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Archive for the ‘アメコミ’ category


マイクロソフトがエドガー・ライトと組んで立ち上げたウェブ上のプロジェクト。公式サイトはこちら。当然ながら「IE9で観るのがいちばんいいよ!」なんて書かれてるんだが、うちのマックのsafariでも普通に観られました。

2週間ごとに1話がアップされていく全4話のウェブシリーズで、第1話の脚本がエドガー・ライト、アートがアメコミ・アーティストのトミー・リー・エドワーズ…って久しぶりに名前を見た気がするな。他にも音楽がデビッド・ホルムズでナレーションが「マイティ・ブーシュ」のジュリアン・バラットとスタッフがやけに豪華だったりする。

内容はいわゆるモーションコミックで、主人公のブランドンはライターズ・ブロックに苦しむ作家で、優れた作品を書いてみたいと思うものの何も思いつくことができず、「ヒューゴ」みたいな狭い部屋に住んでコーヒーをガブ飲みしながら空白のPC画面を見つめる日々を過ごしていた。そんなある日彼はPCの前で居眠りをしてしまうが、目覚めるとPCには文章が書かれ、ノートにはイラストが描かれ、音声メモには録音が残されていた。これらについて全く記憶がないブランドンだったが、果たしてこれはすべて彼の手によるものなのか、そして彼が書いた文章とは一体どんなものなのか…というようなプロット。

このあとはどうも読者参加型の形式になるらしく、読者(視聴者?)はサイトを通じて文章やイラストを投稿でき、そこから選ばれたものが次の話に組み込まれる形になるらしい。ファンとしては最初から最後までライトに話を書いて欲しいところなんですが…。個人的にはこういう読者参加型の仕組みって一貫性を欠いたものになりがちであまり好きではないのですが、今回のはどんな結果になるんだろうね。でもまあうまくいけばあなたの作品が世界に認められてライトたちと友達になれるチャンスかもしれないので、腕に自信のある人は何か投稿しているのもいいんじゃないでしょうか。


DCコミックスのアニメーション・ムービー最新作。

90年代後半にマーク・ウェイドがストーリーを担当したJLAのコミック「TOWER OF BABEL」をベースにしたもので、ジャスティス・リーグの宿敵ヴァンダル・サヴェジがベインやチータ、メタロにスター・サファイアといったヴィランたちを招集し、リーグを壊滅させるためのプランを彼らに与えて実行させる。そしてそのプランは功を奏し、弱点を突かれたリーグのメンバーたちは次々と倒されていく。果たしてジャスティス・リーグはこの危機を脱することができるのか?そして彼らの弱点が網羅されたプランを作成したのは誰なのか?というようなストーリー。

まあ思わせぶりなジャケットの絵を見ると、そのプランを作ったのは誰だかすぐ分かっちゃうんですけどね。原作では敵役となるのがラーズ・アル・グールだったけど、彼は他のヴィランとツルまないタイプなのでヴァンダル・サヴェジに変更されたのかな。原始時代から生きていても未だ世界征服を遂げてないサヴェジって実はかなりのヘタレではないかと思うのですが、まあいいや。彼が招集したヴィランたちのグループが悪のリーグことリージョン・オブ・ドゥームであるわけで、作品の題名もそこから来ている。

いっぽう我らがジャスティス・リーグはリブート後のコミックを反映してサイボーグが加入している一方で、リブート版では在籍してないマーシャン・マンハンターがいるなど、ちょっと変則的な編成。とはいえ声優はベテランのティム・デリーやケヴィン・コンロイが起用されてるので往年のファンも安心して観られるのでは。

脚本はこないだ他界してしまったドウェイン・マクダフィの遺作になるらしいが、弱冠間延びしていた原作を90分以下の尺に収めたためか7割くらいが格闘シーンになってしまったのはちょっと芸がないかな。そもそも「TOWER OF BABEL」ってそんなに面白い話だったっけ?JLAのライターがグラント・モリソンからマーク・ウェイドに交代した直後の作品で、モリソンのファンである俺としては何となく失望した印象が残ってるのだけど。といはいえスーパーマンとグリーン・ランタンが宇宙空間で共闘している姿などはオタク心をくすぐるし、オリジナルの結末も結構良かったよ。

このあとのDCのアニメーションはどんなのがくるんだっけ?一説によると「WONDER WOMAN」の販売不振を受けてスーパーマンかバットマンの出てこない作品は作らなくなったらしいんだが、前に製作のウワサがあったニュー・ティーン・タイタンズの傑作「JUDAS CONTRACT」はアニメ化して欲しいなあと願うばかりです。


アメリカでは今週「クロニクル」っていうSF映画が公開されまして、結構いい評判を得てるのですが、その脚本を書いてるのがジョン・ランディスの息子のマックス・ランディスなわけです。そして「クロニクル」にあわせてネットで公開されたのが、90年代初期の「スーパーマンの死」およびその復活に関するこの短編映画。

スーパーマンがドゥームズデイと戦って死亡し、4人の後継者がでてきた後にちゃっかり復活する様を皮肉っぽく語っていく内容で、ついでにグリーン・ランタンの「エメラルド・トワイライト」についても少し語られてるぞ。おちゃらけて語ってるようで、当時は説明されてなかったドゥームズデイのオリジン話についてもしっかり語ってるあたり、かなりのアメコミ通とみたぞ。キャラクターのコスプレもそれなりに良く出来てるし。

おまけに出演者が無駄に豪華で、ここらへんは親のコネなのかしらん。イライジャ・ウッドにマンディ・ムーア、ロン・ハワードなどなど。ジョン・ランディスを演じてるのってサイモン・ペッグだよね?

コミックを知らない人はこれを観てもチンプンカンプンかもしれないが、ストーリーのツボおよびファンの反響などを的確にとらえていて非常に面白い。当時はスーパーマンが死んだ号がプレミアつきまくって大変だったんですよ。俺も苦労して入手した覚えがある。あの頃のアメコミの常としてバッグに入ってたりカバーにギミックがあったりしたんだよな。

そして締めくくりには「スーパーマンが死んで復活したおかげで、アメコミにおける死は何も意味を持たなくなってしまった」みたいなことが語られるんだけど、当時すでにアメコミのキャラクターってみんな生き返ってなかったっけ?「記念号でキャラクターを殺し、あとで復活させる」という90年代前半のトレンドはスーパーマンよりも前に確立されてたような。具体例が思いつかないけど。当時は「アメコミでずっと死んでるのは2代目フラッシュと(キャプテン・アメリカの)バッキーだけ」なんてジョークがあったくらいだが、あの2人も2000年代にはしっかり復活を遂げてしまったっけ。

DCコミックスの再起動

September 15th, 2011


賢明なる読者諸君は既にご存知の方も多いかと思うが、こんどDCコミックスのタイトルがみんな刷新されることになりまして(ヴァーティゴなどの別レーベルは除く)、今までのタイトルはすべて8月をもって終了し、9月から新タイトルが52作品出ることになったんだよな。

70年以上続いた「アクション・コミックス」などのタイトルもぜーんぶ終了。過去にもDCは「クライシス」や「ゼロ・アワー」などといったイベントでユニバースの歴史をリブートしたことがあったけど、あれらは長年タイトルが続いたことでストーリーに矛盾が生じ、肥大化したコンティニュイティーを整理する意味合いが強かったのに対し、今回のようにユニバースを(ほぼ)ゼロからリブートする試みはアメコミの歴史のなかでも非常に珍しいことではないかと。アメコミ映画がこれだけ作られるようになってアメコミの認知度が上がったこともあり、新しいファンがとっつきやすいようにする目的もあったのかもしれない。

そして8月末に「ジャスティス・リーグ」が出たのを皮切りに新しい第1巻が次々と出てきているわけだが、今のところ評判は上々なようで、グラント・モリソンの「アクション・コミックス」のほか「アニマル・マン」とか「スワンプ・シング」とかが高い評価を得ているようでひと安心(もちろん酷評されてるタイトルもあるが)。個人的には今回のリブートには懐疑的だったんだけど、モリソンやジェフ・ジョンズといった好きなライターが関わっていることや、タイトルをまたいだクロスーバー・イベントにかこつけて関連タイトルを大量に売りつける商法に嫌気がさしていたので(特にマーヴェルはあざとい)、いっそゼロからやり直すのも悪くはないかな、と考え始めていたのです。もっともこの新しいユニバースでもいずれクロスオーバー・イベントが行われるのだろうけど。

あと不満点としては「XOMBI」や「BATMAN INC.」といった素晴らしいタイトルが終わってしまったことや(後者は来年復活するらしいが)、みんな十分に準備する時間が与えられなかったのか、旧ユニバースのタイトルがどれも尻切れトンボなストーリーで終わってしまったらしいこと。アメコミの(打ち切りじゃない)最終回なんて滅多に書けるものじゃないんだから、アラン・ムーアが「クライシス」の直前にスーパーマンの最後の戦いを描いたように、みんな腕によりをかけた最終回を生み出して欲しかったところです。

なお今回の新タイトルの特徴としては、スタティックやミスター・テリフィックといったマイノリティ(有色人種)のヒーローを主人公にしたタイトルが多いことで、実際にアメリカでコミックを読んでるのはマイノリティが多いという話もあるので、従来の白人ばかりだった面々よりも多様性が出てきたのは良いことかと。

それともう1つの特徴は紙媒体でのコミックの発売同日にデジタル版も専用アプリなどでデイ&デイトに購入可能になったことで、以前はデイ&デイトというとDVDとVODが同時に発売されるような映像業界の用語かと思っていたが、それが出版業界にもやってきたんだなあと。ただし個人的にはタブレットとかでコミックを読むのってどうもやりづらいと思うし、グラント・モリソンも「単にページをスキャンしてデジタル化するのは芸がない」みたいなことを言っていたし、アナログ人間のアラン・ムーアでさえも「ページをそのままデジタル化するのは30年代の印刷技術に制約されてるようなものだ。もっとデジタル機器に対応したコミックの読ませ方を考える必要があって、失敗することも多いだろうが、いずれ適切な方法を生み出す人がでてくるはずだ」みたいなことを言っていたな。

いずれにせよ今回のリブートは始まってしまったわけで、数年後に袋小路に陥ってまたリブートしたりしないよう、クオリティの高い作品が作られていくことを願うばかりです。


前作「1910」から待つこと2年以上、やっと出てきた第2巻。今回は1969年のヒッピー文化真っ盛りのロンドンを舞台に「リーグ」の冒険が描かれている。

今回の「リーグ」はミナ・ハーカーとアラン・クオーターメイン、およびオーランドの不老組3人で、他にも悪の魔術師オリバー・ハドーやネモ船長の娘、ロンドン限定のタイムトラベラーことアンドリュー・ノートンなどが前作に続いて登場。そして新たに登場するのは「狙撃者」のジャック・カーターや「パフォーマンス/青春の罠」のターナー・パープルなどなど。この2本の映画の内容はプロットにも大きく関わってるので先に観といたほうがいいかもしれない。俺は観てなくて後悔しました。あと最後に出てくる不埒な男は「ハリー・ポッター」のヴォルデモートなの?相変わらず細かいネタが無尽に散りばめられているので、ジェス・ネヴィンスと同志による解説のページが今回も大変役に立ちました。あとムーアの最近の作品の傾向としてチンコとオッパイもたくさん出てきてます。

ストーリーはハドーの一味が、この世に災いをもたらすというムーンチャイルドの誕生を再び試みていることを知ったミナたち「リーグ」が、プロスペローに命じられてロンドンに帰還して調査を開始。その一方ではハドーたちに愛人のロック・スターを殺された闇社会のボスが復讐をジャック・カーターに依頼。こうして両者によるハドー探しが始まるなか、ハドー自身はムーンチャイルドの到来に備え、ターナー・パープルとそのバンド(明らかにローリング・ストーンズだ)にハイド・パークでの大コンサートを開催させるのだった…というもの。ジャック・カーターが着実にハドーの手がかりを辿っていくのに比べて「リーグ」の面々が意外とヘタレだという不満はあるが、コンサート会場におけるアストラル界での戦いというクライマックスはなかなかの見もの。

エピローグは1977年のパンク・ムーブメントを背景にして「リーグ」がほぼ解散状態で終わるという暗い終わり方を迎えるわけですが、アラン・ムーアによるとこの「Century」は20世紀における文化の劣化を表したものらしく、ビクトリア朝時代は想像力に満ち溢れたフィクションが生み出されていたのに比べ、それらがどんどん現実に影響されて創造性を失っていき、最後に本当に創造的であったのがこの1969年前後で、その後のパンクなどは既存の文化に対する批判としての、後ろ向きなムーブメントだということらしい。70年代生まれとしてはこの考え方に必ずしも賛同するわけではないが、こないだちょうど「60年代は00年代よりも革新的だった」と論じている音楽評論家のインタビューを読んだりしたので、いろいろ考えてしまったよ。

ムーアによるこの文化論は次回の「2009」で完結するわけですが、どうも話がずいぶん暗くて凄惨なものになりそうな気配。果たしてムーンチャイルドは誕生し、この世に破滅をもたらすのか?つうか刊行されるのはいつになるのか?ムーアはもうストーリーを書き上げたようなことを仄めかしてるけど、ケヴィン・オニールがアートを完成させるまでまた2年も待たなければいけないのか?なんかこう、ものすごく高い山の中腹にいて、先は長いし戻るにも戻れないところに来てしまったような気分を抱いてしまうのです。

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