「ドクター・フー」第5シリーズ開始

面白かった!

キャストが一新されてマット・スミス演じる第11代目ドクターの冒険が始まるわけだが、第1話目を観る限りこのドクターはエキセントリックでコミカルな部分が強調されていて、9代目よりも10代目に近い感じがするかな。でも悪ふざけをしているような感じはないので、安心して観ていられる。まだ20代のマット・スミスの若々しさがうまく反映されているというか。

新しいコンパニオンになる赤毛のエイミーも(当然ながら)ローズに比べて美人で可愛いし、どことなく疎外感を抱いていそうな一方で、いろんなことに目を丸くして驚く姿がなかなか似合っている。

第1話ではそんなエイミーとドクターの出会いが描かれるほか、空間の裂け目を通って逃げてきたプリズナー・ゼロの捕獲劇が語られるわけだが、例によってシリーズを通じた伏線のようなものも張られているみたい。今までシリーズを統括してきたラッセル・T・デイヴィスによるストーリーは良くも悪くも世界レベルでの危機を連発していて、おかげでシリーズ4の最後では地球が誘拐されるという無茶苦茶な展開になってたりしたわけだが、彼に代わって製作を務めるスティーブン・モファットは第3シリーズの傑作エピソード「BLINK」に代表されるように小ぢんまりとした空間での謎めいた展開を巧みに描ける人だと思っていて、今回の話でもエイミーの家に潜むプリズナー・ゼロの謎に関してうまく話を盛り上げている。

役者歴の浅いマット・スミスが主役を演じることなどから、この第5シリーズにはちょっと不安を抱いてたんだけど、これなら今後の展開にも期待できそうだ。

「Plastic Bag」鑑賞


インディペンデント映画の促進を目的とした公共団体が企画した、Futurestatesという短編シリーズのなかの1作品。スーパーで生まれたレジ袋が、買い物客の女性にいろいろ使ってもらって楽しい時をすごすものの、やがて犬のフンとともに捨てられてしまう。ゴミ処理場に送られたレジ袋だが、女性にもう一度会おうと風にまかせの長い旅をすることになり、やがて太平洋に浮かぶゴミベルトへと辿り着くが…というようなお話。

使い古されたレジ袋が身の上話を語る姿だけでも十分にシュールだが、特筆すべきはヴェルナー・ヘルツォークがナレーションを務めていることで、あの独特の口調が作品に異様な深みを与えている。死ぬことのできない自分を半ば恨みつつ、アメリカ各地の空を舞い海中も漂うレジ袋の姿は、トマス・ピンチョンの「重力の虹」に出てくる死なない電球バイロンに通じるものがあるな。

都市や草原の上を舞いながら飛んでいくレジ袋の描写はとても美しくて、CGなどはいっさい使ってないんだとか。シガー・ロスの人による音楽もいい感じ。昨日の「I’m Here」もそうだけど、無機的なものに感情移入させてくれるというのは映像の醍醐味ですね。

「I’m Here」鑑賞


こないだのサンダンスで公開された、スパイク・ジョーンズの短編映画。またコメディ・タッチの内容になってるのかと思いきや不覚にも感動させられてしまったよ。

人間とロボットが共存している世界が舞台になっていて、その背景については一切説明されないものの、ロボットに対する一種の偏見や規制は存在しているらしい。そんななかで出会った2人のロボットの恋愛と自己犠牲を描いた、極めて真面目なラブストーリーになっている。

話はどことなく80年代の日本のSFマンガとかを彷彿させるけど、演出がとにかく巧い。表情の乏しいロボットたちに感情移入させてしまう手腕は見事だな。スパイク・ジョーンズってストーリーよりも映像が先行する作家かと思ってたけど、観る人のエモーショナルな部分にもちゃんと訴えることができるようになってたんですね。これは「かいじゅうたち〜」も早く観ないといかんな。

30分ほどの尺で、公式サイトで視聴可能だよ。エログロの描写などはないものの、スポンサーがアブソルート・ウォッカなので年齢制限があるサイトになってるのが少し残念。これは万人に観てもらいたい傑作なのに。

「The Expendables」トレーラー


スタローンが監督・主演で、共演がジェイソン・ステイサムにジェット・リー、ミッキー・ローク、ドルフ・ラングレンという質より量で勝負しているようなアクション映画だなあ。おまけにブルース・ウィリスとかシュワルツネッガーなんかも出ているし。ヴァン・ダムは愚かにも出演のオファーを蹴ったそうだが、スティーブン・セガールには誰も声をかけなかったんだろうか。

トレーラーを観る限りとてもベタな内容になりそうだけど、期待していいのかな。今年は「THE LOSERS」や「Aチーム」といった、似た感じの映画が続いて公開されますね。

「マイレージ・マイライフ」鑑賞

前半はとても良く出来た映画だと思ったんだけどな、これ。企業の解雇通知人として全米を飛び回りマイレージ集めを趣味にしている主人公が、若くて賢い助手をつけられて彼女に仕事のコツを教えているうちに自分のやっていることを再認識するようになるだけでなく、忘れられない女性に出会ったことで根無し草だった自分の人生を見つめ直すという構図が非常に巧みに感じられたのですよ。

いまアメリカでは不況により多くの人々が解雇されているというタイムリーな事実も話に深みを与えていたのに、それが後半になって妹の結婚式というパーソナルな舞台に移ったら話がとても小ぢんまりとしたものになってしまったのが残念。式の当日になって怖じ気づく新郎なんて展開はあまりにもメロドラマすぎるというか。

俺が思うに、この映画の主人公には2つの特徴があって、

A. 全米を飛び回る解雇通知人
B. 結婚を面倒なものだと考えている独身男

というものであり、ストーリーテリングの常としてこれらに何かしらの危機やか挑戦がやってくるわけだが、それらがすべてB.のほうに集中している気がするんだよな。でも彼を主人公として特徴づけているのはA.のほうであるはずなのに、解雇通知人としての行いには明確な因果というか報いのようなものが生じず、彼の助手だけが報いを受けるというのはどうなんだろう。人々にクビを伝え続ける生活というものが、主人公にどう影響するのかを深く掘り下げて描いて欲しかったような気がする。

でも主人公を演じるジョージ・クルーニーは心の葛藤などをうまく表現していてハマり役か。彼の脇をかためるヴェラ・ファーミガとアナ・ケンドリックもいい感じ。その反面、ジェイソン・ベイトマンやザック・ガリフィアナキス、J.K.シモンズ、ダニー・マクブライドといったコメディ畑のそうそうたる面子を揃えておきながら、ベイトマン以外はほとんど出番がなかったのが残念だな。ふつう冒頭にガリフィアナキスのような知られた顔が出てきたら、後でもまた登場すると思うよなあ。

そして最後は実際に仕事から解雇された人々による、いかに家族が励みになったかが語られるインタビューで幕を閉じるわけだが、むしろ独り身のほうがクビになっても家族に迷惑をかけなくていいんじゃないの、と俺のようなひねくれ者の独身男は考えてしまうのです。