「ULTIMATE AVENGERS 2」鑑賞

こないだ取り上げた「「ULTIMATE AVENGERS」の続編が早くも出たので観てみる。

すげーつまらん。

今回の話の舞台となるのは、アフリカの架空の小国ワカンダ...ということは必然的にそこの王であるブラック・パンサーが登場するわけだが、コミックのブラック・パンサーは全身黒づくめのコスチュームで顔もすっぽり隠し、非常にミステリアスかつクールな雰囲気を持っていたのに対し、アニメ版のパンサーは何か勘違いしたレスラーみたいな姿で実にカッコ悪い。そして前回と同じエイリアンたちの襲撃からアヴェンジャーズがワカンダを守ろうとするわけだが、肝心の主人公たちは相変わらずウジウジと仲違いばかりしてて実に不快。正義のために団結していた「JLU」のヒーローたちなんかとは違って、日常生活からウジウジしてる連中ばかりだから、エイリアンとかに殺されそうになっても全然感情移入できないんだよな。しかも弱いし。弓矢にやられるアイアンマンって何だよ。

キャラクター設定だけでなく全体のストーリーも貧弱で、あまり重要でないシーンを長々とみせつけられるほか、突然登場してあっという間に消えていくハルク、あるキャラクターの無意味な死など、観てて鬱憤がたまるような場面が多すぎ。おまけにアニメの出来も、90年代にやってた「アイアンマン」とか「Xメン」のアニメ並みのクオリティで、お世辞にも上手いとは言えない。もうこの際だから恥も外見もなくして、ブルース・ティムのスタイルをパクってしまったほうが人のためになるんじゃないだろうか。せっかく俺のお気に入りであるウォー・マシンも出たのに、なんかチンケなデザインだったぞ。

前作の発売から半年くらいしかたってないことから、前作と同時に作られたのか、あるいは手抜きでパッパと作られたのかもしれないけど、それなりに酷評された前作での教訓がまるで活かされていないのが残念。実写映画版のウワサも聞こえてきた「アヴェンジャーズ」だけど、もうちょっと観てて面白いものを作ろうよマーヴェルさん。

「神に選ばれし無敵の男」鑑賞

ヴェルナー・ヘルツォークの比較的最近の作品「神に選ばれし無敵の男」をDVDで観た。

怪力男としてベルリンで名を馳せ、ナチスに対するユダヤ人の象徴として尊敬されたポーランド人の若者と、彼の雇い主でナチスに取り入ろうとするインチキ予言者(どちらも実在の人物)を描いた映画なんだが、どうしても「アギーレ 神の怒り」や「フィッツカラルド」といったヘルツォークの傑作と比べるとTVムービー程度の出来にしか見えんなあ。あれらの作品が、猛り狂う自然と狂気につかれた男のコントラストを衝撃的に描いてたのにくらべ、今作は権力を手にする前のナチスと素朴で内気な怪力男の対決を扱っているので、どうもせせこましい感じがするのは否めない。

役者は予言者を演じるティム・ロスがズバ抜けて見事な演技を見せてくれるものの、それ以外の役者に素人が多いため、逆に彼が完全に浮いてしまっている。主人に本当の怪力男、ピアニスト役に本当のピアニストをあてがうのは斬新だけど、あまり成功しているようにも見えない。だから人によって演技力と英語力がまちまちで、兄弟なのにアクセントが違うなんてことになってるのはどうも気になってしまう。

決して悪くはない作品なんだけどね。「アギーレ」などと比べるのが酷なのかな。

「ミーン・ストリート」鑑賞

スコセッシの初期の作品「ミーン・ストリート」をDVDで鑑賞。彼とデ・ニーロの初コラボ作品でもある。 内容はハーヴェイ・カイテル演じる主人公と、そのゴロツキ仲間たちの日常を描いた、ダラついてるといえばダラついてるものだけど、ロジャー・コーマンのスタッフを使って大半がロスで撮影されたにもかかわらず、70年代のニューヨークはリトル・イタリーの雰囲気が見事に醸し出されてるのがいい。昔のニューヨークはやはり怖いところだったんですね。ラストはちょっと紋切り型なアメリカン・ニューシネマ的終わり方…と言ったら失礼か。後に彼のトレードマークとなるデ・ニーロのサイコ気味の演技が早くも炸裂。彼が「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」をともに登場するシーンがカッコいいのなんのって。デビッド・キャラダインが酔っぱらって撃ち殺されるだけの役でちょこっと出演してたけど、あれって何なんだろう(しかも狙撃者役はロバート・キャラダインだ)。ついでにカイテルはこの頃から裸になっていた。

俺にとってのスコセッシのベスト作品「レイジング・ブル」には遠く及ばないけど、「タクシー・ドライバー」を経てあの作品に到着するまでの、最初の一歩のようなものが感じられる佳作。

「SUPERMAN: BRAINIAC ATTACKS」鑑賞

アメリカでは来週ついに「SUPERMAN RETURNS」が公開されるわけで、既に鑑賞した批評家たちからは絶賛されてるらしい。ああ早く観てえ。だがとりあえずその前に、こないだ発売されたDVDムービー「SUPERMAN: BRAINIAC ATTACKS」を観る。 これはアニメ・シリーズ「SUPERMAN: THE ANIMATED SERIES」の長編作品で、例によってブルース・ティムがデザインしたキャラクターたちが画面中を動き回ってくれるのです。ただし「SUPERMAN : TAS」や、特にあの大傑作「JUSITICE LEAGUE UNLIMITED」では俺みたいなオールドファンも喜ばせてくれるような話の展開が多々あったのに比べ、今回の作品は明らかに内容が子供むけ。スーパーマンの宿敵ブレイニアックはただの巨大ロボットみたいで、シリーズ版にあった知的で冷酷な感じはなくなってるし、「JLU」では主人公なみのクールさを発散していたレックス・ルーサーに至っては、やたら騒いでくだらないダジャレをとばすような、実につまらないキャラクターになってしまっている。おまけにどうも絵が下手だし、「JLU」並のクオリティを期待してると本当に失望させられる内容になっている。おかげでアマゾンでも酷評されまくってるようだ。

でも必ずしも全てが悪いわけではなく、ブレイニアックとの戦いのサブプロットとして、ロイスに恋慕するクラークのつつましい行動がよく描かれていて、ここらへんは往年のロマンチック・コメディを観ているようでなかなか楽しませてくれる。それに「ティム絵」のキャラクターたちは相変わらずアニメーションにうまくマッチしていて、これが「ULTIMATE AVENGERS」と違う点だよなあ。「ULTIMATE AVENGERS」が「悪くはないけど、つまらない作品」だとしたら、こちらは「傑作ではないけど、そこそこ面白い作品」といった感じでしょうか。

しかし俺はアニメよりも実写のスーパーマンが早く観たいのです。

「サンダーバード6号」鑑賞

イギリスが誇るスーパーマリオネーション冒険活劇「サンダーバード」の劇場版「サンダーバード6号」をDVDで観る。まだ観たことがなかったのです。もう1つの劇場版(なぜか最後にクリフ・リチャードが出てくるやつ)は観たことあるんだけどね。 感想としては、まあ悪くもないけど期待してたほどじゃなかったかな。時間が長くなったせいで、TVシリーズ版にあった「限られた時間での救出活動」という緊張感がなくなっていて、全体に間延びした雰囲気になってるのが残念。しかも俺の好きなサンダーバード4号は冒頭にちょこっと出てくるだけだし。それでも1号や2号が大空を舞うシーンは非常にカッコいいし、ラストの複葉機によるアクションなんかもスリルがあって楽しめるかな。2068年が舞台の作品だけど、未来社会に対する夢のようなものが感じられるのがいいですね。脚本がダメダメだった「チーム・アメリカ」なんぞよりもずっと優れた作品だろう。

ちなみに特典に入ってる予告編は徹底的にネタばらしをやってるので、本編より先に見てはいけませんよ。