「アントマン」鑑賞

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いま公開中なのでネタバレせずに感想を簡潔に:

・良い映画。エドガー・ライトのファンとしては、彼が監督やってたらどうなってただろうとか、彼の脚本はどこまで使われてるんだろうかと考えずにはいられないのですが、ここはペイトン・リードの功績を素直に讃えるべきでしょう。でもザ・キュアーをサントラに起用するのはイギリス人のアイデアだと思う。

・ライトはマーベル(ディズニー)が口をはさんでくるのに嫌気がさして監督を降板したわけだが、「アベ2」に比べれば他のマーベル作品との繋がりは希薄だったと思う。まあ関係者もいろいろ出演してるけどね。良くも悪くもマーベル映画というよりディズニー映画みたいなノリだったけど、コンティニュイティーに縛られないマーベル映画がたまにはあっても良いと思う。「シビル・ウォー」でマーベル・ユニバースにズブズブはまることになるんだろうけど。

・スーパーヒーロー映画はオリジン話が無いほうが面白い(「ダークナイト」や「スパイダーマン2」とか)と良く言われるけど、これは「アイアンマン」と並んで主人公の特訓が描かれていて面白かった。ただイエロージャケットのスーツ奪還をヤマ場に持ってきたことで話が単調になったような?最後にもう1つ盛り上がるシーンがあっても良かったと思う・

・マイケル・ダグラスを始めとする役者陣の演技も手堅い。ポール・ラッドはヒーローっぽくない雰囲気が良かったですね。悪役が太ったピーター・サースガードにしか見えなかった気もするが。ウッド・ハリスがチョイ役で出てるな…と思ったらセリフの多いマーティン・ドノヴァンよりもクレジットが上の扱いになってたのは何だったのだろう。

・字幕監修がテリー伊藤って何だ?まあ気になる翻訳はなかったけど。「Tales to Astonish」というセリフはさすがに訳せんよね。あと「アンディ・グリフィス・ショー」がなぜか「刑事ドラマ」と訳されてたな。

・前述したように後の映画のためにコンティニュイティーに縛られていた「アベ2」に対して、肩の力を抜いて気軽に観ることができるスーパーヒーロー作品であった。マーベルはこれからもこういった軽めの作品を、メインの作品と平行して作っていくべきだと思う。

「MINORITY REPORT」鑑賞

Minority Report, Season 1
フォックスの新作シリーズ。原作はフィリップ・K・ディックの小説だけど、あれの映画版の続編という設定になっている。

舞台は2065年のアメリカ。予知能力者(プリコグ)によって凶悪犯罪を事前に予知・防止していた犯罪予防局が活動を停止してから11年が経ち、強力な監視機能をもとにした犯罪防止システムが導入されようとしていた。かつてのプリコグの3人は身分を隠して一般の生活を送っていたが予知能力は衰えず、3人のうちのひとりダッシュは頭に浮かぶ犯罪のイメージに苛まれ、単独で犯罪を防止しようとしていた。そんな彼はワシントンDCの女性警部ローラと出会い、2人はダッシュの能力を駆使して犯罪を防止していくのだが…というプロット。

「パーソン・オブ・インタレスト」に加えて今年は「The Player」も始まって、「犯罪を事前に防止するサスペンス」が最近のトレンドになってるのかな?映画版ではプリコグの犯罪予知ってもっと漠然とした内容になっていて、それを解読するのが大きなプロットになっていた憶えがあるが、こちらはもっと具体的になっていて、後ろから人が襲ってくるとかナイフで刺されることも直前に分かって阻止できてしまうという、かなり便利な能力になっております。

あと映画版ではビルの側面を車が登ったり、網膜スキャンによる個人広告といったガジェットが満載だったが、予算の関係かこっちではもっと現代社会に似た未来都市になっています。それでもドローンというか小型ロボットの描写などは頑張っているけどね。映画版とは別物として楽しめばよいかと。主演はスターク・サンズにミーガン・グッド。キャストもスタッフもそんなに知られている人はいないかな。

ダッシュ以外のあと2人のプリコグが何らかの未来を予知していて、計画を立てていることが示唆されるのだが、今後の展開はどういうものになるんだろう。第1話の評判はあまり良くないようだし、特に地上波のSF番組って視聴率が稼ぎにくい(「ALMOST HUMAN」とか)印象が強いものの、ちょっと頑張って欲しいところです。

「THE BASTARD EXECUTIONER」鑑賞

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こないだ終った「サンズ・オブ・アナーキー」に続く、カート・サッターによるFXのドラマ。

舞台となるのは14世紀初頭のウェールズ。エドワード1世によってイングランドに征服されたウェールズだったがその後のエドワード2世の
統治下では中央の支配力が弱まり、ウェールズ人たちの反乱を恐れた領主たちは住民への圧制を続けていた。かつてエドワード1世の騎士としてスコットランドでの無謀な闘いに送り込まれたウィルキン・ブラットルは、重傷を負ったものの神の奇跡を目にして生還し、戦いを放棄してウェールズの村で身重の妻とひっそり暮らしていた。しかし領主の重税に反発した村民たちに促された彼は徴税人たちを襲撃するものの、これが領主を激高させて村はすぐさま焼き討ちにあい、逃げたはずの妻も何者かに殺されてしまう。村に帰ってこの惨状を目にしたウィルキンは、放棄したはずの騎士時代の剣を手に取り、領主への復讐を誓うのであった…というプロット。

そして主人公が仲間たちをゲリラ戦を繰り広げ、領主の首を狙うという「ロビン・フッド」みたいな内容になるのかな…と思いきや、第1話の後半においてウィルキンは圧倒的多数をもって領主を待ち伏せし、彼を殺してしまうのであった。でもそのまま逃げ続けることはできないと悟った彼は、名前を偽って領主の城下町に入り込み(なぜ?)、そこで新しい領主の死刑執行人として働くことになってしまう。この時点で主人公の目的が全く不明になってしまうのだが、今後もっと話は明確になっていくのかな?

野心と陰謀がうごめく宮廷ドラマというよりも、「アナーキー」よろしく血と死体が飛び交う男のドラマといった内容。主人公のウィルキンを演じるリー・ジョーンズってあまり出演作が多くないようで、ほぼ新人なのかな?「アナーキー」に続けてサッターの妻であるケイティ・セガールが謎めいた呪術士役で出演していて、その従者をサッター自身が演じているほかは、あまり知られた役者は登場してないみたい。

歴史考証などがどれだけ正しいのかは分かりませんが、いちおう実際にあったウェールズ人の反乱をベースにしてるのかな?でも本国ではあまり評判がよろしくないようで、よほどの改善を試みないと「アナーキー」ほど長続きする作品にはならないでしょう。

「THE GAMECHANGERS」鑑賞

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BBCのTVムービー。その圧倒的な自由度をもってビゲオゲーム界に革命をもたらし、驚異的な売上を記録した「グランド・セフト・オート」シリーズを製作したロックスター・ゲームズの内側と、彼らのゲームは青少年に悪影響を与えるとして訴訟を起こした弁護士の攻防を描いたもの。

舞台は1992年のニューヨーク(おれロックスターってエジンバラにあるものだと思ってたが、本部はニューヨークなのね)。「グランド・セフト・オートIII」の爆発的なセールスを受け、ゲーム開発者のサム・ハウザーは早くも続編「バイスシティ」の製作にとりかかる。そしてこの続編も大ヒットを記録したが、ゲームを長時間プレイしていた少年が警官を射殺するという事件が起きてしまう。その少年が「人生はゲームみたいなもんだ」と供述したことからフロリダの弁護士のジャック・トンプソンが興味を抱き、GTAシリーズは青少年に有害な影響を与えるものだとしてロックスターを提訴する。これに対して大手法律事務所の弁護士を雇ってトンプソンの訴訟を退けたロックスターだったが、次に出した続編「サン・アンドレアス」にハウザーが企画していた18禁描写「ホットコーヒー」のデータが隠れていることがユーザーによって発覚されたことで、ロックスターは一気に世間のバッシングを受けることになり…というもの。

これ番組製作にあたってはロックスターから何の協力や了承も得られず、むしろ著作権侵害だとして彼らに訴訟を検討されてるらしいが、よくそんな状況で製作・放送したよな。なお物事の描写は正確ではないと、放送後にもロックスターに批判されてるみたいです。

イギリス人のサム・ハウザーを演じるのはヒゲ面のダニエル・ラドクリフ。映画プロデューサーのドン・シンプソン(俗受けする大作映画を80年代に乱発してた人ね)を崇拝し、受けるゲームの製作のためなら容赦なく部下を残業させてコキ使う人物として描かれているが、なんか薄っぺらいキャラだし、やはりラドクリフが演じると凄みがないのよな。

むしろビル・パクストン演じるジャック・トンプソンのほうが主人公であるかのように描かれていて、狂信的なキリスト教徒なんだけど、近所のクソガキどもの嫌がらせにもめげず、モラルのためにロックスターと戦う人物であるかのように描写されていた。でも実際はもっとアレな人で、劇中でも少し言及されてるがツーライブ・クルーやハワード・スターン、NWA、サウス・パークなどといったグループや番組にことごとくケンカを売ってた経歴があるらしい。最後はロックスターの雇った弁護団の手回しによって法律関係の仕事につけなくなるような描写がされていたが、現実にはフロリダの法廷に自分でいろいろクレームをつけて解雇されたのだとか?

何にせよ「アートが表現規制を打ち負かした!」みたいな内容にはなっていなかった。というか全体に起伏がなくて単調な内容であった。ハウザーとトンプソンが面と向かって対峙するようなシーンはないし、そもそもハウザーがなんでホットコーヒーのコードをゲーム内に残したままだったのかという肝心な点についても説明がなかったのには不満が残る。とはいえ扱っている題材が珍しいこともあり、それなりに見応えのある作品ではあったな。日本でも「ゲーム脳」の人についてもこれくらいの番組は作れるんじゃないですか。

「トレジャーハンター・クミコ」鑑賞

Kumiko, The Treasure Hunter
iTunesストアで安かったので何とはなしに視聴。WOWOWで今週やるみたいですが。

コーエン兄弟の映画「ファーゴ」に出てくる、雪の中に隠された大金が実在すると信じ込み、単身ミネソタに渡って死亡したという日本人女性の物語をフィクション化したもの。しかしそもそもクミコの話というのが都市伝説のようなもので、ファーゴが好きだったという日本人女性が彼の地で自殺したことについて、「彼女は大金を探していた」という尾ひれがついてしまったものらしい。

主人公のクミコは社長のお茶汲みをしているしがないOLで、会社の同僚たちとも打ち解けず、実家の母親には早く結婚をしろと小言を言われる毎日を過ごしている女性。アパートではウサギを飼っているもののエサは丸投げだし、学生時代の友人にお茶に呼ばれても脱兎のごとく逃げ出してしまう、まあいろいろ問題を抱えた人なのだが、そんな彼女の唯一の趣味というか日課が、家でカップラーメンをすすりながらコーエン兄弟の「ファーゴ」を鑑賞すること(DVDの時代にすりきれたVHSテープで観ている)。そして例の大金を隠すシーンでひらめいた彼女は、画面をもとに宝の地図を書き上げ(なぜか布に刺繍する)、単身ファーゴに向かうのだが…というプロット。

もちろん安月給のOLが海外で宝探しをする予算もなく、彼女は本能の赴くままに会社の金を使い、タクシーを無賃乗車し、ひたすら真冬のファーゴを目指す!日本とくらべてミネソタの人たちはみんな親切で、クミコに手を差し伸べてくれるのだが、いわゆる『痛い』女性がそんな周囲の親切を反故にし、野生動物のごとく逃げ出して雪原に向かう光景は、観てて楽しいかというとそうでもないのよな。もうちょっとクミコの内面を描いても良かったような気がするが、そこは難しいとこだな。あと音楽がやけにおどろおどろしくて、ペットハウスの動物の鳴き声とか雪嵐の音とかがサイコな主人公の姿と相まってホラーっぽい雰囲気にもなっています。プロデューサーにアレキサンダー・ペインが名を連ねているが、彼のロードムービーほどのユーモアは無い感じ。

話の前半は日本のシーンだが、日本人スタッフも加わって撮影してることもあり変な日本の描写などはなし。クミコを演じる菊地凛子の無口な演技は、結局のところ彼女の英語の拙さを反映したものであって何度もこういう役を演じるべきではないと思うが、目つきとへの字になった口だけでの演技は巧かったし、こういう女性うちの職場にもいるじゃん!と思ったりもしました。

肝心のラストはね、おれは逃げちゃったなと感じましたが、まあ人によって解釈が分かれるとことでしょう。この映画を作った意図はなにか?と考えるとあまり答えは見当たらないのだが、まあオフビートな映画としては悪くないです。