「Scream: The TV Series」鑑賞

mgid-uma-image-mtv.com-10592719
MTVによる「スクリーム」のTVシリーズ版。まあ最近はホラー映画のTVシリーズ化が流行ってるからね。これは来るべきして来た作品なのかも。

舞台とか登場人物は映画版とまったく別物で、レイクウッドという小さな町(でも住人の家はみんなプールがあってデカい)における高校生たちが主人公になっている。生徒のひとりがレズビアンであることを暴露したビデオが映像サイトに公開された結果、そのビデオをアップロードしたと思われる女生徒が自宅で殺害(ここは映画版のドリュー・バリモアのシーンのオマージュ)されたことから、町に殺人鬼が潜んでいるのでは…と皆が疑心暗鬼になる…という設定。

俺が思うに映画版のスクリーム(少なくとも第一作目)が画期的だった理由は2点あって:

・一般大衆向けの映画ながらも意外とエグいスラッシャー描写
・MTV世代の登場人物が、過去のホラー映画のクリーシェについて語るなか、それに近い形で話が展開するというメタ気味な設定

というもの。うち前者はケーブル局においては当然ながらあまりエグい描写ができなくて、一気に残虐行為がトーンダウンした「スクリーム3」程度といったところ。でもまあ頑張ってるほうかな。後者についてはオタクっぽい生徒が「最近は『アメリカン・ホラー・ストーリー』みたいなゴシックホラーのTV番組が流行ってるけど、スラッシャー映画はシリーズ化できないよな。あれって話の展開が速いから、シリーズとして引き延ばすことはできないだろ」とメタ気味というか自虐的に語るシーンがあって、第1話を観た限りでは確かにそんな感じ。殺されるのは前述の女の子だけだが、このまま登場人物が殺されてったらあっという間に誰もいなくなってしまうわけで、そこらへんのジレンマはどう対処するのだろう。

あとレイクウッドには、20年くらい前に連続殺人を犯して湖に消えたというカタワ者の少年の伝説があって、彼が戻って来たのではと住人たちは怯えるのだが、それって「13日の金曜日」のジェイソンでは…。これって他のホラー映画のパロディをやるということなのかな?それとも脚本家たちはあくまでも真面目なのか?

雰囲気的には「スクリーム」というよりも「プリティ・リトル・ライアーズ」みたいな作品。今後の展開によっては面白くなるかもしれないけど、とりあえず映画のノリを期待してはいけません。

「HUMANS」鑑賞

Humans
スウェーデンの番組をリメークしたチャンネル4の新シリーズで、アメリカではAMCで放送開始したもの。

最近は技術の進化を反映してかAI(人工知能)を扱った映画がいろいろ作られていて、「チャッピー」とか「Ex Machina」のほかに、「アベンジャーズ2」もAIが大きなテーマになってますな。このシリーズもAIを持ったロボット(シンセと呼ばれる)が市販され、家事手伝いとか単純労働などの業務を人間に代わって行なうようになった近未来を舞台にしている。

話の登場人物は大まかに3グループあるようで、出張のため家を不在にしがちな母親の代役としてアニタという名のシンセを購入した一家、時代遅れのシンセと生活する老科学者、および特定のシンセを探している謎の男といったところ。第1話では彼らがお互いに絡むことはないんだが、今後はいろいろ話が錯綜していくのかな。

アニタを含む一部の特定なシンセは感情や記憶を持っていることが示唆されており、そうしたシンセを追って捕獲する謎の組織も登場するサスペンスになっている。シンセが人間そっくりで外見からすぐシンセだと判断できないのって実際には不便だろうし、アニタに子供たちがなついてしまい嫉妬する母親とか、SF番組としては前にどこかで見たような展開が続いて決して目新しくはないものの、「Ex Machina」同様に音楽や演出が巧いので観ていて飽きない内容になっている。

出演者で有名どころは「マーリン」のコリン・モーガンか。ヒゲが生えてて最初誰だか分からなかったよ。あと意外にも老科学者役としてウィリアム・ハートが出演している。またアニカはジェンマ・チャンというアジア系の女優が演じてるのだが、アジア人女性って従順な召使いというステレオタイプがあるのかね…?

今後の展開が分からないので評価しづらいところだが、知的なSFサスペンスとして期待できる作品かもしれない。

「トゥモローランド」鑑賞

tomorrowland54fa25d19980e
公開中なのでネタバレせずに感想をざっと:

・田舎のティーンが不思議な事件に遭遇するSF映画、と言う意味で全体的な雰囲気は80年代のスピルバーグ作品のようであった。意図したものではないだろうけど、「SUPER 8」なんかよりもずっと似ていたと思う。

・でもスピルバーグ作品に比べて人の吹き飛び方とか、ロボットがボコボコにされるさまは結構えげつない描写がされていて、あれはアニメーター出身の監督だからですかね。映像を観ながら「アニメだったらどう描写してたかな…」とつい考えてしまうのは偏見かな。

・ストーリー自体は面白いものの、脚本に粗さが目立つのが残念。ビデオ撮りしてる冒頭から「はぁ?」となるし、「この先どうなるんだろう」というワクワク感よりも「いま何が起きてるんだろう」という五里霧中な印象を観客に与えてしまうというか。もう2回くらい脚本をリライトしてもバチはあたらなかったと思う。

・でもグッズ店の店主の名前が「ヒューゴー・ガーンズバック」だったり、店でのバトルの音楽が「スター・ウォーズ」のパスティーシュであったりと、SFに対するオマージュが散りばめられていて、監督の愛情が伝わってくる作品でありました。

・ビル・マーも自分の番組で指摘してたが、いまハリウッドにおける頭のいいキャラ(今回はアテナ)ってみんなイギリス英語を話しますね。

・「ルーパー」「エクスタント」に続き、ピアース・ガニォンって「SF作品に出てくる小生意気なガキ」ばかり演じているな。

・興行的にコケたので、今後ブラッド・バードが実写作品を撮るのは難しくなるかな?何にせよ次回はいよいよ「The Incredibles 2」なので大いに期待できますね!

「Kingsman: The Secret Service」鑑賞

Kingsman_ The Secret Service
グラント・モリソンに恨みを買われてるマーク・ミラーと、アラン・ムーアに恨みを買われてるデイブ・ギボンズによるコミック(いや、別にこの言い方に他意はない)が原作の映画な。日本では「キングスマン」の題で例によってずっと遅れて9月公開とのことなので、ネタバレにならないよう感想をざっと:

・話の流れは原作に結構忠実なんだけど、労働者階級と上流階級のギャップよりも、監督のマシュー・ヴォーンによる昔のスパイ映画へのオマージュが前面に押し出された出来になっている。劇中でもスパイ映画について言及されたりしてるのだが、リアル路線を追求した今の007やジェイソン・ボーンものへの反動のような、秘密兵器と豪華なファッションが満載の作品となっていた。とはいえ結局はハッキング合戦になるのが今のスパイ映画の限界なのか。

・原作では主人公がもっと筋金入りのチャヴ(イギリスのDQN)だったような憶えがあるが、こちらは比較的素直な青年といった感じ。上流階級出身の仲間たちとの対比も控え目かな。彼が雇われる秘密組織「キングスマン」は紳士たちが揃ったエリート組織であり、悪の組織の首領も底辺の人々を抹殺しようとするエリート主義なわけで、一般の人が関わるようなシーンはなし。まあ昔のスパイ映画がそうだったといえばそれまでなんだけど、貴族の末裔だという監督にエリート全肯定みたいな話をやられるとちょっと鼻についたりもする。

・イギリスの田舎で若者たちが訓練するシーン、何かに似てるな…と思ったら「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」だった。その前の「キックアス」といい、マシュー・ヴォーンはどれだけ若者が訓練される映画が好きなのか。

・コリン・ファースにマイケル・ケイン、マーク・ストロングといったイギリス男優が揃ったキングスマン側の演技は鉄壁である。しかし彼らを相手にしても一切ひけをとらないサミュエル・L・ジャクソン親父の演技はもっと凄い。

・原作ではマーク・ハミルが本人役(?)で出てるのに、こちらではハミルが他人の役を演じてるのが勿体ないなあ。

・「2625」はあちらのテンキーだと「ANAL」だそうな。HAHA!

「キックアス」同様に、全編にわたって「これだけ無茶やればウケるだろ」みたいな計算深さが窺えるのが気になるが、まあ何も考えずに目の前で繰り広げられる暴力描写をゲラゲラ笑ってるぶんには楽しめるかと。続編も作られるようだし。

「EX MACHINA」鑑賞

ex-machina-poster-v02
ちょっと前だけど飛行機の中で観て面白かった作品なので感想を簡単に。機内用の映像のため女性の裸とかにボカシが入ってたけど、話の内容は修正されてないはず。

検索エンジンの会社で働く若きプログラマーのケイレブが社内の抽選で無作為に選ばれ、会社の社長が住む山の奥地の別荘に招かれるところから話は始まる。そこでケイレブはエキセントリックな社長のネイサンに、人工知能を搭載したエイヴァと呼ばれるヒューマノイドと会話を毎日行ない、彼女の人工知能が本物であるかを試すように伝えられる。最初は真面目にテストを行なっていたケイレブだったが、やがてエイヴァに感情移入するようになっていき…というプロット。

ポスターとかではいまいち内容が分かりにくいが、意外と正統なSFサスペンスになっている。人工知能を備えたロボットの反乱、というと陳腐だけど、エイヴァとケイレブとネイサンの思惑が錯綜し、最後まで飽きさせない展開が続いていく。

監督のアレックス・ガーランドは「ザ・ビーチ」の原作とか書いた小説家でこれが初監督作品となるが、反射を効果的に使った映像が非常に美しいのですよ。あれは撮影監督の手腕が大きいのかな。哲学について語るシーンが多かったりするのは、まあ小説家が書いた脚本っぽいですね。

またケイレブを演じるのがドーナル・グリーソンで、ネイサン役がオスカー・アイザックなのだが、おれ最後のクレジットを観るまでオスカー・アイザックだとは気付かなかった。「ドライヴ」と「ルーウィン・デイヴィス」の役もまるで別人のようだったが、ここでもイメージを大きく変えてネイサンを演じている。

ちょっとでもSFや人工知能に興味がある人なら観て楽しめる作品じゃないでしょうか。日本でもいずれ劇場公開するでしょう。