「FALLING SKIES」鑑賞


インベイジョンものをもういっちょ。TNTの新作シリーズで、プロデューサーにはスティーブン・スピルバーグや「JUSTIFIED」のグラハム・ヨストなどが名前を連ねている。主演は「ER」のカーター君ことノア・ワイリー。

舞台となるのはエイリアンが地球を侵略し、人類の90%近くが虐殺されたあとのアメリカ。僅かに残った人類はレジスタンスを結成し、食物などを探しながらエイリアンへの抗戦を行っていた。ボストンで歴史学者をしていたトムはその知識を見込まれて300人ほどのグループの副リーダーに任命され、2人の息子とともに過酷な世界での生き残りを図るが、侵略以来行方不明になっていたもう1人の息子がエイリアンの捕囚になっていることを知り、いつか彼を救い出すことを誓うのだった…というような話。

エイリアンの侵略から半年たったところから話が始まるため、エイリアンの総攻撃などといった派手なドンパチは(今のところ)あまり出てこない。上の画像にある「第9地区」を彷彿させるような巨大建造物もチラと見せられるだけで、あとは廃墟で食べ物を探す人間たちの姿が描かれるといった、ビジュアル的には比較的地味なものになってるかな。

そして残された人類が生き残ろうとするさまは「ジェリコ」や「ウォーキング・デッド」に似ているかも。武器を持った者と一般市民とのいざこざとか、略奪をしている荒くれ者たちとの駆け引きなんてのも「ジェリコ」とかで既に扱っていたような。そして主人公はアメリカの独立戦争についての知識を駆使してレジスタンスを率いようとするんだが、そこがちょっと衒学的になっているというかストーリーにうまく組み込まれてない感もあった。

「ギャラクティカ」のようなバリバリのSFを期待すると肩すかしをくらうかもしれないが、今後の展開が面白くなる可能性はある作品。スピルバーグが絡んでいるので、いずれ日本でも放送されたりするんじゃないでしょうか。

「スーパー8」鑑賞


俺がJ・J・エイブラムスの作品をどうしても好きになれない理由として、彼自身はすごく才能があってアイデアも豊富な人なんだろうけど、それが災いしてあまりにも手堅くきちんとした作品を作ってしまう点があって、要するにちょっと出来の悪いところがあったとしても「俺はこの映画を撮りたかったんだ!」というような情熱というか才気の爆発みたいなものが感じられないんだよな。そんな意味ではこの「スーパー8」はエイブラムスが撮るべきして撮った作品かと。だって作品の目的が「いかにスピルバーグ的な映画を撮れるか」なわけだから、スピルバーグの作品をきちんと勉強して律儀にオマージュを捧げれば立派なものは作れるだろうけど、どうしてもそれは「よく出来た模造品」であり、本物ではないという感が拭えなかったよ。

もちろん以前にもスピルバーグ的な映画を作った監督はいたわけだが、例えばジョー・ダンテ(あとたぶんゼメキス)なんかは自身の作家性が滲みだしていたのに対し、この作品はスピルバーグのスタイルを追うことだけに終始していたような(尤もエイブラムスの作家性が何なのか俺には分からないのだが)。よって結局のところ「どこかで観たことあるような映画」になってしまい、あれだけストーリーが謎にされた作品でありながら、先の展開が読めるものになってしまっていた気がする。そしてスピルバーグというのは模倣では絶対に超えることの出来ない天才であるわけで、おかげでスピルバーグとエイブラムスの力量の差を実感させられる内容になっていた。父親との屈折した関係や、女の子への童貞まるだしの憧れなんてのはスピルバーグならもっと巧く描けたはず。ここらへんはエイブラムスが崩壊家庭で育ってない(らしい)からなのかな。

とはいえ最初に書いたように相変わらず手堅いつくりの作品であることは間違いないわけで、観ていて楽しめないというわけではない。役者はエル・ファニングがずいぶん大きくなったな、という感じ。クリーチャーはCGなので例によって重量感がないのがマイナス点。結局のところオマージュと模倣のバランスが微妙な作品といったところですかね’。70〜80年代のスピルバーグを観てない人や世代などはまた違った感想を抱くのではないかな。

「世界侵略:ロサンゼルス決戦」鑑賞


とてもひどいダメ映画。アメリカで酷評されたので覚悟して観たけど、予想をはるかに下回る出来だった。とりあえず観ててダメだと思った点をいろいろ挙げていく。ネタバレがあるかもしれないがどうでもいい:

・話に起伏がない。というかストーリーが殆どない。たまにちょっと静かなシーンがあってもお決まりの展開(死に行く肉親とか)が披露されるだけで、あとは最初から最後までドンパチが続くだけ。
・キャラクターが全く立ってない。主人公にちょっとだけバックグラウンドがあるだけで、あとは誰もが一緒に見える。軍隊だからみんな同じ服装なのでさらに見分けがつかない。かといって戦闘のプロかというとそうでもなくて、攻撃されるとみんなパニックに陥ってるのは情けない。
・エイリアンがカッコ悪い。普通なら「相手はどんな格好してるんだろう?」といった好奇心を抱かせてくれるはずだが、この作品はエイリアンの解剖シーンがありながらもエイリアンの外見がよく分からないというお粗末さ。おまけに彼らが用いる兵器や乗り物も地球のものに良く似ていて面白みなし。
・役者がみんな叫びっぱなし。演技なんかが入る余地なし。ずっと大声で叫んでるだけ。

他にもいろいろあるんだがここらへんでやめとく。なんか敵がエイリアンだという必要はなかったんじゃないの?とまで思ってしまった。何が目的で侵略してるんだかよく分からないし(冗談のような推論は紹介される)、こうした侵略ものって圧倒的な戦力を持つエイリアンを人間側の機知でどうやって倒すかが大きな醍醐味だと思うんだが、ここでは力で力を制しているだけ。話にヒネリも何もない。

戦争ものと侵略ものの映画なんてのは今まで数多とつくられてきたわけで、参考になるネタとかはいくらでもあったはずなのに、なんでこんなゴミ作品が大金をかけて作られたのかは理解に苦しむよな。もうこの監督は2度と映画を作るべきではないと思う。同じロボット(?)との戦闘なら、「ギャラクティカ」のシーズン3冒頭のほうがはるかに迫力があったしストーリーも豊かだったぞ。

「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」鑑賞


マシュー・ヴォーンは「キック・アス」が個人的にダメだったのでちょっと不安だったんだが、これは純粋な娯楽作品として楽しめた。60年代の007映画のパスティーシュ的なノリが良かったのかな。ただしアメコミに関する結構な知識を求められる内容になってると思うので(まさかアザゼルが出てくるとは思わなかった)、原作を知らない人には意味不明のところがあるかもしれない。

前の3部作よりも良いという意見も見かけるけど、プロフェッサーXとマグニートーとの関係に限って言えば、やはりパトリック・スチュワートとイアン・マッケランというベテラン俳優同士の対決のほうが優れていたかな。ジェームズ・マカヴォイはチビで童顔なのが災いして、指導者というよりも部活のマネージャーのように見えてしまうのが難点か。でも両者のイデオロギー違いが明確になり袂を分かつ流れはうまく描かれていたと思う。尤もこの映画にイデオロギーなどをあまり期待してはいけないわけで、「差別は良くない!」と言っときつつも黒人キャラは全く活躍しないし。あとアメリカ政府はレイ・ワイズにマイケル・アイアンサイドにオリバー・プラットといった俺好みの俳優を揃えておきながら、数人のミュータントに手玉にとられてしまうのが情けないのう。

突出してこれが良かったというような点は無いものの、ストーリーのテンポもよくて無駄がなく、見せ場もきちんと作られている快作。プリクエルであるがゆえに話が少し制限されている感じがするが(特にミスティークまわり)、いっそもう前の3部作は無視して自由に話を進めたほうが良いんじゃないのかな。フォックスは新たな3部作を作る気でいるらしいけど、ここから話はどう展開してくんだろう?次はベトナム戦争を背景にフォージが登場するとか、福島広島出身のサンファイアが出てくるとか?人類とミュータントが結束してヒッピーと戦う、なんてのもいいかもしれない。

「SUITS」鑑賞


USAネットワークの新作法廷ドラマ。USAネットワークの常として第1話は90分(実尺70分)あるんだけど、あれって効果あるのかね?作品によっては冗長に感じられるだけで、短くピシッとまとめたほうがいい場合もあると思うんだが。

舞台となるのはニューヨークの大手弁護士事務所で、そこで働くハーヴィーは敏腕であるもののウソをついてでも訴訟に決着をつけることから上司の怒りをかっていた。そんな彼は新人弁護士の採用面接を行うことになったのだが、ふとしたことがきっかけでマイクという若者に出会う。マイクは天才的な記憶力の持ち主で、法律書などもそらで暗唱できるものの、学生時代に不正を行ったため弁護士になれなかった経歴を持っていた。そんなマイクの能力に感心したハーヴィーは、マイクが大学を出ていないのにも関わらず彼を雇い、いろんな訴訟を扱わせるのだった…というような話。

まあ内容は平凡な法廷ドラマといった感じで、主演の2人の俳優はよく知りません。2人の上司としてジナ・トレスが出ている。観ていて気になったのが、登場人物がみんなトゲトゲしいというか自分勝手なところで、事務所や大学の受付係までが非常に横柄だという徹底ぶり。ハーヴィーは訴訟で勝つことしか考えてないうえにプロボノの仕事を露骨に嫌がるし、ナイーブさで視聴者に共感を抱かせるはずの役のマイクでさえも、どうも小生意気な若造という感が否めない。

そして高級な弁護士事務所でのドラマにありがちなんだけど、法廷での争いと事務所のメンツに話の焦点があたりすぎて、実際に訴訟を起こした一般人の扱いがないがしろにされてるんだよな。第1話ではセクハラされて解雇されたシングルマザーというとてもベタな人物が出てくるものの、彼女の困窮などは殆ど描かれてないし。この雰囲気って前にあった「THE DEEP END」によく似てるな、と思ったらクリエーターが一緒だったのか!

題名が示すように、高級なスーツを着た弁護士の生態が見たい人向けの作品。俺自身は高給取りの弁護士は嫌いです。