「ザ・ブリッジ」鑑賞

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半月に1人が飛び降りるという世界有数の自殺の名所、ゴールデンゲート・ブリッジでの自殺者たちを追ったドキュメンタリー「ザ・ブリッジ」を観る。「AVクラブ」でのレビューを読んで結構期待してた作品なんだけど、実はあまり面白くなかった。

この作品は長期にわたる橋の撮影によって収められた複数の自殺の瞬間と、そうした自殺者の家族や友人たちのインタビューによって構成されている。これに加えて自殺を阻止した人の話や、橋から飛び込んで奇跡的に助かった人たちのインタビューもあるんだけど、結局のところなぜ彼らが自殺を試みることになったのかについては、何ら明確な答えが出ないままに作品は進行していく。飛び込んで生還した人にとっても、なぜ自分が橋から飛び降りたのかについて明確な説明ができないでいる。まあ当然といえば当然のことなんだろうけど、要するに答えのない問いかけがずっと続いているわけで、観ている側としては居心地が悪くなるのは確か。映像もインタビューの場面と自殺の瞬間が交差して映し出されるだけで、やや単調かも。自殺の場面は確かに衝撃的なんだが、観てて楽しいものでもないし。

ゴスの格好をして橋の上をうろついている人がいたら、とりあえず声をかけてあげましょうね、というのがこの映画からの教訓なんだろうか。うむ。

「マーク・トゥエインの大冒険/トム・ソーヤーとハックルベリーの不思議な旅」鑑賞

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カート・ヴォネガットの影響でマーク・トゥエインの本はよく読んでいたのですが、そのトウェイン自身を主人公にしたクレイメーション映画「マーク・トゥエインの大冒険/トム・ソーヤーとハックルベリーの不思議な旅」(1985)を観る。

これはクレイメーション(登録商標だったのか!)としては世界初の劇場長編で、トム・ソーヤーやハック・フィン、ベッキー・サッチャーといったおなじみのキャラクターたちがトゥエイン自身と奇抜な飛行船に乗り込み、ハレー彗星に向って旅をする…といったファンタジー風の作品になっている。旅の途中の小話として「その名も高きキャラヴェラス郡の飛び蛙」や「不思議な少年(第44号?)」、そして俺の大好きな「アダムとイブの日記」といったトゥエインの作品の物語が語られていく。「アダムとイブの日記」の最後の一文はいつ読んでも(聴いても)感動するなあ。俺の人生観に大きな影響を与えた「人間とは何か」も含まれてればなお良かったんだろうけど、あれはエッセイだからね。

クレイメーションの出来も優れており、細部の描写まで凝っていて観る人を飽きさせない。ただ「ウォレスとグルミット」とかに比べて人間の加尾の造形がリアルなので、ちょっと生々しすぎるところがあるかも。また「不思議な少年」のサタンの描写がグロテスクだということで欧米では問題になったらしい。Youtubeにおいては「放送禁止アニメ!」なんて紹介がされていたりする。

完璧ではないにしろ、野心的で面白い作品。ちなみにハック・フィンがトロい奴として描かれているのが気になるんだけど、奴ってもっとストリートワイズなキレ者じゃなかったっけ?

「X-MEN:ファイナルディシジョン」鑑賞

517yy5e3g8l_ss500_.jpg「X-MEN:ファイナルディシジョン」を観る。

ダメ。駄作。

最近は星の数ほど作られてるアメコミ映画ですが、そのきっかけとなった「Xメン」を俺は高く評価していて、原作がソープオペラみたいにチャラチャラしてるのに対し、「差別される者同士の争い」という重厚なテーマをきちんと汲み取って前面に据えたのが良かったかなと(そのあと原作もグラント・モリソンが執筆するようになって一気に面白くなったが)。「X2」も政府の強硬派に迫害されるミュータントたちの描写が結構良かったと思うし。要するに人物描写がきちんとしてたんだよね。

しかしこの「ファイナルディシジョン」はプロットを中心に据えてしまったゆえに人物描写に時間が割かれてなくて、登場人物がみんな薄っぺらく感じられてしまう。セリフはみんな説明口調だったり凡庸な一言ばかりで、ハリー・ベリーやヒュー・ジャックマンの演技がものすごく下手に見える。イアン・マッケランの演技さえもが安っぽく見えるのって、とてつもなく演出がヘタなんじゃないの?マグニートーって白昼の住宅地に登場させるようなキャラじゃないと思うけどね。その他の登場人物も適当に出しましたって感じで、あんなサエないジャガーノートなんて誰も見たくないんだけどね。いい年して全身メイクに挑んだケルシー・グラマーには感心するけど。

そして肝心のプロットだが、前作のラストから次は「ダーク・フェニックス」になることは明らかだったのに、そこにミュータント治療薬のプロットを混ぜたおかげでなんかまとまりに欠けたものになっている。「ミュータントであることは病気なのか?」というテーマが深く掘り下げられるのかと思ったらそうでもないし、その一方でジーン・グレイの行動はまったく意味不明。サイクロプスはあまりにも可哀想じゃないでしょうか。

監督の交代劇などでドタバタしてたのには同情するが、ブレット・ラトナーってやはりやっつけ仕事の人なんだなと実感。このあとはマグニートーやウルヴァリンのスピオンオフ作品が製作されるそうだけど、この作品よりかはマシなものを期待してまっせ。

「みんなのうた」鑑賞

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第5代ヘイデン=ゲスト男爵ことクリストファー・ゲストのモキュメンタリー作品「みんなのうた」を観る。彼のこの前の作品「ドッグ・ショウ」はいまいちピンとこなくて、どんな内容だったか正直覚えていないくらいなんだけど、こいつは面白かった。

フォークミュージックのプロモーターが死去したことで、彼に世話になったバンドたちが再結成してコンサートを行うまでの姿を追った作品で、よく観てないと冗談なんだか真面目なんだかよく分からないような、ひたすらシュールなジョークが続いていくところは「ドッグ・ショウ」と同じ。出演者はゲスト自身のほかに、ユージン・レヴィやマイケル・マッキーン、ハリー・シェアラー(スパイナル・タップだ!)などなど、ゲストの作品ではおなじみの面々が顔を揃えている。

特徴的なのはコメディなのに底辺には徹底したペーソスがあることで、それを象徴してるのがレヴィとキャサリーン・オハラが演じるミッチ&ミッキーというフォークデュオ。ずっと前に別れた彼らの片方は平凡な主婦生活を営み、片方は精神を病んでしまっている。そんな彼と彼女が久しぶりに再会して歌をうたう姿ははかなくも美しい。コンサートが成功に終わったからってまたスターになれるとは限らず、その後のバンドたちの微妙な姿までを描いてるのがちょっと酷でもある。

そして劇中でバンドが披露する曲がどれも素晴らしく、コンサートのシーンだけでも十分楽しめるかも。特にバンドが総出演で歌う「A MIGHTY WIND」の光景には圧巻される。これらの曲をすべて出演者たちが自ら作曲して演奏したというんだから、才能あるよなあ。

「スパイダーマン3」鑑賞

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やっと観てきた。劇場で映画を観たのって久しぶりだなあ。

確かに世間一般で言われているように、「まあまあの映画」かなって感じ。登場人物が多すぎるせいで内容が散漫なものになってしまい、ストーリーにメリハリが欠けているような気がする。ステーシー親子は出てくる必要なかったんじゃないかと。ブライス・ダラス・ハワードって思ったよりもブスだっだし。グウェン・ステーシーってもっと清純なイメージがあるんだけどな。でもとりあえずディラン・ベイカーが出ていたのには満足(あとブルース・キャンベルも)。

今回の悪役ですが、ヴェノムって原作だとあまり面白くないキャラクターだと思うんだけど、それなりにうまく映像化してまとめていたかと。もっと大柄だと良かったんだけどね。あのサイズだとジャイアンよりもスネオといった感じで威圧感ないし。サンドマンはいい俳優を使っているからそんなに文句はない。演技するシーンは少なかったけど。もしさらなる続編が作られるとすれば、90年代のゴミキャラであるカーネイジは絶対出して欲しくないなあ。ぜひディラン・ベイカーをトカゲ男にして、ミステリオあたりとタッグを組ませるとか。

前作同様に、アクションだけでなくヒューマンドラマにも重きを置いている点は評価したい。主人公が苦悩する姿が「スパイダーマン」の醍醐味ですからね。ピーターが悪ノリする姿はちょっとやり過ぎかと思ったけど、まあサム・ライミだからB級映画の雰囲気がしてしまうのは仕方ないかも。三角(四角?)関係を描くんだったら、前作に続いてマイケル・シェイボンを起用したらもっと生々しい描写ができたかも。

ちなみに前作でも感じたけど、ピーターはマスクを取りすぎ/取られすぎ。ここらへんはマスクがあっても感情表現のできるコミックと、そうでない映画の違いなんだろうな。あとトビー・マグアイアの微妙なアゴのたるみ具合がずっと気になって…。大金もらってるスターなんだから、あと5キロくらいは落とそうよ。暗黒面に堕ちてゴスっぽい容姿になったときなんて、ロバート・スミスみたいだったぞ。

でもまあ悪い映画じゃないっすよ。