「ARRESTED DEVELOPMENT」

arresteddevelopment_s1.jpg

現在放送されているシットコムのなかではダントツに面白いシリーズ。その斬新なストーリーテリングの手法により、もはや従来のシットコムの枠を飛び出したと言ってもいいくらいの傑作になっている。 物語の中心となるのは、カルフォルニアに住むブルース一家。家長であるジョージが営む不動産企業の収入により一家は気楽な暮らしを送っていたものの、ある日汚職の容疑でジョージが逮捕され、一家の資産は凍結されてしまう。おかげで今までろくに働いたこともない一家の面々は大混乱に陥ってしまい、家族のなかで唯一の常識人である次男のマイケル(ジェイソン・ベイトマン)はどうにか家業を復興させようと努力するが…というのがシリーズの大まかな設定。

とにかくこの家族が一癖も二癖もある連中ばかりで、刑務所の中から自己啓蒙のビデオを発売する父親や見栄っ張りの母親をはじめ、売れない手品師でセグウェイを乗り回す長男ジョブや、過保護に育てられたために人前ではパニックを起こす三男バスター、マイケルの双子の妹でチャリティ運動に生半可に手を出すリンゼー(「アリーmyラブ」のポーシャ・デ・ロッシ)、リンゼーのマヌケな夫のトバイアス、リンゼーとトバイアスの娘でおませなメイビー、マイケルの息子でいとこのメイビーに恋心を抱くジョージ・マイケルたちが巻き起こす騒動がとにかく抱腹絶倒ものなのだ。また準レギュラーとしてヘンリー・ウィンクラーやライザ・ミネリが登場したり、ベン・スティラーやヘザー・グラハムといった豪華な面々もゲスト出演をして話に華を添えている。そしてプロデューサーでもあるロン・ハワードが飄々としたナレーションを担当して、それなりにややこしいストーリーをうまく取りまとめている。

疑似ドキュメンタリーの手法を使い、ラフトラックもないまま進行中のストーリーに過去の「記録映像」がいろいろ挿入され、ナレーションとテロップも使って細かいシュールなネタがこれでもかといわんばかりにバンバン視聴者に投げられるさまは、まるで黄金期の「シンプソンズ」(第6シーズンあたり)を観ているよう。「シンプソンズ」がアニメでやれたことを、実写で行っているのには感心せずにいられない。製作者のインタビューによると、「従来のシットコムはシーン数が8つくらいで、「サインフェルド」の約30シーンというのは革命的だった。でも「ARRESTED DEVELOPMENT」は60シーンくらい使ってる」だとか。それに他のシットコムが触れない時事ネタも平気で使い、イラクでの捕虜虐待なんかも風刺してしまってるのが立派。第2シーズンではジョージの双子の弟が登場したり、バスターが片手をオットセイに噛み切られたりと、ストーリーがさらに暴走していったのが面白いのなんのって。

その練り込まれた脚本が批評家に受け、第1シーズンにしてエミー賞を獲得するという快挙を遂げたものの、従来のコメディ番組とは違い過ぎるスタイルと、それまでのエピソードを観てないと十分に話が理解できないことが災いして視聴率は決して高くない。おかげで打ち切りのウワサが常に絶えないシリーズだけど、このたび無事に第3シーズンの製作が決定された。次シーズンはどこまで話が無茶苦茶になるのか、今から待ち遠しい。

「THE INSIDE」鑑賞

「新スーパーマン」や「Xファイル」、「エンジェル」に「FIREFLY」といった実にギーク心をくすぐる作品のライターだったティム・ミニアーがてがけた新番組「THE INSIDE」を観る。 舞台となるのはロサンゼルスの特殊犯罪課。スタッフの1人が怪死を遂げたことにより、代わりに新人のレベッカ・ロックがチームに加わることになる。実はレベッカは幼いころに誘拐された経験があり、犯罪者の心理を理解することに長けているのだった。そして彼女はロサンゼルス一帯で起きている連続殺人事件に共通点があることを発見し、自らがオトリとなって調査を行うのだったが…というのが第1話の大まかなプロット。

猟奇殺人とかプロファイリングとか、机の奥に埋もれてた脚本を使ったの?と思えるくらいに90年代テイストに満ちた作品。今になってこんなシリーズを始められてもなあ。主人公もウブなんだか切れ者なんだかよく分からないし。ピーター・コヨーテ演じる厳格な上司だけはいい感じだったけど。設定は短命に終わった「ミレニアム」に似てるけど、その地味な雰囲気はもっと短命だった「ストレンジ・ワールド」(これもミニアー脚本)に似てるかな。

サマーシーズンに放送開始したということは、放送局のフォックスもあまり力を入れてないということか?フォックスは新シリーズをすぐに打ち切ることで悪名高いので、このシリーズも相当頑張らないと先が短いかもしれない。メネ・メネ・テケル・ウパルシン。

「BRASS EYE」鑑賞

イギリスの極悪風刺番組「BRASS EYE」のDVD(輸入版)を発見したのでさっそく鑑賞。 1997年にチャンネル4で6話ほど放送されたこの番組は、ニュース特集番組(「NHKスペシャル」みたいなやつ)の形式をとりながら、毎回「ドラッグ」「セックス」「犯罪」といった様々なテーマに焦点を当てていくのだけど、その風刺の度合いがハンパじゃなく凄いのだ。例えば「セックス」の回ではエイズを「良いエイズ」(輸血による感染)と「悪いエイズ」(性交による感染)に分類したり、「ドラッグ」の回では麻薬の怖さを子供に教えるため、両親が麻薬で突然死したと伝えるとか、やらせとはいえキワドすぎるネタが連発されていく。
とにかくネタのそれぞれが細かくできていて、「東京ではこんなものが流行っています」なんて言いながら「犬の体内を通して麻薬を濾過する装置」のコマーシャルがきちんと日本語で紹介されたのには、爆笑するとともに感心してしまった。「肺にズドンと効きます!」だって。

また国会議員や芸能人が毎回ダマされて、ありもしない問題に対するメッセージをカメラに向かって語るネタが最高に面白い。電線から落ちて人を直撃する「重い電気」(もちろんこんなものは存在しない!)の恐怖について真面目に語るラジオDJとかの姿を見てると、あまりのバカバカしさに「これもやらせじゃないの?」と思うけど、架空のドラッグについて本当に国会で質問した議員がいたとか。

よくこんな番組を地上波で放送できたなと驚いてしまうけど、「ペドフィリア(小児性愛)」を扱った2001年の特番は本当にヤバい。刑務所で全身麻痺になったにも関わらず機械のスーツを着て子供を襲おうとする男や、エミネムまがいの性倒錯のラッパーとかが登場し、最後には子供たちの「いつかはOKするけど、今はダメよ」なんていう合唱で幕を閉じたりして、とにかく観てて真っ青になるくらいの危険なネタが続出するのだ。

例によって有名人も次々にダマされ、「子供の姿がおぼろげに映ってる写真でも、倒錯者は一目で興奮します」と語るゲイリー・リネカーや、存在しない小児性愛反対キャンペーンのTシャツを着てカメラに訴えるフィル・コリンズとかが登場。「倒錯者はこんな顔に変装できるんです」と言ってホール&オーツの写真を出してくる国会議員には大爆笑した。
当然ながらこの特番には数千件の抗議が殺到し、タブロイド紙にコテンパンに叩かれたほか、国会でもかなり問題になったとか。でも番組を糾弾した議員の何人かは、実は番組を観てなかったというオチもある。

この番組で主演・脚本・製作・その他を担当したクリス・モリスは、ニュース番組の形式をとることで社会問題に対するメディアの姿勢を風刺したかったらしいが、あまりにもネタがきついので普通の視聴者なら怒るだろうに。また「社会に貢献する」メッセージを有名人がいかに鵜呑みにするかを痛烈に皮肉ってるけど、フィル・コリンズなんかは本当に番組を訴えようとしたらしい。
クリス・モリスはラジオの生放送中に部屋をヘリウムで充満させようとしたとか、チャンネル4のボスの悪口をサブリミナル・メッセージで放送したという筋金入りのプランクスター。こんな人が今でも番組を製作できるイギリスのテレビ業界はやはり侮れない。

I wonder why the wonder falls

去年の3月に僅か4話だけ放送され、あっという間にキャンセルされたTVシリーズ「WONDERFALLS」のテーマソングをXTCのアンディ・パートリッジが担当していたことを知って驚く。XTCは8歳の頃からファンなのであります。 さっそくその曲「I Wonder Why The Wonder Falls」を聴いてみた。良くも悪くもパートリッジ節が炸裂した曲で、必ずしも新鮮味は感じられないものの、彼の久々の新曲とあれば好きにならずにはいられない。あまり芸のないビデオもこのサイトで入手できます。ところでXTCの新譜はまだでしょうか、パートリッジ先生?

「WONDERFALLS」は未見だけど、ナイアガラを舞台にした「ドラメディー」だとか。それなりに根強いファンがいるらしく、こないだ全13話を収録したDVDセットが発売されていた。最近はいろんなTVシリーズのDVDセットが発売されてるが、このように放送されなかったエピソードも(それなりに)手軽に観れるようになったのは歓迎すべきことかと。数年前にUPNでやってた誰も知らない傑作「SPECIAL UNIT 2」とか、またDVDで観たいなあ。

「VERONICA MARS」第1話

弱小ネットワークであるUPNで昨年開始され、低視聴率ながらもギーク連中にカルト的な人気を博した少女探偵ドラマ「VERONICA MARS」がやっとカナダで放送されることになったので、さっそく観てみる。 金持ちの子弟と、その金持ちたちに仕える人々の子弟が通うネプチューン高校に通うヴェロニカ・マーズは、1年前までは親が大金持ちのボーイフレンドがいて、友達がたくさんいて、非常に楽しい毎日を送っていた。しかしある晩、ボーイフレンドの妹であり、ヴェロニカの親友だった少女が遺体となって発見されたことから彼女の生活は一転する。ボーイフレンドには突然フラれ、保安官だった父親は事件の捜査ミス(?)のために職を失い、母親は家を出ていってしまう。他にも悲惨な目にあったヴェロニカは、私立探偵となった父親を手伝うようになるが、ある依頼がどうも自分の母親に関係があることを知って衝撃を受け、どんな目に遭おうとも一連の事件の謎を解明しようと誓うのだった…というのが第1話の大まかな話。

金持ちのクソガキどもにバカにされ、教師にも嫌われてる高校生の疎外感がよく表現されてた。でも内容は決して暗いものではなく、むしろヴェロニカが頭脳を使って相手を懲らしめていく、といった比較的明るいトーンになっている。強いて言えば「聖少女バフィー」に似てるところがあるかな。第1話を観た限りでは過去のフラッシュバックが多用されてて話の流れがつかみにくいところもあったものの、次回も観てみたくなるような作品になっている。アメリカのTVシリーズの常として、20代半ばの役者(クリステン・ベル)がティーンエイジャーを演じてるのがちょっとアレだけど、日本で放送してもそれなりに人気が出そうな番組だと思う。