「HELL ON WHEELS」鑑賞


最近ちょっとゴタゴタが続いたものの、相変わらず質の高い作品を放送しているAMCの新シリーズ。

舞台となるのは1865年のアメリカ。南北戦争が終わり奴隷だった黒人たちは解放され、西部のさらなる開拓に目が向けられるなか、大陸を横断する鉄道の建設が進められ、ユニオンパシフィック鉄道のトーマス・クラーク・デュラントは工事を牛耳って多額の富を手にしようと画策していた。その工事現場にやって来たカレン・ボハンノンは南軍の兵士だったが、最愛の妻を北軍の兵士に殺された過去を持ち、その兵士たちを探して復讐するために現場で働くことになる…というような話。これに元奴隷の黒人とか、測量技師の夫をインディアンに殺された女性とか、キリスト教の洗礼を受けて西洋文化に目覚めたインディアンの若者などが話に関わってくるみたい。

金もかかってるし作りも決して悪くはないんだけど、ウェスタンとしてはちょっと微妙な出来かもしれない。主人公のボハンノンが第一話ではあまり活躍しないし酒に潰れたりしててカッコ良くないのがその原因課と。周囲が一目置くくらいにやたら強く、復讐に燃える男というくらいの描写を見せてくれないと。全体的にどうもウェスタンとしての様式美に欠けてるんだよな。別に「許されざる者」とか「トゥルー・グリット」のようなレベルを求めてるわけではありませんが。

物語のヒールとなるトーマス・クラーク・デュラント(って実在の人物なのか)を演じるのはコルム・ミーニー。俺の大好きな俳優ではあるものの、気のいいオヤジという役柄のイメージが強いのであまりこういうギラついた悪党の役が似合ってるとは思えなかったな。彼を全く知らない人が見たら違う印象を抱くんだろうけど。あとはラッパーのコモンなんかも出演していた。

期待してたほどの出来ではなかったとはいえ、AMCの作品だし今後の展開はもっと面白くなっていくんじゃないだろうか。どうも地上波ネットワークなどでもウェスタンの番組の企画が次々と進行中らしいが、ケーブル局の強みを活かしてタフなウェスタンを作って欲しいところです。

「THE EXES」鑑賞


去年の「HOT IN CLEVELAND」みたいに、レトロな感じのシットコムを製作しているケーブル局「TV LAND」の新作シリーズ。

妻と離婚して家を出たばかりのスチュアートは、弁護士のホリーの紹介で、彼と同様に離婚を経験した男性2人とアパートをシェアすることになる。彼と一緒に住むのはプレイボーイのフィルと内気なオタクのハスケルという性格が正反対の2人で、彼らは几帳面なスチュアートを疎ましく感じていたものの、反対側の部屋に住むホリーの助けもあって3人のあいだには奇妙な友情が生まれるのでした…というような話。

男性3人のドタバタ話、というのはそのまんま「HOT IN CLEVELAND」の裏返しになるのかな。有名どころの役者だと「Scrubs」のドナルド・フェイゾンが出ているぞ。まあ「フレンズ」あたりをベースにしたシットコムで目新しいところは全くないんだけど、逆になんか懐かしい気分で安心して観られるような感じ。これが地上波ネットワークの新作だったならばその凡庸さに文句言いたくなるところですが、TV LANDの作品なので大目に見たくなるわな。こないだの「Last Man Standing」なんかよりも面白かったと思う。

「Life’s Too Short」鑑賞


「THE OFFICE」と「EXTRAS」のリッキー・ジャヴェイスとスティーブン・マーチャントのコンビによるBBCの新シットコム。

「ウィロー」や「ハリー・ポッター」シリーズなどで知られる小人症の俳優ワーウィック・ディヴィスを主人公にした疑似ドキュメンタリー風の作品で、ディヴィスが演じるのはフィクション化された彼自身。
番組内での彼は仕事にありつけず、妻とは離婚の協議中というサエない状態で、無能な会計士のおかげで莫大な税金を払うことになって頭を抱えている始末。仕方なしに彼は仕事を求めて旧知のジャヴィエイスとマーチャントのところに赴くのだが、あまり歓迎されず…というようなプロット。

気まずいシチュエーションが連発される展開と、奇怪にデフォルメされたセレブリティたちが本人を演じる内容は「EXTRAS」そのまんま。あの番組の続編といってもいいくらい。主人公が主人公なので身長に関する際どいジョークがたくさん出てくるぞ。

個人的には「EXTRAS」や「Curb Your Enthusiasm」みたいな、主人公が遭遇する気まずいシチュエーションを笑うタイプのコメディってあまり好きではないんだけど、どんな状況にもめげずに絶妙なタイミングでツッコミを入れるディヴィスの姿は結構面白かったな。彼ってこんなにコメディのセンスがあったのか。「ウィロー」がもう20年以上前の映画なので彼って相当なベテラン俳優になるわけだが、まだ41歳なんだよな。

第1話ではゲストにリーアム・ニーソンが出てきて、「俺はコメディがやりたいんだ!」と言って何故かエイズに関するジョーク(?)を無表情で連発する光景は抱腹絶倒もの。「EXTRAS」でのセレブの出演は当たり外れが大きかったけど、パトリック・スチュワートみたいに威厳のある役を演じることが多い役者がコメディを演じてるさまは非常に面白いですね。この他にもスティーブ・カレルやジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム・カーターなんかがゲスト出演するらしい。

やはり設定があまりにも「EXTRAS」に似ており、今後の展開もあのシリーズと同じものになりそうでちょっと先が読めてる気がしなくもないのですが、少なくとも第1話は及第点だったし、サプライズはなくても面白いシリーズになることに期待しましょう。

「ALLEN GREGORY」鑑賞


「マネーボール」などで今をときめくジョナ・ヒルが原案と声優を担当するフォックスの新作アニメ。

金持ちでゲイの父親を持つアレン・グレゴリーは7歳なのに寿司やワインをたしなむマセた少年で、父親のパートナーにホームスクーリングを受けていたものの、彼が仕事を持つことになったために民間の学校に通わされることとなる。しかし当然ながら一般的な子供たちのあいだでアレン・グレゴリーの言動は浮きまくり、彼はさっそく学校のジョックたちの標的にされ…というようなプロット。他にもカンボジアからの養子であるアレン・グレゴリーの妹(姉?)とか、黒人の召使いなどのキャラクターも出てくるぞ。

第1話が本国ではまんべんなく酷評されていたので身構えて観たのだが、そこまで悪くはなかった。面白いかというとそんなことはなくて普通にツマらないんだけど、気分を害するような内容ではないというか。主人公がオバハンの校長先生に恋をする展開はちょっとオエッという感じでしたが。マセた子供の話、という点ではむかしMTVでやってた「ダリア」に似てるかな。あとはいまいち方向性が分からないアニメという点では短命に終わった「SIT DOWN, SHUT UP」に通じるものがあるかも。

アニメーションは流行りのフラッシュ風なんだけど、非常に動きがなめらかであることに驚く。製作会社のBento Boxって「Bob’s Burgers」も作ってるところなのか。声優はジョナ・ヒルのほかにウィル・フォーテとかレスリー・マンなどの有名どころも使ってるんだけど、まあ評判が悪いので長続きしないシリーズだろうなあ。ジョナ・ヒルってセス・ローゲンとかと比べてもまっとな脚本が書ける人ではないような気がするので、普通に俳優をやってたほうがいいのではないと。

ちなみにフォックスはこのあと「Napoleon Dynamite」のアニメ版も製作するはずなんだが、あの映画の印税をめぐってプロデューサーがフォックスを訴えた件ってどうなったんだろう。

「GRIMM」鑑賞


こないだの「ONCE UPON A TIME」に続いて絶妙なタイミングで始まった、「FABLES」ライクなNBCの新作ドラマ。

舞台となるのはオレゴン州のポートランド。ニックは恋人との婚約を控えた刑事だったが、目の前で女性が怪物に変身するという光景を目撃する。そして彼は末期がんに侵された叔母より、この世には太古の昔より人知を超えた「ブルートバッド」と呼ばれる怪物たちが棲みついていて、グリム兄弟の童話に書かれた魔物たちが実在すること、そしてニックは彼らから人類を守ってきた「グリム」の一族の末裔であることを知らされる。そして赤いフード付きのジャケットを着た女性が誘拐される事件が連続して発生し、事件を調査するニックは犯人がブルートバッドではないかと察するのだが…というのが第1話のプロット。

「ONCE UPON A TIME」に比べるとおとぎ話の設定があまりストーリーに組み込まれてなくて、別にグリム童話の怪物じゃなくてもエイリアンでも何でも良かったんじゃね?といった感じ。90年代に「Xファイル」のあとにわんさか出てきた「超常現象&刑事もの」の番組と同系列の作品か。刑事ものとしても、被害者がiPodで聞いていた曲(なぜかユーリズミックス)を容疑者が口ずさんでいたからって彼の家に突入する展開はどうかと思うぞ。

CGとかもショボいし、これがSyfyチャンネルとかTHE CWで放送されるならわかるが、NBCのプライムタイムでやるにはちょっとクオリティが低いような気がする。去年の失敗作「ザ・ケープ」もそうだけど、NBCはジャンルもののシリーズを作るならもうちょっと本腰を入れないといかんじゃないのかと。アメリカでの評判も「ONCE UPON A TIME」に比べると明らかに悪いし、あまり長続きしそうにない作品。