「Crazy Ex-Girlfriend 」鑑賞

Crazy Ex-Girlfriend, Season 1
Fuck Me, Ray Bradbury」でヒューゴー賞にもノミネートされたレイチェル・ブルーム主演&脚本によるThe CWのコメディドラマ。

口うるさい母親のもとで育ったレベッカは強迫観念にとらわれたかのように真面目に生きてきた独身女性で、ニューヨークの大手法律事務所で働くキャリアウーマンだったが、10代のときにサマーキャンプで片思いをしたジョッシュに10年ぶりに偶然遭遇したことで彼女の中の何かがふっきれ、職場での昇格の誘いも断ってジョッシュが住むカリフォルニアの田舎町ウェスト・コヴィーナ(「ビーチまで2時間、渋滞があれば4時間」)へと移り住み、小さな弁護士事務所での職を見つける。そこでジョッシュにうまく遭遇しようとする彼女だったがなかなかうまくいかず、逆にジョッシュの友人であるグレッグと仲良くなってしまい…というストーリー。

つまり正確にいうと主人公は題名にあるような「イカれた元ガールフレンド」ではなく「キ印のストーカー」なのですが、そこらへんはご愛嬌。神経質で恋愛に慣れてない女性が好きになった男性を苦労して追いかけるさまがね、結構面白いのですよ。第1話の監督はマーク・ウェブだが、やはり彼って「スパイダーマン」なんかよりもこういうラブコメのほうが合ってるよね。

また「Bradbury」みたいなミュージカルのシーンもいくつか挿入されていて、歌う弁護士ものということでは「アリー・myラブ」とか「私はラブ・リーガル」に近いものがあるかな。

第1話の時点では弁護士ものと恋愛もののどちらに比重が置かれてくのかまだ分からないし、この設定で話をどこまで引っ張れるのか不明ではありますが、結構面白い内容なので健闘を期待したいところです。

「The Daily Show with Trevor Noah」開始

Trevor-2
ジョン・スチュワートに続く新司会者として、トレバー・ノアを迎えた「デイリーショー」が今週から始まったのだよ。

52歳のスチュワートから31歳のノアにバトンタッチされて雰囲気がグンと若くなった感じ。俺みたいな40代にとっては自分の世代が跳ばされたような気もして寂しいが、スチュワートも司会を始めたころは30代半ばだったんだよな。セットも大きくなったような?

なお番組の構成は以前のままで、「特派員」としてはジョーダン・クレッパーやアル・マドリガル、そしておそらくジェシカ・ウィリアムズやジョン・ホッジマンがスチュワートのときからそのまま残っていて、ロイ・ウッド・ジュニアなど3人くらいが新たに加わったみたい。

南アフリカ出身のトレバー・ノアはアパルトヘイトの時代に白人の父と黒人の母のあいだに生まれ、当時は異人種間の結婚は違法であったために母親が実際に収監されたのだとか。そして後に離婚した母親は別の男性のDVに苦しめられて銃撃されるという、実にサウスアフリカンな経歴をノアは持っているわけですが、そんな苦労を感じさせないほど彼は若さにあふれ、似たような番組を南アフリカで司会していたということで初週から自身に満ちていていい感じ。セレブや政治家をゲストに迎えても余裕をもって接しているし、「デイリーショー」がいちばんネタにしにくい銃の乱射事件が早くも起きたものの、うまく扱っていたな。

まだ第一週ということで「僕は新人だから…」と「アフリカに住んでたころは…」といった発言をよくしているけど、じきに慣れてくるでしょう。個人的にはアメリカの時事ネタを(自虐的に)語るのはアメリカ人でないと視聴者に反感を持たれるのではないかと思ってましたが、そこらへんは「デイリーショー」の先輩のジョン・オリバーの成功が参考になるでしょう。

またスチュワートが「ユダヤ人の愉快なおっさん」という感じだったのに対し、ノアは若いぶんセリフやツッコミも多くて、ジョークの量が2割くらい多いかな?そのぶんジョークにトゲがあるような印象も受けるが、まあ回を重ねるにつれていろいろ向上していくことに期待。あと8カ国語を話せるという一方で英語に訛りがある(「really」を「レアリー」と発音してるような)のが気になるが、まあクレイグ・ファーガソンの訛りよりはマシかと。

革命的な存在であったジョン・スチュワートを超えるのは相当難しいだろうけど、第一週を観た限りではかなりいい感じで始まっているので、大統領選をはじめ多くのニュースについて鋭くかつ面白くツッコんでくれることに期待しましょう。

「Scream Queens」鑑賞

Scream Queens, Season 1
「GLEE」や「アメリカン・ホラー・ストーリー」などでヒットを連発してフォックスに君臨するライアン・マーフィー(とブラッド・ファルチャックとイアン・ブレナン)による、さらなるフォックスの新作シリーズ。「アメホラ」みたいなアンソロジー・シリーズになるみたい。最近アメリカの海外ドラマでアンソロジー形式の番組が増えてきていることについては「AVクラブ」が解説していたけど、要するにシーズンごとに新しい設定にすれば新規の視聴者も獲得しやすいし、長期の契約を嫌う役者も出演してくれるといったメリットがあるんだとか。

話の舞台となるのは名門ウォレス大学の由緒あるKKTソロリティ。そこでは金持ちの娘であるシャネル・オバーリンが絶対的な支配力をもって他の女子たちを従えていたが、それを快く思わない学部長によって、すべての志願者がソロリティに入ることができるように制度を変えられてしまう。これによってオタクの少女や耳の聞こえない少女など、以前であれば入会を拒否されていた女子たちがソロリティに加わり、シャネルの頭痛のタネになる。さらに大学内において赤い悪魔の衣装を着た連続殺人鬼が出現し、少女たちが次々と犠牲になる事件がおきる。そしてこの事件は学部長も関わった、20年前の出来事に関連していた…というプロット。

ホラーっぽいあらすじだが内容はかなりコメディ寄りで、「GLEE」よろしくスクールカーストの力関係が極端に描かれ、ライアン・マーフィーの作品の常としてゲイの男子生徒も出てきます。これ普通にスラッシャー映画のパロディやってれば無難な笑いはとれると思うのだけど、ディーバな女学生たちがクレバーなセリフを延々と喋るシーンが多くて、話の展開がやたら遅いのよね。いちおう人が殺されるシーンも多くて血の量も多いものの、コメディとホラーとミステリーのバランスが全然とれていないような。

出演者はエマ・ロバーツにアビゲイル・ブレスリン、アリアナ・グランデといった今をときめく若手女優たちがたくさん出ているが、みんな同じ顔に見えるよ!誰が誰だか分からないよ!アビゲイル・ブレスリンってあんな顔してたっけ?あとは「Glee」のリア・ミシェルが出ているほか、元祖スクリーム・クイーンのジェイミー・リー・カーティスが学部長を演じてます。彼女だけやはり貫禄が違いますね。

本国でも評判はイマイチのようで、それでもシーズン全話は放送されるんだろうな。「スクリーム」のようにメタな内容にならないように製作側はいろいろ考えているらしいけど、次は誰が殺されるのか?犯人は誰なのか?といった基本的なことに興味を持たせるようにしないといかんでしょ。

「MINORITY REPORT」鑑賞

Minority Report, Season 1
フォックスの新作シリーズ。原作はフィリップ・K・ディックの小説だけど、あれの映画版の続編という設定になっている。

舞台は2065年のアメリカ。予知能力者(プリコグ)によって凶悪犯罪を事前に予知・防止していた犯罪予防局が活動を停止してから11年が経ち、強力な監視機能をもとにした犯罪防止システムが導入されようとしていた。かつてのプリコグの3人は身分を隠して一般の生活を送っていたが予知能力は衰えず、3人のうちのひとりダッシュは頭に浮かぶ犯罪のイメージに苛まれ、単独で犯罪を防止しようとしていた。そんな彼はワシントンDCの女性警部ローラと出会い、2人はダッシュの能力を駆使して犯罪を防止していくのだが…というプロット。

「パーソン・オブ・インタレスト」に加えて今年は「The Player」も始まって、「犯罪を事前に防止するサスペンス」が最近のトレンドになってるのかな?映画版ではプリコグの犯罪予知ってもっと漠然とした内容になっていて、それを解読するのが大きなプロットになっていた憶えがあるが、こちらはもっと具体的になっていて、後ろから人が襲ってくるとかナイフで刺されることも直前に分かって阻止できてしまうという、かなり便利な能力になっております。

あと映画版ではビルの側面を車が登ったり、網膜スキャンによる個人広告といったガジェットが満載だったが、予算の関係かこっちではもっと現代社会に似た未来都市になっています。それでもドローンというか小型ロボットの描写などは頑張っているけどね。映画版とは別物として楽しめばよいかと。主演はスターク・サンズにミーガン・グッド。キャストもスタッフもそんなに知られている人はいないかな。

ダッシュ以外のあと2人のプリコグが何らかの未来を予知していて、計画を立てていることが示唆されるのだが、今後の展開はどういうものになるんだろう。第1話の評判はあまり良くないようだし、特に地上波のSF番組って視聴率が稼ぎにくい(「ALMOST HUMAN」とか)印象が強いものの、ちょっと頑張って欲しいところです。

「THE BASTARD EXECUTIONER」鑑賞

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こないだ終った「サンズ・オブ・アナーキー」に続く、カート・サッターによるFXのドラマ。

舞台となるのは14世紀初頭のウェールズ。エドワード1世によってイングランドに征服されたウェールズだったがその後のエドワード2世の
統治下では中央の支配力が弱まり、ウェールズ人たちの反乱を恐れた領主たちは住民への圧制を続けていた。かつてエドワード1世の騎士としてスコットランドでの無謀な闘いに送り込まれたウィルキン・ブラットルは、重傷を負ったものの神の奇跡を目にして生還し、戦いを放棄してウェールズの村で身重の妻とひっそり暮らしていた。しかし領主の重税に反発した村民たちに促された彼は徴税人たちを襲撃するものの、これが領主を激高させて村はすぐさま焼き討ちにあい、逃げたはずの妻も何者かに殺されてしまう。村に帰ってこの惨状を目にしたウィルキンは、放棄したはずの騎士時代の剣を手に取り、領主への復讐を誓うのであった…というプロット。

そして主人公が仲間たちをゲリラ戦を繰り広げ、領主の首を狙うという「ロビン・フッド」みたいな内容になるのかな…と思いきや、第1話の後半においてウィルキンは圧倒的多数をもって領主を待ち伏せし、彼を殺してしまうのであった。でもそのまま逃げ続けることはできないと悟った彼は、名前を偽って領主の城下町に入り込み(なぜ?)、そこで新しい領主の死刑執行人として働くことになってしまう。この時点で主人公の目的が全く不明になってしまうのだが、今後もっと話は明確になっていくのかな?

野心と陰謀がうごめく宮廷ドラマというよりも、「アナーキー」よろしく血と死体が飛び交う男のドラマといった内容。主人公のウィルキンを演じるリー・ジョーンズってあまり出演作が多くないようで、ほぼ新人なのかな?「アナーキー」に続けてサッターの妻であるケイティ・セガールが謎めいた呪術士役で出演していて、その従者をサッター自身が演じているほかは、あまり知られた役者は登場してないみたい。

歴史考証などがどれだけ正しいのかは分かりませんが、いちおう実際にあったウェールズ人の反乱をベースにしてるのかな?でも本国ではあまり評判がよろしくないようで、よほどの改善を試みないと「アナーキー」ほど長続きする作品にはならないでしょう。