「ミーン・ストリート」鑑賞

スコセッシの初期の作品「ミーン・ストリート」をDVDで鑑賞。彼とデ・ニーロの初コラボ作品でもある。 内容はハーヴェイ・カイテル演じる主人公と、そのゴロツキ仲間たちの日常を描いた、ダラついてるといえばダラついてるものだけど、ロジャー・コーマンのスタッフを使って大半がロスで撮影されたにもかかわらず、70年代のニューヨークはリトル・イタリーの雰囲気が見事に醸し出されてるのがいい。昔のニューヨークはやはり怖いところだったんですね。ラストはちょっと紋切り型なアメリカン・ニューシネマ的終わり方…と言ったら失礼か。後に彼のトレードマークとなるデ・ニーロのサイコ気味の演技が早くも炸裂。彼が「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」をともに登場するシーンがカッコいいのなんのって。デビッド・キャラダインが酔っぱらって撃ち殺されるだけの役でちょこっと出演してたけど、あれって何なんだろう(しかも狙撃者役はロバート・キャラダインだ)。ついでにカイテルはこの頃から裸になっていた。

俺にとってのスコセッシのベスト作品「レイジング・ブル」には遠く及ばないけど、「タクシー・ドライバー」を経てあの作品に到着するまでの、最初の一歩のようなものが感じられる佳作。

「SUPERMAN: BRAINIAC ATTACKS」鑑賞

アメリカでは来週ついに「SUPERMAN RETURNS」が公開されるわけで、既に鑑賞した批評家たちからは絶賛されてるらしい。ああ早く観てえ。だがとりあえずその前に、こないだ発売されたDVDムービー「SUPERMAN: BRAINIAC ATTACKS」を観る。 これはアニメ・シリーズ「SUPERMAN: THE ANIMATED SERIES」の長編作品で、例によってブルース・ティムがデザインしたキャラクターたちが画面中を動き回ってくれるのです。ただし「SUPERMAN : TAS」や、特にあの大傑作「JUSITICE LEAGUE UNLIMITED」では俺みたいなオールドファンも喜ばせてくれるような話の展開が多々あったのに比べ、今回の作品は明らかに内容が子供むけ。スーパーマンの宿敵ブレイニアックはただの巨大ロボットみたいで、シリーズ版にあった知的で冷酷な感じはなくなってるし、「JLU」では主人公なみのクールさを発散していたレックス・ルーサーに至っては、やたら騒いでくだらないダジャレをとばすような、実につまらないキャラクターになってしまっている。おまけにどうも絵が下手だし、「JLU」並のクオリティを期待してると本当に失望させられる内容になっている。おかげでアマゾンでも酷評されまくってるようだ。

でも必ずしも全てが悪いわけではなく、ブレイニアックとの戦いのサブプロットとして、ロイスに恋慕するクラークのつつましい行動がよく描かれていて、ここらへんは往年のロマンチック・コメディを観ているようでなかなか楽しませてくれる。それに「ティム絵」のキャラクターたちは相変わらずアニメーションにうまくマッチしていて、これが「ULTIMATE AVENGERS」と違う点だよなあ。「ULTIMATE AVENGERS」が「悪くはないけど、つまらない作品」だとしたら、こちらは「傑作ではないけど、そこそこ面白い作品」といった感じでしょうか。

しかし俺はアニメよりも実写のスーパーマンが早く観たいのです。

「サンダーバード6号」鑑賞

イギリスが誇るスーパーマリオネーション冒険活劇「サンダーバード」の劇場版「サンダーバード6号」をDVDで観る。まだ観たことがなかったのです。もう1つの劇場版(なぜか最後にクリフ・リチャードが出てくるやつ)は観たことあるんだけどね。 感想としては、まあ悪くもないけど期待してたほどじゃなかったかな。時間が長くなったせいで、TVシリーズ版にあった「限られた時間での救出活動」という緊張感がなくなっていて、全体に間延びした雰囲気になってるのが残念。しかも俺の好きなサンダーバード4号は冒頭にちょこっと出てくるだけだし。それでも1号や2号が大空を舞うシーンは非常にカッコいいし、ラストの複葉機によるアクションなんかもスリルがあって楽しめるかな。2068年が舞台の作品だけど、未来社会に対する夢のようなものが感じられるのがいいですね。脚本がダメダメだった「チーム・アメリカ」なんぞよりもずっと優れた作品だろう。

ちなみに特典に入ってる予告編は徹底的にネタばらしをやってるので、本編より先に見てはいけませんよ。

「マッスルモンク」鑑賞

一部でカルト的な人気を持つ、アンディ・ラウ主演の映画「マッスルモンク」をDVDで観る。 いやー。こういう作品だったとは。冒頭では肉じゅばんをまとって筋肉ムキムキのラウの姿には一瞬引くものの、アクション描写は相変わらず一流だし、サスペンスの醸し出し方なんかも上手でなかなかストレートに楽しめる。でも謎のインド人が逮捕されてからズルズルと話がすべっていくというか、プロットが徐々に破綻していき、冒頭の展開からずっと離れたところに着地して終わるラストが、まあ、なんというか、といった感じ。このユルさ加減を楽しめるかどうかが、この作品を観るときの最大のポイントなんだろう。

ストーリーを逆にたどっていくと辻褄が合わない点がいくつもある、というのはカンフー映画では決して珍しくないことだけど、この「マッスルモンク」も、ありそうで実はない伏線とか、印象的なくせに途中から出なくなるキャラクター(上記のインド人だ)とか、なんか行き当たりばったりな展開がてんこ盛り。そもそもよく考えてみると、主人公が筋肉男である必要性もあまり感じられなかったりする。ここまで話が破綻してると、普通は脚本の段階で気づきそうなものだけど、それがそのまま大金をかけた映画になってしまうところがスゴイなあ。

でもやっぱり、ヒロインのあの運命はちょっと…。前世が日本兵だと、ロクなことがないんですね。

「カンフーハッスル」鑑賞

やっと「カンフーハッスル」をレンタルして観た。 いやー面白い。「小林サッカー」よりもさらに作りがこなれていて、実にムダのないストーリーテリングが確立されてるって感じ。主人公に関する伏線がやや弱い気もするものの、極上のエンターテイメント作品になってるんじゃないでしょうか。突然「シャイニング」のパロディをやったりするセンスも見事だなあ。

でもレンタル用のDVDは設定がダメダメで、最初に15分くらい「ステルス」とかの下らない予告映像を見せられる(スキップできない)うえに、何とチャプター・リストが用意されてないという不親切さ。映画の冒頭などに一発で戻れないのは問題だろう。「小林サッカー」はレンタルDVDでもコメンタリーが付いてて良かったんだけどね。