「KICK-ASS」トレーラー


Kick-Ass

Trailer Park | MySpace Video

マーク・ミラーとジョン・ロミタJr.によるコミックの映画化。「現実世界」においてオタクの少年がスーパーヒーローになろうと決心し、コスチュームをまとって悪人たちをブチのめしていくのだが…という内容の作品。

前にも書いたがここ数年でマーク・ミラーってかなり俺にとって嫌いなライターになってしまって(それでもブライアン・マイケル・ベンディスよりは遥かにマシだが)、サエないオタクが不特定多数に対して暴力的な復讐を遂げていくという、作家の願望そのままのプロットには辟易しているのであります。「ウォンテッド」もそんなんだったよな。この「KICK-ASS」もざっと原作を読んだ限りでは、なんでそこまで暴力描写が必要なの?という感じだったし。

まあ口の達者なキャラクターとバイオレンスというハリウッド好みの作品を書く人だし、アラン・ムーアみたいに映画化を渋るわけでもないから今後もハリウッドとの蜜月関係は続くんだろうな

アラン・ムーア&ゴリラズ

「フロム・ヘル」の刊行により日本でも知名度がグンと上がったような気がするアラン・ムーア先生が、デーモン・アルバーンおよびジェイミー・ヒューレットことゴリラズと組んでオペラを作るそうな。まあ以前にもバウハウスのデビッド・Jとかと一緒に音楽活動をやってたりしたから必ずしも意外なことではないんだけど。ムーアとヒューレットは以前にコミックで組んだことはあるのかな?

でもこういうことやってて肝心の「LoEG: Century」とかの執筆は遅れたりしないんだろうか。俺がいちばん読みたいムーアの新作はむしろLoEGよりも「The Moon and Serpent Bumper Book of Magic」なんだけど、あれは共著者のスティーブ・ムーア(血縁関係なし)が身内の介護活動に時間をとられきりということで刊行が遅れているようだし。

しかし上のリンク先のNMEの記事、”‘Watchman”s Alan Moore”という見出しは何だよ。

「殺しの分け前/ポイント・ブランク」鑑賞

小説も読んだしコミックも読んだ、じゃあ当然次は…ということで観た、「悪党パーカー/人狩り」の映画版。

これが監督第2作目となるジョン・ブアマンの演出はこの頃から既に冴えていて印象的なシーンが続くものの、全体的にアート系映画っぽくなってしまっていてケイパーものの作品としてはテンポが悪い感じがすることは否めない。原作やコミックは最初から最後まで展開がとてもスピーディだったんだけどね。そして主演を務めるリー・マーヴィンはパーカーを演じるには年をとりすぎているような…好きな俳優ではあるのですが、犯罪組織の幹部に「お前は何が望みだ!」と言われ虚ろな目をして「金が欲しいだけなんだけど…」と返答する姿はどうもカッコ悪い。

60年代のサスペンス映画の1つとして観れば良く出来た作品だと思うんだけど(繰り返すが演出は巧い)、いかんせん原作のイメージが強く残っているまま観たのであまり楽しめなかったかな。ブアマンのサスペンス作品では「テイラー・オブ・パナマ」が非常に好きなのですが、あれも原作に比べるとどんなものなんだろう。

ちなみに同じ原作の映画版といえば、「ペイバック」のディレクターズ・カット版は面白いらしいので、機会があれば観てみたいところです。

「Richard Stark’s Parker: The Hunter」読了

昨年他界したドナルド・E・ウェストレイクがリチャード・スターク名義で執筆した犯罪小説の「悪党パーカー」シリーズの第一作「悪党パーカー/人狩り」を、「DC: The New Frontier」など優れた作品を出しているダーウィン・クックがコミック化したもの。

ウェストレイク自身からアドバイスを受けながら製作していったという作品だけあって内容は原作に非常に忠実で、強盗のあとに妻と仲間に裏切られて瀕死の重傷を負った主人公パーカーが、あらゆる手段を使って冷酷に復讐を遂げていく姿が臨場感たっぷりに描かれていく。クリーム色の紙のうえに黒と青のインクを使ったスタイルがノワール感を引き立てているほか、「New Frontier」同様にレトロな設定の舞台はクックの得意とするところなので家具や衣装のデザインを見ているだけでも楽しい。

難点があるとすれば通常のアメコミよりも1まわり小さいB5版くらいのサイズなので、全体的にコマが窮屈な感じがすることかな。あとクックの画風だとどうしても人物がカートゥーン的になってしまうわけで、パーカーの描写は完璧なものの、原作だと悪役のマルなんかはもっと脂ぎった下劣な男のような気がしたし、娼婦のリンダはもっとヴァンプ的なイメージを抱いてたんですけどね(クックの描く女性に色気がないわけではないが)。こうした脇役のデザインについてもウェストレイクからの指示はあったのかな。

今後もクックは「悪党パーカー」シリーズのコミック化を行っていくそうなので大いに期待しよう。

「V」鑑賞

俺くらいの世代の人だと、80年代に日テレでやってた「V」のミニ・シリーズを熱心に観てた人も多いんじゃないでしょうか。あの頃のテレビの影響力は大きかった。「V2」はビデオ屋でレンタルするのが面倒で観なかったけど。そしてこれはABCによるそのリメーク。

第一話の展開はまあ典型的な異星人訪問ものをなぞっており、世界各地の都市に突如あらわれた異星人(ビジター)たちの巨大宇宙船は下部が巨大ディスプレイになっていて、そこに友愛のメッセージが各国の言語で放映されるという実に素晴らしい気配りをみせてくれる。宇宙船を見て『「インデペンデンス・デイ」みたいだ!』と言う奴がいるんだけど、あれ観てたら普通は宇宙船の下には行かないよな。

もちろんビジターたちが友愛の人たちでないことは最初からバレバレなわけで、彼らが怪しい目的を持っていることと、前回同様に人間の皮をまとったトカゲであることは比較的早めに明らかにされる。しかもビジターたちは昔から地球に侵入しており、政府や金融機関を乗っ取っていたことが明かされるんだけど、それじゃ「訪問者」じゃなくて「間借人」じゃん。そんなんだったらもっと人間をフヌケにしてから宇宙船を送り込めばいいのに。彼らの正体を知った人間側のレジスタンスが倉庫で会合を開いたり、それをビジター側が襲撃する描写などは「ゼイリブ」そのまんま。地球侵略に反対するビジターたちによるレジスタンスも存在するという設定は面白かったけど。

物語に登場する人間たちはシングルマザーのFBI捜査官とその反抗的な息子(とそのデブでマヌケな相棒)や、ビジターの訪問によって信仰心が揺らぐ神父、ビジターへのインタビュー権を手にするジャーナリストなどなど。全体的に話が型にはまっているような気がして、あまり続きを観たいという気にはならなかったかな。せめてレジスタンス側にマイケル・アイアンサイドがいればなあ。でも視聴率はずいぶん良かったみたいなので当分シリーズは続くんじゃないでしょうか。

というかビジターたちの服がグレーを基調としているためか、

俺には彼らが「ギャラクシー・クエスト」の人たちに見えてしまうのです。