ヤンキーズが来たのでロジャースセンターへ野球を観に行く。松井見たさに左翼スタンドの席をとったが、よくよく考えると俺は金にものを言わせるチームは日米問わず嫌いなのだった。試合はジェイズのピッチャーが皆ズダボロで勝負にならず11−2で惨敗。クソッ。
フィルム撮影した番組のHD放送
こないだボランティアをやった映画祭で配られてたパンフレットの1つに、「THE TRUTH ABOUT FILM FOR HD」というのがあった。最近よくある「HDは最高!」みたいな内容かと思って読んでみたら、逆に「HDはクオリティの面ではフィルムに適わないから、フィルム撮影したものをデジタル放送したほうがいい」といった感じのパンフレットだった。
発行元がフィルム会社のコダックなので多少の宣伝が入ってるとはいえ、今シーズンでも30近い番組がフィルムで撮影されてることを考えると、デジタル放送が普及していくからって必ずしも全てのシリーズがHD撮影に切り替えるわけではなさそうだ。
日本でBSデジタルが立ち上がった時なんかは、HD撮影したものをデジタル放送すれば最高のクオリティが得られるみたいな宣伝がされてたけど、確かにクオリティの面ではまだフィルムが勝ってるわけで、何でもHDで撮ればいいってものじゃないんだろう。いずれは機材の発達などにより、デジタルがアナログを完全に淘汰する日が来るだろうけど。
それにしても北米のデジタル放送って何でこんなに速く広まったんだろう。国が小さいことなどから、日本での普及のほうが有利だと思ってたんだがなあ。地方局の機材設備に金がかかるとか、放送法の規定の問題とかがあるのだろうか。まあ重要なのは画質ではなく番組の内容そのものなんですけどね。
「氷海の伝説」鑑賞
外は天気がいいってのにカゼが抜けきらないので、ずっと家にいて「氷海の伝説」こと「ATANARJUAT: THE FAST RUNNER」をDVDで観る。以前に岩波ホールでやってた時は観に行けなかったので。カナダ政府から助成金をもらって撮影された映画であり、全編イヌイット語のフィクション映画という意味では世界初の作品らしい。
舞台となるのは数百年前のイヌイットの部族の居住地。部族の長の息子であるオキにはアートゥワという娘と結婚することになっていたが、これは親同士の取り決めに夜結婚であり、アートゥワ本人は「足の速い人」ことアタナグユアトと恋仲にあった。横暴なオキはこれを気に入らずアタナグユアトと勝負をするものの、アタナグユアトは逆にオキを打ち負かしアートゥワを妻にめとる。その後にアタナグユアトはオキの妹プヤも妻にするが(一夫多妻制らしい)彼女は災いの種となり、復讐心に燃えるオキたちによってアタナグユアトの兄アマクヤックは惨殺され、アタナグユアトは氷の張った海へ裸のまま逃亡することになる。奇跡的に氷の海を駆け抜け一命をとりとめたアタナグユアトは、やがてオキやアートゥアのいる部落へと帰ってくるのだが…。というのが主なストーリー。イヌイットに伝わる物語を映像化したもので話自体はシンプルなものの、日本の昔話にも通じるようなところがあり観てて飽きがこない。
役者は当然のことながら監督を含むスタッフのほぼ全員がイヌイットであり、衣装から道具、住居のすべてにいたってが細かい調査と伝統的な手法によって作られていて、当時のイヌイットの生活風景が見事なくらいに再現されている。最初はイヌイットの習慣が理解しにくかったり、登場人物の顔がみんな同じに見えたりするかもしれないが、やがて話にグイグイ引き込まれて3時間という長さがあまり気になってこなくなるほどだ。いわゆるハリウッド的な演出や展開は皆無で、全体的にはとても淡々とした雰囲気があるものの、それがかえって新鮮に感じられる。(恐らく)照明なしのビデオ撮りによる作品だが、映像の質もそんなに気にならなかった。
それにしても雪と氷と岩しかない環境で生きるイヌイットたちの何とタフなこと。男たちが狩ってきた動物の骨や皮からあらゆるものを作りあげ、氷の家に住み、犬ぞりに乗る彼らの姿を見ているだけでも楽しい。あんなところで暮らしたいとは思わないけど。
「ARRESTED DEVELOPMENT」シーズン2最終話
現在この世で一番面白いコメディ番組である「ARRESTED DEVELOPMENT」のシーズン2最終話が今晩放送された。今までのストーリーラインを全部まとめてそれなりの終わり方に持ち込んだため、そりゃもうメチャクチャ度が加速して面白いのなんのって。
ただシーズン2が終わった段階でも、シーズン3が製作されるかはまだ決まってないようだ。1年目にしてエミー賞を獲得した誉れある番組とはいえ、必ずしも視聴率が良くない(らしい)ので放送局のフォックスがどう判断するのか非常に不安。本来ならもっと話が多かったはずなのに、フォックスの意向により減らされたとか。これってものすごく悪い兆候だと思うんだが…。
「コントロール・ルーム」鑑賞
アラブ諸国で一番の人気を誇る衛星テレビ局「アルジャジーラ」の、イラク戦争時の光景を追ったドキュメンタリー「CONTROL ROOM」をDVDで観る。
オサーマ・ビンラーディンの声明を放送したりすることから、アメリカのラムズフェルド国防長官なんかには敵視されているアルジャジーラだが、一方では旧フセイン政権からも「アメリカの手先だ」なんて糾弾されていたらしい。アルジャジーラ自体は偏見のない公明正大な報道をポリシーとしているものの、そのスタンスは明らかにアラブ・イスラム諸国寄り。個人的には報道側の主観が混じらないジャーナリズムなんて存在しないと思ってるので、米フォックス・ニュースなどに代表されるようなアメリカべったりの放送局の対極に存在するチャンネルだと思えばいいんじゃないでしょうか。
作品はイラク戦争の開戦直前から始まり、アルジャジーラのスタッフやジャーナリスト、アメリカ軍のプレス・センターの人々などのコメントを交えながら、戦況を追うメディアの裏側を紹介していく。戦争の状況をいかに報道するか、ということでアルジャジーラ側とアメリカ軍側の両方の意見が聞けるのが興味深い。最後はブッシュの戦争終結宣言(例の空母の上でやったやつ)で終わり、その後のイラクの混乱を描いてないのは残念だが、いずれまた別のドキュメンタリーが出来るだろう。
たび重なるアメリカの糾弾を受けながら、涼しい顔をして報道の姿勢を崩さないアルジャジーラのスタッフの態度はとにかくプロフェッショナル(半ばヤケになってるようなところもあるけど)。政治家や芸能プロの顔色を常にうかがう日本の放送局とは違いますね。「私はアメリカ憲法を信じている。アメリカ帝国を倒すのはアメリカ国民だ」というジャーナリストの言葉が印象的だ。
しまいにはアメリカ軍の「誤爆」によりバグダットの特派員が命を落とすのだが、記者会見に集まった他局のジャーナリストたちに向かって、特派員の妻が「夫のためにも、自国のポリシーに左右されないで、どうか真実を隠さずに皆に伝えてください」と述べるシーンが胸を打つ。
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