「世界一簡単なハリウッド映画の作り方」読了

近所の図書館でたまたま手にして、「あ、これ読まんとあかんな」と直感した本。タランティーノなども受講したらしい「2日間で学ぶ映画学校」という講義をを行っているダブ・シモンズという人が、アメリカでの映画の作り方、特に低予算映画の製作方法について51章にわたり各ステップを細かく説明していく内容になっており、役立つアドバイスがあちこちに散りばめられている。いくつか例をあげると:

・映画のプロデューサーになるのに、才能はさほど必要ではない。必要なのはまず脚本、それから資金、そして交渉力などと続く。
・新人の脚本は最高傑作のものでないと、ハリウッドでは見向きもされない。
・資金の調達には「歯医者」に話をもちかけろ(金持ちだから)。
・スタッフには食事を存分にふるまえ。
・俳優は俳優組合の規程料金よりも安く雇うことができる。
・ロケ地の住人とのトラブルには100ドル札を握らせろ。それ以下では効果なし。

などなど。これらに加え、機材のレンタルの方法やスタッフの雇いかた、法的手続き、映画祭のエントリー、さらにはメジャースタジオとの契約交渉のやり方など、映画製作に関するあらゆる事柄が作者の体験をもとに分かりやすく説明されていく。あくまで映画製作というのはビジネスであり、どのような手段をとればコストを削減できるかが実によくわかる本。

その一方で、これを読むと日本で映画を作ることがいかに難しいかが痛感できる。だってドリーをどこで借りれるかとか、撮影監督をどこで雇えるかなんて、一般の人にはさっぱり分からないでしょ?あと俺は日本の映画でよく見受けられる「○○製作委員会」というのが大キライでして、いくつかの企業が金を出し合ってるだけだから映画の製作全体を管理できる人が不在になりがちで、だから監督や脚本家のナルシシズムが暴走したような作品ばかりが作られてるんじゃないかと。やはり映画には全てをまとめられるプロデューサーが必要だと、この本を読んで実感した次第です。

ただしこの本を読めば誰でもハリウッド映画が作れるのかというとそうではなくて、前述したようにここに書いてあるノウハウは日本では全然通用しないし、アメリカに渡って映画を作ろうとしても、この本を日本語で読んでる時点で語学力が失格かと。あと記されているハリウッド・スタジオなどの連絡先の情報が結構古いことにも注意。ただし最後の章あたりで書かれているように、近年のデジタル技術の進歩とインターネットの普及のおかげで、日本にいてもネットを通じて海外に自分の作品をアピールすることは容易になってきたのかもしれない。

映画製作のハウツー本として以上に、アメリカではどのように映画が製作され、それがどのようなビジネスになっているかがよく分かる、非常に興味深い本であった。

「TRON LEGACY」ティーザー


今年のコミコンも無事終了し、相変わらずコミックとは関係ないことばかりが話題になったようですが、個人的にいちばん興味をひかれたのは「V」のリメークでも「アバター」でもなく、「トロン」の続編「TRON LEGACY」のティーザーかと。実は昨年のコミコンで既に公開されてるんだけどね。あらためてHD画像で見ると非常に期待できそうな出来。やはりジェフ・ブリッジスが前作に続いて出ているところがツボだな。

ただ1982年に公開された前作は、今から見るとチャチなCGしか使っていないものの「コンピューターの中の世界」というセンス・オブ・ワンダーを存分に体験させてくれた名作で、あれを見てCGに興味を持った人も多いと聞くけど、今みたいにCGで何でも出来てしまう時代だと、もはやそういうインパクトは無くなってしまったのかもしれないですね。

あとライトサイクルはやはり直角に曲がらなきゃ。

コミコンの「ニセ人気」

数多あるコミック・コンベンションのなかでも最大のものであるサンディエゴ・コミコンが来週開催されて十数万人の来場者が見込まれてるそうだが、ここ数年はむしろコミックのコンベンションというよりも、ハリウッドのスタジオなんかが新作のSF映画やテレビ番組を初公開するような、ギーク向けの映像見本市という風潮が強まってきているらしいんだよね。

これに合わせて出演者などがゲストとして続々来場し、ギークどもはそれを観て狂喜するわけだが、あくまでもコミコンでの評判というのは特定の観客のあいだのものであって、一般の市場でもそれが通用すると思ってはいけないよ、という記事がVARIETY誌に載っていた。最近の「ターミネーター4」や「ウォッチメン」がコミコンでの評判にもかかわらず興行成績が悪かったことをふまえたうえでの記事らしい。

まあ確かにコミコンに行くような客というのは特定の趣味や嗜好を持った人たちであって、彼らが一般社会を代表しているとは考えにくいわな。日本でもコミケで人気があるマンガと一般で人気があるマンガは異なっているんじゃないの?そもそもそうした嗜好をもった人たちのあいだで評判を得ておいて、それを一般市場での宣伝材料に使おうというのがスタジオ側の魂胆であったわけで、それを今になって「コミコン人気は信用できないよ!」なんて言われても、ねえ。作品の不出来を観客のせいにするなよ。出来の良かった「ダークナイト」なんかは一般市場でもちゃんとヒットしたじゃん。

ちなみに記事中でも言及されてるけど、こうしたギーク間での人気を煽り立てている人物にケヴィン・スミスがおりまして、奴とAintItCoolのハリー・ノウルズは煽り文句が多くて言ってることが信用できないんだよな。どちらもギークにとって貴重な存在であることは間違いないのですが。

「グリーン・ランタン」の主役決定

ライアン・レイノルズって…俺この人の出てる作品観たことないや。カナダ人なのか。スカーレット・ヨハンソンの夫???

原作のグリーン・ランタンことハル・ジョーダンってそれなりにベテランのスーパーヒーローなので、20代前半の若造とかをキャスティングしなかったのは評価できるかな。あとは脚本がどうなることやら。原作は「レンズマン」ばりのスペースオペラ要素があって、特にジェフ・ジョンズがストーリーを担当するようになってからは非常に面白い展開が続いているんだが、映画だとたぶんもっと地球ベースの話になりそうな気がする。

「ダークナイト」とは言わないが、「スーパーマン・リターンズ」くらいの出来になることを期待。

「THE BOX」トレーラー


リチャード・ケリーの新作。キャメロン・ディアスもオバハンになったな。

「サウスランド・テイルズ」は風呂敷を広げすぎて失敗した感のあるケリーだけど、今回はリチャード・マシスンの短編が原作とのことなので、「ドニー・ダーコ」くらいにはコンパクトにまとまった話になることを期待(なんか派手なアクションがありそうだけど)。

リチャード・マシスンのテレビ/映画に対する貢献度というのは、もっと評価されていいと個人的には思う。