「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」鑑賞

Age of Ultron poster
これもアメリカで観てしまったよ。当然ながら以下はネタバレ注意:

・現地での大まかな評判は「悪くはないんだけど、前作ほど良くはない」というものだったが、確かにそんな感じ。前作は個々のヒーローが団結して行く流れが快かったのに対し、今回はチームが崩壊の危機を迎えてお互いに戦ったりするわけで、観ててあまりカタルシスが感じられないのよな。後半になってから危機を乗り越えて一緒に戦う展開は良いんだけどね。

・当然ながら今後のマーベル作品への伏線がいろいろ貼られているのだが、これも以前はワクワクさせてくれるものだったのに、だんだんそっちが重要になってストーリーを圧迫しているような感じ。監督のジョス・ウィードンがマーベルのプレッシャーに耐えられずこれ限りで降板したのもよく分かる。

・SHIELDの状態などはTVシリーズの流れを受けてるようなのだけど、そこまでチェックしてる時間はないのよ。映画だけでなくTVともユニバースをシェアさせるのって今後はどんどん整合性がとれなくなってくるんじゃないのか。

・クイックシルバーは「フューチャー&パスト」のほうが良い。まああっちはきっちり見せ場が与えられていたし仕方ないね。

・冒頭にロバート・ゼメキスの「THE WALK」のトレーラーを観た時も思ったのだが、登場人物が東欧とかフランス出身だからといって外国訛りの英語を喋らせる必要ってあるんだろうか。ワンダとピエトロの訛りがどうも気になってしまったよ。

・しかしあのキャラクターがああいう結末を迎えるなら、コミックのほうで無理して設定をああしなくても別によかったんじゃね?

・ウルトロンは良くも悪くも人間味があって、なんかオッサン臭いような。表情のないキャラクターなので、声で感情を表現させるしかなかったんだろうな。

・ビジョンはアンドロイドというよりも顔を赤く塗ったポール・ベタニーにしか見えない。正直カッコわるい。

・ベロニカ可愛いよベロニカ。あれにはハルクのガールフレンドの名前がベティだから対抗してベロニカ、という誰も気付かないアーチー・コミックスへのオマージュが隠されているらしい。

・ “That was a good talk!” ”No it wasn’t!”こういう細かいジョークを書かせるとやはりウィードンは巧い。

・いろいろ厳しいこと書いたけど普通に楽しめる作品ではありますよ。前作の域には達していないだけで。しかし日本版のトレーラーやポスターはネタバレが含まれてると聞いたので観賞後にチェックしたのだが、確かに重要なプロットをバラしてますね。

・世界の他の国よりも2ヶ月近く遅れて公開させ、芸能人を吹替に起用し、事前にかなりネタバレをしているというのは、単に日本の観客がナメられてるのでは。他の国はアメリカとほぼ同時に公開してもそれなりの興行成績を出してるわけで、宣伝に2ヶ月かける必要があるというのは言い訳になってないだろ。

・例えば韓国は税制の優遇(資金援助?)をして映画の撮影を誘致し、韓国人のキャストも登場させてるわけで、日本もそれくらいに国レベルで宣伝に関わっていく必要があるだろう。(ロバート・ダウニーJr.ってまだ日本に入国できないんだっけ?)

・”… Assemble.”

「マッドマックス 怒りのデス・ロード」鑑賞

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アメリカへ出張したので観てきたのだよ。プロットらしきものはあまり無いんだけどいちおうネタバレ注意な。

・皆が期待してる「ヒャッハー!」なアクションはもちろんあるよ。というか最初から最後までそればかりなんだけど、観て驚いたのはこれすごく女性を中心に添えた作品だということ。

・話の実質的な主人公はマックスというよりもシャーリーズ・セロン演じるフュリオサだし、彼女を頼ってイモータン・ジョーのもとから脱出する5人の女性は最初こそレイプの犠牲者であり、か弱い存在なのだけど、グロテスクな貞操帯を断ち切って自由になったあとは自由を求めて行動し、しまいには戦いの流れを大きく変えるような存在になっていく。

・女性の一人が身を挺してマックスを守るシーンなんて観てて涙がでましたよ。「トランスフォーマー3」では突っ立ってるだけだったクチビルオバケ(名前忘れた)がキャストに加わると発表されたときは何の冗談かと思ったが、彼女も他の女性も素晴らしい縁起をしてるではないですか。

・主人公の男性と恋に落ちるために女性が一人だけ用意されてる最近のアクション映画をあざ嗤うかのように、この作品はベクデル・テストを易々とクリアし、男たちが支配する世界における女性たちの奮闘を描いていく。

・そんな彼女たち(特にフュリオサ)に比べるとマックスなんかはあくまでも脇役的な扱いだったりする。まあそのぶんセリフや行動に重みがあって良いんだけどね。マックス本人は女性が相手でも特にドギマギしたりはしないのだが、そこらへんはニコラス・ホルト演じるイモータン・ジョーの手下がうまい役回りになっていたな。

・おれ映画館では3人の女性とカップルの男女に囲まれて観ましたが、これ女性が観てもかなり楽しめる内容になってるのでは。女性の描写についてフェミニスト作家のイブ・エンスラーをコンサルタントに呼んだというのは伊達じゃない。

・といいつつも男の子映画の要素も当然ながらタンマリあって、最初から最後までひたすらカーチェイス!悪夢のチキチキマシーンみたいな車が次々と登場して、豪快にドンパチやってくれます!CGを控え目にした生身のアクションは大迫力ですよ。

・意外と良い上司っぽい(気がする)イモータン・ジョーよりも、その部下たちのほうが気が狂っててヒャッハー!という感じ。いちばん良かったのはキャタピラのついた車を乗り回すバレット・ファーマーで、○○になっても銃を撃ちまくるその姿はもう最高!

・なおマックスを演じるトム・ハーディは相変わらず話し方がどんくさいオッサンのようである。彼のセリフは非常に少ないし、イモータン・ジョーの言葉もマスクでくぐもって何言ってるのか聞き取りにくいわけで、そういう意味では日本語吹替の声優に素人を起用してもあまり作品に影響は無いような気もする。まあプロの声優を使うにこしたことはないんですが。

・この作品の成功を受けて早くも続編(プリクエル?)の製作が決定したみたいですが、ここまでプロットを削り落とすことはもう出来ないんじゃないかな?でも個人的には「アベンジャーズ2」よりもずっと楽しめた作品なので、またブレンダン・マッカーシーを起用して新たな「マッドマックス」シリーズを作り上げて欲しいところです。

Females are strong as hell.

「Black Angel」鑑賞


1980年に「帝国の逆襲」がイギリスで公開される際に併映されたという短編。

「スター・ウォーズ」のセットデザインや「エイリアン」「ライフ・オブ・ブライアン」のアートデザインを手がけていたロジャー・クリスチャンが、ジョージ・ルーカスに依頼されてスコットランドで撮影したものだとか(撮影監督はテリー・ギリアムとよく組んでいるロジャー・プラット)。その後ネガが紛失して長らく幻の映画扱いされていたものが、30年ぶりくらいにネガが発見され、映画祭で披露されたあとにこうしてyoutubeで公開されることになったのだとか。詳細については監督自らが冒頭でいろいろ語ってるんで参照ください。

内容は数年ぶりに故郷に帰ってきた中世の騎士が、戦争と疫病によって荒廃した城を見て落胆する。しかし彼は黒い天使に仕えるという女性に出会い…というもので、タルコフスキーに受けたいうことなので水のイメージなどはそういう感じなのかしらん。良く言えば抽象的、悪く言えば難解な内容で、チャンバラはあるものの血湧き肉踊る騎士の活躍などを期待してはいけないよ。

一番の見所はスコットランドの大自然で、険しい山々や激しい滝などの光景が作品の雰囲気に合っていて非常に美しい。今となっては荘厳な雲の姿などを見ると「お、CGかな?」と思ってしまうのだけど、当然ながら自然の光景をそのまま映したんだろうな。

スローモーションを使ったチャンバラのシーンは「帝国の逆襲」にも取り入れられたほか、ジョン・ブアマンの「エクスカリバー」もこの作品を参考にしたとのことで、確かに雰囲気は似ているかも。こういう幻想的な騎士の映画って最近は見かけなくなりましたね。

ロジャー・クリスチャンはそのあと「バトルフィールド・アース」を監督してまた違った意味で有名になるのだが、この短編は「ライフ・オブ・ブライアン」と「帝国の逆襲」をつなぐミッシング・リンク的な作品ということでも一見の価値はあるかと。

「The Best of Milligan & McCarthy」読了

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イギリス出身のコミックライターであるピーター・ミリガンと、アーティストのブレンダン・マッカーシーがコンビを組んで70年代後半から80年代にかけてさまざまな雑誌に掲載していたコミック作品の傑作選。

ブレンダン・マッカーシーのアートの素晴らしさは過去にも書いたが、インド絵画に影響を受けたという強烈にサイケデリックなアートが大きめのページで堪能できてもう満足。各作品のストーリーもアートに合わせてトリッピーで、当時のイギリスの労働者階級文化を反映したものから、哲学的なものまでと扱ってる幅が広い。「ROGAN GOSH」と「SKIN」を除けばどの作品も1話数ページで、おまけに掲載されてた雑誌が長続きせずに尻切れトンボで終ってるものばかりなのだが、その凝縮されたストーリーはいずれも読み応えがあるかと。いくつか代表的な作品を紹介すると:
「PARADAX」
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物質を通り抜けられるスーツを手に入れ、スーパーヒーロー「パラダックス」となったニューヨークの少年の物語。ヒーローと言いつつもチャラくて自分のことしか考えておらず、周囲につつかれて仕方なく悪と戦うそのスタイルは、グラント・モリソンの「Zenith」(あれもキャラクターデザインはマッカーシーだった)の先駆けといったところか。実際マッカーシーは「Zenith」をパクリだと考えてるらしい。

「ROGAN GOSH」
これ以前にDCコミックスのヴァーティゴからも再販されてましたね。インド神話(?)のヒーロー、ローガン・ゴッシュが登場するサイケなサイケな物語。

「FREAKWAVE」
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オーストラリアで「マッドマックス」を観て大きく影響されたマッカーシーによる、大海洋を舞台にした「ウォーターワールド」と「マッド・マックス」を合わせたような作品。でも2話目から内容が大きく変わってチベット仏教みたいな内容になってるのがお茶目ではある。

「SKIN」
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サリドマイドの影響で短い腕を持ったスキンヘッドの少年が暴れまくるという内容が大きな論議を呼び、数々の出版社が出版を断念したといういわくつきの作品。他の作品に比べるとアートは比較的おとなしめで、絵本のような感じで読める内容になっている。ストーリーも結構真面目で、実は感動する内容になってたりする。まあ当時はこれくらいの内容でも出版が見送られたりしてたんですよ、

あくまでも傑作選なのですべての作品が網羅されてるわけではなく、彼らの最後のコラボ作品となった92年の「SHADE, THE CHANGING MAN」#22などからは数ページが掲載されてるのみ。ケンカ別れしたわけではないと思うのだけど、20年以上も一緒に仕事してないのは何故だろう?

その後もミリガンはコンスタントにコミックを書き続けてDCやマーベルでいろいろ作品を出してるわけだが、マッカーシーのほうはハリウッドへ映画の仕事をやりに行ったもののあまり音沙汰がなかったんだよな。しかし!今年は彼がジョージ・ミラーと長年ひたすら構想を練っていた「マッドマックス 怒りのデス・ロード」がついに公開されるのである!マッカーシーのインプットがどれだけあるのかはよく分からないが(車両のデザインとかは他の人がやったらしい)、「怒りのデス・ロード」は俺にとってはブレンダン・マッカーシーの映画なのである!

というわけで映画がヒットしてマッカーシーがハリウッドで活躍できれば良いなと思う反面、コミック業界に戻ってきて欲しいと欲しいと思うわけだが、ここ数年は「Spider-man: Fever」とか「Zaucer of Zilk」といったコミックをちらほら描いたりしてるので、またミリガン&マッカーシーでコンビを組んで作品を出して欲しいところです。
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「DEAR WHITE PEOPLE」鑑賞

Dear White People
昨年のサンダンスでちょっと話題になったコメディ。

舞台となるのは名門校のウィンチェスター大学。そこの生徒たちは大半が白人で、黒人の生徒たちは1つの学生寮に集まって生活していた。そしてカレッジ・ラジオの番組「Dear White People」のDJとして、人種について煽ったコメントをして話題を呼んでいたサマンサは、学部長の息子であるトロイを選挙で破って学生寮の寮長に就任する。そんな彼女にライバル心を抱くユーチューバー(のようなもの)のココや、大学新聞のために記事を書くことになったライオネルといった生徒たちも話に絡んでいき、やがて理事長の息子である白人のカートが、黒人をテーマにしたハロウィーンパーティーを計画したことで物事は加熱していき…というような内容。

低予算映画ゆえか、知ってる役者はデニス・ヘイスバートくらいか。あとライオネル役のタイラー・ジェームズ・スミスって「Everybody Hates Chirs」で子供時代のクリス・ロックを演じてた人か。いつの間にか大きくなったのう。

アメリカの映画やテレビ番組をいろいろ観ていても、あちらの大学のフラタニティとか学生寮の仕組みっていまいち理解できないのですが、「アニマル・ハウス」みたいな和気あいあいとしたものとは限らず、こないだもオクラホマ大学での差別的な行為が発覚したりして、むしろ学生のアホさが助長される温床になっている、との批判も最近は強いみたい。この映画における「黒人」パーティーも実際に行なわれたものがモデルになっていて、エンドクレジットでは黒人の格好をした白人の学生たちの写真がいろいろ紹介されていた。

そういう意味では非常にタイムリーな作品であるはずなのだが、いかんせん出来が…。ゆる〜いジャズとヒップホップに乗って学生たちの生活がゆる〜く描かれている場面ばかりで、話の終盤に向けてのテンションがまったく上がらないのですもの。ストーリーをチャプター分けしたり、キャラクターに洒落たことを喋らせているものの、なんか頭でっかちになっていて、典型的なサンダンス映画みたいだと思わざるをえない。予告編を観た感じではもっと勢いのあるコメディだと思ってただけに、内容の緩さがどうも残念。