICE」と比較すると劣っているように感じられる「EXTRAS」だけど、「THE OFFICE」もシーズン2およびクリスマス・スペシャルがあったからこそ、あそこまで素晴らしいシリーズになったわけだし、とりあえずシーズン2が始まったらまた観てみよう。ちなみに今度はマドンナやブラッド・ピットが出演をウワサされているとか。