「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」鑑賞


とてもよく出来た作品ですよ。何を書いてもネタバレになりそうな内容なので、感想を手短に。

・ジョー・ジョンストンのレトロ趣味が合っていた前作に対し、こちらは70年代スリラーの雰囲気を漂わせて、現代におけるキャップの存在意義をうまく描いている。コメディ畑の、あまり手がけた作品も多くない監督にこれだけの大作をまかせて、ちゃんと結果を出させているところが凄いなあと。

・原作をうまくアレンジして、プロットやキャラクターを詰め込みすぎずに、あくまでも映画として楽しめる内容になっている。ここらへんは「アメスパ2」と違って、既にフランチャイズが確立されている側の強みだろうな。

・その一方で、今回の展開とエンドクレジット後の映像が、アベンジャーズ続編(というかウルトロンそのもの)とどうつながるか予想もつかんのですが、そこは胸をときめかせて期待しときましょう。

・「アイアンマン3」でもA.I.M.のメンバーはユニフォーム着てなかったけど、ヒドラの諸君にはぜひこれやって欲しかったな:

・いままで映画のなかでトリスケリオンが言及されたことってあったっけ?

・ギャリー・シャンドリング、ちょっと不安な太りかたをしてるな。

「アメイジング・スパイダーマン2」鑑賞


公開中なので簡単な感想をざっと:

・こないだ「ロボコップ」観た時も思ったんだけど、なんか話を詰め込みすぎて、描写しなければならないシーンが多くなり、おかげでかえって全ての場面がせかされたような感じになっている。2時間半近い尺なのに、話のフラグ立てばかりやっていてメリハリがなくなっているような?

・そりゃフランチャイズのキャラクターをいろいろ登場させないといけないだろうし、スピンオフ作品への伏線も張っておく必用があるのだろうけど、もっと各キャラクターの動機や心境を描いて話に緩急をつけないとさあ。グリーン・ゴブリンなんて「へ?なんで突然飛べるの?」といった展開だったし。

・その一方で、ピーターとグウェンの恋人同士の描写は相変わらず前作に続いて秀逸であった。前作のデジタルから35ミリに切り替えて撮影されたという陽光の中の2人のシーンとかは本当に美しい。マーク・ウェブはアクション映画なんか撮ってないで、フォックスに戻って恋愛映画を撮りなさい。

・前作はオズコープのセキュリティのザルさが叩かれていたが、レイヴンクロフト刑務所のセキュリティもひどすぎるだろ!そりゃ脱獄させないと話が進まないのは分かるが、あまりにもリアリティのないセキュリティには興醒めしてしまう。「ダークナイト」あたりをもっと参考にするように。

・ピーター、ポスターの趣味がジジくさいぞ。

・あれ、エレクトロというよりもドクター・マンハッタンでは…。

・床に叩きつけますかそうですか。

「SALEM」鑑賞


俺もよく知らなかったんだけど、シカゴを中心としたWGNというケーブル局があるらしくて、これはそこで初となるオリジナルシリーズ。AMCやネットフリックスの成功にならって、オリジナルシリーズを製作しようとする局は今後も増えてくるのかな。なぜシカゴの局がマサチューセッツを舞台にしたドラマを作るのかはよく分かりませんが。

タイトル通りセイラムの魔女裁判を扱ったもので、舞台は1685年のセイラム。清教徒が支配する町で、道徳的に不埒だと見なされた者が厳しく罰せられるなか、ジョン・アルデンは彼の子を妊娠した恋人のメアリーを残してウィリアム王戦争へと出陣する。そして7年が経ち、町へと戻ったアルデンは、メアリーが町の有力者の後妻となったことを知る。さらにアルデンの幼なじみであった牧師によって、町では魔女狩りの嵐が吹き荒れようとしていた。町の民のヒステリアに対抗しようとするアルデンだったが、実はメアリー自身が魔女であり、婚外子であった彼との子供を中絶しようとしたことで黒魔術に目覚めたのであった…というような話。

クリエイターはブラノン・ブラガで、おれブラガの作品って全く評価してないんだが、この作品もなんか方向性が定まらず何だかなといった出来。アルデンは怪訝そうに出来事を傍観してるだけであまり積極的に行動しないし、メアリーは悪に染まってるのかと思いきや黒魔術を使うことに不安を示したりして、今後何をやりたいのかがいまいちよく分からんのだよな。時代劇ということで形式ばった言葉遣いもなんか似合ってないし。

なおアルデンをはじめとする登場人物の何人かは実在した人物であるらしい。実際の出来事を基にしているとはいえフィクションなのでモラルを求めるのは無意味だと思うものの、集団のヒステリアによって起こされた魔女狩りという惨劇を、「いや実は悪い魔女がいたんだよ」としてしまうのはどうも不快なのよな。劇中における女性の扱いもひどいもんだし。さらに言うとキャストが白人だらけのなか、メアリーに黒魔術を薦める女性だけ黒人(かなり色白だけど)というのも引っかかったな。

ジョン・アルデンを演じるのはシェーン・ウエスト…って再結成したザ・ジャームスでボーカルを務めた役者か!あれって何だったんだろう。あとはザンダー・バークリーとか、テレビ番組でちらほら見かける役者がそれなりに出演しています。シェーン・ウエストよりもメアリーを演じるジャネット・モンゴメリーが主役扱いになるのかな?

まあ、いかにもブラノン・ブラガ的な、あまり目新しさのないジャンル番組といった感じです。「テラノバ」を面白いと思った人なら楽しめるんじゃないでしょうか。

「Fargo」鑑賞


コーエン兄弟の「ファーゴ」をベースにしたFXのミニシリーズ。全10話。

冒頭に「この物語は実話を元に作られており…」という嘘っぱちのメッセージが出てくるところや、題名に反してファーゴが舞台でないあたりは劇場版と一緒なのだけど、キャラクターやストーリーは完全にオリジナル。ただし劇場版にそれなりに似せた設定になっており、コーエン兄弟の作品の雰囲気が意外とうまく伝わる出来になっている。

そして舞台はミネソタのベミジという町。レスターはしがない保険のサラリーマンで、仕事場でも家庭でもウダツが上がらず、40歳になっても高校の同級生に今でもイジめられている次第。その同級生と関わって鼻を骨折した彼は、病院でローンという謎の男に会う。自分の鼻を折るような男は殺してしまうべきだと語るローン。彼の不気味な迫力に圧倒されるレスターだったが、次の日にレスターの同級生は刺殺体となって発見される。じつはローンは町に迷い込んできた殺し屋だったのだ。事件を不審に感じた警官のモリーたちは調査を始めるが、レスターとローンのまわりではいろいろ人が死んでいって…というようなストーリー。

劇場版の狂言誘拐というプロットは(今のところ)登場せず、不気味な殺し屋のローンが町に与える影響をブラックに描いたコメディ気味のサスペンスンになっている。第1話から人がどんどん死んでいくさまは、「ノーカントリー」っぽいかな。あらゆる不運を引き寄せるレスターと、奇妙に落ち着いたローンの対比が面白いぞ。控え目ながらも絶妙なタイミングで使われる音楽もいい味を出している。

ローンを演じるのはビリー・ボブ・ソーントン。「ノーカントリー」のシガーのごとく冷徹に人を殺す一方で、不気味な愛嬌を振りまいて周囲を困惑させていくさまを巧みに演じている。これコーエン兄弟の「バーバー」や「バーン・アフター・リーディング」のときよりも似合ってる役じゃないだろうか。そしてレスターを演じるのがマーティン・フリーマンで、いつもと違うミネソタ訛り(?)での演技には違和感を感じるものの、「シャーロック」以上に周囲の出来事に翻弄される姿がね、なんというか可愛いのですよ。他にもコリン・ハンクスやボブ・オデンカーク、キース・キャラダイン、オリバー・プラット、コメディアンのキー&ピールといった強力な出演者たちが脇を固めている。

個人的には「ファーゴ」ってコーエン兄弟の作品の中ではそんなに好きではないのだけど、これは劇場版の設定をうまく換骨奪胎して面白い内容に仕上げていた。残りの9話もこのペースで進んでいくことに期待。

「Metal Hurlant Chronicles」鑑賞


Syfyチャンネルのオリジナルシリーズ…と銘打ってるけどフランスでは2012年に放送されてんのね。

日本でもちょっと前までは洋書屋で売ってた「Heavy Metal」というSFコミックのアンソロジー誌がありまして、その元は「メタル・ユルラン(叫ぶ鉄)」というフランスのバンドデシネ雑誌であるわけですね。「ユルラン」では故メビウスやリチャード・コーベンといったアーティストたちがイマジネーションの限りを尽くした荘厳なSFコミックを描いていたわけだが、それらのストーリーをアンソロジー形式で映像化したのがこのシリーズ。劇中では「メタル・ハーラント」と発音してるけど、アメリカ人の視聴者に分かるのかそんな言葉。しかし「Heavy Metal Chronicles」という名前ではやはり音楽ドキュメンタリーだと誤解されると懸念されたんだろうか。

第1話はリチャード・コーベンがアートを担当したコミックが原作で、死にかけている暴君の王の後任の座を狙って戦う剣闘士たちの物語。中世のようでロボットが飛び交うエキゾチックな世界設定になっているのだが、やはりコーベンの筋骨モリモリな男女が出てくるアートに比べると映像がショボすぎることは否めない。30分という尺なのでサクっと観られるけどバッドな終わりかたをしてまして、毎回こういう展開だと辛いものがあるのではないかと。

なおフランスとベルギーの合作番組ながら出演者のセリフはみんな英語で、ブラック・ダイナマイトことマイケル・ジェイ・ホワイトなんかが出演していた。剣闘のアクションなんかはスローモーションばかり使っててお世辞にも見事なものではないが、彼が素手で戦うところだけはやはり切れのいい動きをしていましたね。後の話ではミシェル・ライアンとかルトガー・ハウアーなんかも出演しているらしい。

フランスで2012年に6話だけ放送されただけらしく、まあ続きは作られないだろうな。「Heavy Metal」の映像化に興味がある人は、こっちよりもアニメ映画版を観ることをお勧めします。