ベクデル・テストとハリウッドの男性主義


最近いろんな映画関連の記事で目にするようになったものに「ベクデル・テスト(Bechdel test)」というものがありまして、これはアリソン・ベクデルが1985年に描いたコミックストリップ(上の画像)での会話が起源らしいが、要するに「その映画はどれだけ女性をまっとうに描いているか?」ということを測るテストだそうな。これは3つの基準から成り立っていて、

・(名前のついている)女性キャラクターが2人以上登場するか
・それらの女性たちはお互いに会話をするか
・その会話の内容は、男性に関するもの以外のことか

というもの。当然ながらより多くの基準を満たしたほうが女性をリスペクトした映画とみなされるわけで、最近の映画をこのテストにかけた結果を表示してるサイトもあったりする。例えば「キャプテン・アメリカ2」ではスカジョ演じるブラック・ウィドーが主役並みに活躍している一方で、女性同士が会話するシーンは無かったし、女性3人が主人公の「The Other Woman」も彼女たちが話すのは男のことばかりなのでテストは不合格、といった感じ。

もちろんこのテストだけをもとに、じゃあ「ゼロ・グラビティ」は女性を尊重してない映画だ!と噛み付くのはお門違いだろうし、アメリカでもこのテストに対する批判があるらしいけど、こういうテストが提唱されることと、そしてテストをパスする映画が極めて少ないこと(半数くらい?)が、ハリウッド映画における男性主義を表しているのではないかと。こないだ発表された「スター・ウォーズ」新作のキャストも女性が一人しかいなかったことが批判されていたしね。このテストは邦画でやったらどういう結果になるだろう。

またこのテストに似たものもいくつか提唱されていて、LGBTのキャラクターへのリスペクト度を測るものなどがあるみたい。他にも「パシフィック・リム」を参考にした、「女性にちゃんと独自のストーリーが与えられているか」を測る「マコ・モリ・テスト」というのも提唱されている。あとは人種をテーマに「ロシア訛りのないロシア系アメリカ人」とか「ちゃんとストーリーに絡んでくるアジア人」なんてのも測れるんじゃないかな。

このテストがハリウッドの男性主義を覆すようなものにはならないと思うけど、こんど映画館に足を運ぶときはこのテストを念頭に置いておくのも、また違った映画の鑑賞の仕方につながるかと。あとは「ウィルヘルムの叫び探し」と、PG13の映画で一回だけ使える「FUCK」探しも念頭に置いておこうね!

「REVIEW」鑑賞


コメディ・セントラルでこないだ第1シーズンが終わったシリーズ。

オーストラリアの作品をリメークしたもので、コメディアンのアンディ・デイリーがフォレスト・マクニールという司会者に扮し、人生におけるさまざまな物事をレビューし、5つ星評価を与えていくというもの。

レビューの対象は視聴者(もちろんフェイクね)から寄せられるわけだが、それがどれも過激なものばかり。「万引き」「中毒」「退職」といったものから、「レイシストになること」「乱交」「復讐」といったことまで。真面目なフォレストはそれらを律儀に体験していくわけで、「中毒」では本当にコカイン中毒になり、「宇宙」では宇宙に行き、「離婚」では本当に妻と離婚してしまう!オムニバス形式のようでシーズンを通して話がつながっていて、離婚した妻とのやりとりが多くのレビューに影響したりしている。

レビューをすることでフォレスト自身が不幸になるだけでなく、周囲の人間も多大な被害を被って、しまいには死人が出たりと真っ黒なジョークが展開されるわけだが、どんな犠牲を払おうともレビューを完徹しようとするフォレストの姿がとにかく笑えるのですよ。メタなジョークもいろいろあって、「アイルランド人になること」ではフォレストのナレーションまでアイルランド訛りになっていくのが爆笑ものであった。

アンディ・デイリーって今までいろんな番組でちょこちょこ見かけたけど、愚鈍なまでに素朴なフォレストを絶妙に演じている。あとは番組の冷徹なプロデューサーをジェームズ・アーバニアクが演じていたり、フレッド・ウィラードが出演していた。ジェームズ・アーバニアクって最初に観たのが「ヘンリー・フール」なので寡黙な役者というイメージが強いのだが、最近はコメディ業界で結構活躍してるんだよな。

公式サイトで全9話が視聴可能になっているので、連休中にサクっと観るのにおすすめ。星5つ!

「BLACK BOX」鑑賞


ABCの新作医療ドラマ。プロデューサーに「ドクターハウス」のブライアン・シンガーが名を連ねている。

キャサリン・ブラックは優秀で著名な神経科医であったが、彼女には大きな秘密があった。実は彼女自身も母親譲りの双極性障害を持っており、薬を服用しないと極端な躁鬱状態になってしまうのだ。彼女は病院の同僚にはこのことを隠して患者の治療にあたっていたが、婚約者には自分の障害のことを明かしてしまい…というような話。

古きは「ベン・ケーシー」あたりの頃はテレビのお医者さんって高潔な存在だったのでしょうが、21世紀の今となってはみんな何かしらの問題を抱えてるのが普通なようで、ドクターハウスなんかは肉体的にも精神的にも欠陥があったし、去年の「DO NO HARM」なんか医者が二重人格のサイコパスですからね。そんでこのキャサリン・ブラックもすごく問題を抱えてる人で、婚約者に自分の障害を伝えて「ちゃんと薬は服用するから」と言ったくせに「彼には自分の最悪の状態を知ってほしい」ということで薬と婚約指輪を投げ捨て、躁状態になって病院の同僚と寝てしまうという…いやあ…。というか病院にも自分の症状がバレてないか?

おれ精神病のことなんて何も知らないから、もしかしたらここで描写されてる有様ってすごく正確なことなのかもしれないけど、ドラマとしては「主人公がとても厄介な人」にしか見えんのよね。あと劇中で何度も「精神病は治らない、薬で抑えるしかない」って主人公を含めた多くの人が言っていて、ならばドラマ的に主人公が活躍する場が無いのでは?第1話では患者が精神病でなく脳に腫瘍があることが判明して完治するわけだが、腫瘍をレントゲンで発見したのは主人公の助手で、それを手術で取り除いたのが病院の同僚。主人公は何もやってないじゃん!

なんかジタバタしてるだけの主人公を演じるのは「フライト」のケリー・ライリー。またイギリス人ですな。よく見るとローズ・バーンに似てるね彼女。あとは彼女の精神科医をヴァネッサ・レッドグレイヴが演じている。レッドグレイヴが毎週テレビで見られるというのは贅沢なことなのですが、いかんせん作品がなあ…あとは「ザ・ワイヤー」のボーディーなんかも出てました。

imdbでも酷評の書き込みが目立つし、たぶん長続きしないでしょう。医療ドラマたるもの主人公が患者を治療すべし。

「Last Week Tonight With John Oliver」鑑賞


「デイリーショー」を円満に降板したジョン・オリバーが、HBOに引き抜かれるような形で司会を務めることになった風刺ニュース番組。例によって初回がYouTubeで公開されているのでIPアドレスをゴニョゴニョしてみよう。

その週の出来事を日曜日に面白おかしく報じるという内容のもので、「デイリーショー」と違ってゲストとのトークなどはなし(ただし初回にリサ・ローブがちょこっと出ていた)。ニュースクリップに絶妙なツッコミを入れるスタイルは「デイリーショー」(特にオリバーが司会をしてたエピソード)そのまんまで、あれや彼のポッドキャスト「THE BUGLE」に比べてそんなに新鮮味はないかな?

ただしHBOということで「デイリーショー」よりも実質10分くらい長く(あと四文字言葉の規制もない)、週一回の番組ということでニュースを少し深く掘り下げる内容になっているみたい。初回ではインドの選挙について詳しく説明してました。あと司会がイギリス人ということもあり、彼の国の風刺番組「Have I Got News For You」にどことなく似てるような…似てないかな?

ジョン・オリバーの司会の腕前は「デイリーショー」で証明済みだし、世の中の正しくない事にツッコミを入れる番組はいくらあっても足りないくらいなのですが、初回を観た限りでは「デイリーショー」とそんなに大差ないような?本国でもここらへん意見が分かれているようだけど、回を重ねるうちに独自のスタイルを確立していくことになるのでしょう。

「BAD TEACHER」鑑賞


CBSの新シットコムで、キャメロン・ディアスが主演した同名の映画のテレビ版。

メレディスは裕福な夫と離婚したが、結婚前の契約をきちんと読んでいなかったために慰謝料などは何も受け取れず、文無しで友人宅に転がり込むことに。そしてその家の娘から高校で教師を募集していることを教えられ、経歴を偽証して職を得ることに成功する。彼女の狙いは、生徒たちの裕福なシングルファーザーをつかまえて玉の輿結婚をすることだった。しかし彼女のことを快く思わない同僚の女教師から妨害の手が入り…というようなプロット。

個人的には劇場版を観てないのであっちとの比較はできないのだが、教職員同士の関係だけでなく、生徒たちとの関係がもっと強調された内容になってるのかな?学校で虐げられているオタクな少女たちをメレディスが型破りな手法で助ける展開とかはすごくベタなんだけど、まあ悪くはないかな。

主役を演じるアリ・グレイナーって、キャメロン・ディアスをさらに緩くしたような体型の人。ホットなティーチャーというよりもアンナ・ニコル・スミスみたいな感じなのですが、まあそういうのに惹かれるダディもいるということにしときましょう。彼女のライバル教師を演じるのが「SATC」のクリスティン・デイビスで、校長先生をデビッド・アラン・グリアーが演じている。

まあこの時期に始まるシットコムの常として、おそらく長続きはしないであろうと。おれクリスティン・デイビスは好きなんだけどなんか勿体ないよね。今年の女性が主役のシットコムは「Trophy Wife」がピカイチで、あとはこの番組も含めて、どれも似たり寄ったりといった感じですな。