「SENSE8」鑑賞

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「SENSE8」と書いて「センセイト」と読む。「バビロン5」のJ・マイケル・ストラジンスキーとウォシャウスキー姉弟によるネットフリックスのオリジナルシリーズで、多くのエピソードをウォシャウスキー姉弟が監督している。

第1話を観ただけでは話の全貌がかなり掴みづらいのだが、肉体的に遠く離れていても五感を共有することができるセンセイトという存在がいて、悪のセンセイトと善のセンセイトの間にいた女性のセンセイトが自殺し、それがきっかけとなって世界中の8人の男女にセンセイトの能力が授けられる。ソウルのビジネスウーマンやシカゴの警官、ドイツの金庫破りなど人種も経歴もまったく異なる彼ら8人だったが(みんな英語話してるのはご愛嬌)、他人が目撃したものを自分も目にするといった突然の感覚の共有に戸惑うことになる。しかしその感覚はやがて彼らを結びつけることになり…というストーリー。

まあネットフリックスのシリーズなので、例によってシリーズ全話を一気に視聴することが推奨されてるみたい。よって第1話観ただけでは話が全然分からないのですが、おれ全話観てる時間なんてないのよ。しかも第1シーズンでは8人のセンセイトが実際に出会う展開は無く、あくまでも世界各地での彼らの話が進んでいくらしい…って「HEROES」のティム・クリング作品っぽくってすごく不安なのだが。でも複数エピソードを観た人のレビューはそこそこ好評なようで、クリングの「TOUCH」などよりは面白い内容になってるのかな。

出演者はダリル・ハンナにフリーマ・アジャマンなど。ナイロビやムンバイといった世界各地でロケをしていて金がかかってんなーと思うものの、8人の姿が目まぐるしく描写されるため、どのキャラクターにも感情移入しにくいのだよな。おれ「マトリックス」以降のウォシャウスキー姉弟の作品ってまるで観れてないのですが、「クラウド・アトラス」もこんな感じなの?

たぶん話を追っていけば面白くなる作品なのだろうが…。既に日本語版も作ってるようなので、日本に来たときにみなさん代わりに観ておいてください。

「Kung Fury」鑑賞

Kung-Fury
その80年代テイスト丸出しのトレーラーが大きな話題を呼んだアクション・コメディ短編。キックスターターで出資を募ってから完成が望まれていたが、この度ついに無料で公開されたのだよ。

舞台は1985年のマイアミ。悪がはびこり警官は平気で射殺され、さらにはアーケード・マシンが凶悪ロボットに変形して人を襲うなか、雷撃に打たれてコブラに咬まれたことで驚異的なカンフー能力を身につけた一匹狼の刑事カン・フューリーは一人で悪と戦っていたが、なぜか1940年代からやってきた悪のカンフー総統ヒットラー(「カン・フューラー」!)に上司を殺害されてしまう。上司の仇を討つため、天才ハッカーであるハッカーマンの力を借りてカン・フューリーはタイムマシンを使って1940年代を目指すものの、計器の故障によりはるか昔の恐竜が闊歩する時代に飛ばされてしまい…という展開。

とにかくシンセ音楽がバンバン鳴り響き、VHSのノイズが画面に走るなか、滑稽無糖なアクションで悪を倒すカン・フューリーがカッコいいのだよ!なんで警察の相棒がトリケラトプスなんだとか、恐竜時代に戻った意味ってあまりないんじゃないとかツッコミどころは当然山のようにあるものの、いいんだよ、細かいことは!突然画面がテレビ通販になったり、80年代アニメになったりと詰め込み過ぎのような気もするが、むしろこれくらいやってくれたほうが楽しいかと。

アマチュア映画とはいえ特撮とかアクションとかはよく出来てるし、クラウドファンディングで製作費を集めたところなどは「アイアン・スカイ」に似ているな…と思ってたら監督・製作・主演のデビッド・サンドバーグってスウェーデン人なのか。フィンランドの「アイアン・スカイ」といい、北欧ってこういう映画を製作できる土壌みたいなものがあるんだろうか。でもしっかりアメリカ市場を狙っていて、主題歌にデビッド・ハッセルホフを起用するあたり、日本の映画会社などよりも手堅い海外進出ができてるよね。

今回は30分の短編だが、劇場版の製作の話もあるとか。その際は出資を募ったら募金させていただきます。80年代に一泊500円で「レモ/第一の挑戦」とか「片腕サイボーグ」とかレンタルして観てた奴は今すぐ観よう!

「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」鑑賞

Age of Ultron poster
これもアメリカで観てしまったよ。当然ながら以下はネタバレ注意:

・現地での大まかな評判は「悪くはないんだけど、前作ほど良くはない」というものだったが、確かにそんな感じ。前作は個々のヒーローが団結して行く流れが快かったのに対し、今回はチームが崩壊の危機を迎えてお互いに戦ったりするわけで、観ててあまりカタルシスが感じられないのよな。後半になってから危機を乗り越えて一緒に戦う展開は良いんだけどね。

・当然ながら今後のマーベル作品への伏線がいろいろ貼られているのだが、これも以前はワクワクさせてくれるものだったのに、だんだんそっちが重要になってストーリーを圧迫しているような感じ。監督のジョス・ウィードンがマーベルのプレッシャーに耐えられずこれ限りで降板したのもよく分かる。

・SHIELDの状態などはTVシリーズの流れを受けてるようなのだけど、そこまでチェックしてる時間はないのよ。映画だけでなくTVともユニバースをシェアさせるのって今後はどんどん整合性がとれなくなってくるんじゃないのか。

・クイックシルバーは「フューチャー&パスト」のほうが良い。まああっちはきっちり見せ場が与えられていたし仕方ないね。

・冒頭にロバート・ゼメキスの「THE WALK」のトレーラーを観た時も思ったのだが、登場人物が東欧とかフランス出身だからといって外国訛りの英語を喋らせる必要ってあるんだろうか。ワンダとピエトロの訛りがどうも気になってしまったよ。

・しかしあのキャラクターがああいう結末を迎えるなら、コミックのほうで無理して設定をああしなくても別によかったんじゃね?

・ウルトロンは良くも悪くも人間味があって、なんかオッサン臭いような。表情のないキャラクターなので、声で感情を表現させるしかなかったんだろうな。

・ビジョンはアンドロイドというよりも顔を赤く塗ったポール・ベタニーにしか見えない。正直カッコわるい。

・ベロニカ可愛いよベロニカ。あれにはハルクのガールフレンドの名前がベティだから対抗してベロニカ、という誰も気付かないアーチー・コミックスへのオマージュが隠されているらしい。

・ “That was a good talk!” ”No it wasn’t!”こういう細かいジョークを書かせるとやはりウィードンは巧い。

・いろいろ厳しいこと書いたけど普通に楽しめる作品ではありますよ。前作の域には達していないだけで。しかし日本版のトレーラーやポスターはネタバレが含まれてると聞いたので観賞後にチェックしたのだが、確かに重要なプロットをバラしてますね。

・世界の他の国よりも2ヶ月近く遅れて公開させ、芸能人を吹替に起用し、事前にかなりネタバレをしているというのは、単に日本の観客がナメられてるのでは。他の国はアメリカとほぼ同時に公開してもそれなりの興行成績を出してるわけで、宣伝に2ヶ月かける必要があるというのは言い訳になってないだろ。

・例えば韓国は税制の優遇(資金援助?)をして映画の撮影を誘致し、韓国人のキャストも登場させてるわけで、日本もそれくらいに国レベルで宣伝に関わっていく必要があるだろう。(ロバート・ダウニーJr.ってまだ日本に入国できないんだっけ?)

・”… Assemble.”

「マッドマックス 怒りのデス・ロード」鑑賞

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アメリカへ出張したので観てきたのだよ。プロットらしきものはあまり無いんだけどいちおうネタバレ注意な。

・皆が期待してる「ヒャッハー!」なアクションはもちろんあるよ。というか最初から最後までそればかりなんだけど、観て驚いたのはこれすごく女性を中心に添えた作品だということ。

・話の実質的な主人公はマックスというよりもシャーリーズ・セロン演じるフュリオサだし、彼女を頼ってイモータン・ジョーのもとから脱出する5人の女性は最初こそレイプの犠牲者であり、か弱い存在なのだけど、グロテスクな貞操帯を断ち切って自由になったあとは自由を求めて行動し、しまいには戦いの流れを大きく変えるような存在になっていく。

・女性の一人が身を挺してマックスを守るシーンなんて観てて涙がでましたよ。「トランスフォーマー3」では突っ立ってるだけだったクチビルオバケ(名前忘れた)がキャストに加わると発表されたときは何の冗談かと思ったが、彼女も他の女性も素晴らしい縁起をしてるではないですか。

・主人公の男性と恋に落ちるために女性が一人だけ用意されてる最近のアクション映画をあざ嗤うかのように、この作品はベクデル・テストを易々とクリアし、男たちが支配する世界における女性たちの奮闘を描いていく。

・そんな彼女たち(特にフュリオサ)に比べるとマックスなんかはあくまでも脇役的な扱いだったりする。まあそのぶんセリフや行動に重みがあって良いんだけどね。マックス本人は女性が相手でも特にドギマギしたりはしないのだが、そこらへんはニコラス・ホルト演じるイモータン・ジョーの手下がうまい役回りになっていたな。

・おれ映画館では3人の女性とカップルの男女に囲まれて観ましたが、これ女性が観てもかなり楽しめる内容になってるのでは。女性の描写についてフェミニスト作家のイブ・エンスラーをコンサルタントに呼んだというのは伊達じゃない。

・といいつつも男の子映画の要素も当然ながらタンマリあって、最初から最後までひたすらカーチェイス!悪夢のチキチキマシーンみたいな車が次々と登場して、豪快にドンパチやってくれます!CGを控え目にした生身のアクションは大迫力ですよ。

・意外と良い上司っぽい(気がする)イモータン・ジョーよりも、その部下たちのほうが気が狂っててヒャッハー!という感じ。いちばん良かったのはキャタピラのついた車を乗り回すバレット・ファーマーで、○○になっても銃を撃ちまくるその姿はもう最高!

・なおマックスを演じるトム・ハーディは相変わらず話し方がどんくさいオッサンのようである。彼のセリフは非常に少ないし、イモータン・ジョーの言葉もマスクでくぐもって何言ってるのか聞き取りにくいわけで、そういう意味では日本語吹替の声優に素人を起用してもあまり作品に影響は無いような気もする。まあプロの声優を使うにこしたことはないんですが。

・この作品の成功を受けて早くも続編(プリクエル?)の製作が決定したみたいですが、ここまでプロットを削り落とすことはもう出来ないんじゃないかな?でも個人的には「アベンジャーズ2」よりもずっと楽しめた作品なので、またブレンダン・マッカーシーを起用して新たな「マッドマックス」シリーズを作り上げて欲しいところです。

Females are strong as hell.

「Black Angel」鑑賞


1980年に「帝国の逆襲」がイギリスで公開される際に併映されたという短編。

「スター・ウォーズ」のセットデザインや「エイリアン」「ライフ・オブ・ブライアン」のアートデザインを手がけていたロジャー・クリスチャンが、ジョージ・ルーカスに依頼されてスコットランドで撮影したものだとか(撮影監督はテリー・ギリアムとよく組んでいるロジャー・プラット)。その後ネガが紛失して長らく幻の映画扱いされていたものが、30年ぶりくらいにネガが発見され、映画祭で披露されたあとにこうしてyoutubeで公開されることになったのだとか。詳細については監督自らが冒頭でいろいろ語ってるんで参照ください。

内容は数年ぶりに故郷に帰ってきた中世の騎士が、戦争と疫病によって荒廃した城を見て落胆する。しかし彼は黒い天使に仕えるという女性に出会い…というもので、タルコフスキーに受けたいうことなので水のイメージなどはそういう感じなのかしらん。良く言えば抽象的、悪く言えば難解な内容で、チャンバラはあるものの血湧き肉踊る騎士の活躍などを期待してはいけないよ。

一番の見所はスコットランドの大自然で、険しい山々や激しい滝などの光景が作品の雰囲気に合っていて非常に美しい。今となっては荘厳な雲の姿などを見ると「お、CGかな?」と思ってしまうのだけど、当然ながら自然の光景をそのまま映したんだろうな。

スローモーションを使ったチャンバラのシーンは「帝国の逆襲」にも取り入れられたほか、ジョン・ブアマンの「エクスカリバー」もこの作品を参考にしたとのことで、確かに雰囲気は似ているかも。こういう幻想的な騎士の映画って最近は見かけなくなりましたね。

ロジャー・クリスチャンはそのあと「バトルフィールド・アース」を監督してまた違った意味で有名になるのだが、この短編は「ライフ・オブ・ブライアン」と「帝国の逆襲」をつなぐミッシング・リンク的な作品ということでも一見の価値はあるかと。